【YouTube】ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番(D. オーイストラフ独奏)

12月11日の記事で紹介したD. オーイストラフによるショスタコーヴィチの協奏曲が、膨らみまくった期待を満たしてくれるものではなかったので、リベンジを。YouTubeにアップされている映像は、おそらく『アート・オブ・ヴァイオリン』と『太陽への窓』の中に収録された断片の出典なのだろう(これを書いている時点では、きちんと確認していない)。

オーケストラには鈍重さが感じられるし、オーイストラフだってノーミスではない。しかし、先のCDでは削ぎ落とされていた猛烈な緊張感と巨大な存在感が、この動画には満ち満ちている。目先の鋭さや鮮やかさが聴き手を弾きつけるのではなく、地の底から湧いてくるかのような重量感たっぷりの音楽が、空間も、そして聴き手の心をも否応なしに支配してしまう。これぞ、オーイストラフの真骨頂。

第1楽章(1)第1楽章(2)~第2楽章(1)
第2楽章(2)~第3楽章(1)第3楽章(2)
第4楽章
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
D. オーイストラフ (Vn)、フリッケ/シュターツカペレ・ベルリン


本ブログでもこれまでに少なくない数の動画を紹介してきたが、YouTubeニコニコ動画といった動画共有サービスのサイトにアップされているショスタコーヴィチ関連の動画は結構な数になる。ファイル容量の関係で1曲が数個のファイルに分割されていることがほとんどで、それらを探し当てるのに手間取っては、せっかくの鑑賞の興をそぐことにもなりかねない。自分用のブックマークがてら、それらを一覧にしてショスタコーヴィチのHPのコンテンツに追加してみた。

このリストを作成しながら見つけた動画を、オマケに。ヴェンゲーロフとジルベルシテインの二重奏である。動画には「8つの前奏曲」とタイトルがつけられているが、ツィガーノフの編曲は10曲のセットである。最初の第2番と第6番の2曲が欠落しているだけで、残りは曲順も「10の前奏曲」と一致する。動画の開始部分の雰囲気からみても、当日は10曲が演奏されたのではないかと推測する。両者ともに無類の名手であるから、この手の小品の鮮やかさは実に見事である。

ただ、こうしてD. オーイストラフとヴェンゲーロフとを並べてみると、ヴァイオリン演奏の流儀も、たかだか数十年の間に随分と変わったものだと改めて思う。

第12、13、17、18、19曲第21、22、20曲
ショスタコーヴィチ(ツィガーノフ編):10の前奏曲より
ヴェンゲーロフ (Vn)、ジルベルシテイン (Pf)(2006年 モスクワ)
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ソヴィエト・エコーズ

  • ソヴィエト・エコーズVol.1「遺産の陰に」 (Happinet Music HMBC-1002 [DVD])
  • ソヴィエト・エコーズVol.2「特権と圧力」 (Happinet Music HMBC-1003 [DVD])
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第30、40、41番、「泉のほとりで(ああ、私は恋人を失くした)」による6つの変奏曲 D. オーイストラフ (Vn) バドゥラ=スコダ (Pf) (Andante AN 2200 [CD+DVD])
  • モーツァルト:セレナード第10~12番 チェコ・フィルハーモニー木管アンサンブル (Supraphon COCQ 84088~9)
  • シベリウス:交響曲全集、ヴァイオリン協奏曲 D. オイストラフ (Vn) ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO (Venezia CDVE44237)
ハピネット・ピクチャーズから、お宝映像が発売されたとのことで、早速Tower Records難波店へ。第3巻はショスタコーヴィチとあまり関係ない内容だったので、購入を見送った。ショスタコーヴィチ関係の映像はいずれもどこかで見たことのあるものばかりだったのは残念だが、ティーシチェンコが弾き語る「ラヨーク」など、ドキュメンタリーとしてはなかなか面白い仕上がりで一気に観てしまった。なんとも軽薄な響きがする英語のナレーションは邪魔だが、貴重な映像がふんだんに用いられているので、ソ連音楽ファン必携のDVDといえるだろう。それにしても、1974年の「鼻」の再演映像は何度見ても泣ける。思い通りの響きが展開されるのを聴いて、子供のように嬉しそうな笑みを浮かべて興奮するショスタコーヴィチの顔は、本当に感動的。

