クリップスのモーツァルト

  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番 グルジア国立放送Q (Melodiya C10 30589 007 [LP])
  • バルトーク:弦楽四重奏曲第4番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番、ストラヴィーンスキイ:弦楽四重奏のための3つの小品、ヴェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテル スロヴァキアQ (RCA PRL 1-9060 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya C 10-14899-900 [LP])
  • ブラームス:弦楽五重奏曲第1&2番 バルトークQ他 (Hungaroton SLE 6003 [LP])
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番、モーツァルト:弦楽四重奏曲第20番、スメタナ:弦楽四重奏曲第1番 スメタナQ (BBC Legends BBCL 4137-2)
  • モーツァルト:交響曲第40・32・38番 クリップス/アムステルダム・コンセルトヘボウO (Philips 422 476-2)
  • ドヴォルザーク:チェロ協奏曲、チャイコーフスキイ:ロココの主題による変奏曲 ロストロポーヴィチ (Vc) カラヤン/ベルリンPO (DG 447 413-2)
13日に修士論文発表会、16日に卒業論文発表会があって、仕事も一段落。いよいよ、卒業シーズン。春ですねぇ。まぁ、自分の仕事は何かと山積みなわけですが…

先週は祖母の葬儀があって札幌に帰ったりしたのでなかなかハードだったが、13日の夜は久しぶりに演奏会へ足を運んだ。大阪フィルハーモニー交響楽団の第375回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)で、曲目はショスタコーヴィチの交響曲第7番。終演後の拍手も盛大で評判も上々のようだったが、個人的には全く聴くべきところのない演奏で不満たらたら。ここに簡単な感想を書いておきました。

1月にMikrokosmos Mail Order Co.から届いたLPを、土曜日にようやく聴くことができた。グルジア国立放送Qの演奏は、グルジア語(?)とロシア語しかない胡散臭いジャケットとは裏腹に、正統派。使用楽器があまり良くないのか、若干がさついた音色のようにも聴こえるが、それが逆に硬派な印象を生み出している。骨太な秀演。スロヴァキアQの演奏も、チェコのしっとりとした音色が心地よい。端正な音楽作りも好ましく、模範的な演奏に仕上がっている。どちらもあまり期待していなかったのだが、意外な掘り出し物。一方、ようやく入手したスヴェトラーノフ盤はエフゲニー・スヴェトラーノフのページなどで見聞きしていた通り、今ひとつな内容。このコンビならではの大柄な響きが楽しめるが、繊細さに欠けるために、特に第1楽章に物足りなさが残る。第2楽章以降の描き分けも通り一遍で、全体に単調なのが残念。

昨年11月に京都で購入したLPの内、バルトークQのブラームスを今頃になってようやく聴いた。既にCDで持っているが、いつ聴いても作品に対する熱い共感に胸打たれる名演。

久しぶりに、Tower Records梅田店に立ち寄る。入ってすぐに、新譜コーナーでスメタナQのライヴ録音を見つけた。1960年代半ば、彼らの全盛期の演奏。お得意の曲目ばかりなので、安心して聴くことができる。いわゆるチェコの音、ノヴァークの歌い口、コステツキの安定した仕事人ぶり、シュカンパの硬派な音色、コホウトの渋い存在感、これぞスメタナQの真髄とでも言えるようなアルバムになっている。旧きよき時代の音楽。

収穫は、かぶとやま交響楽団の第30回定期演奏会で演奏するモーツァルトの交響曲第32番。クリップス盤が良いと聞いていたのだがカップリングもわからず見つけられないでいたところ、偶然に発見。確かに、これは素晴らしい演奏。自然体であっさりした外見なのに、細部まで音楽的なニュアンスに満ちている。あえて言えば第2楽章が出色の出来。もちろん両端楽章も音楽の愉悦が溢れ出している。第40番にはもう少し物々しさが欲しいような気もするが、これはこれで立派な音楽。ただ、このディスク最大の聴き物は第38番だろう。間然とすることなく、最後まで一気に聴かせる名演。モーツァルトの魅力が全てここに凝縮されている。

