未聴LP(5月分)+追悼:坂井泉水さん(ZARD)

- サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より「ピアニスト」、J. S. バッハ:主よ人の望みの喜びよ、民謡の万華鏡(母のない子、かわいいアウグスティン、Chopsticks、フレール・ジャック)、ワルツの歴史(シューベルト:ワルツ ハ長調、ショパン:ワルツ 嬰ハ短調、ブラームス:ワルツ ホ長調、シュトラウシアーナ(J. シュトラウス2世メドレー)、ラヴェル:「マ・メール・ロワ」より「パゴダの女王レドロネット」、ビゼー:「子供の遊び」より「ラッパと太鼓」、「シャボン玉」、ストラヴィーンスキイ:3つのやさしい小品、サティ:ジムノペディー第2番、ショスタコーヴィチ:組曲「黄金時代」よりポルカ ホワイトモア、ロウ (Pf) (RCA CAL-1050 [LP])
- バラーキレフ:イスラメーイ、ドビュッシー:喜びの島、ブトリー:3つの小品、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより第24番 ブトリー (Pf) (MK D 4276-7 [10" mono])
- スヴィリードフ:クールスクの歌、ロシアの詩人の詩による5つの合唱曲 コンドラーシン/モスクワPO ユルロフ・ロシアCho他 (Melodiya CM 01021-01944 [LP])
- ブリテン:民謡編曲集(第1~6集より抜粋) ピアーズ(T) エリス(Hp) (Decca SXL 6793 [LP])
「More Major Classics for Minors」と題されたアルバムは、子供達がクラシック音楽に親しむきっかけとなるように企画されたもの。ラジオ番組のように、簡単な解説のナレーションが各曲の合間に入っている。全ての曲が完全な形で収められているわけではなく、編曲者の名前も表記されてはいないが、いずれも2台ピアノで演奏されている。この種のアルバムに対して純粋に芸術的な観点からのみで評価するのは筋違いというものだろう。企画の趣旨に相応しく、きれいな音楽が楽し気な雰囲気を漂わせて演奏されている。凝った選曲なのが、とても興味深い。
ブトリーという音楽家のことは寡聞にして知らなかったが、オーケストラ・アンサンブル金沢の最新アルバムでは自作の指揮もしているようで、近年はピアニストとしての活動からは遠ざかっているのかもしれない。1958年に録音されたこのピアノ小品集は、彼の若き日の思い出ということになるのだろうか。達者な技術で色彩感豊かな音楽が繰り広げられていて、録音状態を度外視すれば、なかなかの好演で楽しい。ショスタコーヴィチでは、崇高さというよりは人間的な色気を感じさせるところに、興味を惹かれる。ブトリー本人の作品も収録されているが、これは正直なところ、ピンと来なかった。
「クールスクの歌」は、スヴィリードフの代表作として名前をよく聞くが、実際に耳にしたことはなかった。コンドラーシン指揮ということでずいぶん期待したのだが、現時点では、まだ曲の魅力がよく掴めないでいる。随所にスヴィリードフらしい響きが聴こえてくるのだが、クールスクの民謡調の旋律線が肌に合わないのか、とにかく素直に入り込めない。それに比べて合唱曲の方は、ごく自然に心に沁みる。そう何種類も聴き比べできるような作品/作曲家ではないし、iPodにでも入れて、じっくりと時間をかけてチャレンジしてみよう。
今回入荷したものの中では、ブリテンの民謡編曲集が大当たり。ブリテン・ファンならお馴染みの名盤なのかもしれないし、CDでもリリースされているのかもしれないが、残念ながら僕はその辺りの情報を全く持ち合わせていない。ただとにかく、テノールとハープの響きに引き込まれてしまう。平易な旋律線を持った曲であることに加え、派手さや表面的な変化には乏しい編成なので、聴きながらウトウト…するかと思ったら、これがとんでもない。むしろ、妙に目が冴えて、聴覚が異様に研ぎ澄まされるような感じ。一体、ブリテンはどんな音世界に身を委ねていたのであろうか。
さて、最後に少し脱線。5月27日、ZARDの坂井泉水さんが不慮の事故でお亡くなりになった。大学4回生の時、研究室でいつも流れていたのがZARDの曲だった。芸術云々という次元の話ではなく、彼女の歌声は、楽しかったあの頃と不可分なだけに、ちょっとした感慨を抱いた次第。ヒット曲も多数あったが、僕が好きだったのは、栗林誠一郎が作曲した曲(たとえば、「ハイヒール脱ぎ捨てて」「もう探さない」「I still remember」「遠い星を数えて」などなど)。誤解を恐れずに言えば、要するに、ちょっと“ダサめ”の曲が好きだったんだなぁと思う。彼女自身も、格好つけて歌うと途端にダサくなるし。だから、2000年前後から作曲者を変えてみたり、趣向を変えてみたりし出した途端、僕はすっかり興味を失ってしまった。今でも、3枚目のアルバム「HOLD ME」が最高傑作だと思うし。軽やかに甘え成分を含みつつも、透明感のある彼女の声質は、今改めて聴いてみても、やっぱりいいなぁ。ライヴはどうだとか、歌唱力がどうだとか、そんな聴き方をするような音楽ではないような気がする。ひたすら好きだの嫌いだのといった歌詞(「切ない」って言葉が多いですねぇ)ばかりで、自分で口ずさむのはいくらなんでも憚られるが、ふとした時に埃を払いつつCDを取り出すのも悪くない。合掌。
ZARD '91~'01 PV Part I 「Good-bye My Loneliness」~「きっと忘れない」 | ZARD '91~'01 PV Part II 「きっと忘れない」~「Don't you see!」 |
ZARD '91~'01 PV Part III 「Don't you see!」~「promised you」 | 「異邦人」 TAK MATSUMOTO featuring ZARD |
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