バルヒェットQのモーツァルト全集他

  • ドビュッシー:弦楽四重奏曲、フォーレ:弦楽四重奏曲、ラヴェル:弦楽四重奏曲 エベーヌQ (Virgin 50999 519045 2 4)
  • モーツァルト:弦楽四・五重奏曲全集 バルヒェットQ ケシンガー (Va) (Murray Hill 920409 [LP])
  • 佐川吉男:チェコの音楽-作曲家とその作品(遺稿集3), 芸術現代社, 2005.
所用で東京に行った際、移動の空き時間があったので久し振りにディスクユニオンお茶の水クラシック館へ。久し振りなのは分かっていたが、過去記事を見てみると前回の訪問は2013年9月だったようで、時の流れの早さを痛感。今回は、買い物というよりは雰囲気を味わいたい、といった程度の心積もりだったので、店内全体を万遍なく眺めて、結局、4月にシュペーテ弦楽四重奏団の演奏会で自分が弾く曲が収録された音盤のみを確保。もっとも、一つはLP13枚組のセットだったために、紙袋の重量はなかなかのものとなったが。

まずはCD。エベーヌQによるフランスの弦楽四重奏曲集は、彼らのキャリア初期の録音ながら、フランスの団体である彼らに期待される王道のプログラムを、既に完成されたアンサンブルで見事に弾きこなした素晴らしいアルバムである。個々の技術が高い水準にあるのは確かだが、寸分の乱れもないアンサンブル、という意味での精巧さはそれほど特別なものではない。にもかかわらず、彼らの演奏を「完璧」といった類の言葉で形容したくなるのは、その息遣い、ニュアンスの驚くべき一体感においてである。フレーズ内のリズムやテンポの揺らぎ、デュナーミクの繊細な変化など、これほどまでにカルテットとして精緻に機能している団体は他にない、と言いたくなる。他にも名盤が数多あるドビュッシーとラヴェルも素晴らしいが、和声と旋律、リズム、動機などの処理が完璧で、滋味のある色彩感と清澄な軽やかさが際立つフォーレは、同曲屈指の名演だと思う。

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今回の収穫は、なんといってもバルヒェットQによるモーツァルトの弦楽四・五重奏曲全集である。全13枚の内、1枚にプレスミスがある(ノイズだらけながら再生はできた)上に、盤質がかなり悪く、あちこちで針飛びしまくって再生に苦労したが、格安(後述する書籍より安かった!)だったので文句は言えない。

弦楽四重奏曲は未CD化。弦楽五重奏曲の方はDENONレーベルからCD化されているようだが、その復刻にはかなり問題がある模様。

ともかく、私はその存在すら知らなかった全集(幸松 肇氏の著作では、もちろん紹介されている)だが、その極めて優れた内容に驚いた。まずは、初期(第1~13番)作品が素晴らしい。これらの曲についてはバリリQの優美な演奏さえあれば十分、と思っていたが、こんなに生命力に溢れた、自由闊達な明るさに満ちた演奏を聴いてしまうと、今度はバルヒェットQさえあれば十分、と言いたくなる衝動に駆られてしまう。もちろん曲毎の出来不出来、というか相性のようなものはあるが、音の魅力で聴かせるバリリQに対して、作品そのものの魅力で聴かせるのがバルヒェットQのように思える。もちろん、鄙びた田舎臭さのあるバルヒェットQの音も魅力的であることは言うまでもない。

ハイドン・セット以降も、聴き応えがある。とりわけ緩徐楽章の濃密なロマンと、メヌエット楽章の典雅さが傑出している。彼らの奏でるメヌエットを聴くと、これまで聴いてきた演奏のほとんどがスケルツォに思えてしまうほどである。技術的には心許ない箇所も散見されるが、重心の低く渋みのある響きで奏でられる明朗な輝かしさには、心を奪われる。

したがって、弦楽五重奏曲が四重奏曲を超える素晴らしさだということは、当然の帰結だろう。ケシンガーのヴィオラはカルテットと完全に同化し、理想的なバランスを実現している。この傑作群を余すところなく堪能させてくれる傑出した名演である。

