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NHK交響楽団第1911回定期公演

  • イツァーク~天才バイオリニストの歩み~ (2017 録画 [NHK ETV(2019.7.5)])
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ヴァーインベルグ:交響曲第12番「ショスタコーヴィチの思い出に」 グルズマン (Vn) 下野竜也/NHK SO (2019.4.24 録画 [NHK ETV(2019.7.14)])
近年、その活動を耳にすることがなかったパールマンだが、ドキュランドへようこそで紹介されたアメリカのドキュメンタリーでごく最近の姿を見ることができた。てっきり年齢的な衰えで活動を縮小しているのだとばかり思い込んでいたが、演奏の鮮やかさに衰えは全く感じられなかった。そもそも彼は1945年生まれなので、まだ後期高齢者ですらない。

さて、このドキュメンタリーでは複数のテーマ(「ユダヤ人」「妻トビー」「障がい」「演奏家としてのキャリア」「近年の活動」)が扱われているが、それぞれに興味深い映像が盛り込まれており、たった45分の番組にもかかわらず極めて充実した内容となっている。楽器の表板の裏にヒトラーの名が書かれている場面などはかなりの衝撃ではあったが、私は専ら近年の演奏に目を奪われた。ヴァイオリニストに限らず、単一の楽器には物足りなくなって指揮者に転向する名奏者は少なくないが、パールマンは徹底してヴァイオリン一筋であるところが、私の好むところである。彼の演奏姿からは、いまだにヴァイオリンを弾く愉しさや悦びが溢れ出している。冒頭でアメリカ国歌を楽しそうに弾くパールマンを観ると、あぁヴァイオリンっていいな、と改めて思う。


NHK交響楽団第1911回定期公演は、その素晴らしいプログラムで私の知人も数多く足を運んだようだが(そのわりに、客席には空きが目立ったらしい……)、その様子がクラシック音楽館で放送された。この種の番組にマニアックな深い情報を求めるものではないが、とはいえ、明らかにマニアックな意図を持って組まれたプログラムを放送するのだから、もう少し深入りした解説があってもよかったように思う。少なくとも下野氏には語るだけの知識や思い入れがあっただろう。たとえば、ヴァイオリン協奏曲の第3楽章の作曲直前にヴァーインベルグの義父であったミホエリスの殺害事件があったこと、そしてそれはジダーノフ批判の時期であったことなど、互いの壮年期にそういう時代を共に過ごしたことを念頭において、あの交響曲を聴けば、どこかとりとめのない印象にも聴き手それぞれが意味付けをできたようにも思う。

交響曲の演奏は、非常に手堅く、隅々まで明晰に処理された立派なもの。分裂した躁鬱の表現にはもっと極端さがあってもよいとは思うが、実演はおろか録音でも聴かれることの稀な作品のライヴとして、不満は全くない。ヴァイオリン協奏曲の方は、まるで譜面台にかじりついているかのような独奏からは何も感じることができず(協奏曲の独奏で楽譜を見ること自体に違和感があるわけではない)、オーケストラも悪い意味での安全運転に終始した、ただただ凡庸な演奏。
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tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Weinberg,M.