さて、いつも通り“ついでの”買い物を物色。ショスタコーヴィチ関連には目ぼしいものがなかったので、今回は久しぶりにショスタコーヴィチ以外のCDばかり。といっても、ソ連・東欧系の演奏家ばかりですが(^^;

Andanteレーベルからリリースされたオーイストラフ&バドゥラ=スコダのモーツァルトは、同時期のスタジオ録音の2枚組CDを既に持っているので、それとは別のライヴ録音であっても本来なら購入を控えるところなのだが、なんとこのアルバム、DVDがセットになっている。変奏曲だけは以前に知人の好意でCLASSICA JAPANの録画を見せてもらったことがあるのだが、大好きなK. 454も含めて3曲も収録されている以上、これは買い逃すわけにいかない。映像と音声のずれは気になるが、格調高い二人の演奏姿に目が釘付け。バドゥラ=スコダの奏でるベーゼンドルファーの音色もたまらない。これぞ音楽!ですね。

別にモーツァルト・イヤーを意識したわけでもないのだが、モーツァルトをもう1枚。管楽合奏用のセレナードは大好きなのだが(特に変ホ長調K. 375)、それを1969年のチェコ・フィルのメンバーで聴けるとなれば、無条件に購入するのが当然だろう。「スプラフォン・ヴィンテージ・コレクション」というシリーズは、非常にこだわりのある、必ずしも一般受けしない音盤を意欲的に復刻している好企画だが、こうした“隠れた”名盤が発掘されるのは本当に嬉しい。演奏は、ローカル色の強い響きと、懐かしさすら感じさせるロマンティックで穏やかな音楽が非常に魅力的。僕の好きな第11番では少々ゆったりし過ぎとは思ったものの、自然体で楽しみながら楽器を奏でているだけなのに、極上の音楽に仕上がってしまう様は圧巻。

ロジデーストヴェンスキイによるシベリウスの交響曲全集はLPで所有しているのだが、Venezia盤が売れ行き好調なようなので、入手困難になる前に確保した。まぁ、安いですしね(^^; この全集は本当に素晴らしい。分厚い弦と重量級の輝かしい金管がシベリウスの響きとは異なるようにも感じられるが、非常に劇的な音楽の作りがシベリウスの魅力を見事に描き出している。もちろん、密やかな部分の緊張感と美しさにも不足しない。ムラヴィーンスキイの第7番なども同傾向なので、ロシアのシベリウス演奏の伝統とでもいうようなものがあるのかもしれない。LPを引っ張り出すことはあまりなかったので、今度の日曜日に演奏予定の第2番以外は久しぶりに聴いたのだが、いずれの曲にも感心しきり。第3番の華やかさなんて、ロジデーストヴェンスキイ以外にはできないんじゃないだろうか。第6番の強靭でよく歌う弦楽器も、たまらなく魅力的。

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オーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチ(Yedang)

  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番、シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D. オーイストラフ(Vn) リヒテル(Pf) (Yedang YCC-0096)
  • サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番、組曲「動物の謝肉祭」、ブラームス:幻想曲集 作品116 E. ギレリス、ザーク(Pf) シャフラン(Vc) P. ベリルンド、エリアスベルグ/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0066)
  • べートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9&6番 L. コーガン(Vn) N. コーガン(Pf) (Yedang YCC-0046)
  • ブラームス:チェロ・ソナタ第1&2番、べートーヴェン:チェロ・ソナタ第4番 ロストロポーヴィチ(Vc) デデューヒン、リヒテル(Pf) (Yedang YCC-0079)
  • べートーヴェン: 弦楽三重奏曲第1番、J. S. バッハ:管弦楽組曲第3番より「アリア」、ヘンデル:ソナタ集 作品1-13よりラルゲット、シューベルト:即興曲第3番、ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ L. コーガン(Vn) バルシャイ(Va) ロストロポーヴィチ(Vc) ヤンポリスキイ、デデューヒン(Pf) アノーソフ/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0090)
まだまだ、Yedang Classicsのクリスマス・ボックス。基本的に大好きな演奏家ばかりなので、毎日聴いていても飽きない。