もう1点、この全集の魅力は、現在では偽作であることが確定している、かつて「4つのミラノ四重奏曲」あるいは「幻のミラノ四重奏曲など」と呼ばれたドレスデンの宮廷楽長ヨーゼフ・シュースターの「パドヴァ四重奏曲」が収録されていることである(もちろん、本盤ではモーツァルトの作品として扱われている)。なお、「アダージョとフーガ」(KV546)も併録されているが、これもまた渋い好演。

全集復刻が商業的に成功するとは思えないのも確かだが、こんな名盤が埋もれているとは、何とも口惜しい限りである。

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今回の訪問では、入り口付近の書籍・楽譜コーナーの品揃えがずいぶん充実していたように感じた。いくつか興味深い書籍があったのだが、その中から、チェコ音楽の権威であった佐川吉男氏の著作を選択。単行本を意図して書かれたのではなく、音盤の解説などを集成した一冊のため、取り上げられた作曲家や作品に不足がないわけではないが、そもそもチェコの音楽作品の日本語で読める情報は決して多くないだけに、400ページ弱の本書は貴重な情報源である。

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theme : クラシック
genre : 音楽

ロシア音楽3題

  • ミャスコーフスキイ:シンフォニエッタ第2番、室内楽のためのセレナード ヴェルビーツキイ/ソヴィエト国立SO (Melodiya C 10-15187-8 [LP])
  • ティーシチェンコ:交響曲第5番 ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立文化省SO (Melodiya C10 25287 005 [LP])
  • バラーキレフ:イスラメイ、ボロディーン:小組曲より第7曲ノクターン、ムーソルグスキイ:古典様式による間奏曲、歌劇「ソローチンツィの定期市」よりゴパーク、ラフマニノフ:前奏曲 Op. 3-2、Op. 32-12、スクリャービン:2つの詩曲 Op. 32、ストラヴィーンスキイ:ペトルーシュカからの3楽章より第1曲ロシアの踊り、プロコーフィエフ:サルカズム(風刺)、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より第14、10、6番、ハチャトゥリャーン:バレエ「ガヤネー」よりレズギンカ ラフォルジュ (Pf) (Club National du Disque CND 18 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、LP3枚が届いた。

ミャスコーフスキイの中でもとりわけ平明な楽想を持つ2曲を収録したアルバムは、作品の抒情的な美しさに、どこか懐かしさを感じる。これは、ヴァルビーツキイの“緩い”音楽の賜物のように思える。両曲共に、同じオーケストラをスヴェトラーノフが振った録音もあるが、それと比べるとアンサンブルの精度も表現の踏み込み方も、まさに“緩い”としか言いようがないのだが、しかし、聴こえてくる音楽の何と魅力的なことか!


ティーシチェンコの交響曲第5番は、彼の作品中でも早くから知られ、傑作との呼び声高い作品だが、それに最も寄与したと考えられるのが、このロジデーストヴェンスキイのライヴ録音である。師ショスタコーヴィチの逝去直後の1976年に作曲された、ショスタコーヴィチを追悼する内容の音楽は、第3楽章にショスタコーヴィチの第10交響曲からの引用があるなどの表面的な事柄だけでなく、ティーシチェンコの根幹を成すショスタコーヴィチ的世界の総決算的な雰囲気を持つ。ロジデーストヴェンスキイの勘所を押さえた指揮は、手兵である文化省響の暴力的な響きと相まって、感情の起伏を切実に表出している。深刻さと表裏一体のとぼけた味わいも、ショスタコーヴィチを知り尽くした音楽家ならではのもの。


