ロシア正教会の音楽/ボルトニャーンスキイ:「鷹」/パシケーヴィチ:「守銭奴」

  • ロシア正教会の音楽 Vol. 5 ゲッダ (T) フォートナット/ロンドン・ロシア正教会聖歌隊 (Ikon IKOS 6 [LP])
  • ロシア正教会の音楽 Vol. 8 ゲッダ (T) フォートナット/ロンドン・ロシア正教会聖歌隊 (Ikon IKOS 10 [LP])
  • ボルトニャーンスキイ:歌劇「鷹」、パシケーヴィチ:歌劇「守銭奴」 A. レーヴィン、アグロンスキイ/モスクワ室内音楽劇場 (Le Chant du Monde LDX 78018 [LP])
言いたくはないが、それにしても暑い。暑さ故の無気力のせいか、別に多忙でも何でもないのだが、何も進まない割に妙に気ぜわしさだけは感じる毎日である。せめて心を鎮めて穏やかに過ごしたいところだが、うってつけの音盤が未聴のままであった。ということで、8月8日の記事の続き。

正教会の聖歌について、文献やウェブを通して若干の知識を得ることができたものの、やはり音楽は実際に聴いてみなければ始まらない。ともかく手当たり次第に聴いてみようと、Ikonレーベルのシリーズ物からカタログに載っていた2枚をオーダーしてみた。ボルトニャーンスキイの他にも、リームスキイ=コールサコフ、グレチャニーノフなどの見慣れた名前があるが、彼らが新規に作曲したものはほとんどなく、古いズナーメンヌイ聖歌などを彼らが和声化したものが中心である。したがって、聖歌の様式がニコラーイ1世によって西ヨーロッパ風にゆがめられた時期の歌ではないかと推測するが、確かなことを知るには、今しばらくの勉強が必要である。いわゆるロシアの合唱とは異なる薄味の歌唱であるが、清澄な響きはいかにも教会音楽らしい雰囲気を湛えており、ひんやりとした聖堂の空気が灼熱の部屋に流れ込んでくるような気持ちになる。ゲッダは、貫禄の歌声。



18世紀後半のロシア歌劇にも本腰を入れて取り組みたいと思い、カタログで目に付いたものをいくつかオーダーしたところ、今回入手できたのはボルトニャーンスキイとパシケーヴィチの2曲を収録した4枚組のセットのみだった。箱はLe Chant du Mondeレーベルのものだが、音盤自体はMelodiyaレーベルのものがそのまま入っている。ライナー等であら筋程度は分かるだろうと期待していたが、フランス語の台本が添付されているのみ。フランス語はかじったことすらないので、完全にお手上げ。もっとも、両曲ともにたわいもない喜劇のようで、台本の詳細が分からないながらも、雰囲気だけは十分に伝わってくる。

学術的な意味でどの程度原典に準拠したプロダクションなのかは分からないが、ウィーン古典派以前の宮廷歌劇の亜流のような楽曲の佇まいはよく分かる。こぎれいなボルトニャーンスキイと快活な表現力に満ちたパシケーヴィチ、どちらも“ロシア音楽”成立以前のロシア音楽が持っていた一定の水準を、魅力的に聴かせてくれる。

モスクワ室内音楽劇場の演奏は、ピリオド奏法ではないながらも、当時の舞台を彷彿とさせるような典雅で愉悦感に満ちたもの。史料的な価値と同時に音楽的な価値も持ち合わせた、見事な音盤と評して構わないだろう。なお、ボルトニャーンスキイの作品は元来フランス語の台本であるが、本盤ではロシア語で歌われている。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Bortniansky,D.S. 作曲家_Pashkevich,V.A. その他_正教会

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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