カラヤンの芸術/国立モスクワ合唱団演奏会

  • ブラームス:交響曲第1番 カラヤン/ベルリンPO (1973 録画 [NHK BS2 (2009.8.10)])
  • ブラームス:交響曲第4番 カラヤン/ベルリンPO (1973 録画 [NHK BS2 (2009.8.10)])
  • チャイコーフスキイ:交響曲第4番 カラヤン/ベルリンPO (1974 録画 [NHK BS2 (2009.8.10)])
  • ロシア民謡(ノーヴィコフ編):ヴォルガの舟歌、ブラーンテル(アナーシキン編)カチューシャ、ロシア民謡(アナーシキン編):黒い瞳、ラフマニノフ:聖ヨハンネス・クリソストモスの典礼(抜粋) ミーニン/国立モスクワcho (2009.6.2 録画 [NHK BS-hi (2009.8.7)])
8月3日と10日の未明、カラヤン/ベルリンPOが1970年代前半に遺した映像が放映された。3日はベートーヴェンの交響曲(第3、5~8番)、4日はチャイコーフスキイ(第4、6番)とブラームス(第1、4番)の交響曲だったのだが、いずれも初出の映像ではないので、好きなブラームスの2曲だけを録画しておくことにした。しかし、録画予約しようとしたら番組名に「交響曲第4番」しか表示されず、どちらがブラームスなのかチャイコーフスキイなのかの区別がつかず、やむなく両方を録画。

一応はライヴ映像の体裁をとっているものの、この時期のカラヤンの映像作品であるだけに、隅々にまで手が加えられているのは言うまでもない。音楽そのものにも、映像の作り方にも徹底してカラヤンの美学が投影されているので、好き嫌いははっきりと分かれるだろう。僕は、指揮姿をはじめとして随所に作り物臭さを感じつつも、きびきびとした格好良さは素直に認めてしまう。“正統派”のブラームスとはとても思えないが、これだけの説得力を持つ演奏はそうめったにあるものではない。

ただ、チャイコーフスキイについては、妙に音痴に聴こえるトランペット(音色のせいなのか?録音のせいなのか?)や、騒々しさしか感じられない盛り上がりなど、全体を通してあま感心しなかった。確かに僕の好きな曲ではないのだが、おそらくはカラヤンの解釈がそれに拍車をかけているのだろう。

ミーニン率いる国立モスクワ合唱団の演奏は、何枚かの音盤を通して聴いており、その実力の高さは知っていただけに、最近の日本公演の映像が放送されると知れば、録画しないわけにはいかない。この映像は、2009年6月2日に東京オペラシティ・コンサートホールで行われた演奏会を収録したもの。客の入りは驚くほど少ないのだが、合唱の演奏会というのはこの程度が普通なのだろうか?ともかく、演奏は聴衆の数に反してとても素晴らしいもの。有名な民謡や大衆歌も良いが、とりわけラフマニノフが素晴らしい。「晩祷」と同じく正教会の典礼のために書かれた作品で、対位法的な複雑さはあまり感じられず、息の長い旋律線が独特の神々しい雰囲気を醸し出しているのだが、国立モスクワ合唱団の温もりのある清らかな透明さを感じさせる歌唱は圧倒的ですらある。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Karajan,H.v. 作曲家_Brahms,J. 作曲家_Rachmaninov,S.V.

【YouTube】カラヤン/ベルリンPOの来日公演(1981年)

カラヤン/ベルリン・フィルの7回目の来日公演(1981年10月28日~11月8日)は、「TBSカラヤン・ベルリン・フィル日本公演実行委員会」が主催したということで、TBSが一部の公演を録画放映したらしい。僕はまだ小学5年生、もしかしたらテレビを観ていたかもしれないが、全く記憶にはない。YouTubeに、その時の特番の映像(一部)があった。ブラームスの交響曲第3&1番という、恥ずかしいほどに王道のプログラム。