ジャン・ラフォルジュというフランスのピアニストの名は、今回初めて知った。ネットで検索してみてもプロフィール程度の情報しかなく、音盤として遺されたものがどれくらいあるのか、そしてそれらの評価がどのようなものかはよくわからない。ただ、このロシア音楽集は素晴らしい。まず、有名作曲家の比較的有名な作品ばかりではあるが、気の利いた選曲が良い。そして、それぞれの様式の違いを的確に処理しつつも、実に雰囲気のある気持ちの良い音で小細工無しに奏でられる音楽が良い。現代風の精緻さはないものの、往年の華やかでロマンティックなヴィルトゥオージックな演奏である。それでいて、特にB面では冷たい機能性も感じさせ、後のミシェル・ベロフを予感させるようにも聴こえる。目当てのショスタコーヴィチ作品はわずか3曲の抜粋のみだが、掘り出し物と言ってよい一枚である。

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genre : 音楽

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庄司紗矢香のレーガー他

  • J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番、パルティータ第1&2番、レーガー:前奏曲とフーガ集より第1、2、4番 庄司紗矢香 (Vn) (Mirare KKC-5125/6)
  • ショスタコーヴィチ:5つの断章、ブリテン:シンフォニア・ダ・レクィエム、プロコーフィエフ:交響曲第5番 ズヴェーデン/シカゴSO (Dirigent DIR-1547 [CD-R])
アリアCDにて気の赴くままにオーダーしていた音盤が、続いて届いた。

6年も前に発売されていたようだが、それほど積極的ではないジャンルということもあって、セールで安価ならば……という不謹慎極まりない動機でピックアップしたのが、庄司紗矢香の無伴奏ヴァイオリン曲集。ビシュコフ/ケルンWDR SOとの共演でブルッフの協奏曲を演奏した際のアンコールでレーガーのOp.117-2を取り上げていた(2003年8月26日のエントリー)のは記憶していたが(15年近く前のこととは思ってもみなかったが)、鮮やかという以上の印象もなく、レーガーとバッハの無伴奏作品を組み合わせたアルバムをリリースしていたことも、恥ずかしながら全く知らなかった。

ということで大半の方にとっては「何を今さら」なのだろうが、これがとんでもない名盤。隅々まで考え抜かれ、そして弾き込まれた結果の、自然な、それでいて濃密な音楽。あらゆる奏法上のテクニックが、全て音楽に昇華している。バッハは、それでもまだ他に可能性があるように思えるが、レーガーに関しては、とてもこれ以上を思い浮かべることができない。彼女のキャリアを代表するだけでなく、レーガー作品の決定盤であると同時に、現代ヴァイオリン演奏の金字塔と言ってしまっても構わないだろう。

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いわゆる裏青盤は、キリがないので基本的に蒐集対象とはしていないのだが、ショスタコーヴィチの「5つの断章」というレア作品の、これまたレアな実演ということで、ズヴェーデン/シカゴSOの2014年のライヴ録音をオーダー。ズヴェーデンにはヴァイオリニストの印象しかないのだが、今やニューヨークPOの次期音楽監督とのこと。

シカゴ響という機能的に優れたオーケストラの長所を活かしきった演奏である。全ての音とリズムが明晰に響き渡り、ショスタコーヴィチの断片化された旋律やリズムの残骸が、余裕を持って音楽として再構成されている。プロコーフィエフも、透明な快活さで爽やかに熱狂している。ブリテンには、響きが少々健康的に過ぎるが、全体として演奏者の実力が存分に発揮し尽くされた、内容の濃い一枚である。

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シュヴェツィンゲン音楽祭の弦楽四重奏シリーズとボレイコのショスタコーヴィチ(hänssler)

  • ブリテン:弦楽四重奏曲第3番、シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 アマデウスQ (hänssler CD 93.706)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲第79番 Op.76-5「ラルゴ」、フォルトナー:弦楽四重奏曲第4番、ラヴェル:弦楽四重奏曲 メロスQ (hänssler CD 93.716)
  • ベルク:弦楽四重奏曲、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番、バルトーク:弦楽四重奏曲第1番 東京Q (hänssler CD 93.723)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲第70番 Op.71-2、ブラームス:弦楽四重奏曲第3番、ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第3番 ラサールQ (hänssler CD 94.228)
  • ベートーヴェン:弦楽三重奏曲第2番 Op.9-1、モーツァルト:二重奏曲第1番、弦楽三重奏のためのディヴェルティメント グリュミオー・トリオ (hänssler CD 93.727)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第9&15番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.284)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1&6番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.303)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ボレイコ/シュトゥットガルト放送O (hänssler CD 93.326)
HMV ONLINEから、hänsslerレーベルのセールの案内が届いた。このレーベルには気になっていたシリーズがあったので、この機会にまとめ買い。

