とりとめのない買い物録

  • ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲第22番、パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第2番 アッカルド (Vn) ボンコンパーニ/ローマPO (RCA R25C-1032)
  • バルトーク:弦楽四重奏曲全曲、ヤナーチェク:弦楽四重奏曲全曲 東京Q (RCA 09026 68286 2)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第5~8番、ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第13番 パシフィカQ (Cedille CDR 90000 127)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第9~12番、ヴァーインベルグ:弦楽四重奏曲第6番 パシフィカQ (Cedille CDR 90000 138)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第13~15番、シニートケ:弦楽四重奏曲第3番 パシフィカQ (Cedille CDR 90000 145)
  • パーセル(ブリテン編):シャコニー ト短調、エルガー:序奏とアレグロ、ブリテン:前奏曲とフーガ、シンプル・シンフォニー、ディーリアス(フェンビー編):2つの水彩画、ブリッジ:ロジャー・ド・カヴァリー卿 ブリテン/イギリスCO (Decca UCCD7256)
  • モーツァルトのカルテット・パーティ(モーツァルト:弦楽四重奏曲第3番、ハイドン:弦楽四重奏曲第3番、ディッタースドルフ:弦楽四重奏曲第5番、ヴァンハル:弦楽四重奏曲) ウェラーQ (Tower Records PROC-1401)
会議で東京に出向いたついでに、ディスクユニオン お茶の水クラシック館へ。20分しか余裕がなかったので、入り口から順に棚を眺めて、程良い枚数になったところで打ち止め。

まずCDカウンターのセレクションから、若きアッカルドによるヴァイオリン協奏曲集を。パガニーニの第2番については、2017年1月19日のエントリーで紹介した編集盤LPで第3楽章だけは何度も聴いていたが、このオリジナルのカップリングはヴァイオリンという楽器の魅力を凝縮したような選曲が素晴らしく、CD初期の素っ気ないジャケットにも惹かれて迷わず確保。

やや細身でありながらも臆面のない情緒纏綿たる歌心は、これらの協奏曲に対して私の持つ“イタリア”の“ヴィルトゥオーゾ的協奏曲”のイメージを完璧に体現した演奏で、大満足。「パガニーニ弾き」として鳴らしていた若きアッカルドの魅力が全開である。現代ではこの演奏よりもさらに精確な演奏はざらだが、こういう良い意味のあざとさを感じさせる演奏はそう多くはない。特にヴィオッティは、これまでにリバール、ボベスコ、スターン、オイストラフ、クレバースなどの音盤を聴いてきたが、このアッカルド盤が最もしっくりくる。ただ、オーケストラの音が終始割れている録音だけが残念。


ウンジャン時代の東京Qのヤナーチェク&バルトーク全集が、かなりの安価(1,000円未満)で並んでいた。この3枚組は絶頂期の東京Qの最良の記録と言えるかもしれない。楽曲解釈の点では両者共にややロマンティックに傾きすぎているように感じられ、原田時代のバルトーク全集(DG)や、1971年のライヴ盤(Hänssler)のバルトーク、1979年のライヴ盤(TDK)のヤナーチェクの尖り方の方がより相応しいと思う。本盤の凄さは何よりも、弦楽四重奏としてのアンサンブルの完成度の異様な高さにこそある。全ての音符が「カルテットの音」で響いており、たとえ誰か一人で奏している箇所においても、その「カルテットの音」であり続けている。機能という点において、本盤は弦楽四重奏の一つの極致と言って差し支えないだろう。この後、ウンジャンの故障でメンバー交代を余儀なくされた彼らが、この水準の機能に再び至ることはなかった。


本丸であるショスタコーヴィチの棚には、残念ながら目ぼしい出物がなかったが、パシフィカQの全集(分売)が第2巻(第1~4番+プロコーフィエフの第2番)を除いてまとまって並んでいたので、良い機会と思って確保。なぜ第2巻のみ?と思ったが、曲順に従って購入しようとしていた人がいたのかもしれない。これらは新品だったので特にお買い得ではなかった。

