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落穂拾い(大阪)

  • シューベルト:弦楽四重奏曲第15&12番 カルミナQ (Denon COCO-80263)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13&14番 メロスQ (Intercord INT 820.536)
  • ブルックナー:弦楽五重奏曲、間奏曲 メロスQ サンチャゴ (Va) (harmonia mundi France HMC 901421)
  • ボッケリーニ:弦楽四重奏曲 Op. 58-5、ドニゼッティ:弦楽四重奏曲第13番、プッチーニ:菊、3つのメヌエット、イザイ:パガニーニ変奏曲 Quatuor Arte del Suono (Pavane ADW 7309)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 ロジャース (S) レイフェルクス (B) アシケナージ/NHK SO (Decca UCCD-1187)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1&2番、ピアノ五重奏曲 ヘルムヒェン (Pf) ユロフスキ/ロンドンPO (London Philharmonic Orchestra LPO-0053)
  • ピアソラ:バンドネオン協奏曲、3つのタンゴ ピアソラ シフリン/セント・ルークスO (Nonesuch WPCS-5071)
深い意味もなく、私の中ではディスクユニオン=お茶の水だったのだが、よく考えてみると昨年、大阪にもクラシックの専門店がオープンしていたことを思い出し、所在地を調べて足を運んでみた。仕事帰りに音盤屋なんて、何年振りだろうか。

ということで、ディスクユニオン 大阪クラシック館に初めて突撃。帰りのバスの時間の都合で30分くらいしか時間がなかったので、とりあえず配架の構成など、店舗全体をざっと見回り、先日の東京(6月12日のエントリー)と同様、ショスタコーヴィチと室内楽にのみ集中して探索してみた。

まずは、お茶の水で確保したメロスQのアルバムと全く同じ組み合わせの、カルミナQのアルバム。1970年前後に結成された団体が私にとって弦楽四重奏のデフォルトなのだが、「その次」の世代の筆頭がカルミナQであった。デビュー盤のシマノフスキ&ヴェーベルンをリリース直後に買いに行ったのも懐かしい。その後もそれなりに新譜を追ってはいたものの、いつの間にか私の関心から外れてしまった。このシューベルトの15番に聴かれるような極端な弱音は、彼らの得意とする卓越した技術の発露であり、その前の世代とは一線を画す弦楽四重奏の響きなのだが、要するに、私はこれが好みでない、ということなのだろう。彼らの考え抜かれた音楽は、素晴らしく彫琢されていて際立って巧いが、私の思い描くシューベルトの不健康で危うい陰のある妖しい美しさとは異なる。


昨年末の中古レコード・セールで、メロスQのベートーヴェン旧全集の大半を入手したが(2月24日のエントリー)、残る2枚の内、13&14番を収録した1枚を発見。もちろん、即確保。

さすがにベートーヴェンの後期にはまだ若かったようで、真摯に取り組んでいることは十分に伝わるものの、音楽の表情が単調であることは否めない。彼らの魅力である各パートがそれぞれ自由に盛り上がりつつも一体感が終始保たれる独特の奔放さは、少なくともこの録音の段階ではあまり感じられない。


ここしばらくメロスQづいている感もあるが、ブルックナーの弦楽五重奏曲も見つけた。こちらは彼らの円熟期である1990年代の録音。冒頭から、これぞドイツ・ロマン派という響きに満ち溢れ、時に冗長さも否めない楽曲の長さが愛おしくすらある。各声部がそれぞれ思いのままに歌い込んで形成される燃焼度の高い音楽は、シンフォニックに響きつつも室内楽でしかなし得ない緊密な大柄さ、とでもいった感じ。大満足の一枚。


ボベスコといえば、私が子供の頃にヴィオッティの協奏曲の“お手本”としてLPを愛聴した思い出がある。彼女が率いる弦楽四重奏団の録音は、ヴィオッティの弦楽四重奏曲集を架蔵しているのみだが、「Rare Works for String Quartet」と題するイタリア人作曲家の作品集が目についたので、これも入手。プッチーニの「菊」以外は、全て初めて耳にした作品ばかりだが(プッチーニのメヌエットは、遊びで弾いたことはあるが)、いずれも同じ作曲家の他の作品と印象は同じで、作曲家を代表する作品が選ばれているとは言い難い。“Rare”であるには違いないが。ただし、パガニーニのカプリース第24番をイザイが弦楽四重奏にアレンジ?した作品は、非常に面白かった。いつか弾いてみたいと思って調べてみたが、楽譜は未出版の模様。録音は他にクリプトスQのものがあるようで、プロアマ問わず需要はあると思うのだが、さすがに出版は難しいか?

