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スヴィリードフの宗教音楽と、レーガーのピアノ独奏曲

  • スヴィリードフ:バーンズの詩による歌曲、デニーソフ:バーンズの詩による5つの歌曲より、ショスタコーヴィチ:イギリスの詩人の詩による6つの歌曲より、レヴィチン:バーンズの詩による歌曲集、フレーンニコフ:バーンズの詩による5つのロマンスより サヴェンコ (B) ブローク (Pf)(Toccata TOCC 0039)
  • シェバリーン:プーシキンの詩による5つの無伴奏合唱曲、レールモントフの詩による3つの無伴奏合唱曲、ソフロノフの詩による3つの無伴奏合唱曲、タンクの詩による6つの無伴奏合唱曲、イサコーフスキイの詩による4つの無伴奏合唱曲、モルダヴィア詩人の詩による3つの合唱曲、子供のための4つの無伴奏合唱曲「我が孫たちに」、子供のための7つの無伴奏合唱曲「森の端で」、映画「グリーンカ」より国防市民軍兵の合唱「おお、我が夜明けよ」 ホンジンスキイ/ルースカヤ音楽院室内カペラ(Toccata TOCC 0112)
  • スヴィリードフ:聖歌と祈祷 プリシュ/クレド室内合唱団(Toccata TOCC 0123)
  • ラフマニノフ:晩祷 スヴェトラーノフ/ブルガリア合唱団(Russian Disc RDCD 00719)
  • ヴィラ=ロボス:アマゾンの森 ゲラシーモヴァ (S) スヴェトラーノフ/ロシア国立SO(Russian Disc RDCD 00530)
  • レーガー:ピアノ独奏曲全集 ベッカー (Pf)(NCA 234239)
かなり間が空いてしまったが、11月8日のエントリーに続き、アリアCDから届いた音盤を。

Toccataレーベルのセールでは、声楽曲ばかり3枚をオーダー。

ロバート・バーンズの詩によるロシア人作曲家の作品を集めたアルバムは、スヴィリードフとショスタコーヴィチの有名曲と、世界初録音のレヴィチンの作品などのあまり聴かれる機会のない曲とがバランスよく配置された聴き応えのある一枚。サヴェンコの歌唱は現代的な洗練を感じさせるもので、旋律の明晰なフレージングと、伴奏の和声に寄り添って移ろう色合いの変化が美しい。収録曲の全てがそれぞれに魅力的だが、歌謡曲的な旋律線という点で、フレーンニコフの作品が記憶に残った。デニーソフ作品の美しさも忘れ難い。


シェバリーンの無伴奏合唱曲全集というのも、このレーベルならではの企画。シェバリーンにとってこの編成が重要な位置を占めていたことがよく分かる分量だ。モスクワ音楽院の院長であったシェバリーンの後任がスヴェシーニコフだったのも、故なき事ではなかったのかもしれない。収録曲の間にそれほど大きな作風や曲調の違いは見出せず、いずれもロシア民謡風の素朴さが楽しい。もっとも、収録曲は全てジダーノフ批判以降の作品であることを忘れてはならない。


スヴィリードフの晩年は専ら宗教曲に没頭したようだが、「聖歌と祈祷」はその集大成のような曲集。ただ、奉神礼(カトリックでいうミサのようなもの)などを当初から想定して系統立てて作曲された訳ではなく、曲順等はあってないようなもの。このアルバムでは、旧約・新約それぞれの話の流れに沿って配列されている。

これがとてつもなく美しい。とにかく美しい。信者であれば各曲の表題や歌詞からその宗教的な内容も加味して聴くことができるのだろうが、この神々しい美しさはその知識が皆無な私の心をも優しく、それでいて力強く鷲掴みにする。


私にとってロシア正教会の宗教音楽といえば、何はさておきラフマニノフの「晩祷」である。結局のところはスヴェシニコフ盤に回帰してしまうのだが、スヴェトラーノフのラフマニノフとなれば一度は聴いておきたく、この機会に入手。しかし残念ながら、合唱の強烈なブルガリア色が耳につき過ぎて、スヴェトラーノフの解釈云々に辿り着くことができなかった。ロシアの女声もかなり鋭いが、比較にならない。


