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BBC Legendsの買い漏らし分

  • ブリス:祝典ファンファーレ、ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番、チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲 D. オーイストラフ (Vn) オーマンディ/ロンドンSO M. ショスタコーヴィチ/ロンドンPO (BBC Legends BBCL 4267-2)
  • ドヴォルザーク:テルツェット、ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番、ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第14番 スメタナQ (BBC Legends BBCL 4180-2)
アリアCDで、BBC Legendsレーベルの在庫処分と思われるセールの告知があった。好みの演奏家や作曲家などに限って購入していたが、架蔵枚数だけでなく、愛聴盤となっているアルバムも少なくなく、文字通り質量共に私のコレクションの重要な位置を占めるレーベルの一つである。言われてみれば新規リリースもすっかりご無沙汰で、CDメディアでの新譜が減っている近年の情勢からしても、このセールが実質的に“最終”の意味合いを強く帯びているのは間違いのないところだろう。

私が是非とも入手しておきたいと、かねてからチェックしたまま買いそびれていたのは3枚。その全てを今回のセールでオーダーしたのだが、入荷したのは残念ながら2枚のみ。残る1枚は、1年以上前にHMV ONLINEでオーダーしたものの未だ手配中のまま。そう遠くない内に入手できることを願うのみ。

まず1枚目は、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番の西側初演ライヴ。さすがに無疵とは言えないものの、独奏・オーケストラ共に自らが奏する音の意味を的確に把握した、完成度の高い見事な演奏である。オーマンディの指揮ゆえか、オーケストラが協奏曲らしい華やかさを持っているのが面白く、オーイストラフの他の録音とは少し異なる盛り上がり方に興奮を禁じ得ない。

チャイコーフスキイの協奏曲は、さらに緊密かつ完璧な名演。こんな演奏を実演で目の当たりにしたら、もう二度とこの曲を聴かなくても良い……と言いたくなるほどの内容だが、録音状態がかなり悪いのがつくづく残念である。

ブリスのファンファーレは華麗な響きが素晴らしいが、あまりに短く、またオーイストラフ独奏の2曲との関連も感じられないので、アルバムの収録曲としての印象は極めて薄い。


スメタナQのライヴ盤は同レーベルにもう一枚ある(ベートーヴェン第1番、モーツァルト第20番、スメタナ第1番)が、ドヴォルザークとヤナーチェクという“お国物”のせいか、熱気も完成度も本盤はそのさらに上を行く出来。彼らの絶頂期のライヴがいかに凄かったかを余すところなく捉えた録音と言ってよいだろう。どの曲も優劣つけ難いが、敢えて言うならばテルツェットのシンフォニックなスケール感は特筆しておきたい。弦楽器の室内楽愛好家にはよく知られていながらも、そもそも音盤の種類が少ない作品であるが、この録音一つあれば十分だろう。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Oistrakh,D.F. 演奏家_SmetanaQuartet

ミーニン合唱団のスヴィリードフ&ラフマニノフなど

  • リームスキイ=コールサコフ(カバニーヒン編):歌劇「雪娘」より「道化師の踊り」、グラズノーフ(チェルノフ編):バレエ「ライモーンダ」より間奏曲(第1幕)、ブラームス(チェルノフ編):ハンガリー舞曲第7番、ショスタコーヴィチ(チーホノフ編):バレエ「ボルト」より「ワルツ=スケルツォ」、ドヴォルザーク(チェルノフ編):スラヴ舞曲第10番、ファルカシュ(チェルノフ編):バレエ組曲「小賢しい学生たち」より「チャールダーシュ」、コニャーエフ:演奏会用小品、ゴロドフスカヤ:ロンド、クリコフ:即興曲、リヴォーフ=カンパニエーツ:会話、トゥリコフ:奇想曲 チーホノフ (balalaika) ヤーコヴレフ (domura) ドゥブローフスキイ/オーシポフ記念国立ロシア民族楽器O (Melodiya 33 CM 02849-50 [LP])
  • スクリャービン:5つの前奏曲 Op.15、4つの前奏曲 Op.22、ピアノ・ソナタ第5番、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより第3、5番、プロコーフィエフ:4つの小品 Op.32、4つの練習曲 Op.2より第3曲 アレクセーエフ (Pf) (Melodiya 33 C 10-11159-60 [LP])
  • スヴィリードフ:室内オーケストラのための音楽、ペイコー:挽歌形式の詩「ミャスコーフスキイの思い出に」、ドビュッシー:神聖な踊りと世俗の踊り スミルノーヴァ (Hp) アガルコフ/グネーシン記念音楽教育大学CO (Melodiya C10 20931 005 [LP])
  • スヴィリードフ:カンタータ「夜の雲」、ラフマニノフ:「聖金口イオアン聖体礼儀」より ミーニン/モスクワ室内cho (Melodiya C10-15907-08 [LP])
最近、めっきり利用することがなくなったArs Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.だが、気まぐれに4枚ほどオーダー。

