追悼 カルロス・クライバー

  • ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ Telecky (Va) Majlingová (Pf) (Rediffusion Aurora AUR 5051 [LP])
  • グルック:歌劇「エコーとナルシス」、フォルクマン:序曲「リチャード三世」、ラヴェル:夢幻劇の序曲「シェヘラザード」、オーベール:歌劇「マノン・レスコー」より序曲、ヒンデミット:序曲「エロスとプシュケ」、シュポア:歌劇「ファウスト」より序曲、ショスタコーヴィチ:E.ドレッセルの歌劇「コロンブス」のための2つの小品より序曲、スッペ:喜歌劇「スペードの女王」より序曲 ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ音楽院学生SO (Melodiya C 10-12547-50 [LP])
  • シューマン:ピアノ協奏曲、演奏会用小品、演奏会用アレグロと序奏 レーゼル (Pf) マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO (Berlin Classics 0032062BC)
  • ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、J. C. バッハ:協奏交響曲 徳永次男 (Vn) 徳永兼一郎 (Vc) スウィトナー、サヴァリッシュ/NHK SO (NHK ETV [録画])
  • ブラームス:悲劇的序曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、シューベルト:交響曲第8番 ゾンライトナー (Vn) キスカルト (Vc) クナッパーツブッシュ/南ドイツ放送SO、バイエルン国立O (Seven Seas KICC 2375)
  • ブラームス:交響曲第4番 C. クライバー/ウィーンPO (DG POCG-1108)
  • ブラームス:交響曲第1~3番 ヴァント/NDR SO (RCA 09026 68559 2)
Mikrokosmos Mail Order Co.からLPが2点。テレツキーのヴィオラ・ソナタは、ごくごく平凡な内容。ピアノも含めて、技術的にもぱっとしない。酷評するほどでもないのだが。一方、実に面白かったのが、ロジデーストヴェンスキイの序曲集。並んでいる曲目の刺激的なこと!知ってる曲なんて、ショスタコーヴィチ作品だけ。学生オーケストラだけに完全な仕上がりではないが、逆に学生オーケストラだからこそこういうプログラミングができたのだろう。各曲の魅力が存分に描き出されていて、とても楽しい。

かぶとやま交響楽団の次回演奏会では、シューマンのピアノ協奏曲を演奏する。この曲は古今のピアノ協奏曲中、僕が最も好きなもの。第1楽章の展開部など、何度繰り返し聴いてもその度に夢心地になる。CD棚を見ていたら、ほとんど記憶にないレーゼル盤があったので、練習に行く途中で聴いてみた。堅実な演奏ぶりは、演奏者として非常に参考になるところが多いものの、名演と言うにはファンタジーに不足するかな。それにしても、前にこの曲を演奏したのは結婚直前の99年夏。早いものですねぇ。

N響アワーも最近はめっきり見ていないが、徳永兄弟のブラームスの二重協奏曲ということで、とりあえず録画しておいたものを1週間経ってから視聴した。ゆったりとしたテンポ感は、オーイストラフ&ロストロポーヴィチの演奏が刷り込まれた耳にはちょっと違和感があるが、とても立派な音楽に感心した。徳永兄弟、特にお兄さんのチェロは抜群に素晴らしい。それから10年後のJ. C. バッハでは、お兄さんの衰えが耳について寂しくなってしまったが。

で、ゆったりとしたブラームスの同曲を聴きたくなって、クナッパーツブッシュ盤を取り出してみた。このフレージングの巨大さは、いかにもクナらしい。ただ、全体の出来はスウィトナーが振ったN響といい勝負かなぁ。協奏曲は、指揮者の力だけでは。悲劇的序曲や未完成もいい演奏だが、もう少しオーケストラが…というのは、クナの録音に対して言うことじゃないか。

C. クライバー、亡くなりましたね。全ての録音を網羅するほどのファンではなかったし、最新(?)盤の「田園」には大いに疑問を感じたものの、やっぱり残念。ウィーンPOとの幻の来日公演、ブラームスの第4番のチケットをなんとか入手したのにキャンセルされてしまい、結局実演に接することはできなかった。LPを買い始めた中学生時代、この曲の録音を何度繰り返し聴いたことか。久しぶりに聴いて、改めてその新鮮な音楽にただただ感嘆するのみ。合掌。

