渋めのロシア音楽5題

  • ヴァーインベルグ:ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲第8番 ヴァーインベルグ (Pf) ボロディーンQ (Melodiya MEL CD 10 01998)
  • ボロディーン:弦楽六重奏曲、スケルツォ(「金曜日の曲集」第2集より)、グリエール:弦楽四重奏曲第3番、ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第9番 ボリショイ劇場Q バルシャーイ (Va) クヌシェヴィーツキイ (Vc) (Melodiya MEL CD 10 01750)
  • ストラヴィーンスキイ:「春の祭典」より、ポンキエッリ:歌劇「ジョコンダ」より「時の踊り」、ショスタコーヴィチ:バレエ「黄金時代」より「ポルカ」、スヴェトローフ:組曲「老淑女の訪問」、フォーレ:パヴァーヌ、ベンジャミン:ジャマイカのルンバ、ラヴェル:歌劇「子供と魔法」より「五時のフォックストロット」、フリオ・オスカル・パネ:余談とタンゴ、チェルニコフ:夜曲 QuARTru (Bomba-Piter CDMAN 342-08)
  • ラフマニノフ:「徹夜祷」より、チェスノコーフ:「徹夜祷」より、チャイコーフスキイ:「イオアーン・ズラトウーストのリトゥルギーヤ」より、ロシア民謡:トローイカ、スヴィリードフ:「プーシキンの3つの詩」より、「プーシキンの花輪」より、「ユヴェナリスの鞭」より、「A. プロコーフィエフの4つの詩」より ベグレツォフ/スモーリヌイ聖堂室内cho (Bomba-Piter CDMAN 395-09)
  • スヴィリードフ:「ロシアの詩人の詩による5つの合唱曲」、「祖国への賛歌」、「プーシキンの3つの詩」、劇音楽「皇帝ヒョードル・イヴァノーヴィチ」より3つの合唱曲、「3つのミニアチュア」  チェルヌシェンコ/カペラ・サンクトペテルブルク (Manchester Files CDMAN 155)
レコードプレイヤーが壊れてしまい、LPはぼちぼちと購入しているものの聴くことができず、ブログの更新もすっかりご無沙汰。今回の5点は、アリアCDで購入。

まずは、Melodiyaレーベルから2枚を注文。ボロディーンQによるヴァーインベルグ集は、作曲家自身が参加しているピアノ五重奏曲の方は2011年7月10日のエントリーで既に紹介済み。四重奏曲の方も、ヴァーインベルグの猛烈なテンションを万全の技術で地に足の着いた、それでいて極めて劇的に再現した名演。

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ボリショイ劇場Qは、その名の通りボリショイ劇場管の首席奏者による団体。第1Vnのイサーク・ジュークは、後にモスクワPOのコンサートマスターを務めたヴァレンティン・ジュークの父。洗練とは対極の野暮ったさが純然たるロシアの香りと表裏一体の、実に魅力的な音を持った団体である。ロシア室内楽のコアなファンしか知らないような曲ばかりだが、いずれも楽曲の真価を十分に表出しきっており、各曲の最高の演奏だと断言したくなるような水準の仕上がりである。豪華メンバーを加えた六重奏曲などは、まさにロシア音楽の真髄と言ってよいだろう。

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近年Bomba Piterと改称したManchester Filesレーベルからは、3枚をオーダー。サロン音楽風のアンサンブルQuARTruによる様々な舞曲作品の編曲集は、クレズマー風の響きが楽しく、編成と相性の良い選曲と編曲にセンスの良さが感じられる、気の利いたアルバムである。


先日スヴィリードフの作品リストを整理し直したところだが(6月14日のエントリー)、それに伴って数多くの楽曲が未聴であることが明らかになった。スヴィリードフの合唱曲を収録したアルバムをカタログに2点見つけたので、注文。

スモーリヌイ聖堂室内合唱団によるアルバムは、その名の通り19世紀の宗教曲が前半に収められているのだが、後半のスヴィリードフ作品が何の違和感もなく続くところに、スヴィリードフのロシア的本性であったり、晩年に聖歌へと傾倒することになる音楽的志向の礎などを感じた。合唱の技術的な巧拙の判断はつかないのだが、神々しくも生気に溢れた歌心が、とても心地よい。


チェルヌシェンコ指揮のアルバムは、オール・スヴィリードフ。作曲年代はまちまちなのだが、作風の変遷というものはあまり感じられず、むしろ全てを貫くスヴィリードフ独特の響きを堪能した。日本でも知られた合唱団だが、手堅く洗練された歌唱には、安心して身を委ねることができる。