全曲揃っていたのは第1番だけだが、これが非常に素晴らしい。徹頭徹尾、カラヤン様式による音楽で、その完成度の高さは聴き手に有無を言わせない。華麗、豪華、流麗……カラヤンの音楽を批評する際に用いられてきた言葉が、全て当てはまる。これを“ブラームスではない”と切り捨ててしまうのは、一種の思考停止だろう。こういう音楽、こういう響きが大衆の支持を得た時代があったということ、それを確立し、その魅力を誰よりも強い説得力をもって伝えてきたのがカラヤンその人であったこと、そして何より、この音楽が今なお抗い難い魅力を持っていることを無視してはならない。この公演は、カラヤン/ベルリンPOの公演でB席以上が2万円の大台を越えた初めての時だったという(ここ参照)。30年近く前の2万円である。だが、この響きの対価としては、決して高すぎることはない。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第2楽章第3楽章
第4楽章(1)第4楽章(2)
ブラームス:交響曲第1番
カラヤン/ベルリンPO(1981年10月30日 東京文化会館)


第3番は、残念ながら後半の2つの楽章しか見当たらなかった。実は、ブラームスの交響曲中で僕が最も好きなのは、第3番の第2楽章。聴きたかったなぁ。もっとも、第1番とは異なり、第3番はあまりに甘美に過ぎ、無条件に賛美する気にはなれないが。とはいえ、カラヤン芸術の見事な成果の一つであろうこの公演、DVD化されないだろうか。

第3楽章第4楽章
ブラームス:交響曲第3番
カラヤン/ベルリンPO(1981年10月30日 東京文化会館)


同じ特番の中で放送された、カラヤンと小澤征爾の対談の映像もあった。これは極めて面白い。ある意味で下品なくらいに貪欲な小澤と、あくまでも巨匠然とした佇まいを貫き通すカラヤンの対照も面白いのだが、会話の内容そのものが非常に示唆に富んでいて、プロの仕事の一端を垣間見ることができることが何より面白い。
カラヤンと小澤征爾の対談

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Karajan,H.v. 作曲家_Brahms,J.

HMV(通販)でお買い物(未入荷分)

altara-alt1019.jpg
  • プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ラフマニノフ:ヴォカリーズ カーシュバウム (Vc) P. ヤブロンスキ (Pf) (Altara ALT1019)
  • アルゼンチン音楽のパノラマ(ヒナステラ:バレエ「エスタンシア」より「マランボ」、ピアノ・ソナタ第3番より「Impetuosamente」、アレマン:2つのクラリネットのためのソナチナ、ピアソラ:アディオス・ノニーノ、Koc:Fantasia Sobre Poemas de Borqes、Franze:Lamento Quechua、Picchi:Invierno en el Tropico、マシャード:トッカータとフーガ、Grau:Entradas de la Andante Caballeria 、Schemper:ソナチナ、ピント:Dos Canciones) VA (Cosentino IRCO 306)
HMVへの4月注文分の残り(一部)が届いた。

カーシュバウムというチェリストは初めて聴いたのだが、調べてみると、わりと有名かつ評価の高い奏者のよう。清潔な音程と節回し、そして柄の大きな歌心。実に素晴らしい演奏である。ショスタコーヴィチでは少々派手なようにも感じられるが、プロコーフィエフはこの奏者の美質が存分に発揮された秀演と言えるだろう。P. ヤブロンスキのピアノも素直な音楽を奏でていて、リズム感の良さ、音のきれいさ共に文句なし。

ピアソラ自身が演奏しているCDは、そのほとんどを蒐集したが、まだ7枚(超レアなものを除く)入手し損なっている音盤がある。その内の一枚が、この「アルゼンチン音楽のパノラマ」。オーケストラ伴奏版の「アディオス・ノニーノ」(8分弱)だけのために、3,228円(てっきり、2枚組かと思った)を払うのも躊躇したのだが、コレクションとはそういうものだし、思い切って購入した次第。わりとおとなしい感じの端正な演奏だが、何といっても全体の雰囲気が豊かで、しみじみとした味わいが素敵。他の収録曲には、あまり惹かれるものはなかったが、さすがヒナステラだけは格が違う。ただ、マランボなんかはもっと爆裂した演奏で聴きたいような気がする。このくらい洗練されていた方が、アルゼンチンらしいと言えるのかもしれないが。

