テレビっ子な一週間

  • リームスキイ=コールサコフ(マルトィーノフ編):歌劇「ムラーダ」より「貴族たちの行列」、ムーソルグスキイ(ポージン編):交響詩「はげ山の一夜」、ショスタコーヴィチ(イヴァーノフ編):祝典序曲、ムーソルグスキイ(レプニコフ編):組曲「展覧会の絵」  レプニコフ/マリイーンスキイ歌劇場管弦楽団ブラス・アンサンブル (2007.11.2 録画 [NHK BS-hi(2009.6.16)])
  • ブルックナー:交響曲第7番  ウェルザー=メスト/クリーヴランドO (2008.9.25 録画 [NHK総合(2009.6.19)])
  • BS世界のドキュメンタリー BS20周年選 シリーズ ユーゴスラビアの崩壊 ([NHK BS-1 (2009.6.14~19)])
  • BS世界のドキュメンタリー BS20周年 シリーズ 1989からの出発 ルーマニア 民主国家への苦闘 ~流血革命より20年~ ([NHK BS-1 (2009.6.20)])
観たい番組が続いた一週間だった。まずは、以前、2008年11月21日に放送された際に録画し損なった演奏会の再放送である。

ゲールギエフが率いるマリイーンスキイ歌劇場管弦楽団の金管奏者達によるアンサンブル。放送されたのは4曲だったが、実際のプログラムは次のようなもの:
  1. リームスキイ=コールサコフ(マルトィーノフ編):歌劇「ムラーダ」より「貴族たちの行列」
  2. ムーソルグスキイ:歌劇「ホヴァーンシチナ」より「モスクワ川の夜明け」
  3. ムーソルグスキイ(ポージン編):交響詩「はげ山の一夜」
  4. ショスタコーヴィチ:映画音楽「馬あぶ」より「人民の祝日」
  5. オブロフ:金管五重奏のための組曲「おとぎ話のイメージ」より「バーバ・ヤガー」「アリョーヌシュカ」「サルタン王」
  6. ショスタコーヴィチ(イヴァーノフ編):祝典序曲
  7. ムーソルグスキイ(レプニコフ編):組曲「展覧会の絵」
  8. ムーソルグスキイ(レプニコフ編):組曲「展覧会の絵」より「卵の殻をつけた雛の踊り」【アンコール】
前半5曲は金管五重奏(2Tp、Hr、Tb、Tub)、後半2曲はブラス・アンサンブル(4Tp、2Hr、4Tb、Tub、2Perc)による演奏。

確かに吹き損じも少なからずあるのだが、このプログラムを考えるならば、まず、そのスタミナに驚嘆せざるを得ない。面白かったのは、アンサンブルが意外に緩かったこと。それでいて、乱れたり不統一を感じさせたりはしない。音色にロシア臭はあまりないのだが、こういうアンサンブルの作り方がロシア風なのかもしれない。

宝塚市交響楽団の第45回定期演奏会(6月21日)で演奏するブルックナーの第7番が、タイミングよくNHKの芸術劇場で放送された。まずは、オーケストラの機能性の際立った高さに感服。全てに余裕がありつつも、全ての奏者に主体的に音楽を作り出そうとする姿勢が見てとれ、オーケストラの理想的な姿と言ってよいだろう。アメリカのオーケストラらしく、金管楽器の威力も十分だったが、ヨーロッパの有声音のような発音に比べて、無声音風なアメリカの金管は、僕の好みではない。もちろん、これはその巧さを否定するものではないが。問題(?)は、ウェルザー=メストの指揮。早めのテンポは別に悪くないのだが、おそらくは流麗な音楽の流れを意図しているにも関わらず、音楽は上滑りしているだけ。奏者は一生懸命歌おうとしているし、指揮者もこの長大な作品をしっかりと見通した設計をしているのだが、楽曲のどこも心に引っかからないままに終わってしまうような印象しか残らない。宇野巧芳先生のようにブルックナーを語るつもりはないが、僕はこういうブルックナーを好まない。

今週…というより、近年最も夢中になって観たのが、「ユーゴスラビアの崩壊」というドキュメンタリー。「私たちは20世紀に生まれた」というブログ(6月15日の記事)でたまたまこの番組を知り、第2回目からの視聴となった。各回のタイトルは以下の通り:
  • 第1回:民族主義の台頭
  • 第2回:戦争への道
  • 第3回:独立戦争
  • 第4回:地獄の門
  • 第5回:安全地帯
  • 第6回:アメリカによる和平
旧ユーゴスラビアの人々が直面したとてつもない悲劇は、知識としては知っていたし、当時のニュース等も興味を持って見ていたような記憶はある。だが、こうやって一つの流れとしてまとめてみると、呑気に面白がって感想を述べることが憚られるほどの悲惨さに言葉もない。素晴らしいドキュメンタリーだった。第1回目を見逃したのが口惜しい。再放送しないかなぁ。ちなみに、ユーゴスラビアに関心のある方には、坂口尚の「石の花」もお薦めしておきたい。