年始の視聴録

  • ドキュメンタリー『ショルティ/メイキング・オブ・マエストロ』、ベートーヴェン:交響曲第1番、シューベルト:交響曲第6&7番、ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、チャイコーフスキイ/交響曲第6番 ショルティ/シカゴSO、バイエルン放送SO (EuroArts 2087898 [DVD])
  • 玉木宏 音楽サスペンス紀行~ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番(録画 [NHK BSプレミアム(2019.1.2)])
  • スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2&6番、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番 ユジャ・ワン (Pf) ヴェンゲーロフ (Vn) パピアン (Pf) (2013.4.17/2013.6.12 録画 [NHK BSプレミアム])
  • モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番より第3楽章、ベートーヴェン:七重奏曲 チュマチェンコ (Vn) 鈴木学 (Va) 中木健二 (Vc) 池松宏 (Cb) 斎藤雄介 (Cl) 福士マリ子 (Fg) 福川伸陽 (Hr) 菊池洋子 (Pf) (2015.4.27 録画 [NHK BSプレミアム])
  • N響 伝説の名演奏~リクエスト特集~(チャイコーフスキイ:交響曲第5番、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」より、ベートーヴェン:交響曲第7番 スヴェトラーノフ、シルヴェストリ、サヴァリッシュ/NHK SO (1997.9.6/1964.4.5/2004.11.3 録画 [NHK ETV(2018.12.23)])
  • 弦楽四重奏で楽しむジャズ(Footprints、Milestones、Ana Maria、Nature Boy) エベーヌQ (2017.10.10 録画 [NHK ETV(2019.1.20)])
  • スヴィリードフ:「吹雪」、スクリャービン:ピアノ協奏曲、練習曲 Op.8-12、グラズノーフ:交響曲第7番 コロベイニコフ (Pf) ヴェデールニコフ/NHK SO (2018.12.1 録画 [NHK ETV(2019.2.3)])
  • 札幌交響楽団 アルプス交響曲 (2018 録画 [BS朝日(2019.1.5)])
2月も終わろうかというタイミングで“年始”というのも間抜けだが、1月中に視聴した録画等をまとめておく。

まずはアリアCDから届いた「ショルティ生誕100年記念ボックス」。ショルティは1912年の生まれなので随分前のリリースになるが、ボックスというよりは、ショスタコーヴィチの交響曲第9番を収録したDVD目当ての購入である。この映像自体はかなり以前からチェックしていたが、なぜかPAL形式の物しか見当たらなかった。特に強く観たいわけではない映像も含まれているものの、この機会を逃さぬようオーダー。

まずはショスタコーヴィチとチャイコーフスキイの1枚(Disc 3)から。これは1990年にミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニーでバイエルン放送交響楽団を指揮したもの。観ているだけで疲れてしまうようなショルティの精力的な棒さばきはいつも通り。ショスタコーヴィチは第2楽章がいささかせわしないものの、その他は抜群のスピード感で一気呵成に聴かせる。チャイコーフスキイも同様で、一切の妥協なく剛毅に突き進むショルティの音楽は「悲愴」としては異端の部類かもしれないが、第3楽章から第4楽章への接続など、独特の説得力を持っている。

Disc 1のドキュメンタリーは、ショルティ最晩年の音楽活動を記録したもの。過去の映像も適宜挿入されるが、容姿こそ老人のそれであるが、指揮ぶりや音楽に対する熱意などに年齢を全く感じないのには驚かされる。史料として取り立てて貴重なものではないが、音楽家ショルティの魅力を再確認させてくれる魅力的な映像作品である。

このボックスで最も興味深かったのは、注文時には特に気にも留めていなかったシカゴ響との1970年代の映像(Disc 2)であった。ショルティの音楽的な志向はここでも変わりないが、シカゴ響の極めて高度な合奏能力と、ショルティの意図を的確に音化するパートナーシップには、ただひたすら驚嘆するしかない。当時の常識的な演奏からすると、シューベルトにしては鋭利過ぎる響きが耳につくものの、ピリオド楽器による演奏に慣れた現代の耳にはむしろ違和感がないのが面白い。


年始早々インフルエンザに罹患してしまい、寝込んでいる内に「玉木宏 音楽サスペンス紀行」を録画しそこなったのは痛恨の極み。知人のご厚意でとりあえず観ることはできた。

これは2017年3月25日にBSフジで放送されたドキュメンタリー「レニングラード 女神が奏でた交響曲」(2018年3月30日のエントリー)と同様の、第二次大戦(大祖国戦争)時のレニングラード包囲戦とショスタコーヴィチの交響曲第7番とを題材とした番組である。アメリカでの西側初演を巡るスパイ映画まがいの経緯をクローズアップしていたのは面白かったが、新たな史実の類はないので、ショスタコーヴィチ・ファンの多くにとっては狂喜乱舞するほどの内容ではない。しかしながら、丁寧な取材に基づいた映像の訴求力は強く、当時の聴衆が受けた感銘の一片にしか過ぎないにせよ、交響曲第7番を特別な作品と見做すに足る思い入れを視聴者に与えてくれる。ただ、特に第1楽章に「(スターリンを含む)悪の表象」を聴き取ることに敢えて異論はないが、たとえば第3楽章などは純粋に愛国的な感情の発露と取る方が自然で、その点についての掘り下げがもう少しあってもよかったような気はする。玉木宏は声も姿も格好良かったが、番組を通してかけていたショスタコーヴィチ風の眼鏡は、ちょっと微妙だったかも。