演奏は、1st Vn主導の古いタイプのもの。ただし、どの曲もそのスタイルがよく合っているので、とりたてて不満はない。ブリリアントな響きも心地よく、楽しいアルバムである。


アシケナージがDeccaレーベルで録音したショスタコーヴィチの交響曲は、第4、13、14番の3曲がN響との組み合わせで、それぞれ1枚物でリリースされた後、すぐに全集ボックスになってしまい、単独の音盤は入手難になってしまった。中古屋で見かけることもなかったのだが、今回、第14番を発見。

ややもっさりとしたテンポだが、それがアシケナージの指揮技術ゆえなのか、本心からの解釈なのかは判然としないものの、じっくりと奏でられた響きはなかなか美しい。N響弦セクションの底力を見せつけられた感がある。寛いだ、と言ってよいだろう独特の雰囲気は、この交響曲とは異質のはずなのだが、一方で、鋭さ一辺倒の演奏では気付くことのできない甘美さを見出させてくれる興味深い演奏である。


ロンドンPOの自主制作盤はそれなりにチェックしていたはずなのだが、ヘルムヒェンというピアニストをフィーチャーしたアルバムの存在は全く知らなかった。これがなかなかの掘り出し物である。溌剌とした勢いに満ち、それでいて終始安定感のある優れた演奏。奇を衒うことのない、ごくごくオーソドックスな解釈なのだが、間然とすることなく一気呵成に全曲を聴かせてくれる。オーケストラの、手堅くも共感に満ちた熱いバックも立派。

ピアノ五重奏曲も悪くないが、こちらはもう少し練り上げられた緊密なアンサンブルを求めたくなるのが、正直なところ。


ピアソラのバンドネオン協奏曲は、特別好きというわけでもないせいか、最も有名なスタジオ録音をずっと買いそびれていた。ふと思い出した時には廃盤になっているという、負のスパイラル。没後10年くらいまでの間にCDでリリースされた音源はほぼコンプリートしているだけに長年の懸案であったが、いざレジに向かおうと振り向いたら「目が合って」しまったので、勢いで確保。

他のライヴ録音と比べると随分と落ち着いた演奏ではあるが、たとえば最後の録音となったハジダキス指揮の録音のような技術的な問題もなく、この曲を知るには最適の音盤のように思う。ただし、オーケストラは終始ムード音楽的に和声を鳴らしているだけで、ドライヴ感に乏しいのが残念。


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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. Tango_Piazzolla,A.

落穂拾い(東京)

  • シューベルト:弦楽四重奏曲第15&12番 メロスQ (harmonia mundi France HMA 1951409)
  • リゲティ:アトモスフェール、ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 アフカム/グスタフ・マーラー・ユーゲントO (Orfeo C 797 111 B)
  • ショスタコーヴィチ:ステパーン・ラージンの処刑、カンタータ「我が祖国に太陽は輝く」、オラトリオ「森の歌」 アンドレイエフ (T) タノヴィツキ(B) P. ヤルヴィ/エストニア国立SO、エストニア・コンサートcho、ナルヴァ少年cho (Erato 0825646166664)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番、リスト:ピアノ協奏曲第1番、プロコーフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ドゥ・ラ・サール (Pf) ボルドツキ (Tp) フォスター/グルベンキアン財団O (naïve V 5053)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1&2番、24の前奏曲 コロベイニコフ (Pf) ガイドゥーク (Tp) カム/ラハティSO (Mirare MIR 155)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番、24の前奏曲 マンゴーヴァ (Pf) (Fuga Libera FUG517)
  • ブラームス:ハンガリー舞曲第5番、コヴァーチ:ユダヤの母(教育ママ)、シューベルト:ドイツ舞曲、チック・コリア:スペイン、ドリ&コヴァーチ:オリエンタル組曲、ボッケリーニ:、コヴァーチ: ボヘミアの思い出、ピアソラ: リベルタンゴ、ゴドフスキー: なつかしのウィーン、ショスタコーヴィチ:より第2番、ドリ:Tsifteteli、ロジャース:私のお気に入り、ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 ホ短調、ボック:「屋根の上のヴァイオリン弾き」組曲(ロビー・ラカトシュ・ヴァージョン)、ヤーノシュカ:魅惑のダンス ザ・フィルハーモニクス (DG 002894767461)
所用で東京に行ったついでに、ディスクユニオン お茶の水クラシック館へ。時間もなかったので、弦楽四重奏とショスタコーヴィチ関連の買いそびれていた物に絞って探索。