ブラームスついでに、残りの3曲をヴァント盤で聴く。これは、まだ第4番がリリースされる前に1~3番のセットとして発売されたもの。いまだに第4番は購入していない。この内容については、かつて中古音盤堂奥座敷議論したことがあって、今そのログを読み返すと懐かしさとともに、演奏に対する印象が変わっていないことにちょっとびっくり。よく作られた音楽に感心するが、やはり好みの演奏ではないかな。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Brahms,J.

ひたすらピアソラとショスタコーヴィチ

  • アストル・ピアソラ ライヴ・イン・トーキョー1982 (P.J.L MTCW 1012/13)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 デプリースト/オレゴンSO (Delos DE 3329)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1&2番、コープランド:三重奏曲「Vitebsk」 Trio Wanderer (harmonia mundi HMC 901825)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、喜歌劇「モスクワよ、チェリョームシキよ」より、組曲「馬あぶ」より第3曲 コーベル/ライプツィヒ放送吹奏楽団 (Amos 5995)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5&9番 ゲールギエフ/キーロフO (Philips 475 065-2)
  • ムラヴィンスキー コンプリートライヴ1961 Feb. 12(モーツァルト:交響曲第33番、ショスタコーヴィチ:交響曲第8番、グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲) ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Dreamlife DLCA-7003)
  • Antnio AGRI: La Converación (Melopea CDMSE 5057)
わずかばかりのボーナスを片手に、Tower Records難波店へ。夜23時まで営業していることと、帰り道でのアクセスのしやすさから、最近はもっぱらこの店ばかり。たまに同じくTower Recordsの梅田店はのぞくこともあるものの、HMV心斎橋店がクラシックコーナーを大幅に縮小して以来、営業時間の都合が良い店が他になくなってしまった。まぁ、同じ店で買うようになると、ポイントカードが効率良くたまるというメリットもあるし。

ここのところ楽しみな新譜が続いているが、ピアソラ・キンテートの1982年東京ライヴはアナウンスを見かけてからリリースまでが本当に待ち遠しかったものの一つ。マスターが既に失われているとのことで、良質なエアチェックテープを探してリリースにまでこぎつけた関係者のご尽力には頭の下がる思い。オビの裏に書いてあった1984年ライヴのマスター探しの依頼文には、尽きることのない制作サイドの意欲にただただ感服。

さて肝心の演奏だが、前評判ほどには感心しなかった、というのが正直なところ。個人的な好みからすると、全体にテンポが重いことと、テンションの高さが裏目に出たようなアンサンブルの粗さが気になるからだ。藤沢嵐子が入る後半は、どこかリラックスしたような雰囲気だが、客席も含めて異様な緊張感が張り詰める前半(CD-1)の方が音楽の密度は濃い。「AA印の悲しみ」は最後の方でアンサンブルが乱れまくるが、部分的には他の録音よりも突出して冴えている箇所もあり、これをライヴで聴いた人々が羨ましくてならない。

デプリーストのショスタコーヴィチの第11番は、15年前の旧盤と異なりライヴ録音。演奏時間も終楽章以外は非常に早くなっていることと併せて想像される熱気あふれる演奏…ではない。むしろ全く正反対の理知的で細部まで磨きあげた演奏。好き嫌いは分かれるだろうが、筆者には少々物足りなかった。もちろん、優れた演奏であることは認めるのだが。それにしても、どうしてこの曲の録音はいずれもダイナミックレンジを極端にとるのだろう。第1楽章がいつ始まったのかわからないような録音は、それだけで聴くのが面倒になる。大音量で聴けない小市民が悪いと言われればそれまでなんですけどね。