続いてルーマニアのドキュメンタリーも録画したが、こちらは演奏会が終わってから観よう。さて、これから宝塚市交響楽団の本番。いってきます。
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ブルックナー:交響曲第7番


  • ブルックナー:交響曲第7番(ハース版) カラヤン/ウィーンPO (DG 429 226-21)
  • ブルックナー:交響曲第7番(改訂版) シューリヒト/ハーグPO (Denon COCO-6591)
  • ブルックナー:交響曲第7番(改訂版) シューリヒト/ベルリンPO (KEN Records M-1037 [LP])
  • ブルックナー:交響曲第7番(ハース版) 朝比奈隆/大阪PO (Victor KVX-5501-2 [LP])
宝塚市交響楽団の第45回定期演奏会(2009年6月21日、いたみホール)で、ブルックナーの交響曲第7番(ノーヴァク版)を弾かせてもらうことになった。正直なところ、ブルックナーの音楽は嫌いではないのだが、かといって特別好きなわけでもない。第3番以降は各曲1枚以上の音盤を持っているものの、第9番をたまに聴くくらいで、他の作品を引っ張り出すことはまず滅多にない。第7番には好印象があったが、それでも架蔵している音盤はLPとCDそれぞれ2種類の計4枚のみ。

せっかくの機会なので、とりあえずCDを聴きながら、版の問題も含めて勉強してみるかと、張り切って初版(改訂版)のスコアと音楽之友社のスコア(ノーヴァク版)とを見比べてみる。……が、第7番は、ブルックナーの交響曲としては例外的に版の問題がほとんどない作品らしい。特にノーヴァク版と改訂版には、一聴して明らかな違いはごくわずかしかないことを知り、ちょっと肩透かし。だから、ハース版のスコアまで入手するのは見送った。

ともかく、きちんと聴き込むにつれ、実に素晴らしい作品だと今更ながらに思った次第。白眉が第2楽章であることは明らかだが、とってつけたような軽さに何となく違和感を感じていた終楽章にも、自分の中で納得がいくようになった。

持っている音盤を聴き直してみたが、カラヤン最後の録音となった一枚が群を抜いて素晴らしい。荘厳でありながらも華麗な響きと、極限まで澄みきった抒情の美しさが比類ない。宇野巧芳氏の解説が楽しいシューリヒト/ハーグPO盤は、確かに枯淡の味わいや第3楽章の引き締まったテンポと音楽の流れは傑出しているが、オーケストラの性能に物足りなさが残る。この25年近く前に録音されたシューリヒト/ベルリンPO盤の方が、清澄で余裕のある明るさという点でより魅力的に感じられる。朝比奈/大阪POによる聖フロリアン修道院マルモア・ザールでのライヴ盤(1975年)は、言わずとしれた名盤、とされているもの。大学の先輩が下宿を引き払う際に譲ってもらったLPで、各楽章がLPの各面に収録されている。第2楽章は、全てが本当に素晴らしい。続く第3楽章も集中力の高い立派な演奏。ただ、第1楽章は会場の響きや雰囲気に対する戸惑いもあったのだろうが、生硬さが気になるし、第4楽章はスケールが大き過ぎて何が何だか訳がわからない感じ。何より、オーケストラの非力さ、特に音程の悪さがどうしても気になってしまう。この演奏の記念碑的な意義や内容の素晴らしさを認めることにやぶさかではないが、唯一無二の名盤とまで言ってしまうのは、贔屓の引き倒しのように思える。

ついでにYouTubeも検索してみると、ヨッフム最後の来日公演の映像があった。この演奏はAltusレーベルでCD化(ALT-015/6)されているが、僕は未聴。これがまた、とても、とても素晴らしい。細部まで目を光らせつつも音楽は淀みなく雄大に流れ、安っぽい感傷に溺れることのない剛毅な抒情が崇高ですらある。最晩年の老人にしか見えない身体から繰り出される、異様なまでに若々しくエネルギッシュな棒の力は、奏者だけではなく、観る者までも引き込んでしまう圧倒的なもの。CDではなく映像ソフトで持っていたい……と思って調べてみたら、同じくAltusレーベルで既にDVD化(ALTDVD-008)もされていた。買わねば。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第1楽章(3)第2楽章(1)
第2楽章(2)第2楽章(3)
第3楽章(1)第3楽章(2)
第4楽章(1)第4楽章(2)
ブルックナー:交響曲第7番
ヨッフム/ロイヤル・コンセルトヘボウO(1986年9月17日 東京文化会館)

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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