残念ながら、弦楽四重奏は目ぼしいものが見当たらず、確保したのは1枚のみ。シューベルトの15曲中、最も好きな15番と断章のカップリングで、ここのところなぜか聴く機会の多いメロスQによるアルバムである。DGの全集ではなく、後期の第12~15番と弦楽五重奏曲をharmonia mundiレーベルに再録音したシリーズの一枚。誤解を恐れずに言えば、技術的に洗練されているとは言い難く、素人からしても突っ込みたくなるところは少なくない。にもかかわらず、武骨でありながらも人懐っこい力感のある情緒に満ちた音楽は、とても魅力的に響く。“ドイツ的”という形容がしっくりくる音の美しさといい、最良の意味での旧き佳き演奏である。残る「ロザムンデ」&「死と乙女」も、揃えておきたいところ。


残りは、全てショスタコーヴィチ作品。未架蔵の音盤があまり入荷していなかったので、目に付いたところから手当たり次第に確保。

若い指揮者とユースオーケストラとによるショスタコーヴィチの第10番は、知情意のバランスが極めて良くとれた、聴き応えのある演奏。鮮やかなアンサンブルで隅々までよく響く透明感のあるサウンドは、同時代のおどろおどろしい雰囲気を纏った演奏に親しんできた耳にはいかにも現代的だが、一方で流麗な音楽の運びから自然に立ち上る多彩な表情は、半世紀を経てこの音楽が時代の呪縛から解放されたことを感じさせてくれる。



P. ヤルヴィによるショスタコーヴィチの体制作品集は、時代と切り離すことができない、すなわち時代と共に淘汰される(=聴かれなくなる)と誰もが考えた作品を、純粋に音楽として現代においても価値のある楽曲として提示した、画期的なアルバムだろう。特筆すべきは、「我が祖国に太陽は輝く」。体制翼賛的なこけおどしの絶叫などなくても、これほどまでに満ち足りた高揚感のある音楽が成立し得ることに驚嘆した。「森の歌」も同じ路線だが、一気呵成の盛り上がりよりは、たとえば第6楽章の合唱などの静謐な美しさの方が印象に残る。この2曲に比べると、「ステパーン・ラージンの処刑」は常識的な仕上がり。作品そのものの出来のせいか、一貫したドラマトゥルギーに欠ける。


ドゥ・ラ・サールのデビュー盤は、3曲の「第1番」を集めたピアノ協奏曲集。演奏者の顔を大写しにしたアイドル風なジャケットに食指が伸びなかったが、決して力任せになることのない、コントロールの行き届いたとても綺麗な音に感心した。音楽の表情はやや単調ながらも、端正で伸びやかな音楽には好感が持てる。この音盤以降も順調に演奏活動を展開しているようだが、それも納得である。


コロベイニコフによるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲全集は、沈潜した静的な音楽の美しさが傑出している。両曲とも、かなり遅いテンポでじっくりと弾き込んだ第2楽章が素晴らしい。一方で、速い楽章も同様の雰囲気をとっているため、やみくもな疾走感に欠ける点は好き嫌いが分かれるかもしれない。第2番第1楽章のカデンツァ以降には、充実した高揚感があり、これはコロベイニコフの解釈なのだろう。24の前奏曲は、1月26日のエントリーで紹介した「ロシア・ソ連の作曲家によるピアノ音楽のアンソロジー第1集」にも彼の演奏が収録されており、収録年も同一であるが、これとは別の演奏である。本盤の方が残響が豊かで静謐感のある録音のせいか、協奏曲と同様に沈思黙考するような響きの美しさが際立つ。