Trio Wandererという団体はどこかで聴いたことがあるような気がしたものの、ジャケットから恐らく所有していない音源だろうと判断して購入。果たして、ピアノ三重奏曲第2番の旧録音を既に架蔵していた。久しぶりに聴いた第1番は、共感に満ちた熱い音楽で、若きショスタコーヴィチの抒情を素直に引き出しているのが好ましい。第2番の方は、旧盤に比べるとテンポ設定もアンサンブルも良い意味で常識的になっている。粘着質な歌い口は作品のユダヤ性を勘案すると許容範囲だが、響きの粗さが気になる。コープランドの作品は、僕にはピンと来なかった。

ショスタコーヴィチ作品の吹奏楽用編曲集を見つけた。3000円近いフルプライスだが、買わない訳にはいかない。が、予想していたこととはいえ、酷い内容。技量も大したことない上に、致し方のないこととは言え、演奏上の都合かと思われるアーティキュレーションの変更が多く、吹奏楽でこれらの作品を演奏したいという熱心な愛好家の資料以上の価値はない。「モスクワよ、チェリョームシキよ」からの抜粋が、中ではマシか。

ゲールギエフのショスタコーヴィチの第5番と第9番は、急いで買わなくても当分入手できるだろうことと、何よりゲールギエフのショスタコーヴィチに感心したことがなかったので、今まで買いそびれていた。ところがこの第5番、ゲールギエフらしい流麗な仕上がりの中にも多彩な仕掛けが込められた、なかなかの秀演。楽器のバランスや、ちょっとした表情付けにあざとさが感じられるのは好みではないが、作品の本質を見失うようなものではなく、素晴らしい演奏。嬉しい誤算といったところか。ただ、第9番は良くない。よく洗練された音楽であるが、第1楽章に象徴されるような、過度に深読みしたような楽曲解釈には納得がいかない。抽象性の高い第2楽章や第3楽章などでは、オーケストラの名技もあって立派な仕上がりになっているだけに、もったいない。

さて、またまたムラヴィーンスキイの未発表ライヴ録音。同時期のBBC Legends盤と同じ収録曲(アンコールの「ルスランとリュドミラ」はBBC盤には収録されていない)で、演奏の印象も当然ながら似たようなもの。実に素晴らしい。これをライヴで聴いていたら、一体どれほど興奮するのか、想像すらできない。ただ、このアルバム、音質はよろしくない。モーツァルトなんかは、もうちょっと良い音で聴きたかったところ。

ここ何年かメンテすらしていないピアソラのページを見たというある人から、「ハシント・チクラーナ」の各種アレンジについての問い合わせを受けた。この曲に関してはリベーロの声なくしては…という要素もあるし、何よりゴーシスのピアノが素晴らしいオリジナル以外に聴く気はしないのだが、返信がてらアグリ最晩年のアルバムを聴いた。「ハシント・チクラーナ」のアレンジには感心しないが、聴き所がいっぱいの良いアルバムだ。冒頭の「想いの届く日」が非常に素敵。明日(10日)は大学の同期の結婚式だが、そこの余興でヴァイオリン・ソロで弾く予定。いい曲だし、いい演奏。ちょっとだけでも近づけるといいな。

オーディオ周りを整理していたら、1枚のMDが発掘された。長女が生まれた時に、寝かし付け用に作成した編集MD。「Adagio○○」と題しているにも関わらず、ほとんどがAdagioではなくてAndanteくらいじゃないかな。去る2月10日分の本欄で紹介した編集CDと曲目が随分ダブっているのも、自分のはっきりとした趣味がわかって面白い。収録曲は以下の通り:
  • Shostakovich: Romance (from ‘The Gadfly’ Op. 97) Arr. by G. Saborov [Bolshoi Theatre Violin Ensemble]
  • Fibich: Poeme Op.41-4 Arr. by G. Saborov [Bolshoi Theatre Violin Ensemble]
  • Svetlanov: Aria [Bolshoi Theatre Violin Ensemble]
  • Schumann: Piano Quartet Es-Dur Op.47 (3rd mov.) [J. Demus (Pf) members of Barylli Quartet]
  • Mozart: String Quartet B-Dur (2nd mov.) [Barylli Quartet]
  • Mozart: Clarinet Quintet A-Dur (2nd mov.) [L. Wlach (Cl) Vienna Konzerthaus Quartet]
  • Schumann: Violin Sonata No. 2 d-moll Op.121 (3rd mov.) [安永 徹(Vn) 市野あゆみ (Pf)]
  • Chausson: Concerto D-Dur Op.21 (2nd mov.) [Les Musiciens]
  • Faure: Trio d-moll Op.120 (2nd mov.) [J. Hubeau (Pf) R. Gallois-Montbrun (Vn) A. Navarra (Vc)]
  • Debussy: String Quartet (3rd mov.) [Parrenin Quartet]
  • Shostakovich: Piano Quintet (4th mov.) [L. Edlina (Pf) Borodin Quartet]
  • Mozart: Duo for Violin and Viola No. 2 B-Dur (2nd mov.) [Regis&Bruno Pasquier]<
  • LI>Shostakovich: Prelude (from `The Gadfly' Op. 97) Arr. by Y. Larichev [J. Williams &T. Kain (Gt)]