ライヴ録音でありながらも演奏には終始余裕があり、明晰な解釈と手慣れた音楽の運びは、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲が既に古典として咀嚼されていることを感じさせられる。骨太で重量感のある響きが硬派な高揚感を導き出しており、いたずらに深刻ぶらないこともあってか、良い意味で聴きやすい音楽となっている。第5番や第12番などは、こうした彼らの特質がよく発揮された優れた演奏である。一方で抒情性には不足しているために、第6番などは若干の不満が残る。ショスタコーヴィチ以外の楽曲は、いずれも有名曲が選ばれているのでヲタク感はあまりないが、入手容易な音盤が多いとは言い難いこれらの作品を、手堅くもツボを押さえた水準の高い演奏で聴くことのできる意義は大きい。


一番奥の「演奏家別」の棚では、まずブリテン指揮の「弦楽合奏によるイギリス音楽」というアルバムを。言わずと知れた名盤なので今さら何を言う必要もないのだが、演奏もさることながら、特筆すべきは選曲の素晴らしさであろう。ここのところすっかり気に入っているパーセルのシャコニーに、エルガーの名作「序奏とアレグロ」と続くアルバムは、どの曲も珠玉の逸品と呼ぶに相応しいものばかり。


ハイドン(1st Vn)、ディッタースドルフ(2nd Vn)、モーツァルト(Va)、ヴァンハル(Va)という4人の大作曲家が会したカルテット・パーティーを再現したという企画アルバムは、ウェラーQを代表する名盤である。本CDは、タワーレコードのオリジナル企画として復刻されたもの。ハイドンとモーツァルトは後年にロマン派への架け橋となる数々の名曲を生み出すことになるが、ここに収録された4曲は典型的な前古典派の作品で、彼らの生きた時代の雰囲気に満ちたアルバムとなっている。この辺りの楽曲は、近年ではピリオド・アプローチで聴く機会の方が多いが、ウェラーQの今となってはやや古風な、それでいて洗練された上品な演奏で聴くと、それぞれの作品に内在する次の時代への萌芽が自然に浮かび上がるようで、心地よくも面白い。

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genre : 音楽

再生不能になった音盤と10数年ぶりの再会

  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホマ (Vc) エティカー (Pf) (Centaur CRC 3100)
  • RIAS録音集第II集(シューベルト:弦楽四重奏曲第14、10、9、13、15番) アマデウスQ (audite 21.428)
  • ブラームス:五重奏・六重奏曲集 アマデウスQ アロノヴィツ (Va) プリース (Vc) エッシェンバッハ (Pf) ライスター (Cl) (DG 419 875-2)
またまた、当てもなくふらっとディスクユニオン 大阪クラシック館へ。

シャホフスカヤの弟子であるホマのチェロ・ソナタ集は、ロストロポーヴィチ~シャホフスカヤの系譜から想像されるような野太い力強さよりも、渋みのある伸びやかさが印象に残る。ショスタコーヴィチは考え過ぎたのか、いささか瞑想的に過ぎるようにも感じたが、ブラームスはロマンの香り漂う自然な歌が好ましい。


auditeレーベルのアマデウスQ初出放送録音集は、2016年7月19日のエントリーで現代曲集(第IV集)を紹介したところだが、第III集であるシューベルト選集を見かけたので、確保。この時期のアマデウスQは、まだブレイニンの奔放なプレイスタイルが確立しておらず、全体として(当時としては)現代的な洗練されたアンサンブルが際立つ。こういう颯爽としたシューベルトは、さぞかし人気があっただろうと推察する。これで、第12番「断章」と第8番なども収録されていたらなおよかったが、あまり贅沢を言うものでもないだろう。


アマデウスQといえば、何と言ってもブラームスの五重奏・六重奏集である。ピアノ五重奏曲とクラリネット五重奏曲は他により好む音盤もあったが、弦楽五重奏曲と弦楽六重奏曲に関しては、学生時代、問答無用のヘヴィーローテーション。CDだから擦り減りはしなかったものの、脳裏にはっきりと刷り込まれる程度には聴き込んだがゆえに、21世紀に入ってからは実際にスピーカーで鳴らす機会が激減し、棚の中で埃を被っていた。ある時、iTunesにリッピングしようと久し振りにケースを開けてみると、ウレタンのクッション材が劣化してCD自体が再生不能な状態に……(写真)。この音盤に関しては名盤中の名盤だけに、いつでも容易に入手することができたのだが、気分的に元々持っていた2枚組の輸入盤の形で買い直したく、今まで巡り会えずにいたところ、ついに発見。高校生の時にLPで初めて聴いた作品18を、久し振りに鳴らすことができた。至福の時である。