まずは、オーシポフ民族楽器オーケストラのアルバム。ショスタコーヴィチの小品が収録されている未架蔵の音盤である。A面はクラシックの名曲の編曲、B面はマンドリン・オーケストラなどで取り上げられることの多い作曲家の作品、という構成。選曲も編曲もこの編成によく合った秀逸なもの。B面の作品群はバラライカやドムラのためのオリジナル作品なのか、元来はマンドリンなどの他の楽器のための物なのかは判然としないが、少なくとも違和感は全くない。

演奏は鮮やかで愉しく、ロシア情緒に満ちた響きを堪能するに十分な仕上がり。ショスタコーヴィチ作品は、まるでバラライカのために書かれたのではないかと錯覚するほど、楽器の音色と楽曲の雰囲気とが一致している。編曲者でもあるチーホノフの独奏も、バラライカの魅力を存分に伝える見事なもの。


アレクセーエフによる20世紀前半のロシア・ピアノ音楽集は、微妙に渋い選曲が素敵。和声の変化が織りなす多彩な色合いの表現が秀逸で、特にスクリャービンの前奏曲集は素晴らしく印象的な演奏。一方で第5ソナタのような大曲になると、楽曲の大局的な構成力に不足するのか、全体に散漫な印象が否めない。ショスタコーヴィチの2曲は比較的地味な印象の楽曲ながらも、アレクセーエフの多彩な音色が耳を惹くが、フーガの造形に物足りなさが残る。


グネーシン記念音楽教育大学の学生オーケストラのアルバムは、非常に意欲的な選曲である。いずれも前衛音楽ではないのだが、演奏効果が派手でない割にアンサンブルの精度が求められる作品ばかりで、(プロ音楽家の卵とはいえ)学生オケの水準をはるかに超えた聴き応えのある演奏に感心する。


ミーニン合唱団による、スヴィリードフとラフマニノフのややマイナーな合唱曲を収録したアルバムは、ロシア風の野性味と洗練とのバランスが素晴らしく、ロシアの合唱の神髄とまで言ってしまいたくなるような内容。スヴィリードフの「夜の雲」は、以前にラストヴォローヴァ/モスクワ新合唱団の音盤を紹介したことがあったが(2010年3月22日のエントリー)、アンサンブルの緻密さ、響きの豊かさ、表現の彫りの深さなど、あらゆる点で本盤の方が上である。ラフマニノフの「聖金口イオアン聖体礼儀」は全20曲中7曲の抜粋だが、こちらは更なる名演。ただひたすらに美しい。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Sviridov,G.V.

「スペイン交響曲」聴き比べ

  • モーツァルト:協奏交響曲、二重奏曲第2番 スーク (Vn) シュカンパ (Va) レーデル/チェコPO (Supraphon CO-3196)
  • ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、ラロ:スペイン交響曲 フランチェスカッティ (Vn) バーンスタイン、ミトロプーロス/ニューヨークPO (Sony CSCR 8454)
  • ラロ:スペイン交響曲、フランク:ヴァイオリン・ソナタ、ドビュッシー(ハルトマン編):前奏曲集第1巻より「亜麻色の髪の乙女」「ミンストレル」、シューマン(アウアー編):「森の情景」より「予言の鳥」、ショスタコーヴィチ(グリュンズ編):バレエ「黄金時代」より「ポルカ」、J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番より前奏曲、ヴィエニャフスキ(クライスラー編):エチュード・カプリース第4番、タルティーニ(フランチェスカッティ編):コレッリの主題による変奏曲 フランチェスカッティ (Vn) R. カサドゥシュ、ランナー (Pf) クリュイタンス/コロンビアSO (Pearl GEMM CD 9250)
  • ラロ:スペイン交響曲、サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番、序奏とロンド・カプリチオーソ グリュミオー (Vn) ロザンタール/ラムルーO (Philips 17CD-64)
  • ラロ:スペイン交響曲、ショーソン:詩曲、ラヴェル:ツィガーヌ レーピン (Vn) ナガノ/ロンドンSO (Erato WPCS-22171)
仕事帰りに立ち寄った美容院の予約時間までの時間潰しに、ディスクユニオン 大阪クラシック館へ。今回は、いつもの室内楽の棚にピンと来る音盤が見当たらず、時間もあまりなかったので隣りの協奏曲の棚を物色。

