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自粛期間の終りにまとめて届いた音盤(2)

  • コレッリ:作品全集 ベルダー/ムジカ・アンフィオン (Brilliant 94112)
  • レーガー:作品集 (Brilliant 94663)
  • 「スピーク・ザ・ミュージック~ロバート・マンと室内楽の謎」「引退~ジュリアード弦楽四重奏団との最後の3日間」 (Accentus Music ACC 20323 [DVD])
  • 「ギドン・クレーメル:自分の声を見つけること」 (Accentus Music ACC 20414 [DVD])
6月9日のエントリーの続き。

普通のヴァイオリン学習者と同様、私にとってのコレッリは、「ラ・フォリア」「クリスマス協奏曲」「コレッリの主題による変奏曲(クライスラー)」の作曲家である。バロック音楽の様式とか、作曲家間の関連とか、全く知識のない私には、とりあえず一人の作曲家の全貌を俯瞰してみるという点で、寡作家のコレッリはちょうど良い。

コレッリの生前に出版された(=作品番号のついている)作品の全てと、未完の4声のソナタ(WoO.3)以外の作品番号のない作品の全てが収録されているので、文字通りの「作品全集」である。

コレッリの作風などを総括できるような見識はないが、ヘンデルのヴァイオリン・ソナタや合奏協奏曲に通じる幾ばくかの感傷を感じさせる旋律や、技巧的ではないにもかかわらず華やかなパッセージなど、個々の作品を同定して聴いたわけではないものの、10枚のCDを愉しみながら一気に聴き通すことができた。

ピリオド楽器の演奏にも全く詳しくないが、ここで演奏しているボーデと山縣さゆりの巧さには感心した。何より、音が素晴らしい。


ピアノ曲、オルガン曲とBOXセットでまとめて聴いてきたレーガーの、今度もまたBOX。管弦楽曲中心だが、室内楽曲、オルガン曲、合唱曲も付いていて、お得な内容である。いずれもBerlin Classicsレーベルの旧録だが、細かいことはともかく、レーガーに期待する音が期待通りに鳴り響いているだけで十分に満足。収録曲は、以下の通り:
DISC 1:スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン
バレエ組曲 Op.130
古い様式による協奏曲 Op.123
ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ Op.86
DISC 2:コンヴィチュニー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
ヒラーの主題による変奏曲とフーガ Op.100
DISC 3:ボンガルツ
モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ Op.132(シュターツカペレ・ドレスデン)
ベックリンによる4つの音詩 Op.128(ドレスデンPO)
DISC 4:ボンガルツ
シンフォニエッタ Op.90(ドレスデンPO)
希望に Op.124(ブルマイスター (A) ライプツィヒ放送SO)
愛の讃歌 Op.136
DISC 5:シェルツァー (Vn) ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデン
ヴァイオリン協奏曲 Op.101
DISC 6:ウェーバージンケ (Pf) ヘルビヒ/ドレスデンPO
ピアノ協奏曲 Op.114
DISC 7:レーグナー/ベルリン放送SO
ある悲劇のための交響的プロローグ Op.108
ロマンティック組曲 Op.125
DISC 8:ヴァレリウス・アンサンブル
弦楽三重奏曲第1番 Op.77b
クラリネット五重奏曲 Op.146
DISC 9:ヴァン・デン・ブレーク (Org)
コラール幻想曲「われらが神は堅き砦」 Op.27
コラール幻想曲「おおわが魂よ、大いに喜べ」 Op.30
2つのコラール幻想曲 Op.40
DISC 10:ヴァン・デン・ブレーク (Org)
3つのコラール幻想曲 Op.52
DISC 11:クノーテ/ベルリン放送cho
8つの宗教的歌曲 Op.138(抜粋)
宗教合唱曲集 Op.110(ハレ・コレギウム・ヴォカーレ)

スウィトナー指揮のDISC 1と、DISC 11の合唱曲が特に気に入った。とりわけ合唱曲はもう少し深入りしてみたい。またBOXを買うことになるのだろうか……


ジュリアードQのリーダー、ロバート・マンのドキュメンタリーは、特典映像であるカルテット最後の3日間の密着ドキュメントも含め、全編にカルテット愛が満ちた見応えのある内容。カルテット引退後は奏者としては少々痛々しいところもあるが、カルテットを知り尽くした巨匠ならではの、情熱溢れるマスタークラスには感銘を受けた。ボロボロになったベートーヴェンのスコアがDover版なのには、ちょっと笑ってしまったが。


