5月の視聴録

  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番より第1&4楽章、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番 アロドQ (2017.12.14 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.7)])
  • ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第1、2、4楽章、ラヴェル:弦楽四重奏曲 モディリアーニQ (2015.11.26 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.9)])
  • ヒナステラ:弦楽四重奏曲第1番より第1、3、4楽章、スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」 ストリング・クワルテットARCO (2016.12.8 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.10)])
  • アサーフィエフ:バフチサラーイの泉 グルージン/マリイーンスキイ劇場 (2017.5.27 & 28 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.21)])
  • パリ・オペラ座「エトワール・ガラ」来日公演 (2016.8.5 & 6 録画 [NHK BSプレミアム(2018.5.21)])
テレビ番組の放送予定をマメにチェックしなくなって久しいが、ふと思いつきでケーブルテレビのジャンル検索をしてみたら、運よくクラシック倶楽部で弦楽四重奏が立て続けに放送されるのを見つけたので、兎にも角にも録画してみた。

結成からようやく5年になろうとするフランスの若手アロドQは、個々人の高い技術に基づくしなやかな歌とアンサンブル、そして各人の美音に耽溺することなく知的にコントロールされた響きの多彩さという点で、現代の弦楽四重奏団の典型と言ってよいだろう。4人の同化の仕方も、いかにもカルテットといった雰囲気で、音楽表現がいささか直線的で単調ではあるものの(これは、メインのメンデルスゾーンが若書きの作品であることも影響しているのかもしれないが)、今後の深化と発展が期待される団体である。

同じくフランスのモディリアーニQは、結成から15年を迎えようとする中堅の団体。ここで収録された演奏会では、諸事情でチェリストの代理を元イザイQのコッペイが務めているが、残る3人の弾きぶりを見るに、基本的にはいつも通りの自分達の音楽を奏でているように推察される。ドビュッシーもラヴェルも、何よりも高い技術水準が前提となる作品であるが、個人技のみならずアンサンブルにおいても、モディリアーニQは十分以上にそれをクリアしている。4人が一体となった溌剌とした勢いの良さも聴き手を惹きつける。ドビュッシーの四重奏曲は、シュペーテQでつい先日弾いたばかりなので、ボウイングやフィンガリングにも参考になるところが多々あったが、それはまたいつか、次の機会に活かすことができればと思う。

日本を代表するオーケストラの首席奏者達が集まった(結成当初のポジションは当然異なっていたわけだが)ストリング・クワルテットARCOの映像は、結成20周年の記念演奏会を収録したもの。快刀乱麻を断つ、というのとは異なるが、4人ともそれぞれに安心感のある技術水準を有した、実力者のグループである。ただ、どうしても「カルテット」とは異種のアンサンブルのように感じられてならない。何を“合わせよう”とするのか、その意思のベクトルが、オーケストラ的なアンサンブルを志向しているとでも言えばよいのだろうか。この違和感の理由を明解に言葉にすることができないのはもどかしいが、いずれにせよ、ここで聴く音楽には満足することができなかった。

アサーフィエフのバレエ「バフチサラーイの泉」の舞台が、プレミアムシアターで放映されたのには、驚いた。作曲家アサーフィエフの名前を、その具体的な音楽と共に知っている人は、わが国でもそう多くはないだろう。若きショスタコーヴィチの敵役としての音楽学者アサーフィエフですら、それほどの知名度はないはず。そんなアサーフィエフの代表作を、初演以来レパートリーとしているマリイーンスキイ劇場の舞台で観ることができるのは、極めて貴重な機会である。

ということで楽しみに視聴したのだが、肝心の音楽が退屈なのに閉口した。『ロシア音楽事典』の記述によれば、「20世紀のクラシック・バレエの大きな潮流の一つとなったジャンル『ドラマティック・バレエ』の先駆けとなった作品」で、「(マリーヤ役の)ウラーノヴァの名演は後世の理想的モデルとなっている」そうだが、バレエの舞台に不案内な私にとっては、舞台装置や衣装の壮麗さを楽しむことはできても、そうした振り付けや舞踊技術の妙などもよくわからず、頼みの音楽がこの出来では(演奏が悪いというわけではないように思う)どうしようもない。とりあえず、資料として大事に保存しておくことにしよう。

番組後半のパリ・オペラ座による「エトワール・ガラ」は、簡素な舞台装置にもかかわらず、純粋に華やかで美しい、楽しい舞台であった。ショスタコーヴィチを批判した論調やプーシキンの原作の雰囲気などから、「バフチサラーイの泉」にもこういう美しさを期待したのだが、アサーフィエフがバレエで目指した美しさの方向性は、どうもそれとは違う物のようだ。
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genre : 音楽