モーツァルトの協奏交響曲(VnとVaのための)は、自分にとっての決定盤が未だに定まらない曲の一つだが、ブレイニンとシドロフ(アマデウスQ)、スークとカクシュカ(アルバン・ベルクQ)といった弦楽四重奏団のVa奏者が参加した録音を好んで聴くことが多いのは確か。気心の知れたアンサンブル仲間と言ってよいだろうスメタナQのシュカンパと組んだスークの旧盤も、この系列。癖の強いシュカンパの音が、この上なく美事にスークと同化している。現代の耳にはロマンティックに過ぎるオーケストラも、それでいて上品であり、全体にバランスの良い美演である。このコンビの美質が余すところなく発揮された二重奏曲は、さらに素晴らしい秀演。


ここのところ、息子が来年の発表会で弾く曲を考えているのだが、候補の一つがラロのスペイン交響曲。ところがこの曲、カップリングですら音盤を買った記憶がない。実家に有名協奏曲を収録した4枚組程度のLPボックス(メニューインが弾いたメンデルスゾーン、シフラが弾いたリストの第1番などが収録されていたように思う)があり、そこに収録されていた演奏が私の記憶の全て。ということで、1枚くらい持っていてもよいだろうと思い、世評の高いフランチェスカッティ盤を確保した次第。

ブラームスもラロもオーケストラのお仕事感しかないぞんざいな伴奏には不満が残るが、異様にギラついた、ポマードの匂いが漂ってきそうな輝かしいヴァイオリンの音色の魅力の前には些細な問題。細かな音程の甘さはあるのだが、この作品に聴き手が求める華麗さを具現化した理想的な演奏と言っても過言ではないだろう。ブラームスも悪くはないが、ミトロプーロス/ウィーンPOとの1958年のライヴ盤(Orfeo)の方がより瑞々しくて私の好み。


さて、上述したように、スペイン交響曲の音盤を所有している記憶は全くなかったのだが、実は1枚だけ架蔵していたことが判明。それもフランチェスカッティの独奏(伴奏指揮はクリュイタンス)というおまけ付き。収録曲を見ると明らかにショスタコーヴィチの小品目当てに入手した音盤ではあるが、よりによってメインの収録曲を忘れているとは……

先のミトロプーロス盤の12年前となる1945年の録音だが、技術的な精度はこのクリュイタンス盤の方が上。オーケストラの意欲もこちらの方が上なのだが、フランチェスカッティの美音を味わうには録音が古過ぎるのが残念。録音状態さえ気にしなければ、他の収録曲も含めて往年の演奏家ならではのテンションの高さを堪能できる聴き応えのある一枚である。


フランチェスカッティ盤と並ぶ定盤とされて久しい、グリュミオー盤。これは奥さんが実家に置いてあったもの。これもまた男らしくギラついた美音の魅力が卓越する。艶やかに底光りのする、こういう音色は、現代の演奏様式?奏法?では失われてしまったのかもしれない。


こうなると、現在活躍している奏者の演奏も聴きたくなり、他の買い物のついでにAmazonでレーピン盤を入手。レーピンの同曲は、2009年のN響定期での鮮烈な名演が印象深い(録画しなかったことが返す返すも悔やまれる)。本盤は1998年の録音なので、後年の変幻自在な境地にはまだ到達していないものの、既に完成し、磨き上げられた技術の凄まじさは筆舌に尽くし難い。往年の巨匠達の演奏が児戯に思えるほどの精度の高さだけでも十分に圧倒されるが、レーピンの魅力はまさに王道としか形容のできない風格のある音楽の佇まいにある。隅々まで響き渡るヴァイオリンは、現代の理想形と言ってもよいのではないだろうか。詩曲とツィガーヌも同様の名演。



レーピン (Vn) 準・メルクル/NHK交響楽団
第1651回定期公演(2009年6月18日)

theme : クラシック
genre : 音楽

弦楽四重奏三昧(往年の団体ばかりですが)