ヴィラ=ロボス最晩年の大作「アマゾンの森」は、ヘップバーン主演の映画「緑の館」(1959)の映画音楽を再構成した作品。ディスクを通してチャプターが1つしか打たれていないため、スコア無しでは楽曲構成のポイントを把握するのが難しく、結果としてラテン色に満ちた気怠くも官能的な情感を漫然と愉しむだけになってしまった。スヴェトラーノフの演奏はこうしたヴィラ=ロボスの音楽に期待される要素を手堅く的確に表出しており、作品を知るという点において十分に優れた演奏である。ただし、どんな曲でもロシア色に染めてしまう強烈な「スヴェトラーノフ/ロシア国立響」の刻印を求めるファンには物足りなさが残るかもしれない。


今回最大の買い物は、レーガーのピアノ曲全集。Max-Reger-Instituteのサイトで見る限り、作品番号なしの作品については若干の未収録もあるようだが(それらが演奏できる状態で遺されているかどうかは知らない)、「全集」と称するに十分値する労作である。この膨大な量の作品群を、音楽的にも技術的にも非常に高い水準で、しかも一人で弾き切っているだけでも驚嘆する。さすがに数度聴いた程度で各曲を個別に認識することは無理だが、どの曲にも咽せ返るほど濃密な後期ロマン派的情緒が充満し、「ドイツ」の名に期待する響きが十全に繰り広げられている。総じて私の好みど真ん中の楽曲と演奏であり、CD12枚を聴き通すことに何ら苦労はない。私が知るレーガーは、専ら室内楽曲と弦楽器の独奏曲ばかりだが、彼の魅力はピアノ曲の方が理解しやすいのかもしれない。もっと演奏頻度が高くてもよいと思うし、もっと広く聴かれてもおかしくないとも思う。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Sviridov,G.V. 演奏家_Svetlanov,E.F. 作曲家_Shostakovich,D.D.

【ニコニコ動画】ラフマニノフ:交響曲第2番(スヴェトラーノフ指揮)

ニコニコ動画で、スヴェトラーノフが指揮したラフマニノフの交響曲第2番の全曲映像を見つけた。昨年の11月末に投稿されていたようだが、不覚にも全く気付かなかった。この映像の一部は随分前にYouTubeで視聴したことがあったが、この曲の白眉とも言うべき第3楽章の佳境手前のいいところだけが抜粋されていたので、是非とも全曲を視聴したいと思っていた。

1973年の収録にも関わらず白黒で、画質、音質共に優れないということは、あらかじめ断っておきたい。マスターに由来するのか投稿者所有のソースに由来するのかは分からないが、気になるレベルのノイズもほぼ全編を通してある。これらの事が気になるのならば、この映像はあまり楽しめないかもしれない。

壮年期のスヴェトラーノフの演奏は、Canyonレーベルの全集録音や、最晩年の2000年にNHK交響楽団を振った演奏の深み、あるいは高みには達していない。しかし、筋肉質で颯爽とした、それでいて甘美な泥臭さも感じさせる音楽は、この時期のスヴェトラーノフならではであろう。全員が音楽に没入しているかのようなオーケストラの姿、そして彼らの前に、少々の気取りを漂わせながら君臨するスヴェトラーノフの姿。物理的な品質の劣悪さを越えて、映像で視聴する愉しさや悦びを存分に味わうことのできる素晴らしい動画である。

投稿者に感謝!

第1~2楽章第3~4楽章
第3楽章(一部)
ラフマニノフ:交響曲第2番
スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO(1973年)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Rachmaninov,S.V. 演奏家_Svetlanov,E.F.

