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アシケナージ/N響演奏会

  • モーツァルト:交響曲第35&41番 バルシャイ/モスクワ室内O (Yedang YCC-0126)
  • シューベルト:シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調、弦楽三重奏曲 変ロ長調 リヒテル(Pf) カガン(Vn) バシメート(Va) グートマン(Vc) (Yedang YCC-0148)
1月23日は、アシケナージ/NHK交響楽団の演奏会に行ってきた(神戸文化ホール)。「阪神・淡路大震災10年追悼 N響神戸特別演奏会」と題されたこの演奏会は、オール・モーツァルトのプログラム。第1533回定期演奏会と同じ交響曲第29番とレクイエムだったが、定期では演奏された「フリーメーソンのための葬送の音楽」がなかったのはちょっと残念。当日の演奏はNHK-FMで生中継されていたようだが、放送時間等の関係もあったのだろうか?レクイエムのソリストは定期と同じだったが、合唱は地元の神戸市混声合唱団。

前半の交響曲では、エレガントでしなやかな流れを持った音楽を作り出そうとするアシケナージの意図ははっきりわかった。が、オーケストラが全体に散漫で、中途半端な仕上がりになってしまったことは否めないだろう。全楽章で繰り返しは全て行なっていたが、正直なところ、飽きたかな。後半のレクイエムでもアシケナージの姿勢は一貫していた。ただ、作品の充実度も影響しているのだろうが、オーケストラの集中力は明らかに前半とは違っていたため、燃焼度の高いなかなかの演奏だった。ただ、トロンボーンは音程からして精度が悪かった。声楽陣はソプラノの森麻季がチャーミングで伸びやかな歌声で素敵だったが、他はあまりぱっとしない。

ということで、全体的にはそれほど満足感のない演奏会だったのだが、アンコールに演奏された「アヴェ・ヴェルム・コルプス」がそうした不満を全て吹き飛ばすような名演。こんなに美しく透明な弦楽器の音色は、そうめったに聴けるものではないだろう。この演奏に、アシケナージのモーツァルト観が色濃く投影されていた。

さて、またまたYedang Classicsのクリスマス・ボックスから。

バルシャイ指揮のモスクワ室内Oは僕の大好きなコンビだが、彼らのモーツァルトは第40&41番を小さい頃によく聴いた懐かしいレパートリー。「ハフナー」の冒頭から、僕が思い描く音色とフレージングに満ちている。刷り込みというのは恐ろしいものですね(^^;。で、引き続いて第41番が始まると、今度はとても落胆することに。ピッチが半音近く低いのだ。一体どういう事情でこんなミスが生じたのかはわからないが。ひょっとして、製作者が普段は古楽器演奏しか聴いていないとか?んなことはないか(^^;。

リヒテル・ファミリーのシュベールト・アルバム、ジャケットには「BASHMET・RICHTER・GUTMAN」となっているが、2曲ともに参加しているのはカガンなのにこの扱いは一体何なんだろう?「二重奏曲」は1月19日の本欄でオーイストラフ盤を取り上げたばかり。ピアノは同じリヒテル。オーイストラフとカガンは師弟関係。だが、演奏から受ける印象は大分異なる。華やかで美しいオーイストラフに対して、病的な繊細さをもったカガンといった感じ。どちらも素晴らしい。弦楽三重奏曲も同様に繊細で静かな美しさが印象的。バシメートとグートマンによる中低域の響きも太く充実していながら、透明さを失っていないのがさすが。
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theme : クラシック
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チャイコーフスキイ:聖ヨハネス・クリソストムの典礼