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閉店間際に室内楽の棚だけチェック

  • ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲、アイネ・クライネ・シンフォニー、弦楽のための交響曲 ロス/ドミートリィ・アンサンブル (harmonia mundi HMU 907634)
  • ヴォルフ:弦楽四重奏曲、イタリアン・セレナード、間奏曲 ヴィハンQ (ArcoDiva UP 0029-2 131)
  • ブリテン:無伴奏チェロ組曲第1~3番 デ・サラム (Vc) (Disques Montaigne MO 782081)
仕事の帰り、ディスクユニオン 大阪クラシック館にふらっと寄り道。

バルシャイによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の編曲は、第8番の演奏および録音頻度が圧倒的に多く、次いで第10番がぼちぼち、残りは珍しい部類に入るだろうが、特に第1番はバルシャイ自身による2種の録音しかなく、ロス盤はこの曲を収録している点でコレクターの蒐集対象足り得る。第8番は手堅いアンサンブルで滑らかに奏でられるが、各フレーズの深い訴求力はなかなかのもので、水準の高い演奏である。大いに好感と期待をもって聴き進めたのだが、残念ながら第1番は技術的に苦しい箇所が少なくなく、楽しむことができなかった。第10番は少しマシだが、無難にまとまっている以上の印象はない。


ヴォルフの3つの弦楽四重奏曲を1枚に収録したアルバムは、探してみると意外にありそうでなく、ヴィハンQのこの音盤は以前からチェックしていたもの。水準の高いアンサンブルであることは言うまでもないが、彼らの音色が、19世紀末の爛れた濃厚な味わいを持つヴォルフの音楽に何とも相応しい。最も知名度の低い「間奏曲」の、どこか不消化で未完成感の残る断片的な旋律のそれぞれが、渋く名状し難い魅力を放っているところに、私は強く惹きつけられた。


6月4日のエントリーで、デ・サラムによるブリテンの無伴奏チェロ組曲の音盤に不良があり、最後の1トラックだけ聴けなかったことを記した。わざわざ探して買い直すほどのモチヴェーションはなかったのだが、運良く棚に並んでいるのを見つけた。一件落着。

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genre : 音楽

徒然なる買い物録

  • モーツァルト:交響曲第40番、ブラームス:交響曲第1番 カラヤン/ウィーンPO (Electrecord ERT1027-2)
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第20番、バルトーク:弦楽四重奏曲第3番、ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第11番 ジュリアードQ (Orfeo C 927 161 B)
  • ストラヴィーンスキイ:火の鳥(1945年版)、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 スヴェトラーノフ/ロシア国立SO (Tobu TBRCD0025-2)
  • ショスタコーヴィチ:「モスクワよ、チェリョームシキよ」(コーネル編)、ジャズ組曲第1番、ステージ・オーケストラのための組曲、タヒチ・トロット スローン/ベルリン放送SO (Capriccio 71 096)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1、2、5番 ボロディーンQ (Praga PRD 250 323)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第4、6、9番 ボロディーンQ (Praga PRD 250 331)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2、7、11、12、15番 アルバン・ベルクQ (EMI DVB 3 38586 9 [DVD])
HMV ONLINEのセール品を注文するついでに、目についたものを併せていくつかオーダー。

私が聴いたことのあるカラヤンのライヴ録音はごく限られているが、いずれももの凄いテンションの名演ばかり(ショスタコーヴィチの第10番やブルックナーの第9番など)だったこともあり、「壮年期のカラヤンが、ウィーンPOと、お得意のブラ1を」と3拍子揃っている、ルーマニアのエネスコ音楽祭でのライヴ録音を、期待を持って確保。