上記ドキュメンタリーのついでに、クラシック倶楽部の過去の録画も見せていただいた。ユジャ・ワンのスクリャービンは、やや健康的な感じはするものの、表現の多彩さとスケールの大きさが格別。ヴェンゲーロフのベートーヴェンは、ただひたすらに美しい。名教師として知られるチュマチェンコと日本の若手奏者達による室内楽は、チュマチェンコの安定した貫禄の弾きぶりに目を奪われた。さすがにベートーヴェンのスケルツォ楽章では無傷というわけにはいかないが、全曲に渡ってこれぞ室内楽という細やかな気配りが行き届いたアンサンブルは、寛いだ愉悦感に満ちていて聴き応えがあった。

クラシック音楽館で年末に放送された「N響 伝説の名演奏」では、断片ではあったがシルヴェストリの「新世界より」というお宝映像が流れた。ルーマニア放送響とのショスタコーヴィチの交響曲第10番(Electrecord)に聴かれる異様な興奮がどのように導き出されていたのか、その片鱗を窺うことができた。使用スコアがポケットスコアであったのも興味深かった。スヴェトラーノフのチャイコーフスキイ、サヴァリッシュとの最後の共演は、これまでにも何度か放送されている。

本編のNHK交響楽団第1899回定期公演には関心がなかったのだが、その後の「コンサート・プラス」で取り上げられたエベーヌQによるジャズのスタンダード集だけはしっかりと録画。ヴィオラがヘルツォクからシレムに交代して以降のこの団体を聴くのは、恥ずかしながらこれが初めて。視覚的にも強烈な個性を放っていたヘルツォクに比べるとインパクトという点では劣るが、弦楽四重奏のヴィオラとしては十二分にバランスのとれた存在感があり、弦楽四重奏団としてのクォリティを高い水準で維持し、発展し続けていることに感心した。それにしても彼らの編曲は、どれをとっても非常にセンスが良い。楽譜に記してあることをただ弾くだけで彼らの演奏を再現できるわけではないことを理解しつつも、いつかまとめて出版されることを強く強く望みたい。

年始…ではなく2月の放送だが、NHK交響楽団第1900回定期公演はロシアの秘曲集といったプログラムで、要保存の内容。スヴィリードフの「吹雪」は知る人ぞ知る作品だが、まさか実演で取り上げられるとは思ってもみなかった。フェドセーエフ/ウィーン響やスヴェトラーノフ/ソビエト国立響の演奏で数曲の映像を観たことはあるが、全曲の映像というのはロシア以外では極めて珍しいのではないだろうか。フェドセーエフの4種類の録音に親しんだ耳にはあまりにも無味無臭に感じられるが、作品の旋律美は十分に表出されており、この曲を知らない聴衆に訴えかけるところは大だったに違いない。コロベイニコフをソリストに迎えたスクリャービンの協奏曲は、オーケストラも一体となって繰り広げられるロシア風の不健全さに満ち満ちた音響世界が素晴らしい、雰囲気豊かな名演。アンコールでも、気取った上っ面では隠し切れない野性的な体臭が漂ってくるような音の奔流に惹きつけられた。グラズノーフの交響曲第7番は立派な演奏ではあるが、作品自体がいささか焦点の定まらない音楽であるだけに、指揮者の手堅さは伝わったものの、オーケストラの魅力が十分に引き出されたとは言い難い。