ベルギーのエリザベート音楽院出身の若手演奏家であるマンゴーヴァのデビュー盤。安定した技術と模範的な解釈は、演奏家の豊かな才能の片鱗を感じさせる。いたずらに飾り立てることなく素直に淡々と音を連ねることで作品の雰囲気を自然に表出したソナタ第2番、流麗に多彩な表情を繰り広げる前奏曲、共に聴き応えのある充実した演奏である。


「2006年のウィーン・フィル日本公演の際、リーダーのコヴァーチとコントラバスのラーツが福岡でしゃぶしゃぶを食べながら意気投合。その後メンバーを厳選し、2007年より活動を開始した“ノー・リミット・アンサンブル”」(ユニバーサルミュージックの公式プロフィールhttp://www.universal-music.co.jp/the-philharmonics/biography/より)である、ザ・フィルハーモニクス。颯爽とした格好良さの漂う音楽は、宣伝文句通り、上質のエンターテイメント。アンドレ・リュウとは全く別のテイストを持った「第二ワルツ」は、個々の奏者のセンスの良さが随所に感じられる楽しい演奏である。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

ロシア音楽3題

  • ミャスコーフスキイ:シンフォニエッタ第2番、室内楽のためのセレナード ヴェルビーツキイ/ソヴィエト国立SO (Melodiya C 10-15187-8 [LP])
  • ティーシチェンコ:交響曲第5番 ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立文化省SO (Melodiya C10 25287 005 [LP])
  • バラーキレフ:イスラメイ、ボロディーン:小組曲より第7曲ノクターン、ムーソルグスキイ:古典様式による間奏曲、歌劇「ソローチンツィの定期市」よりゴパーク、ラフマニノフ:前奏曲 Op. 3-2、Op. 32-12、スクリャービン:2つの詩曲 Op. 32、ストラヴィーンスキイ:ペトルーシュカからの3楽章より第1曲ロシアの踊り、プロコーフィエフ:サルカズム(風刺)、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より第14、10、6番、ハチャトゥリャーン:バレエ「ガヤネー」よりレズギンカ ラフォルジュ (Pf) (Club National du Disque CND 18 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、LP3枚が届いた。

ミャスコーフスキイの中でもとりわけ平明な楽想を持つ2曲を収録したアルバムは、作品の抒情的な美しさに、どこか懐かしさを感じる。これは、ヴァルビーツキイの“緩い”音楽の賜物のように思える。両曲共に、同じオーケストラをスヴェトラーノフが振った録音もあるが、それと比べるとアンサンブルの精度も表現の踏み込み方も、まさに“緩い”としか言いようがないのだが、しかし、聴こえてくる音楽の何と魅力的なことか!


ティーシチェンコの交響曲第5番は、彼の作品中でも早くから知られ、傑作との呼び声高い作品だが、それに最も寄与したと考えられるのが、このロジデーストヴェンスキイのライヴ録音である。師ショスタコーヴィチの逝去直後の1976年に作曲された、ショスタコーヴィチを追悼する内容の音楽は、第3楽章にショスタコーヴィチの第10交響曲からの引用があるなどの表面的な事柄だけでなく、ティーシチェンコの根幹を成すショスタコーヴィチ的世界の総決算的な雰囲気を持つ。ロジデーストヴェンスキイの勘所を押さえた指揮は、手兵である文化省響の暴力的な響きと相まって、感情の起伏を切実に表出している。深刻さと表裏一体のとぼけた味わいも、ショスタコーヴィチを知り尽くした音楽家ならではのもの。


ジャン・ラフォルジュというフランスのピアニストの名は、今回初めて知った。ネットで検索してみてもプロフィール程度の情報しかなく、音盤として遺されたものがどれくらいあるのか、そしてそれらの評価がどのようなものかはよくわからない。ただ、このロシア音楽集は素晴らしい。まず、有名作曲家の比較的有名な作品ばかりではあるが、気の利いた選曲が良い。そして、それぞれの様式の違いを的確に処理しつつも、実に雰囲気のある気持ちの良い音で小細工無しに奏でられる音楽が良い。現代風の精緻さはないものの、往年の華やかでロマンティックなヴィルトゥオージックな演奏である。それでいて、特にB面では冷たい機能性も感じさせ、後のミシェル・ベロフを予感させるようにも聴こえる。目当てのショスタコーヴィチ作品はわずか3曲の抜粋のみだが、掘り出し物と言ってよい一枚である。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Myaskovsky,N.Y. 作曲家_Tishchenko,B.I.

