- ベルリンへの道 第二次世界大戦50周年思い出の名唱集 ウチョーソフ(唄) (Russian Disc RDCD-479)
- スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)「Я Другой Такой Страны Не Знаю」 (проект“Z” KIC-R 00010)
- スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)第2巻「Как Вернее Бить Врагов」 (проект“Z” PZS97-02(07))
- スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)第3巻「Вы Не Суйтесь,Самураи!」 (проект“Z” PZS99-02(12))
昨日は、研究室総出で実験棟周りの草刈り。打ち上げをして帰宅後、映画「太陽に灼かれて」(ミハルコフ監督)をようやく全部見た。感動…とは違うけれども、強烈な印象に打ちのめされた。美しい自然と穏やかな日常の描写。滑稽さすら感じさせる人々の中で、ミーチャとコトフ大佐の際立った異質さが不思議な不安感を駆り立てる。1936年のソ連という時代そのものとも言えるこの2人と、革命前の時間に生きているかのような周囲の人々。無垢なナージャの存在がたまらなく哀しい。全編を貫くタンゴ「疲れた太陽」が、この時代を意味深く象徴している。この映画を一度でも見てしまうと、ここで描かれた時代と独立してこの曲を聴くことはできない。それは、恐らく当時を生きたソ連の人々の感覚とそう違ってはいないのだろう。革命後の価値観を体現しているコトフ大佐が、ミーチャの登場で革命前の上流階級の価値観を持つ家族の中から浮いていくシーンは、スターリン気球の完成とともに訪れる破局を予感させて息苦しささえ感じさせる。そしてそのミーチャこそがこの時代の悪魔性そのものであることの、何という恐ろしさ。どこにでもあるような三角関係のラブストーリーが、ラブストーリーとしての結末を迎えられないことの不条理。しかもここで描かれたドラマは、奇妙なまでに穏やかな一日の出来事なのだ。何の前触れもなく登場人物皆が不幸になる物語なんて、確かにこの時代以外には考えられないし、考えたくもない。ミーチャとコトフ大佐の破局の後、無邪気に野原を駆けて行くナージャの後姿に、革命の英雄コトフ陸軍大佐一家のその後がテロップで流れる。銃殺、収容所で死亡、名誉回復…。しかし何より救いのない気分になるのは、ナージャが今もまだ生きているということ。ロシアは、まだこの時代の傷を引きずっているのだ。恐らく、決して癒されることなく。あまりに強い印象を受けてしまい、立て続けにもう1回見てしまった。マルーシャの存在が、まだ自分の中できちんと整理できない。また時間をおいて見直したい。
寝不足ということもあるが、映画の強烈な印象の中で今日は普通(?)の音楽を聴く気にはなれなかった。今日取り出した4枚は全て、戦前のスターリン時代の音楽を集めたもの。レオニード・ウチョーソフは、ソビエト・ジャズ音楽草創期の音楽家で国立ジャズオーケストラの設立者。そのものズバリのタイトルである「スターリン時代の歌曲集」全3巻は、オリジナル音源のオムニバス。歌詞がさっぱり分からないので、各曲について何かを語ることはできないが、いわゆるソ連大衆歌曲のスタイルの音楽からは、不思議なほど「太陽に灼かれて」の世界に通じる雰囲気が立ち上る。これは、先入観なのか?いや、恐らく、そうではない。
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