オーイストラフ&リヒテルの二重奏は、非の打ち所がない名演。1966年のライヴ録音なので音質は今ひとつだが、高貴で深遠な極上の音楽の前では些細な問題。ブラームスの第3番はバウエルとの演奏を1月17日の本欄で取り上げたが、細部の表情等も含めてこのリヒテル盤の方が密度の高い仕上がりになっている。

「Shafran & Gilels」というアルバム、中身を見てみたらシャフランは「動物の謝肉祭」のみ。実態はギレリス・アルバム。ギレリスのサン=サーンスの第2番はクリュイタンス盤を持っているが、音楽の推進力と録音状態は本盤の方が格段に良い。一方、オーケストラの仕上がりは大分落ちる。ギレリスの名人芸的な魅力が、存分に発揮されている。「動物の謝肉祭」は録音が悪いのが残念だが、全体に覇気が満ちていて結構楽しい。シャフランの「白鳥」も美しい。このアルバムの白眉は、ブラームスの作品116。1983年というギレリス晩年の演奏だが、硬質で量感のある透き通ったギレリスのタッチが作品との相性抜群。全てのフレーズが渋い輝きを放っている。名演。

コーガン父娘によるベートーヴェンのソナタは、異様にテンションの高い大熱演。「クロイツェル」が凄まじい。両端楽章の狂気と中間楽章の繊細さの両立に、コーガンの懐の深さを感じる。第6番の方は、もう少し典雅な雰囲気があってもいいかな。それにしても、本当によく響くヴァイオリン。一度でいいから、こんな音を自分で出してみたい。

ロストロポーヴィチによるブラームスのソナタはR. ゼルキンとのDG盤が名盤の誉れ高いが、僕は聴いたことがない。柄の大きな歌が魅力的だが、第1番は少し締りがないようにも思われた。少々拍子抜けして第2番に進んでみると、これが格調高く素晴らしい演奏。慌ててジャケット裏を確認したところ、この曲だけピアノがリヒテルだった。ロストロポーヴィチが偉大なチェリストであることに異論はないが、肥大しがちな彼の音楽をきちんとコントロールできるパートナーが必要なのかもしれないと、この録音を聴いて思った次第。

コーガン、バルシャイ、ロストロポーヴィチの弦楽三重奏は、期待通りの演奏。それぞれがソリスティックな魅力を放ちながらも、不思議と一体感のあるまとまりを感じさせる。ロストロポーヴィチによる小品も、恥ずかしげもなくロマンティックでなかなか良い。

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オーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチ(Yedang)

  • プロコーフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1&2番、バレエ「ロメオとジュリエット」より「仮面」(ハイフェッツ編)、ヴァイオリンとピアノのための5つのメロディー D. オーイストラフ、L. コーガン(Vn) ムイトニク、ヤンポリスキイ(Pf) コンドラーシン/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0016)
  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」 D. オーイストラフ(Vn) バウエル(Pf) (Yedang YCC-0077)
  • サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番、プロコーフィエフ:交響的協奏曲 ロストロポーヴィチ(Vc) ストリャーロフ/モスクワ放送SO、K. ザンデルリンク/レニングラードPO (Yedang YCC-0155)
  • エルガー:チェロ協奏曲、ブリテン:チェロ交響曲 ロストロポーヴィチ(Vc) ラフリン、ブリテン/モスクワPO (Yedang YCC-0043)
Yedang Classicsクリスマス・ボックス、ようやく半分くらいまで消化してきた。まだ何が残っているのか、実はきちんと把握していない…(^^;。

で、今日はオーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチと、弦楽器の神様達のアルバムを集中的に。