2017年の録画視聴録

  • レニングラード 女神が奏でた交響曲 (録画 [BSフジ(2017.3.25)])
  • ショスタコーヴィチ:歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 ソヒエフ/ボリショイ劇場 (2016.11.12 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.10)])
  • R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 ヨーヨー・マ (Vc) M. ヤンソンス/バイエルン放送SO (2016.1.29/30 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.10)])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第12番、ユーマンス(ショスタコーヴィチ編):タヒチ・トロット 川瀬賢太郎/読売日本SO (2017.6.7 録画 [BS日テレ(2017.9.30)])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 P. ヤルヴィ/NHK SO (2017.9.16 録画 [NHK ETV(2017.10.1)])
  • ベートーヴェン:交響曲第2番より第2楽章 マタチッチ/NHK SO (1984.3.14 録画 [NHK ETV(2017.10.1)])
  • ドヴィエンヌ:クラリネット・ソナタ第3番 松本健司 (Cl) 横山幸雄 (Pf) (2016.3.24 録画 [NHK ETV(2017.10.1)])
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 木嶋真優 (Vn) 藤岡幸夫/東京シティ・フィルハーモニックO (2017.7.22 録画 [BSジャパン(2017.10.2)])
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第1番、シューマン:ピアノ五重奏曲 岡田博美 (Pf) パノハQ (2015.12.2 録画 [NHK BSプレミアム(2017.9.27)])
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番より第2、3楽章、フランク:ピアノ五重奏曲  原田幸一郎、神谷美千子、神尾真由子 (Vn) 磯村和英 (Va) 毛利伯郎 (Vc) クルティシェフ (Pf) (2017.7.14 録画 [NHK BSプレミアム(2017.9.29)])
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第5番、ドビュッシー:弦楽四重奏曲、ラヴェル:弦楽四重奏曲より第2楽章 アキロンQ (2017.6.4 録画 [NHK BSプレミアム(2017.7.17)])
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番より第1楽章、ドビュッシー:弦楽四重奏曲、アーベ(エベーヌQ編):ネイチャー・ボーイ、エベーヌQ編:ミザルー、コズマ(武満徹編):枯葉 エベーヌQ (2011.11.7 録画 [NHK BSプレミアム(2014.11.13)])
歳をとるにつれ、マメさ、勤勉さが急激に失われていく今日この頃。テレビの音楽番組のチェックは疎かになり、運よく逃さずに録画はできても、視聴するのは数か月先…みたいなことが続いてしまい、本ブログでもテレビ放送された演奏の記録は随分と無沙汰してしまった。

ということで、2017年に録画視聴した音楽番組を列記だけしておく。

まずは、BSフジで放送されたショスタコーヴィチの交響曲第7番を巡るドキュメンタリー。といっても、これは2014年5月29日のエントリーでも紹介した「戦火のシンフォニー: レニングラード封鎖345日目の真実, 新潮社, 2014」という文献に基づいた、一種の紀行番組のようなもの。封鎖戦の悲惨さは前面に押し出されているものの、一般受けの悪くない範囲の描写に留まっている。楽曲の背景を知るための映像資料としては、十分なものだと思う。

2017年にテレビで放映されたショスタコーヴィチ作品の中で 質量ともに最もインパクトのあった物は、ボリショイ劇場による「カテリーナ・イズマーイロヴァ」の公演だろう。これはそのタイトル通り、改定後の作品114の方である。シンプルで機能的な舞台美術はいかにも現代的だが、さすがに本場ロシアの劇場だけあって、衣装も含めて時代の雰囲気は過不足なく表現されている。音楽的な仕上がりはなかなかの高水準で、録音レベルは低いものの、起伏に満ちたオーケストラの表現は、細かいアンサンブルの精度を超えて聴き手に対する訴求力を持っている。歌手も総じて立派な出来。ただ敢えて言うならば、セルゲイにはもう少しダメ男風の退廃した色気を求めたいところ。

この「カテリーナ・イズマーイロヴァ」と併せて放送されたのが、M. ヤンソンスによる「ドン・キホーテ」。ヨー・ヨー・マの独奏共々、流麗かつ華麗な横綱相撲。こういう演奏、音楽こそ、生で聴きたいものだ。

読響シンフォニックライブでは、現在売出し中の気鋭の若手指揮者、川瀬賢太郎氏によるショスタコーヴィチの第12番が放映された。演奏前のインタビューにおいて、いささかステレオタイプなショスタコーヴィチ観が語られていたのでそれほど大きな期待は抱かずに聴き始めたのだが、しなやかに流れつつも表現意欲に溢れた手応えのある佳演であった。激しい指揮ぶりと実際の音との間に若干の温度差を感じる瞬間もなくはなかったが、今後のさらなる発展、活躍が望まれる若武者ぶりに好感を抱いた。アンコールの「タヒチ・トロット」の映像は他に観たことがないので、その点でも満足。

