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室内楽三昧

  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第5、6番 ベートーヴェンQ (Melodiya 33 D 015785-86 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ アポリーン (Vc) ハーラ (Pf) (Supraphon 1111 2805 G [LP])
  • ボッケリーニ:弦楽四重奏曲 Op.39(G 213)、58-2(G 243) イタリアQ (Columbia 33CX 1101 [LP])
  • シューベルト:弦楽四重奏曲第1~3番 タネーエフQ (Melodiya C 04509-10 [LP])
  • シューベルト:弦楽四重奏曲第11、4番 タネーエフQ (Eterna 8 26 786 [LP])
  • ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 エドリーナ (Pf) ボロディーンQ (Melodiya 33CM 03733-34 [LP])
Mikrokosmos Mail Order Co.から室内楽ばかり6枚が届いた。

ベートーヴェンQによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は、ConsonanceレーベルでまとまってCD化されたものを架蔵しているのだが、そこではなぜか第5番だけが欠落していた。仕方ないのでアナログ盤を入手したものの、10インチ盤なので第2楽章の途中で盤を裏返す必要があった。今回、片面に全曲が収録されているLP盤を見つけたのでオーダーした。

アンサンブルの技術的な精度や音色はいかにも古色蒼然としているが、ボリソーフスキイの懐の深いヴィオラの響きをはじめ、聴くべきところの多い録音である。


アポリーンのチェロ・ソナタ集は、燻し銀とでも形容したくなる深く渋みのあるチェロの音色に惹かれる。技術面の洗練度が今一つなせいかテンポ設定やフレーズの処理に野暮ったさは否めないものの、それらを含めた田舎臭さがこの録音の最大の魅力である。ハーラーのピアノも美しい。


イタリアQのボッケリーニは、これで3枚目になる。お国もの、ということもあるのだろうが、積極的に取り上げたことを納得させるに足る、確かな名技に裏打ちされた伸びやかな歌心が魅力的な演奏である。作品58-2(G 243)には、Philipsレーベルへの再録音(2017年1月21日のエントリー)もあるが、比較するとこちらにはおっとりとした古めかしさが強い。


タネーエフQのシューベルトは第15番だけ架蔵しているが(2015年7月28日のエントリー)、最初期の作品である第1~3番のアルバムが出品されていたのでオーダーしてみた。

これが、なかなかの秀演。作品自体の規模の小ささを感じることは全くなく、とても若干15歳の少年の手によるとは思えない旋律の煌きや時に闇を感じさせる和声の移ろいが、後期の大作と同様の真剣さで描き出され、硬質で切れ味の良いロシア流儀のボウイングから奏でられる颯爽とした美音が華を添えている。第2番が2楽章版であるのは少し残念だが、聴いておくべき価値のある音盤である。


同じくタネーエフQのシューベルト、第11番と第4番の一枚も入手した。こちらはEterna盤だが、元々の録音がそうだったのか、Eterna側で加工したのかは分からないものの、人工的な残響が耳につくのが残念。演奏は第1~3番と同様だが、第11番はもちろんのこと、第4番もそれまでの3曲に比べると一段の進境を示しており、作品自体に聴き応えがある。


ドゥビーンスキイ時代のボロディーンQがドゥビーンスキイの妻エドリーナと共演したブラームスのピアノ四重奏曲は第1番を架蔵しているが(2004年11月9日のエントリー)、全3曲中で私が最も好きな第3番を見つけたので確保。ロシア音楽の真髄とすら言いたくなるようなシェバリーンとベルリーンスキイの美音とドゥビーンスキイの節度ある甘い叙情は、この時期のボロディーンQに特徴的な点だが、ここでもその魅力は存分に放たれている。ただ、全体に生真面目に過ぎ、あっさりと冷静な音楽運びに終始しているところは物足りない。

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tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

実質収穫なし?

