ヘンツェ:鉄条網の向こうのオルフェウス、ハチャトゥリャーン:コンチェルト・ラプソディー集 他

  • バルトーク:ヴィオラ協奏曲、オネゲル:ヴィオラ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ D. ビンダー、M. シューマン (Va) チャプスキ (Pf) ケーゲル/ライプツィヒ放送SO (edel 01592CCC)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番、2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品(アトヴミャーン編)、ピアノ五重奏曲 ラクリン、ヤンセン (Vn) バシメート (Va) マイスキー (Vc) ゴラン (Pf) (Onyx ONYX 4026)
  • ヘンツェ:鉄条網の向こうのオルフェウス、ショスタコーヴィチ:革命詩人による10の詩 エリクソン/エリック・エリクソン室内cho (Caprice CAP 21773)
  • ハチャトゥリャーン:ピアノのためのコンチェルト・ラプソディー、ヴァイオリンのためのコンチェルト・ラプソディー、チェロのためのコンチェルト・ラプソディー、アルメニア・ソヴィエト社会主義共和国国歌 N. ペトローフ (Pf) L. コーガン (Vn) ロストロポーヴィチ (Vc) ハチャトゥリャーン/モスクワ放送SO、コンドラーシン/モスクワPO、チェキジヤン/アルメニア放送SO、アルメニア国立アカデミーcho (Venezia CDVE04324)
久し振りに、HMV ONLINEでまとめ買い。一気に聴き通すほどの余裕はないので、適当に取り出しながら、ぼちぼちと聴き進めていく。

まずは、ダブり買いしたものから。HMV ONLINEの商品ページには演奏者の名前などが記されていなかったため、Berlin Classics系列だし、オネゲルとショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタという組み合わせだし……と思いつつも、廉価だし買ってみるか、と注文したら、ブリテンのラクリメがバルトークのヴィオラ協奏曲に入れ替わった(演奏者は異なる)ものだった。バルトークも別の組み合わせで所有済みなので、完全に空振り。もっとも、バルトークは怖いくらいに澄み切った秀演なので、この機会に改めて聴けたことは収穫と言えなくもない。ただし、肝心のショスタコーヴィチは冴えない演奏。

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第一線で活躍している若手奏者とベテラン奏者がウィーンで一堂に会した豪華な演奏会の記録は、まさにその出演者全員が僕の好みでないという理由で、長らく聴きそびれていたもの。ここに収録されている曲の内、ピアノ三重奏曲第1番は2009年7月3日の記事で、5つの小品は2009年5月11日の記事で紹介したこともあるように、各人ともに自家薬籠中のレパートリーとしていることは確かだろう。ただ僕個人にとっては、このアルバム全体を貫くぬっとりとした濃い口の歌い回しが、どうしても生理的に受け入れられない。若々しく、時に荒っぽい情熱の迸りが素直に表出されているピアノ三重奏曲第1番は、緩徐部分でのこれ見よがしな歌に品のなさを感じるとはいえ、余裕を持って見事にまとめられているところに貫禄を感じる。一方で、名手ならではの巧さを認めつつも、どうにも気に入らないのが、5つの小品の演奏である。良く言えば情感たっぷりということになるのだろうが、安キャバレーのホステスの化粧みたいに過剰で下品な表情付けは、ショスタコーヴィチの音楽とは縁も所縁もないもの。メインのピアノ五重奏曲では、ヴァイオリンとピアノの若手グループの表現力が足らず、色々やっているわりに訴えかけるものがない。小手先の技にやや走りがちなラクリンを脇から引き締めているバシメートとマイスキーには風格を感じるものの、演奏全体に風格が漂っていないのは残念だ。

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没後30年~生誕100年を機にショスタコーヴィチ作品の録音点数は一気に増えたが、合唱曲は依然として不遇のままだ。その数少ない新録音が、このエリック・エリクソン率いる合唱団(旧スウェーデン放送合唱団)による「10の詩」である。極めて洗練された、美しい演奏と言えるだろう。ここには、時に和声が不明瞭になるほどのロシア風のアクは皆無である。澄み切った響きには温もりがあり、歌詞の陰惨さが削ぎ落とされているようにすら感じる。純粋に合唱を楽しむだけであれば非常に上質の演奏であることに疑う余地はないが、この作品に“革命”“体制”“ジダーノフ批判”のような要素を聴きたい向きには、物足りなさが残るかもしれない。併録のヘンツェ作品は、ギリシャ神話の「オルフェウスとオイリディーケ」を現代の話に翻案したもの。これが大変美しい音楽で、正直なところ、ショスタコーヴィチそっちのけで夢中になってしまった。作品の内容はブックレットに紹介されているものの、作曲や初演にまつわるデータがないので理由は分からないが、ショスタコーヴィチは2005年の録音であるのに対して、ヘンツェは1986年の録音である。

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今回の注文で、唯一ショスタコーヴィチの作品が収録されていないのが、ハチャトゥリャーンのコンチェルト・ラプソディ集。ヴァイオリンとチェロの作品は既に知っていたのだが、ピアノの作品を一度聴いてみたくて注文した次第。期待に違わず、猛烈なテンションで音を輝かしく撒き散らすかのような音楽に満足。晩年の作品を、最晩年の作曲家自身が指揮した演奏なのだが、この溢れんばかりのバイタリティには、ほとほと感服する。ヴァイオリンの作品はL. コーガンの有名な録音で、僕が持っているのはこれで3枚目となる。コーガンの鮮烈さは、この作品が持つ独特な世界の可能性を全て汲み尽しているかのように感じられる。ロストロポーヴィチによるチェロの作品の演奏も同様。ロストロポーヴィチはこの作品をいくつか残しているが、これはハチャトゥリャーン自身の指揮によるもの。2005年2月2日の記事で紹介したDVD(VAI 4298)に収録されている映像と同一の演奏なのかどうかは確認していないのでわからないが、演奏から受ける圧倒的な印象に違いはない。

このアルバムについて、一点だけ注記しておきたいことがある。ディスクのインレイにも、そして様々な通販サイト等における商品紹介にも、収録曲がコンチェルト・ラプソディの3曲だけと記されているのだが、実はアルバムの最後にハチャトゥリャーンが作曲した「アルメニア共和国国歌」が収録されている(ブックレットには、演奏者名も含めて記載されている)。これがなかなか魅力的な作品なので、4分弱の短い曲とはいえ、全くクレジットされていないのは残念に思う。店が商品の全てを細かくチェックできないのは仕方ないとしても、この件に触れたブログ等がすぐには見当たらないことからすると、このアルバム、あまり聴かれていないのだろうか?

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Khachaturian,A.I. 作曲家_Henze,H.W.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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