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : Tango_Piazzolla,A. 作曲家_Shostakovich,D.D.

ショスタコーヴィチの肉声 4枚組

  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1&2番、ウストヴォーリスカヤ:ピアノとティンパニと弦楽合奏のための協奏曲 ヤコビー (Pf) マッケラス/ロイヤルPO (Dutton CDSA 4804)
  • ラヴェル:マダガスカル島民の歌、ショスタコーヴィチ:S.チョールヌイの詩による5つの風刺、レスピーギ:夕暮れ、シュルホフ:3つの印象画、ブリテン:子守歌のお守り コジェナー (MS) M. マルティヌー (Pf) エドマンド=デイヴィス (Fl) ヘンシェル (Vn) バールタ (Vc) ヘンシェルQ (DG UCCG-1194)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 フェドセーエフ/モスクワ放送SO (EXTON OVCL-00169)
  • J. S. バッハ:チェンバロ協奏曲集(BWV1052、1054、1055、1056、1065) コープマン (Pf) アムステルダム・バロックO (ERATO WPCS-21114)
  • チャイコーフスキイ:交響曲第5番、ハチャトゥリャーン:交響曲第3番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルテ」より前奏曲と愛の死 ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Scora scoracd011)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番、ブラームス:交響曲第3&4番 ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Scora scoracd012)
  • ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲全集 プレヴィン/ロンドンSO (RCA/BMG 82876-55708-2)
  • 映画「女ひとり」 コージンツェフ&トラウベルグ監督 (RBCmp3.com X50-828)
  • 映画「馬あぶ」 ファインツィンメル監督 (RBCmp3.com 8388)
  • Twentieth-Century Viola (エネスコ:演奏会用小品、ストラヴィーンスキイ:エレジー、ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ、コダーイ:アダージョ、ペンデレツキ:カデンツァ、ブリテン:ラクリメ) Creitz (Va) Sarbu (Pf) (Dynamic CDS 61)
  • Works for Two Pianos by Soviet Composers(シェドリーン:小ソナタ、アルチュニャーン:アルメニア狂詩曲、ショスタコーヴィチ:小協奏曲、エフセーエフ:演奏会用組曲) Galina and Yulia Turkina (Pf) (Melodiya C 10-15055-6 [LP])
  • プロコーフィエフ:古典交響曲、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 Wangenheim/Bundesjugen O (Lufthansa F 668073[LP])
  • Dmitry Shostakovich Speaks (33 M 40-41705-12 [LP])
未聴盤も片付いたので、心置きなくTower Records難波店へ買い物に。

ヤコビーという女流ピアニストのショスタコーヴィチのピアノ協奏曲集は、久しぶりの大はずれ。とりわけ第1番のトランペットの下手さ加減には、ただただあきれるのみ。音の出ないピアニストに遠慮したのか、オーケストラも精彩を欠いている。音楽を評価する以前の段階の演奏でしかない。ウストヴォーリスカヤも同様。一種のトンデモ盤だろう。