【YouTube】スクリャービン:交響曲第5番「プロメテウス」(スヴェトラーノフ指揮)

YouTubeで、絶頂期のスヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SOによるスクリャービンの動画を見つけた。エフゲニー・スヴェトラーノフのページをチェックしてみると、掲示板にこの動画の情報が投稿されていた。ピアノはリヒテルで、Russian Discなどからリリースされていた演奏と同一の可能性があるとのこと。僕は当該音盤を架蔵していないので、残念ながら確認はできない。

当時60歳のスヴェトラーノフに気取ったような身振りはなく、音楽同様の力強さを放出しながらも、むしろ淡々とした貫禄を感じさせる指揮姿である。もちろん、鳴り響く音楽はこのコンビならではのアクの強いもので、スクリャービンの醍醐味を本能的なレベルで愉しむことができる。オーケストラの中で弾くリヒテルの姿も興味深い。

スクリャービン:交響曲第5番「プロメテウス(火の詩)」
リヒテル (Pf)、スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO(1988年4月12日)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Scriabin,A.N. 演奏家_Svetlanov,E.F.

スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SOの1978年来日公演(DVD)

  • チャイコーフスキイ:交響曲第6番「悲愴」、ショスタコーヴィチ:森の歌、 マースレンニコフ (T) ヴェデールニコフ (B) スヴェトラーノフ/ソビエト国立SO、モスクワ放送cho、東京荒川少年少女合唱隊 (NHK NSDS-9489 [DVD])
5月28日の記事で紹介した買い物の続き。

最近の買い物のほとんどは、“何を今さら”といった感じのものばかりだが、ショスタコーヴィチ作品の全録音を収集することがたとえ現実的には困難だとしても、話題になった、あるいは注目すべき顔ぶれの音盤を無視する訳にはいかない。スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SOの日本公演のDVDも、その一つ。リリースから1年を経て、ようやく購入した。

もちろん、目当ては「森の歌」。バス歌手が「ヴェジョールニコフ」とクレジットされていたので、初めて聴く歌手かと楽しみに観始めたのだが、何のことはない、「ヴェデールニコフ」のNHK独自表記だっただけ。

同年の有名な録音(映像もある)に比べると、ややゆったりとしたテンポで、作品の抒情性がより強調されているように感じられる。この印象は、録音の特性による部分も少なくはないだろう。合唱が遠く、全体に大人しい音作りがされているようだ。

それでも、スヴェトラーノフ独特の巨大さは圧倒的に伝わってくる。終楽章のコーダなどは、居ても立ってもいられなくなるような凄まじい迫力と興奮で視聴者を強く捕らえる。こんな音楽をされたら、バンダの日本人達が最後の最後で息が足りなくなるのも仕方ないだろう。前述した有名なライヴ録音には第2楽章の合唱の入りが乱れるなどの瑕もあるので、この映像には単なる記録以上の価値があることに疑う余地はない。

「悲愴」も、どこかくつろいだような雰囲気があるが、聴かせどころをしっかりと押さえた音楽作りはさすが。映像の入手や商品化には少なくない苦労があったようだが、それは十分以上に報われている。音質はともかく、画質は褒められたものではないが、一度観始めたら、もはやそんなことは気にならない。とても素晴らしいDVDである。

HMVジャパン

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Svetlanov,E.F.

【YouTube】ショスタコーヴィチ:交響曲第5番(スヴェトラーノフ指揮)

YouTubeに、今度はスヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SOによるショスタコーヴィチの交響曲第5番のライヴ映像がアップされていた。はやしひろしさんのエフゲニー・スヴェトラーノフのページをチェックすると、この演奏会の前半(プロコーフィエフの古典交響楽団とヴァイオリン協奏曲第1番)はDVD(Image Entertainment 9331)になっているが、後半のこの曲はなぜかお蔵入りしているとのこと。

ところがこの演奏、お蔵入りさせておくには余りに惜しい、大変素晴らしいものである。このコンビらしい大柄な表情と重量感のある切れ味もさることながら、終始早めのテンポで繰り広げられる音楽の緊迫度が傑出している。特に、内面が暴走しているような切迫した推進力は、スヴェトラーノフのショスタコーヴィチ演奏では他に聴かれないもの。たとえば第3楽章などはもっと深く沈潜するような音楽の方が僕の好みではあるが、それでも、この演奏に心を動かされずにいることはできない。

是非ともソフト化を望みたい。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第2楽章
第3楽章(1)第3楽章(2)
第4楽章
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (1991年 フランクフルト アルテ・オーパ)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Svetlanov,E.F.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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