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スヴィリードフの全作品リスト

  • Свиридовский институт, Георгий Свиридов: Полный список произведений (Нотографический справочник), Национальный Свиридовский Фонд, 2001.
私はスヴィリードフの音楽が大好きなのだが、「吹雪」のように有名な器楽曲はともかく、彼の創作の大半を成す声楽曲については、言語の壁ゆえかまとまった情報が非常に少なく、音盤に収録されている楽曲の素性を調べるにもかなり苦労する。
  1. まず、同じ詩人の歌詞につけた楽曲群を、どのような単位で捉えるべきなのかがわからない。たとえばエセーニンの詩による歌曲は多数あるのだが、「さまようロシア」のように連作歌曲のようにまとまって演奏されるものではないのに、「エセーニンの詩による4つの歌曲」みたいなタイトルがついているものもあり、しかもそれが音盤や楽譜によって様々に異なっていたりする。
  2. 次に合唱曲なのか独唱曲なのか、あるいは独唱&合唱なのか、ピアノ伴奏なのか管弦楽伴奏なのか、編成がいまひとつはっきりとしない。いわゆる歌謡曲的な捉え方をするならば伴奏の形態にこだわる必要はないのかもしれないが。
  3. そして何よりこれが一番の問題なのだが、楽曲のタイトルが日本語はもちろんのこと、英語訳すら限られたものしか分からず、しかも詩である以上、単に直訳しただけでは意味を成さないものばかりで、流通している訳が正しいのかどうか判断に苦しむ。
そんな悩みのいくらかでも解消してくれるだろうことを期待して、スヴィリードフの全作品リストなるものを一年ほど前に入手したのだが、軽く眺めただけでずっと放置していた。せっかくの情報なのにそれではあまりにもったいなく、気の赴くままに整理してみた(こちら)。
  • 作品リストでは編成(ジャンル)別に番号が振られているが、スヴィリードフの創作の過程を編年的に追うことを目的に、年代順に並べ直した。
  • 楽曲群のまとまりは、出版時の都合で様々なようなので、ひとまず作品リストに従い、その収録曲のタイトルも併記した。
  • スヴィリードフの情報はロシア語に偏っているので、ロシア語タイトルはキリル文字で表記し、コピペで検索しやすいようにした。
  • 日本語タイトルは、ごく常識的に直訳して問題のないもの以外は、ネットでの検索結果を基本に訳を検討し、問題のなさそうなもののみを記載した(まだ途中)。
  • 英語タイトルも同様だが、Melodiya盤のライナーに表記されている英語訳も利用した(まだまだ途中)。
  • 作品リストでは同一曲ながら伴奏等の編成が異なるものには別番号を振っているので、同様に別作品扱いした。編成についての記述は、とりあえず省いている(今後、必要に応じて追加するかも)。
  • 手持ちの音盤の情報を併記した。
  • YouTubeにある動画へのリンクもまとめた(まだ途中)。ただし、既発の音源をアップしただけのものは除外した。
楽曲名の問題は依然として残るものの、「スヴィリードフにはどんな作品があるのか」ということについて私自身が知りたい情報は、とりあえずではあるが、これで整理することができた。

今回、YouTubeなどで集中的にスヴィリードフの音楽を聴いたが、とりわけブロークやエセーニンの詩による歌曲群の、たまらなくロシア的な世界に、改めて魅了された。往年の有名演奏家達によるスヴィリードフ作品の演奏会の動画を以下にまとめておく。いずれも珠玉の名演である。
オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf)
19761977
ヴェデルニコフ (B) スヴィリードフ (Pf)生誕100年記念演奏会
スヴィリードフの夕べ
(1)(2)
Время Георгия Свиридова - documentary
(1)(2)

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ショスタコーヴィチのピアノ・ソナタ(フドレーイ)とスヴィリードフの歌曲(オブラスツォーヴァ)

  • ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第1&2番 フドレーイ (Pf) (Melodiya C10 18977 007 [LP])
  • スヴィリードフ:ブロークの詩による歌曲(A. ブロークの詩による9つの歌、「ペテルブルグの歌」より) オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf)他 (Melodiya C10 20793 007 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの12月到着分。

フドレーイによるショスタコーヴィチのピアノ・ソナタは、シニートケ作品など(当時の)現代曲を得意としたピアニストらしく、過度の感情移入や飾り気といったものが排された、淡々とした音楽の運びながらも透明で澄んだ響きの多彩さをじっくりと聴かせる演奏である。当然の帰結として、第2番は優れた仕上がりである。もちろん第1番も楽曲の構造がクリアに呈示されていて悪くないが、この曲の場合はもう少し芝居がかった演出があってもよい。


スヴィリードフの歌曲集は、そのほとんどが作詞者の別に応じてまとめられているだけであり、いわゆる連作歌曲のような内容的に各曲が関連し合う類のものではない。したがって、作品全集に記されている「A. ブロークの詩による9つの歌」といったタイトルが、単なる出版時に便宜的にまとめられたものなのか、作曲家自身による何らかの意図を反映したものなのかは判然としない。作曲家本人のピアノによるこのアルバムも、2つの歌曲集からの選曲されており、「9つの歌」全てが取り上げられているものの、曲順は任意に並び替えられている。この辺りが、スヴィリードフの全創作を俯瞰し難い要因の一つだろう。