  • ヴェルディ:歌劇「オテロ」第1幕より「すでに夜もふけた」、歌劇「オテロ」第4幕より「泣きぬれて野の果てに一人(柳の歌)」―アヴェ・マリア、マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「ママも知るとおり」、プッチーニ:歌劇「トスカ」第1幕より「二人の愛の家」、ヴェルディ:歌劇「オテロ」第3幕よりオテロのモノローグ「神よ、あなたはあらゆる不幸をお与えになった」、マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「サントゥッツァおまえがここに」、プッチーニ:歌劇「トスカ」第1幕より「妙なる調和」、歌劇「トスカ」第2幕より「歌に生き、恋に生き」、レオンカヴァルロ:歌劇「道化師」第1幕より「衣装をつけろ」 ミラシキーナ(S) シュトーヴァ(MS) アトラントフ(T) フェドセーエフ/モスクワ放送SO、エルムレル/ボリショイ劇場O (Yedang YCC-0092)
  • チャイコーフスキイ:聖ヨハネス・クリソストムの典礼 ポリャンスキイ/ソビエト文化省室内Cho (Yedang YCC-0091)
Yedang Classicsのクリスマス・ボックスも、少し終わりが見えてきた。今日は声楽を2枚。

そもそも声楽を聴くことが少ない上に、ましてやイタリア・オペラなんて、よほどの事情がなければまずCDを買ったりすることはない。ここに収録されている曲も、ほとんどが事実上初めて聴くものばかり(テレビなどで聴いていることはあるかもしれないが、少なくともそれと認識して聴いてはいない)。ミラシキナーナとアトラントフは、70年代ボリショイ劇場の二大スター歌手とのこと。輝かしい声と情感あふれる歌いまわしは、いかにもイタリア・オペラといった雰囲気。技術的なことはよくわからないが、非常に立派な歌唱だと感じた。たまには、こういう音楽も楽しい。

チャイコーフスキイの「聖ヨハネス・クリソストムの典礼」という合唱曲は、曲名すら全く知らなかった作品。交響曲第4番の少し後に書かれたもののようだ。これがまた実に美しい。ポリャンスキイ率いる合唱団の水準も非常に高い。ラフマニノフの「晩祷」などと並ぶ名曲だと思う。

theme : クラシック
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ベルマン、ニコラーエヴァ、ギレリス(Yedang)

  • シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番、ヘンデル:シャコンヌ、プロコーフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」から行進曲 ベルマン(Pf) (Yedang YCC-0097)
  • モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲、3台のピアノのための協奏曲 ニコラーエヴァ、ヴィルサラーゼ、ルガンスキイ(Pf) ゾンデツキス/リトアニア室内O (Yedang YCC-0089)
  • べートーヴェン:ピアノ協奏曲第4&5番 E. ギレリス(Pf) マズア/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0007)
引き続き、Yedang Classicsのクリスマス・ボックスから。今日はピアノばかり3枚。

若きベルマンのライヴ録音(1964年)は、強靭なタッチと確かなテクニック、そして素直な音楽性が楽しい。ただ、シューベルトはあまりに陰影がなさすぎる。第2楽章終了後に拍手が入るが、それほど良い演奏だとは思わなかった。ヘンデルとプロコーフィエフは、ベルマンの魅力全開といった感じ。

ニコラーエヴァを中心としたモーツァルトのピアノ協奏曲集は、地味ながらも上品で清楚な佇まいがとても素敵。音そのものの魅力が素直に流れる音楽と相まって、不思議と印象に残る。

ギレリスによるベートーヴェンの協奏曲、となれば少なくとも悪いはずはない。その期待を裏切らない熱演。ライヴ録音だが、思いのほかミスタッチが少ないのはギレリスらしくないけど(^^;。第4番は少し一本調子すぎるようにも感じられるが、第5番は作品によくハマっている。マズアのサポートも無難だし、オーケストラがいかにもな音色なのも嬉しい。

theme : クラシック
genre : 音楽

オーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチ(Yedang)

  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番、シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D. オーイストラフ(Vn) リヒテル(Pf) (Yedang YCC-0096)
  • サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番、組曲「動物の謝肉祭」、ブラームス:幻想曲集 作品116 E. ギレリス、ザーク(Pf) シャフラン(Vc) P. ベリルンド、エリアスベルグ/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0066)
  • べートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9&6番 L. コーガン(Vn) N. コーガン(Pf) (Yedang YCC-0046)
  • ブラームス:チェロ・ソナタ第1&2番、べートーヴェン:チェロ・ソナタ第4番 ロストロポーヴィチ(Vc) デデューヒン、リヒテル(Pf) (Yedang YCC-0079)
  • べートーヴェン: 弦楽三重奏曲第1番、J. S. バッハ:管弦楽組曲第3番より「アリア」、ヘンデル:ソナタ集 作品1-13よりラルゲット、シューベルト:即興曲第3番、ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ L. コーガン(Vn) バルシャイ(Va) ロストロポーヴィチ(Vc) ヤンポリスキイ、デデューヒン(Pf) アノーソフ/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0090)
まだまだ、Yedang Classicsのクリスマス・ボックス。基本的に大好きな演奏家ばかりなので、毎日聴いていても飽きない。