その翌日にクラシック音楽館で放送されたNHK交響楽団第1864回定期公演では、P. ヤルヴィによるショスタコーヴィチの交響曲第7番が演奏された。N響はこの曲を度々演奏している(私が個人的に録画した物はこれで3つ目)が、最もスタイリッシュながらも迸る熱気に興奮させられる立派な出来だった。N響の水準も聴く度に向上していることが感じられる。

放送の残り時間は、N響首席クラリネット奏者の松本健司氏の特集。マタチッチのベートーヴェンは、確かに“昔のN響”なのだが、それを懐かしく、そして「これこそがN響」だと思ってしまっていることに気付き、自分が古い世代になりつつあることを実感。

同じ日には、エンター・ザ・ミュージックの再放送(?)もあり、ゲストの木嶋真優氏が演奏したショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の抜粋が、藤岡幸夫氏との対談の合間に流れた。立派な演奏ではあったので、どれか一つの楽章をしっかりと流してくれた方が良かったのではないかとも思ったが、番組の趣旨もあるので致し方のないことだろう。

クラシック倶楽部は、弦楽四重奏ばかり。パノハQは、モーツァルトの第1番目当て。色々と工夫が凝らされているものの、全体としては非常に自然で叙情的な音楽。

原田幸一郎氏が中心となった室内楽演奏会は、期待以上の極めて素晴らしい内容に圧倒された。何よりも、原田氏にせよ磯村氏にせよ、衰えとは無縁の美しい音に驚かされる。アンサンブルの核が盤石なだけに、音楽的にもスケールの大きい、それでいて繊細な表情の巧さが光る仕上がりで、特にフランクはこの上ない名演。

アキロンQとエベーヌQの映像は、来たる4月に予定しているシュペーテQの演奏曲目であるドビュッシーの勉強のために視聴させてもらったもので、今回私が自分で録画したものではない。幾分の生真面目さを感じさせるアキロンQもよく考えられた演奏だが、エベーヌQの音色の多彩さは流石としか言いようがない。お得意のアンコールも含めて、非常に完成度の高い映像作品である。

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NHK交響楽団第1849回定期公演

  • ショスタコーヴィチ:ロシアとキルギスの民謡による序曲、ピアノ協奏曲第1番、交響曲第12番 ヴォロディン (Pf) 井上道義(指揮) (2016.11.25 録画 [NHK ETV(2017.2.5)])
  • プーランク:六重奏曲、イベール:5つの小品 神田寛明 (Cl) 池田昭子 (Ob) 松本健司 (Cl) 菅原恵子 (Fg) 今井仁志 (Hr) 横山幸雄 (Pf) (2016.3.24 録画 [NHK ETV(2017.2.5)])
クラシック音楽館」にて、井上道義指揮のオール・ショスタコーヴィチのN響定期公演が放送された。序曲が取り上げられるのは珍しいものの、他の2曲は「客を呼べそうな」選曲。それでいて、いかにも「ミッチー」らしい選曲である。

井上氏の指揮ぶりや顔芸を楽しめるのは映像ならではだが、それゆえに、オーケストラから出てくる音とのギャップに戸惑ってしまった。巧みな作曲技術で整然と体裁が整えられているものの、その内側に秘められたショスタコーヴィチの歪さを抉り出そうとする指揮に対して、オーケストラは徹底して整然とした響きで応える。十分に盛り上がった立派な演奏だとは思ったが、手放しで賞賛するには躊躇する。

「コンサートプラス」では、「N響メンバーによる木管アンサンブル」と題してフランスの近代作品2曲が演奏された。音色においてもリズムにおいても一層の色彩感を求めたいところだが、手堅く折り目の正しいアンサンブルはさすがの貫禄。

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小澤征爾 若き才能とつむぐ四重奏(カルテット)

  • 小澤征爾 若き才能とつむぐ四重奏(カルテット)(録画 [BS11(2016.9.18)])
随分前に視聴していたのだが、備忘を兼ねて簡単にメモ。

小澤征爾が主宰するスイス国際音楽アカデミーは、弦楽四重奏に限定して開講され、既に10年以上になるとのこと。番組は、受講生が集った弦楽合奏(指揮は小澤)の演奏風景から始まる。

恩師斎藤秀雄の教えが小澤の弦楽四重奏に対する特別な想いに繋がっていることが、老いてなお情熱的な口調で小澤自身によって語られる。また、受講生達の音楽に対する若々しい想いなども、美しい風景の合間に挿入される。

しかしこの番組のメインは、何と言っても実際のレッスン風景に尽きる。特に元東京Qの原田禎夫氏の深い経験と見識に支えられた雄弁かつ繊細で、情熱的な指導は、番組では断片しか取り上げられていないにもかかわらず、極めて刺激的で示唆に富んでおり、素晴らしい。