これもまたかぶとやま交響楽団の第30回定期演奏会の曲目である、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。デュ・プレ&チェリビダッケ盤CDとロストロポーヴィチ&ジュリーニ盤LPしか持っていない(はず)ので、とりあえず名盤中の名盤と言われている、ロストロポーヴィチ&カラヤン盤を買う。ササヤ書店でMasters Music Publications,Inc.から出版されているCritical Editionのスコアも買った(せっかく演奏するのに、中学生の時に買った全音のスコアしか持ってないっていうのもね)ので、スコアを読みながら聴いてみた。感想は…んー 久々にがっかりしました。まず、オーケストラが全然巧くない。トランペットの音程は悪いし(特に第1楽章)、弦楽器は雑だし、木管にはデリカシーがないし。ロストロポーヴィチの意向なのかもしれないが、p以下のデュナーミクが実にぞんざいに扱われている。文字通り競い合うような雰囲気は確かに面白いが、音量合戦にしか聴こえないところ多数。確かにこれ以上は考えられない組合せということで聴く前から名盤の位置は保証されているのだろうが、それだけに、これ以上は考えられないくらい失望する。でも、本当に素晴らしい曲ですね。チャイコーフスキイの方が演奏の出来はいいかな。ただ、曲に興味がないので、完全に流し聴き。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Mozart,W.A.

2003年の5盤

  • ベートーヴェン:「エグモント」序曲、交響曲第6番 ケーゲル/ドレスデンPO (Altus ALT055)
  • ベートーヴェン:交響曲第6番 C. クライバー/バイエルン州立O (Orfeo C600031B)
  • ベートーヴェン:交響曲第2番、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 フランチェスカッティ (Vn) ミトロプーロス/ウィーンPO (Orfeo C 534 001 B)
  • レーガー:ロマンティック組曲、モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ ツァグロセク、サロネン/バーデン・バーデン南西ドイツ放送SO (Allegria 221029-205)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ作品集 アシケナージ (Pf) (Decca UCCD-1105)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ、ブリテン:チェロ・ソナタ ウィスペルウェイ (Vc) ラツィック (Pf) (Channel Classics CCS 20098)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、ハイドン:交響曲第88番 オーマンディ/フィラデルフィアO (Scora scoracd005)
  • Where are You,my Brothers? フヴォロストーフスキイ (B) オルベリアン/モスクワ室内O他 (Delos DE3315)
ご縁があって名を連ねさせていただいている奥座敷同人の2003年の5盤がアップされた。趣味嗜好の全く異なる5名による選択だけに、毎年大いに刺激を受けている。また、諸氏が音盤から受けた印象から思考を披瀝していく様子を窺うだけでも大変楽しい。是非、ご一読を。

で、僕が5盤の一つとして挙げたケーゲルの来日公演ライブを聴いた。何度聴いても素晴らしい音楽に圧倒される。標題性を感じさせながらも徹底的に抽象的な音楽。第1楽章の多彩さ、第2楽章の深遠さ、第3楽章のベートーヴェン離れしたスケルツォ、一気呵成の第4楽章の向こうにやってくる第5楽章の抜け切った軽さ。これは、ひょっとしたら「田園」とは違う音楽なのかもしれないが、それでも僕は、この演奏で初めて「田園」を知ったと言いたい。

同じ「田園」でも一度聴いて即座に酷評したのが、クライバーの新(?)盤。その後何度か聴いたが、やはり絶賛されるほどの演奏とは思えない。ただ、感覚的な美しさを随分と盛り込もうとする指揮者の意図は見えてきた。颯爽としたテンポが、時にせかせかしたように感じられてしまうのは、おそらく練り上げ不足なのだろう。クライバーが何度もこの曲を演奏していれば、もしかしたら「運命」クラスの名演が生まれたかもしれない。