  • ベルク:弦楽四重奏曲、抒情組曲 ウィーン・アルバン・ベルクQ (Teldec K33Y 178)
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第18、19番 ウィーン・アルバン・ベルクQ (Teldec K35Y 39)
  • ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1、2番 ヤナーチェクQ (Supraphon COCO-78426)
  • 佐村河内 守:無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌ、ヴァイオリンのためのソナチネ、弦楽四重奏曲第1&2番 大谷康子 (Vn) 藤井一興 (Pf) 大谷康子Q (Denon COCQ-84928)
梅田で微妙に空き時間ができたので、閉店まで後10分という短時間ではあったがディスクユニオン 大阪クラシック館を覗いてみた。 

4月7日のエントリーでABQの音盤のオリジナルジャケットについて少し触れたが、Teldecレーベルのアルバムは全て初出時はLPだったこともあってCDについてはこだわらない……つもりだった。国内盤CDはキングレコードからリリースされた物が最初なのだが、それを2枚見つけたので、安価だったこともあり、つい両方共に確保してしまった。

耳にタコができるほど聴いた録音だが、改めて言うまでもなく、いつ聴いても鮮烈な名演である。


スメタナQはヤナーチェクの2曲を4回録音しているが(放送録音の類を除く)、4回目の音盤だけが未入手である。ルーティンで「J」の棚をチェックしていたらLPで架蔵している第1回目の録音(1950年代後半)を見つけた!と思って購入した物を帰宅してチェックしたら、何のことはない、ヤナーチェクQの有名な1963年の録音だった(別ジャケットで架蔵済)。ジャケットに演奏者の白黒写真が載っているのだが、明らかにシュカンパではないヴィオラ奏者の顔を、なぜかリベンスキーだと思い込んでしまったが故のミス。

演奏は、もちろん素晴らしい。スメタナQが聴かせるオペラのような劇的な芝居っ気はないが、室内楽的な叙情の美しさが胸を打つ、渋い音楽である。


先日、佐村河内名義の交響曲を聴いたところ(2020年12月21日のエントリー)だが、室内楽曲集が目についたので手に取ってみた。「弦楽四重奏曲」と書いてあったら衝動的に手が出るのは、悪い癖である。

交響曲には何を言いたいのか分からないながらも物々しいそれっぽさがあったが、このアルバムに収録された楽曲には全く何もない。作曲者のスキャンダルと作品の価値とは無関係であることに異論はないが、ここには聴くべきものも語るべきものも一切ない。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_AlbanBergQuartet

アナログ盤のハイレゾ化

  • ガルッピ:弦楽四重奏曲、ボッケリーニ:小弦楽四重奏曲「暴君」Op. 44-2、カンビーニ:弦楽四重奏曲 イタリアQ (Columbia 33CX 1408 [LP])
  • ラゼック:弦楽四重奏曲のためのコミカルな小品(6曲)、コムザーク:民謡とおとぎ話、ケスマイヤー:弦楽四重奏のための民謡編曲集より リンデルベルクQ (RBM RBM 3056 [LP])
  • エネスク:ピアノ四重奏曲第1番 M. フォティノ (Pf) ポドロフスキ (Vn) ラドゥレスク (Va) I. フォティノ (Vc) (Electrecord ECE 0271 [LP])
  • エネスク:ピアノ四重奏曲第2番、室内交響曲 V. ゲオルギュー (Pf) S. ゲオルギュー (Vn) ポポヴィッチ (Va) アルドゥレスコ (Vc) 他 (Electrecord ECE-014 [LP])
  • グリーンカ:歌劇「ルスラーンとリュドミーラ」序曲、ボロディーン:歌劇「イーゴリ公」より村人の合唱、リームスキイ=コールサコフ:歌劇「皇帝サルタンの物語」より熊蜂の飛行、ムーソルグスキイ:歌劇「ボリース・ゴドゥノーフ」より、チャイコーフスキイ:交響曲第4番より第4楽章、ショスタコーヴィチ:祝典序曲、フレーンニコフ:ヴァイオリン協奏曲第1番より第3楽章、プロコーフィエフ:「十月革命20周年のためのカンタータ」より第9曲「交響曲」、カバレーフスキイ:ピアノ協奏曲第3番より第3楽章、スヴィリードフ:「悲愴オラトリオ」より「太陽と詩人」、ドゥナエーフスキイ:祖国の歌、ノーヴィコフ:ロシア、ロシア民謡:白樺、トゥリコフ:Лишь ты смогла, моя Россия、ムラデーリ:わが祖国-ロシア、不詳:ヴォルガ・カドリーユ、ザハーロフ:ロシアの歌、ポリカールポフ:レーニンとロシア、フレーンケリ:ロシアの広野、テレンチエフ:Нет России другой、カバレーフスキイ:私たちの国、民俗舞踊:バールィニャ、レヴァショフ:Мне не жить без России、ポノマレーンコ:白雪、民族舞踊:カマーリンスカヤ Various Artists (Melodiya CM 03357-60 [LP])
Mikrokosmos Mail Order Co.から、室内楽中心の5枚が届いた。