オーイストラフ&リヒテルの二重奏は、非の打ち所がない名演。1966年のライヴ録音なので音質は今ひとつだが、高貴で深遠な極上の音楽の前では些細な問題。ブラームスの第3番はバウエルとの演奏を1月17日の本欄で取り上げたが、細部の表情等も含めてこのリヒテル盤の方が密度の高い仕上がりになっている。

「Shafran & Gilels」というアルバム、中身を見てみたらシャフランは「動物の謝肉祭」のみ。実態はギレリス・アルバム。ギレリスのサン=サーンスの第2番はクリュイタンス盤を持っているが、音楽の推進力と録音状態は本盤の方が格段に良い。一方、オーケストラの仕上がりは大分落ちる。ギレリスの名人芸的な魅力が、存分に発揮されている。「動物の謝肉祭」は録音が悪いのが残念だが、全体に覇気が満ちていて結構楽しい。シャフランの「白鳥」も美しい。このアルバムの白眉は、ブラームスの作品116。1983年というギレリス晩年の演奏だが、硬質で量感のある透き通ったギレリスのタッチが作品との相性抜群。全てのフレーズが渋い輝きを放っている。名演。

コーガン父娘によるベートーヴェンのソナタは、異様にテンションの高い大熱演。「クロイツェル」が凄まじい。両端楽章の狂気と中間楽章の繊細さの両立に、コーガンの懐の深さを感じる。第6番の方は、もう少し典雅な雰囲気があってもいいかな。それにしても、本当によく響くヴァイオリン。一度でいいから、こんな音を自分で出してみたい。

ロストロポーヴィチによるブラームスのソナタはR. ゼルキンとのDG盤が名盤の誉れ高いが、僕は聴いたことがない。柄の大きな歌が魅力的だが、第1番は少し締りがないようにも思われた。少々拍子抜けして第2番に進んでみると、これが格調高く素晴らしい演奏。慌ててジャケット裏を確認したところ、この曲だけピアノがリヒテルだった。ロストロポーヴィチが偉大なチェリストであることに異論はないが、肥大しがちな彼の音楽をきちんとコントロールできるパートナーが必要なのかもしれないと、この録音を聴いて思った次第。

コーガン、バルシャイ、ロストロポーヴィチの弦楽三重奏は、期待通りの演奏。それぞれがソリスティックな魅力を放ちながらも、不思議と一体感のあるまとまりを感じさせる。ロストロポーヴィチによる小品も、恥ずかしげもなくロマンティックでなかなか良い。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Oistrakh,D.F. 演奏家_Kogan,L.B. 演奏家_Rostropovich,M.L.

キーシン、ギレリス、リヒテル(Yedang)

  • ショパン:ワルツ第14番、マズルカ第40、20、17、51、32番、幻想曲、ピアノ・ソナタ第3番 キーシン(Pf) (Yedang YCC-0018)
  • ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12、16番 E. ギレリス(Pf) (Yedang YCC-0103)
  • ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6、7番、ハイドン:ピアノ・ソナタ第39、51(47)番 リヒテル(Pf) (Yedang YCC-0095)
今日も、Yedang Classicsのクリスマス・ボックスから。昨日は弦楽器ばかりだったので、今日はキーシン、ギレリス、リヒテルといったピアノを中心に。

まずは、キーシンのショパン。冒頭の瑞々しく弾けるようなワルツに、いきなり引き込まれる。録音年を見たら、何とキーシン12歳の時の演奏… まいりました、としか言いようがない。最良の意味において若々しい演奏。5年後のソナタは、より一層圧倒的。今までキーシンをまともに聴いてこなかったことを悔いるのみ。