モーツァルトは、徹底したレガートがいかにもカラヤンらしい。私の好みでは全くないが、こういう癖の強い演奏自体は嫌いでない。ただ、流麗、と言うにはあまりにも淡泊な音楽で、拍子抜け。ブラームスも、冒頭からしばらくは似たような雰囲気。ただ、オーケストレイションの厚みゆえか、オーケストラの美音はモーツァルトよりも堪能できる。

このまま「若きカラヤンの颯爽とした演奏」で終わるかと思いきや、終楽章に入った途端に表現の密度も音楽の燃焼度も別次元に。ホルンだけでなく、全ての楽器が輝いている序奏部は、筆舌に尽くし難い素晴らしさ。指揮台上の昂奮が伝わるような主部を経て、舞台も客席も一体となって盛り上がりまくるコーダに至ると、ただただ恍惚として音楽に身を委ねるのみ。これを、例えば「終楽章の終わりだけ煽ってそれらしく盛り上げただけ」のように批判することは簡単だが、しかし全く同じようにテンポや強弱を設定したところで、こうはならないことも自明。カラヤンの凄さを改めて認識させてくれる演奏である。


ジュリアードQのザルツブルク音楽祭でのライヴ録音は、渋い曲目が実に魅力的。私の世代くらいまではジュリアードQと言えば、現代音楽を得意とする厳格で鋭利な演奏スタイルの団体、みたいなイメージが強いのだが、今こうして聴いてみると、モーツァルトの緩徐楽章に聴かれるような隠しきれないロマン情緒がまるで心をくすぐるように滲み出ていることに気付く。それはバルトークでも同じで、なぜ彼らの演奏が「冷たい」と思われていたのか、そして自分も思っていたのか、不思議な気がする。

ドヴォルザークの第11番は、魅力的な楽想に溢れた逸品だが、ドヴォルザークの他の弦楽四重奏曲と同様に、いささか冗長に過ぎる。ジュリアードQは多彩な表現技術を繰り出して聴き手を飽きさせないが、それでもなお、この欠点を完全には克服できていない。演奏頻度の低い作品には、やはりそれなりの理由があるということなのだろう。


スヴェトラーノフのショスタコーヴィチ演奏には微妙な物も少なくないが、第7番に次いで相性の良さを感じさせるのが、第5番。ソ連崩壊後間もなく、旧ソ連のオーケストラの多くが奏者引き抜きなどで混乱していた時代の来日ライヴである。スヴェトラーノフという絶対的存在がいたせいか、ソ連時代と変わらぬ水準を維持し続けていたロシア国立響の音は、これぞロシアというローカル色豊かで説得力に満ちたもの。各地で幾度となく取り上げてきたであろうレパートリーだけに、アンサンブルも万全で、指揮者・奏者共にツボを心得た音楽作りが素晴らしい。ショスタコーヴィチは、他の録音と比して目立った違いはなく、最晩年にはかなり遅いテンポを採ることもあったスヴェトラーノフだが、ここではごくオーソドックスな解釈がなされている。「火の鳥」は、珍しい1945年版。「最後に出版された状態が作曲家の望んだ決定稿」という考え方のようにも思うが、単純に版権の問題だったのかもしれない。いずれにせよ、単に珍しいというだけでない、活力と貫録に満ちた秀演である。


ショスタコーヴィチの“軽い”管弦楽曲を集めたアルバムは、作曲家の生誕100年の時期にリリースされたもの。当時は、結構な量の新譜が出たことに加え、自主制作盤が増えたりしたこともあり、以降は私の蒐集ペースが極端に落ちて今に至る。21世紀に入ってからの楽器の演奏様式の変化もあってか、ショスタコーヴィチ作品の解釈も同時代的な思い入れたっぷりなものから古典作品的な扱いに変遷し始めたのも、ちょうどこの頃。本盤は、過渡期的な演奏ではあるが、整った音響とツボを押さえた盛り上がりなど、これらの楽曲のそう多くはない他の録音と比較しても十分にスタンダードたる内容である。