ターンテーブルの回転不良を修理したことと、パソコンを10年振りに新調したことが重なったのをきっかけに、アナログ音源のデジタルアーカイブの方針を見直してみた。15年ほど前にiPodを購入した(2005年12月6日のエントリー)ことが契機で、当初はショスタコーヴィチとピアソラの作品を網羅すべくCD化されていない音源のみをピックアップしてアナログ盤から取り込んでいたのだが、その時点では「どうせ画面が小さいから」アートワーク(ジャケット画像)は200×200、「HDDの容量の問題もあるし、どうせ携帯用の音源だから」44.1kHz/16bit、「オリジナルCDを作る可能性もあるから」Appleロスレスでデジタル化することにした。また、やはりHDDの容量を考慮し、LPとCDとで重複している音源などは外して取り込むようにもした。

その後、特に不満を感じることもなく惰性でこの方針を踏襲し続けてきたが、外付けHDDも十分に大容量の物が安価で買えるようになったこともあり、数年前にデータベース的観点から、CD、LP共に重複を問わずに元のアルバム全てを取り込むように方針を変えた。さらに、昨年からアートワークの画像サイズを600×600に上げて取り込み直すことにもした(現在進行中)。こうしてアルバム単位でファイルを整理し直している過程で、「聴ければ十分」とスクラッチノイズや針飛びにも無頓着に取り込んだ音源の状態が気になっていたので、この機会に少しだけ手間をかけるように方針転換することにした。

アナログ盤は96kHz/24bitのAIFF形式で取り込むこととし、オーディオインターフェイスを新調。その後でApple Music(旧iTunes)上でAppleロスレスに変換。ただし、私の使っている第5世代iPodはハイレゾ音源に対応していないので、iPod用にX Lossless Decoder(XLD)でAIFFファイルから44.1kHz/16bitのALACファイルも作成する。また、取り込み前にアナログ盤を水洗いする。

1枚の取り込みにかかる手間と時間はかなり増大するが、何枚か試してみたところ満足のいく結果が得られたので、今後はこの方針に沿って、改めて架蔵盤全てを取り込み直すことに決めた。還暦までに全て終えることができるとよいのだが。

さて、こんなことを試行錯誤していたので、今回の5枚は届いてから聴き始めるまでに1か月以上も間が空いてしまった。

ここのところ前古典派前後の「弦楽四重奏曲」を聴くことが増えていることもあって、イタリアQの有名なアルバムを見つけたのでオーダー。ガルッピの作品には後期バロック風の荘厳さが感じられる。この曲は弦楽合奏の方がより雰囲気豊かになるように思われる。ボッケリーニの明るくのどかな曲調も愉しいが、弦楽四重奏曲の書法は他の2曲に比して格段に緻密で完成されていることも改めて認識させられる。このアルバム随一の聴き物は、カンビーニの作品。旋律と伴奏とがはっきりと役割分担されているところはいかにも「ハイドン以前」なのだが、その旋律が歌謡性に富んだ実に魅力的なもの。これはもっと広く知られるべき作品だろう。イタリアQの歌心に満ちた演奏は、楽曲の美質を余すところなく引き出しており、見事である。