逆に当たりだったのは、コジェナーのリート・アルバム。様々な国の歌曲を集めたアルバムなのに、“リート”と名づけてしまうセンスはどうかと思うが。お目当てのショスタコーヴィチは鋭さに欠けるものの、こういう甘い「風刺」も悪くない。アルバム全体の中ではレスピーギが白眉か。

フェドセーエフの新譜は、かつてPONY CANYONからリリースされていたショスタコーヴィチ交響曲全集の一環として録音された交響曲第7番お蔵入りになっていたこの音源が、録音を担当した江崎友淑氏が立ち上げたOctavia Recordsから待望のリリース。だが、率直に言って少々期待はずれの感は否めない。基本的にはフェドセーエフらしい颯爽とした音楽の作りだが、随所でテンポ設定に個性的な扱いが聴かれる。。第2楽章の昼間部や第3楽章の第二主題などが好例。全体の響きは案外腰が軽くて意表を突かれるが、それは流れ重視の楽曲解釈も少なからず影響しているのかも。ただ、解釈の是非はともかく、同時期の他の交響曲録音に感じられた推進力が足りない。このレーベルは価格設定が極めて高いだけに、失望も大きい。

かぶとやま交響楽団の次回演奏会である、J&Jコンサート・エージェンシー主催「協奏曲の愉しみ」のプログラムについては先日述べたところだが、未聴だったバッハの協奏曲をようやく聴いた。ヴァイオリン協奏曲第2番の編曲だったのですね。演奏は、店頭にたまたまあった同曲を含むアルバム中、最も安価なものを選んだだけだったが、案外ロマンティックな表情も伺えるコープマンの音楽は気に入った。

さて、Scoraからムラヴィーンスキイのライヴ録音集がついに発売になった。全4タイトルだが、初出のショスタコーヴィチ作品を収録した2タイトルのみ購入。ショスタコーヴィチの第5番は、ムラヴィーンスキイ晩年の演奏だが、異様なほどの熱気に満ちているのが興味深い。いつもの厳しさの中にも、どこか激情にかられた人間の姿が見え隠れするような音楽。終楽章コーダで大太鼓が打ち間違うなど、全体に緻密さに欠けるのは惜しいが、聴けば聴くほど癖になる演奏。録音は年代を考えると満足のいくものではなく、編集も粗雑で楽章間や終演後の拍手が短すぎるのは残念。なお、発売直後に購入した盤ではステレオの左右が逆になっていたが、現在は既に良品が再入荷している。僕も購入した店で良品に交換してもらった。このアルバム最大のセールスポイントは、ハチャトゥリャーンの交響曲第3番の世界初演ライヴが収録されていること。資料的な貴重さに留まらず、演奏自体も作品の骨格を的確に捉えた名演。ただし、作品の出来がこの演奏に釣り合うほどのものには、僕には思えない。

一方ショスタコーヴィチの第8番だが、あのPhilips盤を凌駕する名演との触れ込みに、レジへ持っていく手も震えるほどの期待を抱いてプレイヤーにかける。一聴して、完成された解釈には惰性が微塵もなく、全身全霊を傾けた凄みに形容する言葉を見つけることができない。他の録音に比べると、緊迫感と熱狂とのバランスが程よくとれているのが特徴的。モノラルなのが残念だが、ムラヴィーンスキイのライヴ録音としては音質もそれほど悪くない。ただ、Philips盤の異様に張り詰めた雰囲気には及ばないかな。微妙なとこだけど。

ブラームスの第3番は既出音源。きちんとフレーズを処理した明晰な音楽作りと、ワーグナー的なうねりとが絶妙にバランスした名演。第4番は初出音源だが、マスターテープの作成段階で第4楽章が第2楽章で上書きされてしまったという、何とも情けない顛末でお蔵入りしていた音源。このアルバムでは、マスターの状態がそのまま復刻されている。録音が相当悪く、ムラヴィーンスキイの熱烈なファンならともかく、音楽を楽しむにはちょっと辛いか。

