ガヴリーリン:ロシアの手帳・シャポーリン:ロシア国土防衛戦の物語 他


  • ガヴリーリン:ロシアの手帳、シチェドリーン:ソルフェージュ ドルハーノヴァ (MS) スヴェトラーノヴァ (Pf) (Melodiya D 021821-021822 [LP])
  • ダルゴムィーシスキイ:「美しいおとめに私はほれこんだ」「虫けら」「私は嘆く」「老いた下士官」、チャイコーフスキイ:「ただ一言でよかったのに」「ドン=ジュアンのセレナード」「騒がしい舞踏会のなかで」「夜鳴うぐいす」、ラフマニノフ:「夢」「美しい人よ、私のために歌わないで」「ここはすばらしい場所」「私はすべてを奪われた」、スヴィリードフ:「流刑者」「As rosy as an apple」「ロシアの歌」「For the young」 ネステレーンコ (B) シェーンデロヴィチ (Pf) (Melodiya 33CM 03243-4 [LP])
  • フォス:フォリオン、デニーソフ:クレシェンドとディミヌエンド、シュラー:トリプラム バーンスタイン/ニューヨークPO (Columbia MS 7052 [LP])
  • シャポーリン:ロシア国土防衛戦の物語 アヴデーエヴァ (MS) イヴァノーフスキイ (T) I. ペトローフ (B) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO、国立アカデミー・ロシアcho (Melodiya C 01421-24 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの8月到着分。ここのところ目ぼしい商品がリストに挙がらなかったり、せっかくオーダーしても先に押さえられていたりで、しばらくご無沙汰だったのだが、今回はうまいこと欲しい音盤を手に入れることができた。

まずは、ガヴリーリンの「ロシアの手帳」の全曲。ゴロホフスカヤのLPで2曲だけは聴いたことがあり、是非とも全曲を通して聴きたいと思っていたもの。『ロシア音楽事典』によると、ロシア北部の農民少女の悲恋を歌った作品のようだが、とにかく、とても美しい。現代風の響きや表現も時折聴かれるが、どちらかと言えば民俗的な音調が前面に出ているという点でスヴィリードフに通ずるものを感じる。1972年にショスタコーヴィチがティーシチェンコらと並んでガヴリーリンを評した文章の中で、この作品に言及しているのも当然だと思える、個性的で魅力的な作品である。併録のシチェドリーン作品も面白い。作曲の動機など詳しいことは分からないが、洒落の効いた佇まいの中に、はっとするような美しい響きがちりばめられているのが、いかにもシチェドリーンらしい。ドルハーノヴァの歌唱は安定した立派なもの。

ネステレーンコのアルバムは、ライナーの経歴紹介が1971年のチャイコーフスキイ・コンクール優勝時までになっていることから、録音年等は明記されていないものの、その頃の録音だと推察される。ロシアの作曲家の歌曲から、抒情的な旋律が美しい作品を中心に、時折皮肉っぽい雰囲気の作品を織り交ぜた、ネステレーンコの魅力を詰め込んだようなアルバムとなっている。ショスタコーヴィチ作品の初演をはじめ、既に十二分なキャリアを積んでいたであろうネステレーンコの歌唱には、わずかの不安や瑕もない。艶と張りを兼ね備えた声も美しく、まさに珠玉の一枚といえるだろう。

「Bernstein conducts music of our time Vol. 2」というアルバムは、同時代的な共感に満ちた熱い音の奔流が面白い。フォスの“Phorion”とは、ギリシア語で“借用”という意味らしいが、その名の通り、J. S. バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番からの引用(?)で展開される作品である。電子楽器も当たり前のように駆使したその響きには、フリー・ジャズ風の混沌とした雰囲気が漂う。デニーソフ作品は、12人の弦楽器とチェンバロという、当時のソ連の若手作曲家達が好みそうな楽器編成で、クレッシェンド~ディミニュエンドという表題通りの対称形を持つ楽曲構造となっている。いかにもな“現代音楽”なのだが、やはりそこにはフォスの作品に共通する響きのテイストがある。シュラーの作品は、正直なところあまりピンとこなかった。“Triplum”とは、中世や初期ルネッサンスの音楽の用語で、三声の楽曲を意味するとのことらしく、楽曲構成などにも“3”という数が意識されているようだ。

シャポーリンの名は、ジダーノフ批判の中で、あるいはスヴェトラーノフの作曲の師としてよく聞くのだが、その作品となると、いくつかの歌曲しか聴いたことがない。大祖国戦争中に作曲された愛国的な大作がリストに挙がっていたのでオーダーしてみたところ、運よく確保することができた。歌詞の詳細はわからないが、各曲の表題を見れば大体のストーリーは予想できるし、おそらくその予想は裏切られていないはずだ:
【第1部】
  1. ある春の日
  2. 襲来
  3. 女性達の嘆き
  4. 老人の訴え
  5. 赤軍兵士の歌
  6. 友への手紙
  7. パルチザンのバラード
【第2部】
  1. ヴォルガの岸で
    1. 人民の合唱
    2. 母親のアリオーソ
    1. ドンのステップにて
    2. 夜明け
    1. 老人の訴え
    2. 斃れた英雄達の永遠の栄光と記憶
  2. 誓い
  3. 春の回帰
思わず口ずさんでしまいそうなわかりやすいメロディー、これ見よがしに感動的な合唱の盛り上がり、とにかくよく鳴るオーケストレイション……スターリン時代の典型的な愛国作品である。その題材ゆえに今後もあまり陽の目を浴びないのだろうが、隠れた名曲とまでは言えないものの、よく出来た作品だけに、誰にも知られないまま埋もれてしまうのも少しもったいない気がする。こういう曲をやらせたら、スヴェトラーノフの右に出る者はない。わざわざこういう作品を探し出して聴く悦びを、存分に堪能することができる。大満足。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Gavrilin,V.A. 作曲家_Shchedrin,R.K. 作曲家_Shaporin,Y.A.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター