フェラスのオネゲル他


  • ショーソン:詩曲、ラヴェル:ツィガーヌ、オネゲル:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ フェラス (Vn) セバスチャン/ベルギー国立O (London LL-762 [LP])
  • カバレーフスキイ:W. シェイクスピアによる10のソネット、マルシャークの詩による6つの歌曲「Time」 レイフェールクス (Br) カバレーフスキイ (Pf) (Melodiya 33 C10-09763-4 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:祝典序曲、交響曲第1番 M. ヤンソンス/BBCウェールズSO (BBC REN 637 X [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から3枚のLPが届いた。今回の目玉は、2009年10月11日の記事にも記したオネゲルの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを収録したフェラスのアルバムである。こんなに早く、しかもAmazonのマーケットプレイスよりは安く(70ドルだった)入手できるとは、嬉しい誤算。

まずは目当てのオネゲル作品について。きちんとした演奏を聴いたのは初めてだったが、自分で譜読みした印象とそう大きく異なることはなかった。この種の作品の常としてJ. S. バッハの楽曲を強く意識させるのは仕方ないが、渋すぎず、でも噛めば味が出るような空気感に、オネゲルらしさが発揮されている。演奏頻度が高くないのはやむを得ないものの、完全に忘れ去られるには惜しい佳品である。フェラスの演奏は、他の2曲にも通ずることだが、とにかく美しい。良い楽器のポテンシャルを存分に引き出した高級感たっぷりの音は、それだけで一級品と言ってよいだろう。聴き慣れたショーソンやラヴェルでは、フェラスの特徴がより一層はっきりとする。解釈や独自の弾き崩しで聴かせるのではなく、磨き上げられた技術と美音でヴァイオリンの魅力を余すところなく端正に表出するといった感じ。カラヤンが好んで共演したのもよくわかる。

カバレーフスキイの歌曲はほとんど聴いたことがないのだが、彼の代表曲の一つでもあるシェイクスピアのソネット全曲と、最後期の作品である「Time」(時よ、とでも訳しておけばよいのだろうか?詩がわからないので、ここではこのような英語表記をしておく)を、若きレイフェールクスと作曲家自身が演奏したアルバムも入手することができた。シェイクスピアのソネットは、数曲の抜粋を数種類の演奏で聴いたことがあるものの、全曲を聴くのは今回が初めて。良く言えば保守的な、悪く言えば陳腐な作風ではあるのだが、どの曲も仄かなロマンを感じさせる洒落た雰囲気を持った、素直に綺麗だと思える曲集である。一方の「Time」は、“序奏とレチタティーヴォを伴う6つの歌曲”とされていることも関係しているのか、歌謡的な旋律線はあまりなく、少々晦渋な作品であることは否めない。気高さよりは力の衰えが感じられてしまう。カバレーフスキイの作曲家としての晩年がどのようなものであったのか、作品を知らないだけではなく年譜的な知識もないので包括的に論ずることはできないが、この作品に関する限り、齢を重ねて孤高の境地に達した……わけではなさそうだ。演奏は、両曲ともに素晴らしい。

ソ連時代の若きM. ヤンソンスがイギリスのオーケストラを振った、ショスタコーヴィチ作品の録音は、随分前にBerkshire Record Outletで入手していたのだが、残念ながらカセットテープだったので、今回LPの形で改めて買い直した次第。この演奏、『ショスタコーヴィチ評盤記』の著者でもある安田寛氏が名盤として紹介していることも多いので、その存在を知っている人も少なくないだろう。正直なところ、僕にはそれほど感心した記憶がないので、まともなメディアを入手したこの機会に改めて聴き直してみたいという気持ちもあった。結論から言えば、もちろんカセットテープとLPとではその情報量に雲泥の差があるものの、聴いた後の印象に違いはなかった。音楽の作りは、良い意味で模範的なもの。しかし、それをもって高い評価を下すには、オーケストラの技量が低過ぎることが僕にとっては致命的。真摯で音楽的な演奏ではあるので、ショスタコーヴィチの、あるいはこの交響曲の熱心なファンなら、機会があれば一聴してみる価値はあるだろう。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Ferras,C. 作曲家_Honegger,A. 作曲家_Kabalevsky,D.B. 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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