北海道では年末(12月22日)に放送された、マティアス・バーメルト氏の札響の新首席指揮者就任を記念してのドキュメンタリーが、年始にBSで放送された。リハーサル中心の構成ながらも、深い音楽ファンには物足りない程度の掘り下げではあったが、それでもウィンドマシンのくだりなど、この種のドキュメンタリーとしては満足な内容。私が札幌の厚生年金会館や市民会館、そして道庁前のグリーンコンサートなどに足を運んでいた岩城宏之氏の時代とは、色々と隔世の感がある。札響の今後さらなる発展を祈念いたします。

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NHK交響楽団第1886回定期公演・ラトル/ベルリンPO

  • トルミス:序曲第2番、ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番、ブルックナー:交響曲第1番 トラーゼ (Pf) P. ヤルヴィ/NHK SO (2018.5.18 録画 [NHK ETV(2018.7.8)])
  • ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番より第2楽章、ラフマニノフ:楽興の時第5番、シベリウス:悲しきワルツ ポゴレリチ (Pf) (2017.10.24 & 25 録画 [NHK ETV(2018.7.8)])
  • サイモン・ラトルとベルリン・フィル~16年の軌跡~ (2017 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.16)])
  • マーラー:交響曲第6番 ラトル/ベルリンPO (2018.6.19 & 20 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.16)])
  • ヴァルトビューネ2018(ガーシュウィン:キューバ序曲、フォーレ:パヴァーヌ、カントルーブ:「オーベルニュの歌」より、ハチャトゥリャーン:バレエ「ガヤネー」より「ゴパーク(第3組曲第6曲)」「クルドの若者達の踊り(第3組曲第2曲)」「ガヤネーのアダージョ(第1組曲第7曲)」「レズギンカ(第1組曲第8曲)」、レスピーギ:交響詩「ローマの松」、モンテヴェルディ:「かくも甘い苦悩が」、エルガー:「威風堂々」第1番、スーザ:自由の鐘、リンケ:ベルリンの風) コジェナー (MS) ラトル/ベルリンPO (2018.6.24 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.16)])
クラシック音楽館で放送されたNHK交響楽団第1886回定期公演を、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番目当てで録画。この作品は、N響にとって第1661回定期公演(2009年12月5日)以来となる。ゲルシュタインの独奏とデュトワの指揮によるその演奏は非常に整ったものだった(2010年1月14日のエントリー)が、今回のトラーゼは弱音に傾倒したかなり個性的な音楽を繰り広げている。率直に言って、指回りはいまひとつで、第1楽章を聴く限りはもたつくとまではいかないまでも滑舌の悪さが気になった。しかしながら、遅めのテンポで奏でられる第2楽章は弱音の多彩さが際立つ非凡な演奏。オーケストラ、とりわけホルンにとっては殺人的なテンポだが、温かみのある緊張感に貫かれた音楽は極めて印象的である。終楽章は、第1楽章と同様。アンコールのスカルラッティでは、再び第2楽章の世界。

トルミスの序曲第2番は、録音(2010年12月6日のエントリー)もあるパーヴォお得意のレパートリー。颯爽とした熱気溢れる演奏である。ブルックナーの第1番は、まるでトルミスに呼応しているかのような、若々しい溌剌さに貫かれた力強い音楽で、いわゆるブルックナーらしさとは距離のある個性的な解釈。

「コンサート・プラス」は、正暦寺福寿院客殿で収録された「イーヴォ・ポゴレリチ in 奈良」の後半。全編は、過去にクラシック倶楽部でも放送されている。とりわけハイドンが印象に残った。

プレミアムシアターでは、ラトルのベルリン・フィル首席指揮者退任に伴うドキュメンタリーと2つの演奏会というボリュームのある特集が放送された。

さすがにカラヤン時代のベルリン・フィルについては、その全貌とは言わないまでも一般的なイメージ程度のことは私でも共有できていると思うのだが、アバド時代以降についてはよく知らない、というのが正直なところ。ラトルとオーケストラとの関係や、ラトルの音楽的志向について、このドキュメンタリーは短いながらも的確に整理して提示しているとは思うのだが、アバド時代との違いのような視点が個人的には欲しかった。それにしても、毒を吐く団員達の顔を見ていると、指揮者は大変だなぁと改めて思う。