ギレリスは大好きなピアニストだが、キーシンの鮮烈な演奏を聴いた後のせいか、それほどの印象を受けなかった。ギレリスのライヴならではの熱狂はあるものの、作品の核心に迫るような凄みはいまひとつ。でも、やっぱりギレリスの音色はいいなぁ。

一方のリヒテルは、軽い感じのする作品を相手に変幻自在な音楽を紡ぎ出している。1980年(ベートーヴェン)と1985年(ハイドン)だから、もうリヒテルの晩年と言ってもよいのだろうか?余人の追随を許さない独自の境地には、神々しさが感じられる。

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オーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチ(Yedang)

  • プロコーフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1&2番、バレエ「ロメオとジュリエット」より「仮面」(ハイフェッツ編)、ヴァイオリンとピアノのための5つのメロディー D. オーイストラフ、L. コーガン(Vn) ムイトニク、ヤンポリスキイ(Pf) コンドラーシン/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0016)
  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」 D. オーイストラフ(Vn) バウエル(Pf) (Yedang YCC-0077)
  • サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番、プロコーフィエフ:交響的協奏曲 ロストロポーヴィチ(Vc) ストリャーロフ/モスクワ放送SO、K. ザンデルリンク/レニングラードPO (Yedang YCC-0155)
  • エルガー:チェロ協奏曲、ブリテン:チェロ交響曲 ロストロポーヴィチ(Vc) ラフリン、ブリテン/モスクワPO (Yedang YCC-0043)
Yedang Classicsクリスマス・ボックス、ようやく半分くらいまで消化してきた。まだ何が残っているのか、実はきちんと把握していない…(^^;。

で、今日はオーイストラフ、コーガン、ロストロポーヴィチと、弦楽器の神様達のアルバムを集中的に。

まずは、プロコフィエフ作品のアルバムから。これらの作品の最も理想的な演奏であることは、いまさら疑う余地もない。隅々まで自然な音楽の息吹きに満ち溢れ、作品の魅力が十二分に表出されている。技術的にも、当然ながら完璧な出来。終始圧倒される一枚。

オーイストラフとバウエルのソナタ集は、まさに名曲の名演といった形容がふさわしい。高貴なロマンティシズムを感じさせるブラームス、貫禄たっぷりのベートーヴェン、いずれも最大級の賛辞を受けて然るべき演奏。

ソ連時代のロストロポーヴィチは、いつ聴いても素晴らしい。2枚のアルバムに4曲の協奏曲が収録されているが、多彩な作曲家の作品を見事に弾き分けながらも、一方で深くロストロの刻印が刻み込まれているのが印象的。いずれも録音はあまり良くないのが残念だが、プロコーフィエフやブリテンといったロストロのための作品はもちろんのこと、サン=サーンスやエルガーにおいても作品に極限的な巨大さを与えるロストロの名技が光る。なお、ブリテンは世界初演の貴重な記録とのこと。

theme : クラシック
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ABQのピアソラ

  • マツケンサンバII 振り付け完全マニュアルDVD (Geneon GNBL-1011 [DVD])
  • アストル・ピアソラ:タンゴ・センセイションズ、アローラス:エル・マルネ、コビアン:私の隠れ家、デ・カロ:ラ・ラジュエラ(石蹴り遊び)、シュヴェルツィク:アデュー・サティ、ピアソラ(ジョナー編):AA印の悲しみ グロルヴィゲン(バンドネオン) ポッシュ (Cb) アルバン・ベルクQ (EMI TOCE-55649)
いまさらながら、BIGLOBEストリームマツケンサンバII特設サイトを見て、居ても立ってもいられなくなり、振り付け完全マニュアルDVDを衝動買い。冒頭のマツケン様のメッセージから一部の隙もない完成度の高いエンターテイメント。振付師の真島先生のキャラも絶妙で、こんなに楽しい映像作品はめったにないだろう。これで約1500円というのは安い。