まずは、往年の名四重奏団のライヴを。ドイツのシュヴェツィンゲン城で行わる音楽祭のライヴ盤はアルバン・ベルクQの一枚のみ架蔵しているが(2016年6月16日のエントリー)、他にも何れ劣らぬラインナップが目白押し。迷うことなく一気にオーダーしてしまった。

まずはアマデウスQ。先に紹介したケルン・ライヴ(2月24日のエントリー)と「死と乙女」は被っているが、こちらは1970年代後半、彼らの円熟期の演奏だけに、より一層アクの強い個性的な音楽を存分に楽しむことができる。こういう華のある演奏スタイルは、たまらなく懐かしい。

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メロスQのライヴは少し珍しいプログラムではあるものの、若き日の彼らの魅力が発揮された聴き応えのある一枚。演奏スタイルに合致しているのはフォルトナーだが、聴き物は何と言ってもハイドン。こんなにロマンティックなハイドンは、今となってはもう聴くことはできないだろう。ピリオド派にはウケが悪いだろうが、生理的なレベルで魂を揺さぶられる素晴らしい「ラルゴ」だ。覇気に満ちた終楽章も秀逸。

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東京Qのアルバムは、この団体の初代メンバーによる、いかにも彼ららしい極めて魅力的なプログラム。隅々までただの一音も蔑ろにすることのない、完璧に練り上げられたアンサンブルは、現在に至る弦楽四重奏演奏の新時代を切り拓いた彼らの歴史的な存在意義を再確認させてくれる。どの曲も有無を言わさず素晴らしいのだが、バルトークの熱気は、とりわけ尋常ではない。

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ラサールQのアルバムは、シュヴェツィンゲン音楽祭のライヴ録音ではなく、南西ドイツ放送(SWR)の放送録音。これもまた収録曲が秀逸。何といっても、ツェムリンスキーの3番が凄い。この曲を、これだけ熱気溢れる集中力で一気呵成に聴かせるのは、彼らをおいて他にないと思わせるに足る突き抜けた説得力を持った演奏である。ハイドンの作品71-2やブラームスの3番も、ロマンティックでありながらもどこか乾いた武骨さを感じさせる彼らのアンサンブルの妙を堪能できる秀演。

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グリュミオー・トリオのライヴ盤は、再びシュヴェツィンゲン音楽祭での録音。今回の買い物の中で最も音楽的な感興に満ちた一枚であった。音そのものだけでなく、奏でられる音楽の流れ、リズム、内容の全てにおいて瑞々しく気品のある美しさが漲っている。三重奏あるいは二重奏のソリスティックな華やかさを、最上の形で味わうことができる。

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まるでベートーヴェンやブラームスのように当たり前にショスタコーヴィチの交響曲の新譜がリリースされる近年では、さすがにその全ての録音を当たるのは骨が折れるし、歳のせいかその気力もなくなってきた。ただ、新譜の動向くらいはできるだけチェックするようにしているので、ボレイコの交響曲シリーズも気にはなっていた。このシリーズ第1弾の第4番&「ムツェンスク郡のマクベス夫人」組曲(2008年3月4日のエントリー)に加えて、ドイツ学生連盟オーケストラを振った第1番(2004年11月9日のエントリー)を架蔵しており、そのどちらにも好印象を持っていたこともあったので、現時点でリリースされている(第4番以外の)3枚をまとめてオーダー。以下、リリース順に。