Pragaレーベルから、「モスクワ放送でオンエアされた1966年の録音」としてリリースされたボロディンQのショスタコーヴィチ録音は、このレーベルなので分かってはいたことだが、もしかしたらどれか1曲くらいは未発表音源が含まれているかも……という淡い期待が叶うことはなかった。第13番まで録音したところでドゥビーンスキイの亡命で完成することのなかった、彼らの“旧全集”と全て同一の音源である。無音部分を付加して、一部のトラックの収録時間を操作しているのが、何ともいやらしい。言うまでもなく、演奏そのものは異次元の素晴らしさ。




今回の目当てのセール品は、ABQによるベートーヴェンのDVD。私は彼らの熱烈なファンだが、実はこの映像の全集だけはコンプリートしていない。レーザーディスクでリリースされた2枚は、それこそ弦の種類まで真似たくらいに何度も見たが、その後続編が出ることはなく、相当な時間が経ってからDVDで一気にリリースされた時は、どうせいつでも買えるだろうと思って買いそびれていた。気がつけば、どうやら販売終了のようで、とりあえずセール品の第2巻を確保。いずれもどこかで視聴済みで、音だけのCDも持っているので、新たに何か言うべきことはないが、この映像による全集が彼らの偉業であることを再認識した。

theme : クラシック
genre : 音楽

落穂拾い(大阪)

  • シューベルト:弦楽四重奏曲第15&12番 カルミナQ (Denon COCO-80263)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13&14番 メロスQ (Intercord INT 820.536)
  • ブルックナー:弦楽五重奏曲、間奏曲 メロスQ サンチャゴ (Va) (harmonia mundi France HMC 901421)
  • ボッケリーニ:弦楽四重奏曲 Op. 58-5、ドニゼッティ:弦楽四重奏曲第13番、プッチーニ:菊、3つのメヌエット、イザイ:パガニーニ変奏曲 Quatuor Arte del Suono (Pavane ADW 7309)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 ロジャース (S) レイフェルクス (B) アシケナージ/NHK SO (Decca UCCD-1187)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1&2番、ピアノ五重奏曲 ヘルムヒェン (Pf) ユロフスキ/ロンドンPO (London Philharmonic Orchestra LPO-0053)
  • ピアソラ:バンドネオン協奏曲、3つのタンゴ ピアソラ シフリン/セント・ルークスO (Nonesuch WPCS-5071)
深い意味もなく、私の中ではディスクユニオン=お茶の水だったのだが、よく考えてみると昨年、大阪にもクラシックの専門店がオープンしていたことを思い出し、所在地を調べて足を運んでみた。仕事帰りに音盤屋なんて、何年振りだろうか。

ということで、ディスクユニオン 大阪クラシック館に初めて突撃。帰りのバスの時間の都合で30分くらいしか時間がなかったので、とりあえず配架の構成など、店舗全体をざっと見回り、先日の東京(6月12日のエントリー)と同様、ショスタコーヴィチと室内楽にのみ集中して探索してみた。

まずは、お茶の水で確保したメロスQのアルバムと全く同じ組み合わせの、カルミナQのアルバム。1970年前後に結成された団体が私にとって弦楽四重奏のデフォルトなのだが、「その次」の世代の筆頭がカルミナQであった。デビュー盤のシマノフスキ&ヴェーベルンをリリース直後に買いに行ったのも懐かしい。その後もそれなりに新譜を追ってはいたものの、いつの間にか私の関心から外れてしまった。このシューベルトの15番に聴かれるような極端な弱音は、彼らの得意とする卓越した技術の発露であり、その前の世代とは一線を画す弦楽四重奏の響きなのだが、要するに、私はこれが好みでない、ということなのだろう。彼らの考え抜かれた音楽は、素晴らしく彫琢されていて際立って巧いが、私の思い描くシューベルトの不健康で危うい陰のある妖しい美しさとは異なる。


昨年末の中古レコード・セールで、メロスQのベートーヴェン旧全集の大半を入手したが(2月24日のエントリー)、残る2枚の内、13&14番を収録した1枚を発見。もちろん、即確保。

さすがにベートーヴェンの後期にはまだ若かったようで、真摯に取り組んでいることは十分に伝わるものの、音楽の表情が単調であることは否めない。彼らの魅力である各パートがそれぞれ自由に盛り上がりつつも一体感が終始保たれる独特の奔放さは、少なくともこの録音の段階ではあまり感じられない。