リンデルベルクQによる小品集は、19世紀の家庭音楽的な雰囲気。ラゼックとケスマイヤーの作品は曲集としてまとめて出版されている。ラゼックの方は現代の感性ではそれほど「コミカル」でもなく、今後も演奏機会には恵まれないだろう。それに対してケスマイヤーの民謡編曲には、一定の需要があるものと思われる。ただ、たとえば「Was kommt dort von der Höh'」を「ブラームスの大学祝典序曲に使われている学生歌」という程度にしかドイツ民謡を知らない私にとっては、どの曲を聴いても「あぁ、あの曲ね!」となることはなく、少なくとも我が国におけるこの曲集の需要は、限定的な範囲に留まるのだろう。


ヴァイオリン・ソナタ第3番以外のエネスクの作品には馴染みがないのだが、Electrecordレーベルで未知の室内楽を見つけたので、お国もの的な演奏を期待してオーダー。ピアノ四重奏曲第1番は幻想的なショーソンといった雰囲気で、耳障りの良い歌謡性には欠けるが、濃密なロマンの香りが燻し銀の魅力を放っている。初めて名を聞く演奏者ばかりだが、4人がよく融け合った渋い音色は曲調に相応しい。


同じピアノ四重奏曲でも、第2番は幻想味をさらに増し、独創的でかなり晦渋な音楽である。とても人口に膾炙するとは思えないが、この世界観に浸るために聴き込む価値はありそうだ。カップリングの室内交響曲は、ストラヴィーンスキイ風の新古典主義の作品。清澄な響きが面白いものの、これもまた一聴しただけで把握できる類の音楽ではない。


「ロシアのスーベニア」と題するアルバムは、ロシアおよびソ連のクラシック音楽と民謡、そして大衆歌曲が収録された2枚組の編集盤。ショスタコーヴィチの祝典序曲(ガーウク指揮)をはじめ、既に架蔵している音源も少なくないが、いずれもロシアの野趣溢れる演奏が選択されていて、実に楽しい。

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NHK交響楽団12月公演

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1番、伊福部昭:ピアノと管弦楽のための「リトミカ・オスティナータ」、日本狂詩曲 松田華音 (Pf) 井上道義/NHK SO (2020.12.5 録画 [NHK ETV(2021.3.7)])
  • 伊福部昭:ピアノ組曲 岡田 将 (Pf) (2006.12.12 録画 [NHK ETV(2021.3.7)])
少し前に放映されたクラシック音楽館の録画を、ようやく視聴。

ここで収録された演奏会は本来、第1954回定期公演として予定されていた日程で行われたもの。当初は、ショスタコーヴィチの交響曲第13番、ステージ・オーケストラのための(第1)組曲(抜粋)というプログラムだったようだ。もちろん私としては当初予定の方により惹かれる訳だが、新型コロナウィルス感染症への対応が未だ試行錯誤な中で、随分と意欲的な「代替案」を出してくるところが、いかにも井上道義氏らしい。

ショスタコーヴィチは、あらゆるフレーズに表情をつけて個々のキャラクターを際立たせようとする、表現意欲に溢れた愉しい演奏。オーケストラの反応には若干の鈍さがあり、平坦に流れてしまう箇所も少なくはなかったが、それでもこれほど生き生きとした動きに満ちた演奏にはそう滅多に出会えるものではない。TVで指揮者の表情や仕草を見るのも面白いが、こういう音楽こそ同じ空間で体験したいものだ。

演奏会の後半(と「コンサートプラス」)は、伊福部昭の作品。私の好みとは異なる音楽ではあるが、漫然と音型を反復するのではなく、反復する度に研ぎ澄まされて熱量を増していくところなどは井上氏の真骨頂で、とても面白く聴いた。ただ、これもまた、実演で体験してこその音楽であろう。

こうして考えてみると、井上氏の「ライヴ」に対する想いが込められた、メッセージ性の強い演奏会だったと言うことができるのかもしれない。

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ABQの録音全集

  • アルバン・ベルク四重奏団/ワーナー録音全集 アルバン・ベルクQ (Warner 9029538517 [62CD+8DVD])
つい先日、HMV ONLINEから在庫特価の案内メールが届き、このBOXセットのことを本ブログに書いていなかったことを思い出した。ちょうど1年前にリリースされた時に購入した、ABQの正規録音&録画を集成した計70枚のセットである。1970年の結成(デビュー演奏会は翌71年)から50年を記念した企画とのこと。