まずは、プロコフィエフ作品のアルバムから。これらの作品の最も理想的な演奏であることは、いまさら疑う余地もない。隅々まで自然な音楽の息吹きに満ち溢れ、作品の魅力が十二分に表出されている。技術的にも、当然ながら完璧な出来。終始圧倒される一枚。

オーイストラフとバウエルのソナタ集は、まさに名曲の名演といった形容がふさわしい。高貴なロマンティシズムを感じさせるブラームス、貫禄たっぷりのベートーヴェン、いずれも最大級の賛辞を受けて然るべき演奏。

ソ連時代のロストロポーヴィチは、いつ聴いても素晴らしい。2枚のアルバムに4曲の協奏曲が収録されているが、多彩な作曲家の作品を見事に弾き分けながらも、一方で深くロストロの刻印が刻み込まれているのが印象的。いずれも録音はあまり良くないのが残念だが、プロコーフィエフやブリテンといったロストロのための作品はもちろんのこと、サン=サーンスやエルガーにおいても作品に極限的な巨大さを与えるロストロの名技が光る。なお、ブリテンは世界初演の貴重な記録とのこと。

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現実逃避の日々

  • J. S. バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲、モーツァルト:協奏交響曲、ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲、J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番よりブーレ D. オーイストラフ (Vn & Va) I. オーイストラフ (Vn) メニューイン (Vn & 指揮) ロストロポーヴィチ (Vc) コンドラーシン/モスクワPO他 (EMI DVB 490450 9[DVD])
  • レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ シュタイン/ベルリンPO (WOWWOW [録画])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 K. ザンデルリンク/クリーブランドO (Erato WPCS-5539)
  • Paris1955 ピアソラと彼のオルケスタ (Sono Punch EU1045)
25日はかぶとやま交響楽団の練習。レーガーの初見だった。まともにメンバーが揃わなかったので、文字通り初見しただけという感じだったが、いやはや難しい曲ですな。正確に弾けないとそれだけで台無しになってしまう部分が多くて、どうやって仕上げたものかと途方に暮れてしまう。まぁ、きちんと一つずつ積み重ねるしかないのだけれど。

オーイストラフのDVD、残るモーツァルトとブラームスを観た。メニューインの偽善的な微笑みはどうしても好きになれないが、モーツァルトは実にくつろいでいて、また華やかな、とても素敵な演奏。それにもまして、ブラームスの圧倒的な完成度。確かにロストロポーヴィチがでしゃばりすぎなのだが、オーイストラフもコンドラーシンも大人の器量で包み込んでいる。単なるロシアン・テイストというのを超えた、ブラームスの響きにただただ魅了された。

レーガーのビデオを知人から借りた。肝心な部分のボウイングが映ってなかったりして今ひとつ参考にならなかったが、演奏自体はしっかりとしたもの。こういう曲はいかに正確に楽譜を再現できるかが勝負な部分もあるだけに、ベルリンPOの達者さには素直に感心する。シュタインの音楽作りも地に足がついていて、作品の魅力をきちんと引き出している。1日のかぶとやま交響楽団の練習は僕が見たのだが、まぁ、再び初見といった感じでなかなか勉強の成果を反映させるところまでは行かなかった。それにしても、これを整理していくのは一苦労。

京都大学音楽研究会の先輩から、メールが来た。ふとしたことで聴いたショスタコーヴィチの第15交響曲に心を奪われたという内容。僕にまで飛び火してしまいました。最初の仏壇の鐘みたいな2発から完全にショスタコーヴィチの世界。ここで描かれている内容を理解するには、まだあまりにも人生経験が足りない。もっとも、死ぬ直前になっても理解なんてできないのかもしれないが。ただ、生に対する執着というか、異様なまでの生命力の強さが僕を縛り付ける。

ショスタコーヴィチの呪縛を解くために、若きピアソラのアルバムを聴く。ショスタコーヴィチとは対極でありながら、生きる力、情熱は同じように満ちている。こういう素晴らしい音楽を聴きながら、締め切りに追われる日々から逃避してる自分って…

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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