昨年末にも再放送されていたようだが、カルテット好きには、機会があれば是非観てもらいたいドキュメンタリーである。

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genre : 音楽

NHK交響楽団第1819回定期公演他

  • トゥール:アディトゥス、ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、バルトーク:管弦楽のための協奏曲 五嶋みどり (Vn) P.ヤルヴィ(指揮) (2015.10.23 録画 [NHK ETV(2015.12.20)])
  • ペルト:フラトレス P.ヤルヴィ(指揮) (2005.5.25 録画 [NHK ETV(2015.12.20)])
  • ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ第4番、フランク:ヴァイオリン・ソナタ、フォーレ:夢のあとに、ブラームス:ハンガリー舞曲第5番 ヴェンゲーロフ (Vn) パピアン (Pf) (2013.6.12 録画 [NHK BSプレミアム(2015.11.16)])
  • キング・クリムゾン:21世紀のスキッツォイドマン、ジェネシス:月影の騎士、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番、エマーソン・レイク・アンド・パーマー:悪の教典#9第一印象パート1、キング・クリムゾン:暗黒(Starless) モルゴーアQ (録画 [NHK BSプレミアム(2015.12.22)])
昨年末に放送された演奏会等の録画を、遅ればせながら視聴。

まずは、「クラシック音楽館」から、N響の第1819回定期公演。録画し損なったものの、友人のご厚意で見せていただくことができた。

もちろん、目当ては五嶋みどりの独奏によるショスタコーヴィチの協奏曲。冷ややかで高貴な、それでいて内的な熱量が圧倒的な、とても素晴らしい演奏に、この作品の醍醐味を存分に堪能させてもらった。とりわけ第1楽章と第3楽章の抑制されたヴィブラートの音色が、作品の本質と深く共鳴しているようで心を奪われた。演奏頻度の高い曲だけに、オーケストラも手慣れたもの。第2楽章の冒頭こそ不安定だったが、それ以外は完璧な演奏と言ってよいだろう。

エストニアの作曲家トゥールの作品は、美しい瞬間もあり楽しい瞬間もあり興味深い音楽だが、一聴しただけでは捉えどころのない印象。何度か繰り返し聴き込んでみたい気がする。ただ、オーケストラ全体の方向が定まらずに少々散漫な演奏であるように感じられ、P.ヤルヴィの指揮は交通整理に追われているようにも見えた。

メインの「オケコン」は、技術的な見せ場を整然とこなしつつ、歌うべきは歌い、煽るべきは煽る、といった楽曲の魅力を余すところなく伝えるP.ヤルヴィの指揮が素晴らしい。コンサートマスターの交代もさることながら、管楽器も世代交代が進んだN響の、今の実力が存分に発揮された演奏である。若返ったオーケストラと新しい指揮者との、今後の進境に期待したい。

「コンサートプラス」は、遡ること10年前の公演から、ペルトの有名曲。聴き慣れたオーケストラの響きゆえか、作品の静謐な美しさをどこか寛いだ気分で味わうことができた。

私の世代にとっては“現代音楽”の範疇にあった作品群が、ごく馴染みのある響きとして自然に演奏され、そして聴取されていることに、時の流れを感じるプログラムであった。

クラシック倶楽部」からは、2つ。どちらも既に何度も再放送されている。

ヴェンゲーロフのリサイタルは、超有名曲2曲。ヘンデルではバロック弓を用いているが、彼ならモダン弓でも難なくこの演奏解釈を実現できるようにも思えるので、いまひとつ必然性は感じられなかったが、隅々まで生気に満ちた自在なアーティキュレイションが素晴らしく、この謂わば聴き飽きた作品が実に新鮮に響く。フランクは、さらに圧倒的。ヴァイオリンという楽器の魅力と後期ロマン派音楽の濃厚な魅力、共に最大限に表現し尽くされている。アンコールの2曲は、いずれも名人芸。ヴェンゲーロフが、好き嫌いを超えて、現代のヴァイオリン界の頂点に立つ奏者であることを再確認させられた。

モルゴーアQのプログレッシブ・ロック集は、その真中に演奏されたショスタコーヴィチの第7番目当てではあったが、全編通じて弦楽四重奏の愉しみを堪能できる内容に満足。ショスタコーヴィチはいささか激しさに偏った演奏ではあるが、これもまたこの曲の一側面であるには違いない。プログレッシブ・ロックの4曲はどれも原曲を知らなかったので、Youtubeでざっと聴いてみた。時代を感じさせる音響そのものはさておき、いずれの曲も原曲が驚くほど再現されていると同時に、弦楽四重奏としての完成度が高いことに感心した。ピーター・バラカンによるインタビュー部分も、各奏者の個性がよく伝わって面白い。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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