ここに収められた62枚のCDは、全て架蔵済み。特にEMIレーベルの音盤は、国内盤CD初出時のフォーマットで揃えている(ベートーヴェンの旧全集のみ、初期・中期・後期のセット)。Teldecレーベルの音盤は、シューベルトのみが国内盤CD初出時のフォーマット。ドヴォルザークも持っていたのだが、1980年代末の再発盤でブラームスの第3番とカップリングされた際に弟にあげてしまった。今考えると迂闊なことをしたものだ。

オリジナル・ジャケット・デザインによる紙ジャケットということだが、少なくとも国内初出盤とは異なるデザイン、中には1990年代後半から採用された統一デザイン(中央に描かれた菱形の中に団体名と収録曲名が記されたもの)に改変(?)されているものもあり、この点については残念ながら不完全と言わざるを得ない。

8枚のDVDは、「死と乙女」(DVD-7)とベートーヴェンの2枚(収録曲の組み合わせはDVDと異なる)をLDで、ベートーヴェンのDVD第2巻(DVD-3~4)を輸入盤DVDで架蔵している。ベートーヴェンは国内盤フルプライスの時に手を出しあぐねていたところ、その後あちこちで視聴が容易になったこともあって放置したままになっていた。ひとまず手元に揃ったのは喜ばしい。

「死と乙女」は日本語字幕がないため、マスタークラスの部分は少し不便である。画質等は比較にならないが、この点でLDも手放すことができない。

ここまでのCD 62枚+DVD 7枚は基本的に架蔵済みなこともあり、いくら破格(150円強/枚)とは言え、単なるグッズコレクター的な義務感だけではこの大きなBOXセットを購入する動機たり得ない。私が購入を決めた理由は、ひとえに「DVD-8」の存在である。これは1991年11月3日と5日にサンクトペテルブルクで行われた演奏会のライヴ映像を中心に、演奏会前後のメンバーのオフショットなどを挿入したもの。少なくとも国内盤仕様のLDやDVDがリリースされたことはないはずで、完全に初見の映像である。

この1枚のためだけに大きな箱を買うことに躊躇がなかった訳ではないが、私が最初に彼らの実演に接した1991年11月13日(大阪)、16日(京都)の僅か10日ほど前の収録ということで、懐かしさが勝った。リハーサルや楽屋の様子はともかくとして、美術館鑑賞の様子が演奏に被されているのは不満だが、全体として彼らのコンサートを追体験できる映像ではある。これでベルクがOp. 3でなく抒情組曲だったら最高だったのに。

ワーナー録音「全集」とのことだが、「死と乙女」とベルクのOp. 3が収録されたLD(EMI WV060-3505)は収録されていない。これはイタリアのスタジオで撮影された映像で、もしかしたら当地のTVで放送されたのかもしれない。日本では「東芝EMI」がリリースしたものの、現ワーナーはその権利を持っていないのかもしれない。この映像は、その演奏の見事さと余計な演出なしに演奏姿をしっかり映してくれている(2010年9月8日のエントリー)ことに加えて、なぜかヴィオラとチェロの配置が入れ替わっている点で貴重でもある。彼らが正式に配置を変更したことはないはずなので、これは撮影上の都合か撮影監督の強い意向があったのかもしれない。たかが配置とはいえ、アンサンブルの精度には少なからず影響があったはずで、ABQ側がよく同意したものだと思う。よもや、これが「黒歴史」として今回の「全集」から除外されたということはあるまいが。

ABQの「全集」ということになれば、他にオーストリアのホーエムネスで開催されたシューベルティアーデの1978年ガラコンサートでの「ロザムンデ」(第2楽章のみ)もあるが、さすがにこれはコレクターズアイテムであろう(私は未入手)。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_AlbanBergQuartet

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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