NHK交響楽団第1849回定期公演

  • ショスタコーヴィチ:ロシアとキルギスの民謡による序曲、ピアノ協奏曲第1番、交響曲第12番 ヴォロディン (Pf) 井上道義(指揮) (2016.11.25 録画 [NHK ETV(2017.2.5)])
  • プーランク:六重奏曲、イベール:5つの小品 神田寛明 (Cl) 池田昭子 (Ob) 松本健司 (Cl) 菅原恵子 (Fg) 今井仁志 (Hr) 横山幸雄 (Pf) (2016.3.24 録画 [NHK ETV(2017.2.5)])
クラシック音楽館」にて、井上道義指揮のオール・ショスタコーヴィチのN響定期公演が放送された。序曲が取り上げられるのは珍しいものの、他の2曲は「客を呼べそうな」選曲。それでいて、いかにも「ミッチー」らしい選曲である。

井上氏の指揮ぶりや顔芸を楽しめるのは映像ならではだが、それゆえに、オーケストラから出てくる音とのギャップに戸惑ってしまった。巧みな作曲技術で整然と体裁が整えられているものの、その内側に秘められたショスタコーヴィチの歪さを抉り出そうとする指揮に対して、オーケストラは徹底して整然とした響きで応える。十分に盛り上がった立派な演奏だとは思ったが、手放しで賞賛するには躊躇する。

「コンサートプラス」では、「N響メンバーによる木管アンサンブル」と題してフランスの近代作品2曲が演奏された。音色においてもリズムにおいても一層の色彩感を求めたいところだが、手堅く折り目の正しいアンサンブルはさすがの貫禄。

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genre : 音楽

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シュヴェツィンゲン音楽祭の弦楽四重奏シリーズとボレイコのショスタコーヴィチ(hänssler)

  • ブリテン:弦楽四重奏曲第3番、シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 アマデウスQ (hänssler CD 93.706)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲第79番 Op.76-5「ラルゴ」、フォルトナー:弦楽四重奏曲第4番、ラヴェル:弦楽四重奏曲 メロスQ (hänssler CD 93.716)
  • ベルク:弦楽四重奏曲、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番、バルトーク:弦楽四重奏曲第1番 東京Q (hänssler CD 93.723)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲第70番 Op.71-2、ブラームス:弦楽四重奏曲第3番、ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第3番 ラサールQ (hänssler CD 94.228)
  • ベートーヴェン:弦楽三重奏曲第2番 Op.9-1、モーツァルト:二重奏曲第1番、弦楽三重奏のためのディヴェルティメント グリュミオー・トリオ (hänssler CD 93.727)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第9&15番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.284)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1&6番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.303)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.326)
HMV ONLINEから、hänsslerレーベルのセールの案内が届いた。このレーベルには気になっていたシリーズがあったので、この機会にまとめ買い。

まずは、往年の名四重奏団のライヴを。ドイツのシュヴェツィンゲン城で行わる音楽祭のライヴ盤はアルバン・ベルクQの一枚のみ架蔵しているが(2016年6月16日のエントリー)、他にも何れ劣らぬラインナップが目白押し。迷うことなく一気にオーダーしてしまった。

まずはアマデウスQ。先に紹介したケルン・ライヴ(2月24日のエントリー)と「死と乙女」は被っているが、こちらは1970年代後半、彼らの円熟期の演奏だけに、より一層アクの強い個性的な音楽を存分に楽しむことができる。こういう華のある演奏スタイルは、たまらなく懐かしい。

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メロスQのライヴは少し珍しいプログラムではあるものの、若き日の彼らの魅力が発揮された聴き応えのある一枚。演奏スタイルに合致しているのはフォルトナーだが、聴き物は何と言ってもハイドン。こんなにロマンティックなハイドンは、今となってはもう聴くことはできないだろう。ピリオド派にはウケが悪いだろうが、生理的なレベルで魂を揺さぶられる素晴らしい「ラルゴ」だ。覇気に満ちた終楽章も秀逸。