さよなら公演のマーラーは、細部に至るまで緻密でありながら、壮麗かつ余裕のある響きで構築される大局的な造形とスケール感が見事としか言い様のない、このコンビの到達点に相応しい名演。

首席指揮者としてのラトル最後の演奏会となった「ヴァルトビューネ2018」は、選曲も気が利いていて楽しいが、前半と後半とで全く趣の異なる作品を、それぞれ鮮やかかつ模範的に、しかもやすやすと演奏してしまうオーケストラの圧倒的な機能と、それを思い通りに使いこなしている指揮者の存在感が際立つ。本編最後の「ローマの松」は8月14日のエントリーで紹介したシャイー指揮の「ヴァルトビューネ2011」でも取り上げられていたが、どちらもそれぞれに豪壮で巨大な響きをもって聴く者を圧倒する凄演には違いないものの、このクライマックスに漂うどこか寛いだ雰囲気はラトルとベルリン・フィルとの関係性を象徴しているようにも感じられ、このコンビに関心を抱いてきたとは言い難い私ではあるが、名残惜しい余韻と共に視聴し終えた。

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7月の視聴録

  • フンメル:ピアノ五重奏曲、シューベルト:ピアノ五重奏曲「鱒」 デンハーグピアノ五重奏団 (2017.2 録画 [NHK BSプレミアム(2018.6.20)])
  • パガニーニ:「『ネル・コル・ピウ』による変奏曲」より、モーゼ幻想曲、ヴァイオリン協奏曲第1番より第2楽章、シマノフスキ:「3つのパガニーニの奇想曲」より第3曲、リスト:パガニーニによる大練習曲第3番「ラ・カンパネラ」、エルンスト:シューベルトの「魔王」による大奇想曲、ワックスマン:カルメン幻想曲 渡辺玲子 (Vn) 江口玲 (Pf) 渡邊一正/東京PO (2016.2.24 & 27 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.2)])
  • ヴィルスマイアー:パルティータ第5番、ビーバー:パッサカリア、バルトーク:無伴奏バイオリン・ソナタ ファウスト (Vn) (2016.1.19 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.4)])
  • バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番、無伴奏バイオリン・パルティータ第2番 エーネス (Vn) (2016.2.15 & 16 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.5)])
  • パガニーニ:24の奇想曲より第1、2、5、6、10、11、13、14、17、18、23、24番、シャリーノ:6つの奇想曲より第1、2、3、5、6番 グリンゴルツ (Vn) (2017.9.19 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.6)])
  • シューマン(河野文昭編):バッハの名前によるフーガ Op. 60-3、ブラームス(林 裕編):間奏曲 Op. 118-2、クレンゲル:即興曲、ワーグナー(グリュッツマッハー編):歌劇「ローエングリン」より「エルザの大聖堂への行進」、ポッパー(山口真希子編):ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」による即興曲、フンパーディンク(ニーフィント編):歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、フランク(河野文昭編):天使のパン 河野文昭、上森祥平、上村 昇、林 裕、藤森亮一 (Vc) (2016.2.20 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.13)])
  • モーツァルト:クラリネット五重奏曲より第2楽章、ブラームス:クラリネット五重奏曲 マンツ (Cl) カルミナQ (2015.11.29 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.16)])
  • シュルホフ:5つの小品、ラヴェル:弦楽四重奏曲、福富秀夫:関西ラプソディ  関西Q (2018.5.26 録画 [NHK BSプレミアム(2018.7.27)])
  • ブゾーニ:ヴァイオリン協奏曲、R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(抜粋) R. カプソン (Vn) ブルニエ/読売日本SO (2018.3.16 録画 [BS日テレ(2018.7.7)])
5月から7月にかけて、関心のある映像が立て続けに放送された。一つを除いて、全てクラシック倶楽部である。ほとんどが再放送だと思われるが、気が向いた時しか放送予定をチェックしないため、いずれも今回初めて視聴したものばかり。