クレーメルのドキュメンタリーは、単純に彼の生涯を追うのではなく、基本的には近年の多彩な音楽活動を中心に、彼の音楽観を、その人生の背景などを交えつつ明らかにしようというもの。日本語字幕付きだが、お世辞にも読みやすい訳とは言い難い。

それにしても、衰えを知らぬ音楽と技術の冴えには、舌を巻くしかない。たとえば、彼のピアソラなどはあまりにも自身のスタイルに寄せ過ぎた音楽で好きではないのだが、この映像で取り上げられている音楽は、クレーメルのスタイルと楽曲とが不可分とすら思える親和性を持ったものばかりで、いずれも断片でしかないにもかかわらず、有無を言わさぬ凄みと説得力に圧倒される。

ドキュメンタリーで取り上げられたヴァーインベルグのヴァイオリン協奏曲も素晴らしい演奏だが、彼自身がヴァイオリン用に編曲した24の前奏曲の全曲は、それ以上に冴えまくった凄演。写真を映しながらの演奏というパフォーマンスは、音楽に対してあまりにも具体的な印象を押し付けられるようで好みではないが、ヴァーインベルグの音楽に、そうした具体的な映像を想起させるような側面があるのもまた事実。いずれにせよ、技術的に似たような水準の演奏は今後現れる可能性はあるが、この音楽的な多彩さは、おそらく未来永劫クレーメルの演奏でしか聴くことができないに違いない。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Kremer,G.

KGB愛唱歌集

  • Hommage a Piazzolla クレーメル (Vn)他  (Nonesuch 7559-79407-2)
  • ソビエト赤軍思い出の名唱集 (Melodiya MEL-615)
  • 《ソヴィエト諜報大作戦》KGB愛唱歌集
クレーメルのピアソラ・アルバムは、いわゆるピアソラ・ブームの火付け役となったという以上の価値はないと思う。買って以来聴くこともなかったが、今日これを取り出したのは「疲れた太陽」が収録されているのを思い出したから。デジャトニコフの編曲はタンゴとは全く異質なもので、その意味ではこのアルバム中最も成功している一曲と言えるだろう。『話の話』にしろ『太陽に灼かれて』にしろ、使われているアレンジは完全にコンチネンタル・タンゴのスタイルであるのであまりこだわる意味はないのだろうが、一度アルゼンチン・タンゴのスタイルでこの曲を聴いてみたいものだと思う。メロディ自体はそのスタイルによく合うと思うし。

大祖国戦争前後の大衆歌曲を集めたアルバムは何枚か持っているが、オリジナル(?)の音源を集成したこの「ソビエト赤軍思い出の名唱集」は、全編を貫く時代の雰囲気がたまらない。シュリジェンコが歌う「青いプラトーク」は僕の大好きな曲。これが「疲れた太陽」と同じペテルブルグスキイが作曲したものだということは、昨日まで知らなかった。

僕が持っているCDの中でも最高級に胡散臭いタイトルなのが、この「KGB愛唱歌集」。新世界レコード社の通販カタログで見つけて出張で東京に行った時に購入したもの。レーベル名は明記されおらず、ディスク番号もない。自主制作なのか?でも、それにしては音も良い。ブックレットもお好きな方にはたまらない写真が満載。実にしっかりとした作りのアルバムである。佐々木功のようなバスが紡ぐ郷愁に満ちたメロディの数々は、たまらなく魅力的。でも、もっと凄いのは収録曲の曲名。それを眺めるだけでも面白い。
  1. 祖国はどこから始まるか
  2. つらい任務
  3. 楯と剣
  4. 初代非常委員会議長ジェルジンスキー讃歌
  5. ソヴィエト・チェキスト(非常委員)讃歌
  6. ジェルジンスキー主義者の歌
  7. 白樺の樹液
  8. この日は何処に
  9. 同志ゾルゲ
  10. チェキストの歌
  11. 諜報部員ゾルゲ
  12. ひととき
  13. 遠い祖国の歌
  14. わが運命はいかに
  15. ジェイムズ・ボンドの歌
  16. 鉄の懲役
  17. 思い出
  18. スラヴ娘の別れ

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : Tango_etc. USSR大衆歌曲. 演奏家_Kremer,G.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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