アルバン・ベルクQによるタンゴ・アルバムは、昨年6月のリリース。だが、全くその存在を知らなかった。何たる不覚!「タンゴ・センセイションズ」は、最晩年のピアソラとクロノスQによる「ファイヴ・タンゴ・センセイションズ」から第2曲「愛」を省略したもの。もっとも、この曲も1983年の「7つのシークエンス」という曲からの抜粋。クロノスQとの録音ではピアソラの衰えが痛々しいが、1983年の録音ではそうした不満はない。で、そのピアソラと比較すると、グロルヴィゲンの非力さはどうしようもない。まぁ、これはクレーメルとやった一連のピアソラ・アルバムでも分かりきっていたことなんだけど。逆に、弦楽四重奏の充実度はアルバン・ベルクQの方が圧倒的。確かに“タンゴ”じゃないかな、と思わなくもないが、多彩かつゴージャスな響きの魅力やアンサンブルの練り上げの見事さは、さすがこの団体ならでは。音楽的にもグロルヴィゲンを終始圧倒し続ける。ということで、3曲のバンドネオン・ソロにはさしたる魅力はなし。これだったら、アルバン・ベルクQだけで「Four for Tango」をやってくれた方がどれだけ良かったことか。

違和感なく楽しめたのは、ウィーンの作曲家クルト・シュヴェルツィクによる「アデュー・サティ」。タンゴの語法も使われているとはいえ、このアルバムの演奏会のために委嘱された作品だけにアルバン・ベルクQの威力が一層発揮されるものとなっている。バンドネオンとのバランスも良い。

期待した「AA印の悲しみ」は、まず編曲が今ひとつ。コンフント9とのオリジナル録音ではなく、晩年のキンテートのスタイルをとっているのに、盛り上がらず静かに終わるエンディングはいかがなものか。またポッシュのベースにドライブ感が欠けるのは、これもクレーメルとのピアソラ・アルバムで分かりきってたことだが、非常に物足りない。中間部でピッツィカートを使ったりするところなんて、逆にアルコでブリブリやってくれなきゃ。即興的な要素はほとんどない(それっぽい部分はある)が、この曲でもアルバン・ベルクQの存在感だけが際立っている。ピアソラ・アルバムとしては不満もあるが、アルバン・ベルクQのアルバムとして考えるならば聴き逃すのはもったいない一枚と言えるだろう。

それにしても、半年以上もノーチェックだったのは痛恨。コレクター引退か。(^^;

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_AlbanBergQuartet Tango_Piazzolla,A.

クレーメルの小品集(Yedang)

  • ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」全曲  ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO&合唱団 (Yedang YCC-0165)
  • レスピーギ:交響詩「ローマの松」、アダージョと変奏、ラヴェル:スペイン狂詩曲 ロストロポーヴィチ (Vc) ガウク/モスクワ放送SO、コンドラーシン/モスクワPO、ロジデーストヴェンスキイ/モスクワPO (Yedang YCC-0152)
  • メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調、チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲 クレーメル (Vn) バシメート/モスクワPO、マンスーロフ/モスクワ放送SO (Yedang YCC-0029)
  • ウェーベルン:4つの小品、ベートーヴェン:6つのドイツ舞曲、ディニーク:ホラ・スタッカート、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番より第4楽章、ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタより第2楽章、ボッケリーニ:弦楽五重奏曲ホ短調 作品13-5より メヌエット、ブラームス:ハンガリー舞曲第8番、J. S. バッハ:シャコンヌ クレーメル (Vn) マイセンベルク (Pf) (Yedang YCC-0118)
今日もまた、Yedang Classicsのクリスマス・ボックスから。

ロジデーストヴェンスキイのフランス音楽…となると、イロモノか輝かしい演奏か、その両極端だろうと予想するが、この「ダフニスとクロエ」は嬉しいことに色彩感豊かな輝かしい秀演。ロジデーストヴェンスキイはモスクワ放送響時代が一番良かった、というのが僕の意見だが、「ダフニスとクロエ」はその良い証拠の一つとなるだろう。

「ローマの松」みたいにお馬鹿な曲に、ガウクはぴったり。録音は悪いが、細かいところまで鮮明に聴こえないので逆に安心して聴き流すことができる。同じレスピーギの「アダージョと変奏」はチェロとオーケストラのための作品。これが何とも美しい佳曲。ラヴェルでのロジデーストヴェンスキイは、「ダフニスとクロエ」と同様に見事な演奏を聴かせてくれる。