r>今度の日曜日(17日)は、宝塚市交響楽団の第42回定期演奏会にエキストラ出演する。メインのブラームス(交響曲第4番)は、1999年3月、かぶとやま交響楽団の第21回定期演奏会でウィーンPOのホルン奏者ストランスキー氏の指揮で演奏して以来だが、残る2曲(ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲、ベートーヴェン:交響曲第4番)はどちらも初めて。特に「タンホイザー」序曲の最後3ページちょっとは、拷問のよう。カラヤン/ベルリンPOの映像でテンションを上げて、何とか本番を乗り切りたい。


Part IPart II
歌劇「タンホイザー」序曲(カラヤン/ベルリンPO:1975年)

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genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. Tango_Piazzolla,A. 作曲家_Wagner,R. 演奏家_Karajan,H.v.

カラヤンのワーグナー・ライヴinザルツブルグ

  • ヘントヴァ,S.・吉田知子訳:ロストロポーヴィチ チェロを抱えた平和の闘士,新読書社, 2005.
  • ワーグナー・ライヴinザルツブルク(歌劇「タンホイザー」序曲、ジークフリート牧歌、楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死 ノーマン (S) カラヤン/ウィーンPO(DG POCG-20031)
ふらっと書店に入ったら、ロストロポーヴィチの評伝が目に入った。「ショスタコーヴィチとともに」という章もあったので、即購入。ロストロポーヴィチの華々しい経歴や、ソヴィエト市民権剥奪前後の事情、ペレストロイカで1990年に帰国した際の出来事などについては、多数の本や映像で知ることができるが、ソ連時代の細かな生い立ち等について第三者が客観的に記した文献は(少なくとも日本語では)なかったため、大変興味深い内容となっている。ロストロポーヴィチ夫妻が存命中であることから、彼らにとって不利な記述はほとんど見当たらないものの、ロストロポーヴィチのファンにとっては必読書といえるだろう。もっとも、1990年の歴史的な帰国については、かつてLDでリリースされていたドキュメンタリー(Sony SRLM 972 [LD])をなぞっているようにしか思えないので、主としてソ連にいた頃までの内容が中心だと言えるだろう。ただ、一つだけ残念なのは、日本語訳が悪いこと。訳者がクラシック音楽に詳しくないのだろうが、とにかく人名表記がひどい。これは、きちんとチェックを行わなかった編集者の責任だろう。また、音楽的な内容に関して、何を言わんとしているのか意味をつかみきれないような訳も少なくない。なお、原著の出版時期(1993年)からすると当然だが、最近の活動についての記述はないものの、あとがき代わりにロストロポーヴィチと日本との関わりについて若干記されている(この部分はヘーントヴァによるものではない)。ロストロポーヴィチが大相撲のファンで、テレビに映った春日野理事長(当時)を見て、「オォ!トチニシキ!」と言ったエピソードには大笑い。

さて、5月18日付の本欄でクレンペラーのワーグナーに大感激した話を書いたが、当初の目的であった「ジークフリート牧歌」については素晴らしい演奏だとは思ったものの、弦楽器の人数が絞り込まれていたために、大編成による演奏をどうしても聴いてみたかった(実は、何年か前にデプリースト/大阪フィルの定期演奏会で聴いているのだが、全く印象に残っていない…)。ネットを検索して評判の良さそうな音盤の中から、最晩年のカラヤンによるライヴ録音を選択。早速、Tower Records梅田店で確保した。

これは美しい。とにかく美しい。ワーグナーとかどうとかそんな次元ではなく、音楽としか形容できない世界が終始展開される。カラヤンにしても、ウィーン・フィルにしても、ここまでの演奏というのはめったにあり得なかったに違いない。あらゆる音が優しく豊かに響き、隅々まで磨き抜かれている。ノーマンの「愛の死」は完璧。これ以外に聴く気がしない。言葉を連ねるのはむなしいだけだ。もう一回聴こう。

theme : クラシック
genre : 音楽

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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