ノルシュテインの「外套」など

  • ロシアの映像詩人 ノルシュテイン 日本をゆく (2005.7.23 [NHK-ETV])
  • ユーリ・ノルシュテイン作品集 (Pioneer PIBA-3040 [DVD])
  • 高畑勲(解説):話の話,アニメージュ文庫,1984
  • 堀江敏幸:河岸忘日抄,新潮社,2005
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第4&8番 ボロディンQ (Mercury SR 90309 [LP])
7月24日は、長女の誕生日。出かける都合などでプレゼントは事前に買ってしまっていたのだが、やはり当日に何もないというのも寂しい。というわけで、こんなものをこっそり用意しておいた。すると、何という偶然だろう。その前日の23日にNHK教育TVでノルシュテインのドキュメンタリー(再放送)が放送された。さらに都合の良いことに番組中で「霧の中のはりねずみ」も一部が流れたので、DVDで全編を見ようということになり、プレゼントも無事に喜んでもらえ、めでたしめでたし。このドキュメンタリーの中では、依然として制作中の「外套」の一部分も流れた。BGMがショスタコーヴィチの交響曲第7番だったのは、これはこの番組だけのことなのだろうか?それとも、ノルシュテイン自身がこの音楽に合わせて映像を作っているのだろうか?いずれにしても、非常によく映像の流れと合っていたのでびっくり。この交響曲が単に戦争にとどまらず人間そのものを描いているということを、改めて認識させられた。偉大な芸術家は、かくもあっさりと芸術の本質を捉えてしまうのかと感嘆した次第。DVDをかけたついでに「話の話」も見たが、やはり凄い作品。高畑氏の解説も見事。「外套」、何とか完成させてもらいたいものだ。

堀江敏幸の長編小説、『河岸忘日抄』を読了した。元来、洋の東西を問わず“小説”というジャンルにはどうも興味を惹かれることがないのだが、この本、ショスタコーヴィチに関する記述があるという情報を得て早速読んでみたもの。どことなく気取った文体が嫌味ったらしく感じなくもないが、ゆったりとした時間感覚の中で多彩な“ネタ”を元に流れていく思考の展開がとても面白い。全くの偶然だが、文中で伏線となっているLPが、この本を読んでいる間にMikrokosmos Mail Order Co.から届いた(^^;。第8番はDeccaのCD、第4番はChandosの選集にそれぞれ収録されている有名な録音で、演奏も申し分のない名演だが、こうした文脈の中で聴いてみるのもまた一興か。
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「太陽に灼かれて」

  • ベルリンへの道 第二次世界大戦50周年思い出の名唱集 ウチョーソフ(唄) (Russian Disc RDCD-479)
  • スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)「Я Другой Такой Страны Не Знаю」 (проект“Z” KIC-R 00010)
  • スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)第2巻「Как Вернее Бить Врагов」 (проект“Z” PZS97-02(07))
  • スターリン時代の歌曲集(Песни о Сталине)第3巻「Вы Не Суйтесь,Самураи!」 (проект“Z” PZS99-02(12))
昨日は、研究室総出で実験棟周りの草刈り。打ち上げをして帰宅後、映画「太陽に灼かれて」(ミハルコフ監督)をようやく全部見た。感動…とは違うけれども、強烈な印象に打ちのめされた。美しい自然と穏やかな日常の描写。滑稽さすら感じさせる人々の中で、ミーチャとコトフ大佐の際立った異質さが不思議な不安感を駆り立てる。1936年のソ連という時代そのものとも言えるこの2人と、革命前の時間に生きているかのような周囲の人々。無垢なナージャの存在がたまらなく哀しい。全編を貫くタンゴ「疲れた太陽」が、この時代を意味深く象徴している。この映画を一度でも見てしまうと、ここで描かれた時代と独立してこの曲を聴くことはできない。それは、恐らく当時を生きたソ連の人々の感覚とそう違ってはいないのだろう。革命後の価値観を体現しているコトフ大佐が、ミーチャの登場で革命前の上流階級の価値観を持つ家族の中から浮いていくシーンは、スターリン気球の完成とともに訪れる破局を予感させて息苦しささえ感じさせる。そしてそのミーチャこそがこの時代の悪魔性そのものであることの、何という恐ろしさ。どこにでもあるような三角関係のラブストーリーが、ラブストーリーとしての結末を迎えられないことの不条理。しかもここで描かれたドラマは、奇妙なまでに穏やかな一日の出来事なのだ。何の前触れもなく登場人物皆が不幸になる物語なんて、確かにこの時代以外には考えられないし、考えたくもない。ミーチャとコトフ大佐の破局の後、無邪気に野原を駆けて行くナージャの後姿に、革命の英雄コトフ陸軍大佐一家のその後がテロップで流れる。銃殺、収容所で死亡、名誉回復…。しかし何より救いのない気分になるのは、ナージャが今もまだ生きているということ。ロシアは、まだこの時代の傷を引きずっているのだ。恐らく、決して癒されることなく。あまりに強い印象を受けてしまい、立て続けにもう1回見てしまった。マルーシャの存在が、まだ自分の中できちんと整理できない。また時間をおいて見直したい。

寝不足ということもあるが、映画の強烈な印象の中で今日は普通(?)の音楽を聴く気にはなれなかった。今日取り出した4枚は全て、戦前のスターリン時代の音楽を集めたもの。レオニード・ウチョーソフは、ソビエト・ジャズ音楽草創期の音楽家で国立ジャズオーケストラの設立者。そのものズバリのタイトルである「スターリン時代の歌曲集」全3巻は、オリジナル音源のオムニバス。歌詞がさっぱり分からないので、各曲について何かを語ることはできないが、いわゆるソ連大衆歌曲のスタイルの音楽からは、不思議なほど「太陽に灼かれて」の世界に通じる雰囲気が立ち上る。これは、先入観なのか?いや、恐らく、そうではない。

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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