シリーズ第2弾の第9&15番は、ことさらに曲の成立背景などを解釈に反映させるのではなく、両者共に同じスタンスで臨み、そして成功した好演と言える。まず、リズムの処理が模範的で、音楽の流れに淀みが一切ない。その上で、思いっきり盛り上げてクライマックスを作るので、スマートな聴きやすさと生理的な興奮とが極めてバランスよく両立している。しかも、個々の楽想の描き分けも自然かつ適切であり、まさに現代のスタンダードと言ってよい出来である。あえて言えば、第15番の響きが健康的に過ぎるようにも思えるが、これはオーケストラの特質も多分に影響しているのであろう。

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シリーズ第3弾の第1&6番も、同様に優れた演奏。明晰かつ流麗な音楽が心地よい。リズムの面白さ、旋律の美しさが手堅くも自然に表出されている。第1番は、最後の最後で少しコントロールが利かなくなっているのが惜しいが、ライヴ録音としては許容範囲内。第6番は思いの外、疾走感がなく落ち着いた演奏だが、この辺りがボレイコの個性なのかもしれない。

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現時点での最新盤(と言っても、既に2年以上前のリリースだが)である第5番は、こうしたボレイコのスタイルが最良の形で結実した素晴らしい演奏である。冷静な組み立てと内なる燃焼度の高さが、端正な響きと過不足のない熱狂を風格をもって生み出している。テンポは比較的遅めではあるが、終始弛緩することがない。終楽章のコーダなどは、音楽的にも技術的にも理想的な仕上がりである。

シュトゥットガルト放送交響楽団は昨年、バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団と統合して南西ドイツ放送交響楽団となり、運営体制上の問題を抱えているのかもしれないが、できればこのシリーズ、せめて声楽抜きの器楽交響曲の全てが揃うまでは継続してもらいたいところである。

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年末の中古レコード・セールにて

  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3&4番、Op.14-1 メロスQ (Intercord INT 820.530)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5&6番 メロスQ (Intercord INT 820.531)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 メロスQ (Intercord INT 820.753)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8&9番 メロスQ (Intercord INT 820.533)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10&11番 メロスQ (Intercord INT 820.534)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12&16番 メロスQ (Intercord INT 820.535)
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12&16番、大フーガ バリリQ (Preiser 90097)
  • ハイドン:弦楽四重奏曲第72番 Op. 74-1、モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番、ベートーヴェン:大フーガ、弦楽四重奏曲第16番、シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 アマデウスQ アロノヴィッツ (Va) (Andante AN2160)
  • ロータ:弦楽のための協奏曲、マリピエロ:交響曲第6番「弦楽のための」、ポレーナ:ヴィヴァルディ、モリコーネ:10の独奏弦楽器のための練習曲 イタリア合奏団 (Denon COCO-70720)
  • バルトーク:ルーマニア民俗舞曲、ボッケリーニ:「マドリードの帰営ラッパ」の主題による変奏曲、バーバー:弦楽のためのアダージョ、ボッケリーニ:メヌエット、ボッテジーニ:タランテラ、チャイコーフスキイ:アンダンテ・カンタービレ、J. シュトラウスII世&弟:ピツィカート・ポルカ、トゥリーナ:闘牛士の祈り、ハイドン(伝ホフステッター):セレナード、グリーグ:2つの哀しき旋律、ブリテン:シンプル・シンフォニより第2楽章 イタリア合奏団 (Denon COCO-75040)
  • ロッシーニ:弦楽のためのソナタ(全6曲)、ドニゼッティ:弦楽四重奏曲第3&5番 イタリア合奏団 (Denon COCO-73144→5)
2016年末もまた、家の大掃除を一段落させてから阪神百貨店の「中古&廃盤レコード・CDカウントダウンセール」へ。

今回最大の収穫は、メロスQのベートーヴェン全集旧盤がまとまって入手できたこと。第1&2番の1枚だけは学生時代に購入済みだったが、その時以来、どこかの中古屋で一度全曲が揃っているのを見ただけで、まさに幻の全集であった。残念ながら第13~15番は見当たらなかったが、それに躊躇している訳にはいかず、その場で一気に確保。