クレーメルのアルバム2枚は、非常に優れた内容。メンデルゾーンのニ短調協奏曲における彫りの深さは、絶頂期のクレーメルならではのもの。バシメートの伴奏も意欲的で、攻撃的であったり、不健康な甘さが漂ったりしながらも、単なる若書の作品に片付けてしまわないクレーメルの自在な芸を見事に支えている。チャイコーフスキイは、クレーメルが23歳の時の演奏。クレーメルの特異な個性は、もう既に確立されている。

面白さという点では、小品集の方が抜きん出ている。奇妙な選曲だが、それぞれがクレーメルにお似合いで、また不思議とアルバムとしてのまとまりすら感じさせるのは、演奏内容の素晴らしさによるものだろうか。特にベートーヴェンのソナタが、クレーメル特有の弱音を駆使した異形の名演で感銘を受けた。

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リヒテルのショパン(Yedang)

  • リスト:2つの演奏会用練習曲より「森のささやき」、3つの演奏会用練習曲より「ため息」、愛の夢第3番、ハンガリ-狂詩曲第12番、超絶技巧練習曲集第10番、シューマン:交響的練習曲、アベッグ変奏曲、歌曲集「ミルテの花」より第1曲「献呈」(リスト編) キーシン (Pf) (Yedang YCC-0028)
  • ハイドン:交響曲第94番「驚愕」、ピアノ協奏曲第4番 リマ (Pf) バルシャイ/モスクワCO (Yedang YCC-0146)
  • ベートーヴェン:弦楽三重奏のためのセレナーデ、弦楽三重奏曲第3番 カガン (Vn) バシメート (Va) グートマン (Vc) (Yedang YCC-0085)
  • ショパン:スケルツォ第1、2、4番、練習曲第1、3、10、12番、夜想曲第4、5、6番 リヒテル (Pf) (Yedang YCC-0114)
引き続き、Yedang Classicsのクリスマス・ボックス。我ながら根性あるなぁ。

このボックスのおかげで立て続けに聴いているキーシン。こんなに凄いとは思わなかった。ソ連の神童をなめてました。このアルバムも10代後半の録音だが、テクニックだけでなく音楽的にも極めて高度に完成されている。何より感心するのは、演奏している作品が実に魅力的に輝いて聴こえること。シューマンの交響的練習曲はベレゾフスキイの演奏で聴いたばかりだが、音楽の内容は比較にならない。

バルシャイ/モスクワ室内Oのウィーン古典派は結構好き。どこか突き放したような冷たさというか、曲にのめり込むような熱さがないところが、逆にしっくりくる。また、弦楽器の奏法や音色も僕にとってはある意味で原風景。この「びっくり」も同曲のベスト演奏だとは決して思わないが、自分で弾くならこう仕上げたいと思うような演奏。ピアノ協奏曲は初めて聴いた曲だが、リマのピアノも清潔で好印象。

リヒテル・ファミリーとも言われるカガン&グートマン夫婦とバシメートの弦楽三重奏は、期待通りの見事な演奏。カガンのやや細身ながらも多彩なヴァイオリンと、逞しいグートマンのチェロに、主張の強いバシメートのヴィオラというバランスが実に精妙。ソリスティックなぶつかり合いではなく、不思議と一体感のあるアンサンブルに終始するのが面白い。有名なセレナーデもいいが、弦楽四重奏曲第3番が非常に充実している。名演。

で、最後にリヒテルのショパン・アルバム。まいった。やっぱりリヒテルはモノが違うといった感じ。どういうコンセプトなのかは分からないが、録音年が1965~1980年と25年に渡っているため、何となく芸風の違いなども楽しむことができるような気がする。個人的には夜想曲の3曲に打ちのめされた。ショパンって、こんなに深い音楽だったのですね。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Richter,S.T.