デンハーグピアノ五重奏団は、ピリオド楽器の団体。使用楽器や奏法など視覚的にも楽しい映像であるが、何よりもディヴェルティメント的な愉悦感に満ちた演奏の水準が高い。

7月の第1週は、無伴奏ヴァイオリン特集。「ヴィルトゥオーゾの魅力」と題された渡辺玲子による難曲集は、人選ミスな印象。彼女の魅力は、こういう技巧的な曲を完璧に弾き切るところにあるのではない。一方のファウストは、バロック音楽とバルトークとを組み合わせた選曲といい、各曲から引き出される多彩な響きとリズムといい、極めて完成度の高い仕上がり。エーネスのバッハは、一世代前のモダン楽器の演奏法に慣れている耳にとって、とても聴きやすいスタイルである。ファウストの尖り方に比べると、かなり穏当な印象。パガニーニとシャリーノを組み合わせたグリンゴルツの演奏会は、番組の時間の都合で抜粋であるために、その意図が完全には伝わらないこともあるのだろうが、意欲的、という以上の興味は惹かれなかった。グリンゴルツの左手は、こういう曲集を取り上げるに相応しい精度だが、彼の右手が奏でる音色は、僕にとってはかなり耳障りな部類。

京都府立府民ホール・ALTIにて行われた「チェロ・アンサンブルのたのしみ」は、学生時代に京大音楽研究会の定期演奏会で何度も舞台に立ったALTIの風景と、河野文昭氏のトークを楽しんで視聴した。もちろん、日本を代表する5名のチェリストの安定した音楽的なアンサンブルも立派なもので、編成上の無理を感じる箇所がないわけではなかったが、演奏そのものには総じて満足した。

カルミナQとドイツの若手クラリネット奏者マンツによるクラリネット五重奏曲は、番組の時間の都合で実質ブラームスだけなのが残念。揺るぎのない弦楽四重奏に支えられて、伸び伸びとアンサンブルを楽しんでいるマンツの姿が微笑ましい。ただ、僕の好みからすると、カルミナQの演奏は少々表現過多に感じられる。

関西Qの映像は、奈良県文化会館で公開収録されたもの。結成5年ほどの団体だが、最近ではベートーヴェン全曲演奏に取り組むなど、本格的かつ活発な活動を繰り広げている注目の四重奏団である。東京芸大卒というのが4人の共通項のようで、それぞれにオーケストラなど他の仕事をこなしつつの四重奏団ではあるが、一聴してすぐにそれと分かる“カルテットの音”は、この四重奏団が彼らにとって片手間の活動などではないことの証。自然でありながらも緊密なアンサンブル、繊細な表現力など、傑出した力量を有する団体であることはこのラヴェルを聴けば明らかだが、さらに今後いかなる高みに到達することができるのか、大いに期待したい。

最後に、ルノー・カプソンを独奏に迎えた読売日本響の演奏会を読響シンフォニックライブで。ブゾーニのヴァイオリン協奏曲は、初めて聴いた。プフィッツナーの協奏曲などと同様に、何だかよくわからない晦渋な箇所もあれば、妙なテンションの高さを感じさせる箇所もあり、全体としてはむせ返るような濃い口の抒情とやみくもに至難な技巧に満ち溢れた、お好きな方には堪らないに違いない作品。映像とはいえ、こんな作品のライヴを視聴できるのは嬉しい。カプソンは、やや線が細いものの、集中力の高い見事な演奏を聴かせてくれる。「ツァラトゥストラはかく語りき」の前座としてはオーケストラにとって至難に過ぎる楽曲だっただろうが、読響の健闘、いや奮闘も立派なもの。メインの「ツァラトゥストラはかく語りき」はごく普通の解釈ではあるが、オーケストラの醍醐味を味わうに十分な絢爛さは表出されている。

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5月の視聴録

  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番より第1&4楽章、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番 アロドQ (2017.12.14 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.7)])
  • ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第1、2、4楽章、ラヴェル:弦楽四重奏曲 モディリアーニQ (2015.11.26 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.9)])
  • ヒナステラ:弦楽四重奏曲第1番より第1、3、4楽章、スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」 ストリング・クワルテットARCO (2016.12.8 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.10)])
  • アサーフィエフ:バフチサラーイの泉 グルージン/マリイーンスキイ劇場 (2017.5.27 & 28 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.21)])
  • パリ・オペラ座「エトワール・ガラ」来日公演 (2016.8.5 & 6 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.21)])
テレビ番組の放送予定をマメにチェックしなくなって久しいが、ふと思いつきでケーブルテレビのジャンル検索をしてみたら、運よくクラシック倶楽部で弦楽四重奏が立て続けに放送されるのを見つけたので、兎にも角にも録画してみた。