彼らの結成間もない時期(1960年代末~70年代初め)の録音ゆえに、アンサンブルの精度や音色の練り上げに粗さはあるが、彼らの特徴でありまた魅力でもある、いかにもドイツ風の暖かく厚みのある響きと、時に攻撃的ですらある鋭い表現意欲は、既に確立されている。こう言うと、たとえばラズモフスキー・セットであれば第1番辺りが良さそうに思えるのだが、第2番の方が圧倒的に素晴らしいところが、彼らの個性をよく表しているのかもしれない。曲によって出来に差はあるが、全体として非常に立派な全集である。

メロスQの遺産が冷遇されている、とまでは言わないが、この独インターコードの廉価盤にせよ、DGの新盤にせよ、彼らのベートーヴェンが現時点で入手難であることは、極めて残念としか言いようがない。



バリリQによるベートーヴェンのPreiser盤は、Westminsterレーベルの全集録音と同一のもの。何も考えずにライヴなどの別録音と思って手に取ったので、ちょっと残念。リマスターの音質は聴きやすく、悪くない。演奏については、改めて論ずるまでもないだろう。情感に満ちた美演である。

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アマデウスQが結成後10年ほどの間にケルンで行ったライヴ録音を集めた2枚組は、既に彼らの個性が確立されていたことを示す歴史的な記録というだけでなく、後年に渡って彼が得意とした楽曲の優れた演奏が収録されている点で、非常に価値のあるアルバム。彼らの演奏は、シューベルトですら現代の様式からするとロマンティックに過ぎるが、活力に満ちた独特の音楽は確固たる技術と音楽的確信によって裏付けられており、聴き手を納得させるに十分な説得力を持っている。1st Vnのブレイニンの奔放な音楽が彼らを特徴づけているのは事実だが、他の3人の渋い音色と卓越したアンサンブルもまた、彼らの個性。華やかさと渋さ、泥臭さと鮮やかさといった対比に加え、弦楽四重奏の枠を超えたスケールの大きな高揚感を聴くと、なるほど彼らが圧倒的な人気を持っていた団体であったはずだと、改めて思う。いずれの録音も高音がきつく、やや耳にうるさい感じはあるが、収められた演奏を味わうには不足しない。どの収録曲も彼らの個性を発揮するに十分な名曲ばかりだが、個人的には、大好きなハイドンのOp.74-1が収録されていることがとても嬉しい。後年のDG盤では少々衰えも感じられるだけに、この瑞々しい覇気はたまらなく心に響く。

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この中古市には、クラシックに関しても複数の店が出品しているのだが、なぜか今回はどの店の出品物にもイタリア合奏団のCDが目についた。収録曲を眺めて、家の棚に見当たらない楽曲が並んでいるアルバムを3枚選んで購入。

まずは、イタリアの現代作曲家の弦楽作品集。特に、ロータとモリコーネという映画音楽の巨匠2人の名がフィーチャーされている。とはいえ、収録されている作品全てがそれぞれに個性的かつ魅力的で、イタリアの現代音楽の多様さを堪能することができる面白いアルバムに仕上がっている。

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「プロムナード・コンサート」と題されたアルバムは、多彩な選曲と旋律美を前面に押し出した手馴れたアンサンブルが、弦楽合奏の粋と言って過言ではない魅力を放っている。こういう音楽は、この編成だからこそ、そしてこの団体だからこそなし得るのだろう。とても素敵な一枚である。

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ロッシーニの弦楽のためのソナタは、カラヤン/ベルリンPOの演奏(第1~3、6番の4曲のみ)しか持っていなかったので、この機会に全6曲を揃えておこうと確保。この団体のためにあるような作品だが、アンサンブルが緩くて冴えない出来だったのは意外。ドニゼッティの方が聴き映えのする演奏となっているが、どうせなら弦楽四重奏で聴きたいところ。

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theme : クラシック
genre : 音楽

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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