まだX’mas…

  • ムーソルグスキイ:展覧会の絵(ラヴェル編曲版&原曲) ペトロフ (Pf) テミルカーノフ/ソヴィエト国立SO (Yedang YCC-0003)
  • グレゴリア聖歌集 ルスタヴィ・アンサンブル (Yedang YCC-0113)
  • チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェン:交響曲第7番 パールマン (Vn) メータ/イスラエルPO (Yedang YCC-0122)
  • イタリア・オペラ・アリア集(プッチーニ:「ボエーム」~冷たき手を、ヴェルディ:「リゴレット」~あれかこれか、風の中の羽根のように(女心の歌)(パヴァロッティ)、ヴェルディ:「シモン・ボッカネグラ」~誇り高き宮殿よ、「ドン・カルロ」~ひとり寂しく眠ろう、「マクベス」~空が急にかげったように、「エルナーニ」~何たることだ(ザッカリア)ヴェルディ:「仮面舞踏会」~土気色の顔が星を見上げるとき、ドニゼッティ:「ランメルムーアのルチア」~あたりは沈黙にとざされ、ロッシーニ:「セビリアの理髪師」~今の歌声は(グリエルミ)、ベルリーニ:「ノルマ」~ああ!どうぞ、あの子たちを、ヴェルディ:「マクベス」~日の光が薄らいで(ヴァイナ)、トスティ:「マレキアーレ」、プッチーニ:「蝶々夫人」~ある晴れた日に、「トスカ」~歌に生き、恋に生き(トゥッチ)) (Yedang YCC-0145)
  • ショパン:24の練習曲 アシケナージ (Pf) (Yedang YCC-0154)
  • シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ、ストラヴィーンスキイ:ロシアの歌、A. チャイコーフスキイ:ヴィオラ協奏曲、ベリオ:バレエの情景 バシメート (Va) ムンチャン (Pf) ゲールギエフ/モスクワPO (Yedang YCC-0087)
  • シューマン:交響的練習曲、クドレイ:ソナタ=フレスコ、バラキエフ:イスラメイ、チャイコーフスキイ:ピアノ協奏曲第1番 ベレゾフスキイ (Pf) S. コーガン/ロストフ・フィルハーモニック協会SO (Yedang YCC-0161)
Yedang Classicsのクリスマス・ボックス、まだまだ未聴盤の山。買った音盤は絶対に一度は聴くというのが僕のささやかなポリシーだけに、未開封のまま放っておくわけにはいかない。それに、普段なら聴くことも、ましてや買うこともないような作品・演奏があるからもったいないし。

まずは、「展覧会の絵」の原曲とラヴェル版とを1枚に収録したアルバム。テミルカーノフの指揮に期待したが、わりとあっさりした平凡な出来に拍子抜け。ペトロフのピアノにも特筆すべきものは聴かれなかった。

「グレゴリオ聖歌集」は、こんなことでもなければ聴かない音楽の筆頭。癒しの音楽として一時ブームになっていたのは知っているが、そもそも癒されるほどのことは何もしていないので、聴く必要性を全く感じていなかった。確かに“癒し”と称したくなる意味はよくわかるし、美しい音楽であるとも思うが、この時代に生まれていたら音楽が好きだったかどうかは甚だしく疑問。

パールマン&メータのモスクワ・ライヴは、別にこの顔ぶれで聴かなくても…というプログラム。パールマンのヴァイオリンは決して嫌いではないのだが、チャイコーフスキイなんて彼にとっては朝飯前に違いないとはいえ、いくらなんでも適当に弾き飛ばし過ぎのように思われる。こういう雑な演奏には感心しない。メータのベートーヴェンはごく平凡な演奏。

「イタリア・オペラ・アリア集」は、スカラ座の歌手たちがモスクワに客演した時のライヴ録音。歌劇や歌曲を聴くことがほとんどないので、名前を見てピンとくるのはパヴァロッティくらいしかいないが、それぞれが美声を競い合うように張り上げていて、それなりに楽しい。

アシケナージのショパンというのも、実は全くの初体験なのだが、とても感心した。ソ連時代唯一のショパンということだが、他の録音や演奏と比較したわけではないものの、丁寧に磨かれた仕上げが立派。各曲の魅力が存分に引き出されている。中でもテンポの速い曲が良い。