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東京Qのアルバムは、この団体の初代メンバーによる、いかにも彼ららしい極めて魅力的なプログラム。隅々までただの一音も蔑ろにすることのない、完璧に練り上げられたアンサンブルは、現在に至る弦楽四重奏演奏の新時代を切り拓いた彼らの歴史的な存在意義を再確認させてくれる。どの曲も有無を言わさず素晴らしいのだが、バルトークの熱気は、とりわけ尋常ではない。

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ラサールQのアルバムは、シュヴェツィンゲン音楽祭のライヴ録音ではなく、南西ドイツ放送(SWR)の放送録音。これもまた収録曲が秀逸。何といっても、ツェムリンスキーの3番が凄い。この曲を、これだけ熱気溢れる集中力で一気呵成に聴かせるのは、彼らをおいて他にないと思わせるに足る突き抜けた説得力を持った演奏である。ハイドンの作品71-2やブラームスの3番も、ロマンティックでありながらもどこか乾いた武骨さを感じさせる彼らのアンサンブルの妙を堪能できる秀演。

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グリュミオー・トリオのライヴ盤は、再びシュヴェツィンゲン音楽祭での録音。今回の買い物の中で最も音楽的な感興に満ちた一枚であった。音そのものだけでなく、奏でられる音楽の流れ、リズム、内容の全てにおいて瑞々しく気品のある美しさが漲っている。三重奏あるいは二重奏のソリスティックな華やかさを、最上の形で味わうことができる。

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まるでベートーヴェンやブラームスのように当たり前にショスタコーヴィチの交響曲の新譜がリリースされる近年では、さすがにその全ての録音を当たるのは骨が折れるし、歳のせいかその気力もなくなってきた。ただ、新譜の動向くらいはできるだけチェックするようにしているので、ボレイコの交響曲シリーズも気にはなっていた。このシリーズ第1弾の第4番&「ムツェンスク郡のマクベス夫人」組曲(2008年3月4日のエントリー)に加えて、ドイツ学生連盟オーケストラを振った第1番(2004年11月9日のエントリー)を架蔵しており、そのどちらにも好印象を持っていたこともあったので、現時点でリリースされている(第4番以外の)3枚をまとめてオーダー。以下、リリース順に。

シリーズ第2弾の第9&15番は、ことさらに曲の成立背景などを解釈に反映させるのではなく、両者共に同じスタンスで臨み、そして成功した好演と言える。まず、リズムの処理が模範的で、音楽の流れに淀みが一切ない。その上で、思いっきり盛り上げてクライマックスを作るので、スマートな聴きやすさと生理的な興奮とが極めてバランスよく両立している。しかも、個々の楽想の描き分けも自然かつ適切であり、まさに現代のスタンダードと言ってよい出来である。あえて言えば、第15番の響きが健康的に過ぎるようにも思えるが、これはオーケストラの特質も多分に影響しているのであろう。

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シリーズ第3弾の第1&6番も、同様に優れた演奏。明晰かつ流麗な音楽が心地よい。リズムの面白さ、旋律の美しさが手堅くも自然に表出されている。第1番は、最後の最後で少しコントロールが利かなくなっているのが惜しいが、ライヴ録音としては許容範囲内。第6番は思いの外、疾走感がなく落ち着いた演奏だが、この辺りがボレイコの個性なのかもしれない。

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現時点での最新盤(と言っても、既に2年以上前のリリースだが)である第5番は、こうしたボレイコのスタイルが最良の形で結実した素晴らしい演奏である。冷静な組み立てと内なる燃焼度の高さが、端正な響きと過不足のない熱狂を風格をもって生み出している。テンポは比較的遅めではあるが、終始弛緩することがない。終楽章のコーダなどは、音楽的にも技術的にも理想的な仕上がりである。

シュトゥットガルト放送交響楽団は昨年、バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団と統合して南西ドイツ放送交響楽団となり、運営体制上の問題を抱えているのかもしれないが、できればこのシリーズ、せめて声楽抜きの器楽交響曲の全てが揃うまでは継続してもらいたいところである。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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