それはさておき、楽曲自体は、いずれも素晴らしい珠玉の歌ばかり。オブラスツォーヴァの鋭く突き刺さるような、暗い色調を帯びた歌声は、ロシア歌曲の真髄と言ってよい。ラフマニノフを想起させるような鐘の音を執拗に奏でるピアノ伴奏もまた、ロシアの魂を強烈に感じさせる。わかりやすいメロディ・ラインではあるが、この強烈なロシア臭は決して万人受けする類のものではないだろう。だが、だからこそ、ロシアを代表する傑出した歌曲(集)なのだと、スヴィリードフの作品を偏愛する私は、主張したくなってしまうのだ。

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フヴォロストーフスキイの「さまようロシア」


  • ラフマニノフ:「ここはすばらしい」「すべては過ぎゆく」「女たちは答えた」「ああ、私の畑よ」「友よ私の言葉を信じるな」「私はあなたを待っている」「夜」「夜は悲しい」「私はふたたびただひとり」、スヴィリードフ:さまようロシア フヴォロストーフスキイ (Br) アルカーディエフ (Pf) (Philips 446 666-2)
ここのところ立て続け(1月20日2月6日のエントリー)にYouTubeでスヴィリードフの歌曲を視聴したせいで、通勤時のBGMをはじめ、すっかりスヴィリードフ漬け。勢いに任せて、長らく入手しそびれていた音盤も注文してしまった。

フヴォロストーフスキイ初期の録音(1994年)だが、Philipsというメジャー・レーベルからリリースされたにもかかわらず、国内盤がなかったこともあるのか、ごく一部を除いてほとんど話題にならなかったアルバムである。日本のAmazonには商品ページすら存在せず、米Amazonに数点が出品されている。運良く新品があったので、それをオーダー。送料を合わせても800円ちょっとだったので、円安の影響もそれほどではなく、お得に入手できた方だろう。

当時、まだ32歳のフヴォロストーフスキイに後年の表現力を求めるのは酷というものだろうが、輝かしい声の魅力に、それだけで押し切ってしまえるほどの勢いが感じられるのも、若さゆえと言ったところだろうか。彼の気取った歌い方は、ラフマニノフの甘美な旋律とよくマッチし、洗練されたロシア歌曲の世界を楽しませてくれる。一方、目当てのスヴィリードフでは、素朴でありながらも深い楽曲の世界に迫りきっているとは言えず、表面的な旋律美をなぞっているだけの箇所が少なくないのが惜しい。ただ、アルカーディエフのピアノは素晴らしく、そう複雑ではない動きの中で、和声の多彩な響きを見事に引き出している。

演奏内容とは関係ないが、「さまようロシア」の歌詞(露、英、独、仏)がついているのも、とにかくスヴィリードフに関する情報は少ないだけに、嬉しいところである。

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【YouTube】オブラスツォーヴァのスヴィリードフ歌曲リサイタル

1月20日のエントリーに続き、YouTubeで見つけたスヴィリードフの歌曲を。スヴィリードフ自身のピアノ伴奏でオブラスツォーヴァが歌うという、非常に貴重な動画である。テレビ番組なのだろうが、冒頭は俳優のスモクトゥノフスキイが話をしている。余談ではあるが、彼はショスタコーヴィチが音楽を担当した映画「ハムレット」の主役である。

初期の歌曲が中心のプログラムだが、オブラスツォーヴァは、気高い冷ややかさを感じさせる鋭い声の魅力を巧みに発揮しつつ、各曲を見事に歌いこなしている。スヴィリードフのピアノは、既に高齢であることもあって、率直に言ってそれほど達者ではないものの、武骨ながらも和声の多彩な響きが印象的な“味のある”伴奏である。

スヴィリードフの歌曲の魅力がぎっしりと詰まった、とても素晴らしい映像である。

  1. [03:34]「森は紅の装いを捨て」(А. プーシキン詩)
  2. [07:30]「冬の道」(А. プーシキン詩)
  3. [10:25]「予感」(А. プーシキン詩)
  4. [14:30]「イジョールィに来りて」(А. プーシキン詩)
  5. [16:57]「ニジニ・ノヴゴロドにて」(Б. コルニロフ詩)
  6. [20:40]「涙」
  7. [23:30]「Как прощались, страстно клялись」(А. ブローク詩)
  8. [27:15]「風見」(А. ブローク詩)
  9. [29:45]「幾山河のむこうに」(А. ブローク詩)
  10. [32:54]「モスクワの朝」(А. ブローク詩)
  11. [35:40]「ロシアの歌」
  12. [39:45]「秋に」(М. イサコーフスキイ詩)
  13. [44:40]「Не мани меня ты, воля」(А. ブローク詩)
  14. [49:30]「花嫁」(А. ブローク詩)
  15. [54:13]「手風琴の歌」(С. エセーニン詩)
  16. [56:10]「白樺」(С. エセーニン詩)
  17. [60:07]「心のうちにロシアは輝く」(С. エセーニン詩)
  18. [64:00]「流刑者」(А. イサーキアン詩・А. ブローク訳)
  19. [67:38]「ロシアの百姓娘」(А. プロコーフィエヴァ詩)
  20. [70:28]「ロシアの歌」


オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf)(1977年)

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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