クライバーの後に、ミトロプーロスの1958年ザルツブルク音楽祭ライヴを聴くと、これぞベートーヴェンという音楽にほっとする。

今年二度目のTower Records難波店。お目当ては、かぶとやま交響楽団の第30回定期演奏会で取り上げるレーガーの「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」について、知人から情報をいただいたサロネン盤。この曲については、カイルベルト盤とベーム盤の2種類しか所有していないし、WOWWOWで放映されたホルスト・シュタイン/ベルリンPOの録画を入れてもたかだか3種類しか聴いたことがなかったため、新盤(といっても再発のようだが)を買い逃すわけにはいかない。さて、その演奏内容だが、スコアを的確に音化した秀演で、僕が聴いた中では最も優れたもの。やたらと仔細に書き込まれたアーティキュレーションやデュナーミクを、実に丁寧に再現していることに感心した。冗長なフーガもしっかりと構成を捉えていて、退屈さをあまり感じさせない。オーケストラも十分に巧い。

アシケナージのピアノ作品集は、想像していたのよりもずっと充実した内容。選曲についてはやや散漫な感じも否めないが、深く沈みこむような情緒が全体をうまく統一している。ここには、アシケナージのショスタコーヴィチ観、あるいはソ連観が強く反映しているのだろう。

ウィスペルウェイのチェロ・ソナタは、いつでも買えると思って何となく買いそびれていたもの。気がついたら、日本語解説がついた割高な形でしか店頭で見かけなくなってしまった。損したなぁ。技術的にも音楽的にも模範的な演奏。どことなくぎこちなさを感じる瞬間があるのは惜しいが、作品の美質を漏れなく伝えてくれる。

オーマンディのソ連ライヴは、覇気に満ちたなかなかの演奏。オーマンディの5番といえば2種類のスタジオ録音が遺されているが、RCA盤の高みには達していないがSONY盤よりは聴くべきところが多いといった感じ。艶やかな美音を武器に、推進力溢れる音楽が繰り広げられている。ただし残念なことに、録音は悪い。これは是非とも生で聴きたかった。

仕事しながらついつい流してしまうのが、フヴォロストーフスキイのソ連流行歌集。やっぱり大好きなんだよなぁ、こういうの。

やることが増えてくると、何かと妙な現実逃避をしたくなるもの。ふと思い立って編集CDを作ってみた。お題は「ロマンティック」。いい歳して、何をしてるんだか… 内容は以下の通り:
  1. Brahms: Intermezzo A-Dur Op.118-2 [H. Neuhaus (Pf) ]
  2. Shostakovich: Prelude (from ‘The Gadfly’ Op. 97) Arr. by Y. Larichev [J. Williams & T. Kain (Gt) ]
  3. Sviridov: Romance (from ‘Snowstorm’)[V. Fedoseyev/Moscow Radio SO ]
  4. Fibich: Poeme Op.41-4 Arr. by G. Saborov [Bolshoi Theatre Violin Ensemble ]
  5. Shostakovich: Waltz (from ‘Pirogov’ Op. 76) [V. Fedoseyev/Moscow Radio SO ]
  6. Ravel: String Quartet (2nd mov.) [Alban Berg Quartet ]
  7. Faure: Trio d-moll Op.120 (3rd mov.) [J. Hubeau (Pf) R. Gallois-Montbrun (Vn) A. Navarra (Vc) ]
  8. Svetlanov: Aria [Bolshoi Theatre Violin Ensemble ]
  9. Schumann: Piano Quartet Es-Dur Op.47 (3rd mov.) [J. Demus (Pf) members of Barylli Quartet ]
  10. Sviridov: Waltz (from ‘Snowstorm’) [V. Fedoseyev/Moscow Radio SO ]
我ながら、なかなかの出来。ちょっと人格変わりそうだけど。いや、ほんと、何度も繰り返し聴いちゃってます。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Kegel,H. 作曲家_Beethoven,L.v. 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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