かぶとやま交響楽団の第31回定期演奏会は、ヴォーン=ウィリアムズの交響曲第5番と、ベートーヴェンの交響曲第6番との2曲プロ。僕はもちろん出演しないが、妻が出演する予定のため、家に一枚もないヴォーン=ウィリアムズの交響曲を、この際だから全集で。一気にまとめて聴いてしまったために、各曲の感想はおろか、この箱についての包括的な印象を述べることすらできないが、聴かずに済ますにはもったいない作品群であるとは思った。とはいえ、大半の曲で冗長さは否めず、腰を据えて聴き込もうとするほどの吸引力が僕には感じられない。ともかくこれで全曲が手元に揃ったので、気が向いた時にでもこの世界に挑戦してみようと思う。

RBCmp3.comは、旧ソ連時代の映画をVHSで入手することのできる貴重なサイトで、僕も今までにショスタコーヴィチが音楽を担当した映画のいくつかをここで入手した。もっとも、映像のルートは怪しいのだろうか、画質も音質も劣悪。映画の中で音楽がどのように使われているのかを知るという目的ならば、かろうじて我慢できるといったところだろうか。また、商品がカタログに掲載されている期間もはっきりしておらず、「エルベ河での出会い」「若き親衛隊」「銃をとる人」を入手し損なったのは、いまだに悔やまれる。「女ひとり」はショスタコーヴィチの音楽を担当した2作目の映画で、音楽のみの半トーキーである。1931年公開の映画だから仕方ないのだろうが、音楽はほとんどノイズにマスクされてしまい、よほど集中しないと音楽を聴き取ることができない部分も少なくない。どうしても途中で眠くなってしまい、まだ一度しか通して観ていないので、この作品で使用されているというテレミンの音色を確認することができていない。同じサイトから入手した映画の内、「馬あぶ」を知人に頼んでDVDに焼いてもらったものが手元に届いたので、確認がてらざっと観る。こちらの画質・音質も酷いが、まぁそれでも「女ひとり」よりは大分まし。個々のセリフはさっぱりわからないが、ストーリーはわかっているので映画を追うのにさほど苦労はしない。名画というには陳腐な部分も多いが、こういうメロドラマは大好き。

DVDに焼いてくれた知人が、ついでに僕が長いこと買いそびれていたディスクをプレゼントしてくれた。「工藤さんがお金を出してまで買うほどの演奏ではありませんから」という言葉に思いっきり甘えてしまったが、まぁ、その通り…かな(^^;。もちろん「工藤さんが」ではなく、広く一般的に、「わざわざ探してまで買うほどの演奏ではない」ということだが。お目当てのショスタコーヴィチもつつがない演奏ではあるが、それに終始する。他にもやや珍しめの作品が並んでいるが、この演奏では作品の魅力が十分に伝わることはないだろう。

最後の3タイトルは、Mikrokosmos Mail Order Co.から届いたLP。何だかやたらと大きな箱だったが、SP盤が入っていたため。しかし、このSP盤というのが、スメタナの弦楽四重奏曲第1番。アムステルダムQという知らない団体の演奏だが、どうやらカタログを見間違ってオーダーした模様。ま、よくあることですがね…

2台ピアノのための作品集は、聴いたことのない曲が多くて興味深かったが、演奏自体はこれといった特徴のないもの。技術的な冴えもとりたててあるわけではなく、音楽的にも格段の掘り下げがあるわけではない。

旧西ドイツのユースオーケストラによるライヴ録音は、技術的にも音楽的にも一流とは言えない音楽家達の音楽。こうした団体が持つ意義というのは大いに認めるが、演奏のみを評価するならば、他に幾多の録音があるこれらの作品の演奏として存在意義を認めさせるようなものではない。

ショスタコーヴィチ・コレクターとして、所有していないことを常に恥じていた録音の一つである「Dmitry Shostakovich Speaks」を、ついに入手することができた。ショスタコーヴィチが生前に公の場で行った演説等の集大成である(4枚組LP)。聞いても言葉を聴き取って理解できるわけではないのだが、ショスタコーヴィチの肉声を聞いているだけで幸せ。これぞ“ヲタク”の喜び。2004年最大の収穫であることは間違いない。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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