結成からようやく5年になろうとするフランスの若手アロドQは、個々人の高い技術に基づくしなやかな歌とアンサンブル、そして各人の美音に耽溺することなく知的にコントロールされた響きの多彩さという点で、現代の弦楽四重奏団の典型と言ってよいだろう。4人の同化の仕方も、いかにもカルテットといった雰囲気で、音楽表現がいささか直線的で単調ではあるものの(これは、メインのメンデルスゾーンが若書きの作品であることも影響しているのかもしれないが)、今後の深化と発展が期待される団体である。

同じくフランスのモディリアーニQは、結成から15年を迎えようとする中堅の団体。ここで収録された演奏会では、諸事情でチェリストの代理を元イザイQのコッペイが務めているが、残る3人の弾きぶりを見るに、基本的にはいつも通りの自分達の音楽を奏でているように推察される。ドビュッシーもラヴェルも、何よりも高い技術水準が前提となる作品であるが、個人技のみならずアンサンブルにおいても、モディリアーニQは十分以上にそれをクリアしている。4人が一体となった溌剌とした勢いの良さも聴き手を惹きつける。ドビュッシーの四重奏曲は、シュペーテQでつい先日弾いたばかりなので、ボウイングやフィンガリングにも参考になるところが多々あったが、それはまたいつか、次の機会に活かすことができればと思う。

日本を代表するオーケストラの首席奏者達が集まった(結成当初のポジションは当然異なっていたわけだが)ストリング・クワルテットARCOの映像は、結成20周年の記念演奏会を収録したもの。快刀乱麻を断つ、というのとは異なるが、4人ともそれぞれに安心感のある技術水準を有した、実力者のグループである。ただ、どうしても「カルテット」とは異種のアンサンブルのように感じられてならない。何を“合わせよう”とするのか、その意思のベクトルが、オーケストラ的なアンサンブルを志向しているとでも言えばよいのだろうか。この違和感の理由を明解に言葉にすることができないのはもどかしいが、いずれにせよ、ここで聴く音楽には満足することができなかった。

アサーフィエフのバレエ「バフチサラーイの泉」の舞台が、プレミアムシアターで放映されたのには、驚いた。作曲家アサーフィエフの名前を、その具体的な音楽と共に知っている人は、わが国でもそう多くはないだろう。若きショスタコーヴィチの敵役としての音楽学者アサーフィエフですら、それほどの知名度はないはず。そんなアサーフィエフの代表作を、初演以来レパートリーとしているマリイーンスキイ劇場の舞台で観ることができるのは、極めて貴重な機会である。

ということで楽しみに視聴したのだが、肝心の音楽が退屈なのに閉口した。『ロシア音楽事典』の記述によれば、「20世紀のクラシック・バレエの大きな潮流の一つとなったジャンル『ドラマティック・バレエ』の先駆けとなった作品」で、「(マリーヤ役の)ウラーノヴァの名演は後世の理想的モデルとなっている」そうだが、バレエの舞台に不案内な私にとっては、舞台装置や衣装の壮麗さを楽しむことはできても、そうした振り付けや舞踊技術の妙などもよくわからず、頼みの音楽がこの出来では(演奏が悪いというわけではないように思う)どうしようもない。とりあえず、資料として大事に保存しておくことにしよう。

番組後半のパリ・オペラ座による「エトワール・ガラ」は、簡素な舞台装置にもかかわらず、純粋に華やかで美しい、楽しい舞台であった。ショスタコーヴィチを批判した論調やプーシキンの原作の雰囲気などから、「バフチサラーイの泉」にもこういう美しさを期待したのだが、アサーフィエフがバレエで目指した美しさの方向性は、どうもそれとは違う物のようだ。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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