ここしばらくメロスQづいている感もあるが、ブルックナーの弦楽五重奏曲も見つけた。こちらは彼らの円熟期である1990年代の録音。冒頭から、これぞドイツ・ロマン派という響きに満ち溢れ、時に冗長さも否めない楽曲の長さが愛おしくすらある。各声部がそれぞれ思いのままに歌い込んで形成される燃焼度の高い音楽は、シンフォニックに響きつつも室内楽でしかなし得ない緊密な大柄さ、とでもいった感じ。大満足の一枚。


ボベスコといえば、私が子供の頃にヴィオッティの協奏曲の“お手本”としてLPを愛聴した思い出がある。彼女が率いる弦楽四重奏団の録音は、ヴィオッティの弦楽四重奏曲集を架蔵しているのみだが、「Rare Works for String Quartet」と題するイタリア人作曲家の作品集が目についたので、これも入手。プッチーニの「菊」以外は、全て初めて耳にした作品ばかりだが(プッチーニのメヌエットは、遊びで弾いたことはあるが)、いずれも同じ作曲家の他の作品と印象は同じで、作曲家を代表する作品が選ばれているとは言い難い。“Rare”であるには違いないが。ただし、パガニーニのカプリース第24番をイザイが弦楽四重奏にアレンジ?した作品は、非常に面白かった。いつか弾いてみたいと思って調べてみたが、楽譜は未出版の模様。録音は他にクリプトスQのものがあるようで、プロアマ問わず需要はあると思うのだが、さすがに出版は難しいか?

演奏は、1st Vn主導の古いタイプのもの。ただし、どの曲もそのスタイルがよく合っているので、とりたてて不満はない。ブリリアントな響きも心地よく、楽しいアルバムである。


アシケナージがDeccaレーベルで録音したショスタコーヴィチの交響曲は、第4、13、14番の3曲がN響との組み合わせで、それぞれ1枚物でリリースされた後、すぐに全集ボックスになってしまい、単独の音盤は入手難になってしまった。中古屋で見かけることもなかったのだが、今回、第14番を発見。

ややもっさりとしたテンポだが、それがアシケナージの指揮技術ゆえなのか、本心からの解釈なのかは判然としないものの、じっくりと奏でられた響きはなかなか美しい。N響弦セクションの底力を見せつけられた感がある。寛いだ、と言ってよいだろう独特の雰囲気は、この交響曲とは異質のはずなのだが、一方で、鋭さ一辺倒の演奏では気付くことのできない甘美さを見出させてくれる興味深い演奏である。


ロンドンPOの自主制作盤はそれなりにチェックしていたはずなのだが、ヘルムヒェンというピアニストをフィーチャーしたアルバムの存在は全く知らなかった。これがなかなかの掘り出し物である。溌剌とした勢いに満ち、それでいて終始安定感のある優れた演奏。奇を衒うことのない、ごくごくオーソドックスな解釈なのだが、間然とすることなく一気呵成に全曲を聴かせてくれる。オーケストラの、手堅くも共感に満ちた熱いバックも立派。

ピアノ五重奏曲も悪くないが、こちらはもう少し練り上げられた緊密なアンサンブルを求めたくなるのが、正直なところ。


ピアソラのバンドネオン協奏曲は、特別好きというわけでもないせいか、最も有名なスタジオ録音をずっと買いそびれていた。ふと思い出した時には廃盤になっているという、負のスパイラル。没後10年くらいまでの間にCDでリリースされた音源はほぼコンプリートしているだけに長年の懸案であったが、いざレジに向かおうと振り向いたら「目が合って」しまったので、勢いで確保。

他のライヴ録音と比べると随分と落ち着いた演奏ではあるが、たとえば最後の録音となったハジダキス指揮の録音のような技術的な問題もなく、この曲を知るには最適の音盤のように思う。ただし、オーケストラは終始ムード音楽的に和声を鳴らしているだけで、ドライヴ感に乏しいのが残念。


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tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. Tango_Piazzolla,A.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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