  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7、8番、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヴァレンティン・ベルリーンスキイQ (Avie AV2253)
  • マルティヌー:ピアノ五重奏曲第2番、3つのマドリガル スメタナQ パーレニーチェク (Pf) (Supraphon COCO-78620)
  • モーツァルト:フルート四重奏曲第1~4番、オーボエ四重奏曲、ホルン五重奏曲、クラリネット五重奏曲 アマデウスQ ブラウ (Fl) コッホ (Ob) ザイフェルト (Hr) ドゥ・ペイエ (Cl) (DG 437 137-2)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集 ウィーン・ムジークフェラインQ (Tower Records DB1031~1038)
  • ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲全集 ヴェーグQ (Tower Records TGR-1004~6)
待ち合わせまでの時間潰しに、ディスクユニオン 大阪クラシック館へ。閉店10分前の駆け込みだったが、室内楽の棚に集中したせいか、思いの外収穫あり。

まずはショスタコーヴィチ。ボロディーンQの創設メンバーであったベルリーンスキイの名を冠した若手四重奏団によるショスタコーヴィチとベートーヴェンとのカップリング。ボロディーンQの十八番だった第8番と第7番と、チェロが活躍するラズモフスキーの第1番という選曲は、この団体名に相応しい。近年の若手団体らしく、個々の技量とアンサンブルの精度は非常に高く、弱奏部に傾倒した音作りがなされている。ショスタコーヴィチでは非常にオーソドックスな解釈がとられており、力感も十分にある水準の高い演奏である。一方のベートーヴェンでは、アーティキュレイションに細かな工夫がなされていて、いかにも現代風の演奏様式である。強奏部で線の細いざらついた音がするのは、少し惜しい。


学生時代、京都の四条寺町の電気屋で見かけたものの、手持ちの予算の関係で見送って以来、ついぞ出会うことのなかった、スメタナQによるマルティヌーを発見。圧倒されるほどのハイテンションで濃厚なロマンが奏でられるピアノ五重奏曲も素晴らしいが、何といっても「3つのマドリガル」が聴き物である。どこかささくれ立ったリズムと響きの中から郷愁に満ちた旋律が朧げに浮き上がる様を、甘美なノヴァークのヴァイオリンと武骨なシュカンパのヴィオラとの二重奏が見事に描き出している。


アマデウスQと(当時の)ベルリン・フィルの首席奏者らとの共演によるモーツァルトの管楽器と弦楽器のための室内楽曲集は、アマデウスQよりも管楽器の妙技を味わうべき内容。フルート四重奏曲では、ブラウの清冽なフルートに対し、ブレイニンのヴァイオリンがどうにも収まりが悪い。オーボエ四重奏曲は、コッホの音色がとにかく素晴らしく、フルートとオーボエの音域の違いのせいか、全体の響きもよりまとまっている。ホルン五重奏曲もザイフェルトの輝かしくもまろやかな音色の前に、弦楽器は存在感が薄い。

しかしながら、クラリネット五重奏曲だけは全く別物のように、アマデウスQの魅力が存分に発揮されている。要するに、2nd Vnのニッセルの存在こそがブレイニンの強烈な個性を四重奏団の魅力に転化するための鍵ということなのだろう。クラリネットのドゥ・ペイエとは、この曲を実演でも取り上げていたようで(BBC Legendsにライヴ録音がある)、五重奏として十分に練り上げていたということもあるのかもしれない。


キュッヒル率いるウィーン・ムジークフェラインQのベートーヴェン全集は、ちょうど私がCD蒐集に本腰を入れ始めた頃の新譜であった。当時の国内盤フル・プライスは学生の財布には厳しく、結局1枚も購入することはなかった。アルバン・ベルクQをはじめ、東京Q、メロスQなど、1970年前後に結成した団体が絶頂期にあった頃の演奏様式で、とりわけ強弱の明晰な弾き分けにこの団体の個性が窺える。中でも初期の6曲においてこの解釈が成功しており、きびきびとした造形が非常に立派である。さすがに後期の一部では技術的に舌足らずな箇所もないわけではないが、推進力のある理知的な音楽作りは全集を通して一貫している。


今回の最大の収穫は、ヴェーグQによるベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集。今でこそこの全集を廉価で入手するのは容易だが、「タワーレコード オリジナル企画」としてバルトークの弦楽四重奏曲全曲と同時に初CD化された時は、初期・中期・後期の分売で、それぞれ、そこそこの値段がしていた。2018年1月2日のエントリーで取り上げたバルトークと同様に後期のセットだけ買い漏らしていたのを、ようやく見つけた。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を2~3セット買えそうな値付けではあったが、この機会を逃すわけにはいかない。しばらく緊縮財政を強いられるが、仕方ない。

演奏様式自体はかなり古風なもので、おそらくは使用楽譜の誤植によるのであろう音の間違いも少なくないが、おっとりとした余裕を漂わせつつも、繊細な表情の変化に卓越したアンサンブルの技が発揮されている。外見的にはそれほどの多彩さは感じられないのだが、各曲の各楽章の個性が見事に描き分けられた、弦楽四重奏の極意とでも形容したくなるような内容である。


theme : クラシック
genre : 音楽

Toccata Classicsレーベル3題

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、映画音楽「偉大な川の歌」よりワルツ、バレエ組曲第2番よりポルカ、映画音楽「コルジーンキナの出来事」より「追跡」、2台のピアノのための組曲、タランテラ、陽気な行進曲、コンチェルティーノ ヤンノウラ & フィケルト (Pf) (Toccata TOCC 0034)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番、交響曲第15番 キム・ミンキョン & ムン・ヒュンジン (Pf) (Toccata TOCC 0292)
  • ヴァーインベルグ:「子供の歌」、「過ぎ去りし日々」、「私が歌えばこの子は眠る」 カルギーナ (S) ニコラーエヴァ (MS) コロステリョフ (Pf) (Toccata TOCC 0078)
  • アリアCDにて、Toccata Classicsレーベルの3点を購入。

    ショスタコーヴィチの2台ピアノ(連弾含む)作品は、CD1枚に収まる量しかないこともあって、これまでにも「全集」が複数リリースされている。Toccata Classicsレーベルの「全集」はそれらに加えて、交響曲などのショスタコーヴィチ自身による2台ピアノ用編曲(DSCH社の作品全集に基づく)も録音するという試みである。

    第1集は、いわゆる2台ピアノ用作品の全てに加えて、交響曲第9番の連弾版が収録されている。“中庸”という形容がいかにも相応しい端正で上品な演奏で、舞台作品からの抜粋や作品番号のない小品については、美しく整えられた響きの中に漂う愉しげな情緒が心地よい。とりわけ、組曲の第3曲はじっくりと聴かせる見事な仕上がりである。しかしながら、ともすれば安全運転にしか聴こえないゆったりとしたテンポと、どこまでも中庸なダイナミクスは、交響曲やコンチェルティーノ、組曲の第4曲などでは大きな短所となっている。


    第2集は、この「全集」の意図をよりはっきりと示した収録曲となっている。ピアノ協奏曲第2番は、“伴奏”パートのシンフォニックな弾きっぷりが気持ちよく、時に“独奏”をかき消さんばかりの勢いが素晴らしい。オーケストラとピアノの場合は音色の違いによってそれぞれを区別できるのに対し、ピアノ2台では完全に混然一体となってしまうのだが、それゆえの迫力がこの演奏にはある。両端楽章のコーダのようなところで、特に独奏パートがもたつくことと、第2楽章の憂愁の情感が希薄であっけらかんと単調な音楽となっていることは惜しいが、単なる資料以上の音楽的内容を持つ演奏である。

    一方、交響曲第15番は冴えない。ピアノ曲としてではなく、管弦楽を念頭に置いた音作りをしているのだろうが、結果として個々の音が分離しているような、隙間だらけの響きに聴こえて仕方がない。第1楽章や第3楽章のような疾走感の欲しい箇所でもたつくのも気になる。やっつけ仕事ではない取組みであることはよくわかるだけに、何とも残念。


    Toccata Classicsレーベルでは、ヴァーインベルクの作品も体系的に録音しているようだが、今回はそれらの中から歌曲全集(第1集)を選択。いずれも初めて聴く曲ばかりだったが、ユダヤ風の音調で繰り広げられるテンションの高いヴァーインベルグ節を堪能した。初期の「子供の歌」の楽しさ、中期の「過ぎ去りし日々」の救いようのない暗さ、後期の「私が歌えばこの子は眠る」の解脱したような透明感、といったように、それぞれの違いと、背後からわりと色濃く聴こえてくるショスタコーヴィチの影響とを興味深く聴いた。ヴァーインベルグは多作家だけに迂闊に手は出せないが、これからさらに知っていきたい作曲家の一人である。

    theme : クラシック
    genre : 音楽

    tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Weinberg,M.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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