バシメートが当代随一のヴィオリストであることに何ら異論はないが、ぬっとりとした芸風がどうしても好みではない。ただ、ここに収録された作品群に関しては、そうした違和感もなく楽しむことができた。アルペジョーネ・ソナタは、音域の問題で不自然な箇所は少なくないが、これはまぁバシメートのせいではない。バシメートに献呈されているA. チャイコーフスキイもいいが、ベリオがとても楽しい。

ベレゾフスキイのアルバムは、いかにもなピアニズム満載といった感じ。鮮やかではあるが、取り立てて魅力は感じない。あくまでも、僕の趣味だけど。

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2004年最後の買い物

  • グラズノーフ:交響曲第5番、チャイコーフスキイ:バレエ「眠りの森の美女」抜粋 ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Altus ALT064)
  • ドヴォルザーク:交響曲第6&7番 シェイナ/チェコPO (Supraphon COCQ-83866)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1&9番、バーバー:弦楽のためのアダージョ チェリビダッケ/ミュンヘンPO (EMI 7243 5 57855 2 7)
  • ショスタコーヴィチ:室内交響曲、ラヨーク、弦楽八重奏のための2つの小品、シニートケ:ショスタコーヴィチ追悼の前奏曲 スピヴァコフ/モスクワ・ヴィルトゥオージ (Capriccio 67 115)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲 ケーゲル/NHK響 (KING KICC 3058)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ロストロポーヴィチ/ロンドンSO (LSO Live LSO0058)
  • ショスタコーヴィチ:バレエ組曲第1&2番、タヒチ・トロット、組曲「ハムレット」、スケルツォ作品1、主題と変奏、スケルツォ作品7、ジャズ・オーケストラのための第1組曲、組曲「南京虫」、組曲「女ひとり」、組曲「司祭とその下男バルダの物語」 E. ハチャトゥリャーン/ソ連国立SO、ロジデーストヴェンスキイ/ソ連国立文化省SO他 (Venezia CDVE03220)
クリスマス・イヴは京都で仕事。その道すがら、ふらっとJEUGIA三条本店へ。CDの陳列法が変わっていて、この店はもう随分ご無沙汰だったことに改めて気づく。店の雰囲気なんか、慣れ親しんでいることもあるのだろうが、一番好きな店なんだけど、さすがに買い物のためだけに京都に行くのはちょっとしんどい。

で、目に付いた3点を購入。12月26日に、アミ・ドゥ・バレエの公演で「眠りの森の美女」全曲を演奏したのだが、予習のためだけにこの曲の全曲盤を買う気にもならず、以前買いそびれたまま店頭であまり見かけなくなったムラヴィーンスキイの東京公演ライヴを発見したので、これで予習したことにする(^^;。組曲版なので、序曲などは全曲版と大分違うが、それにしても凄い演奏。同じレニングラード・フィルをA. ヤンソンスが振ったライヴ盤も素晴らしいが、冒頭から一気にたたみかけるような暴力的なまでの凄まじさはムラヴィーンスキイならでは。さすがに最後のワルツの速さには「踊られへんやんけ!」と突っ込みたくなるが(^^;。 グラズノーフも、作品そのものは僕には少々退屈だが、明晰な造形とキレのいい歌に感心。これで録音がまともだったら言うことないんだけど。

シェイナのドヴォルザークは、Tower Recordsのフリーペーパーでリリース情報を目にして気になっていた一枚。録音はさすがに古めかしいが、実に雄大でドヴォルザークの香りに満ちた佳演だった。第6番の第3楽章なんか、まさしくこれぞチェコ!と言いたくなるようなハマり具合。第7番は、全体にもう少し彫りが深くても良いと思うが、もちろん悪くはない。

チェリビダッケの新しいシリーズがリリースされていることは、恥ずかしながら全くのノーチェックだった。しかも、そこにショスタコーヴィチ作品が含まれているなんて。といっても、第9番の方は以前に海賊盤(?)で既出のもの。第1番は73年のライヴ録音しかなかっただけに、まともな音質に加えて晩年のミュンヘン・フィルとの演奏で聴くことができるのは実に嬉しい。で、その第1番だが、異様なまでに広大なスケール感と繊細で静謐感あふれる響きは、いかにもチェリビダッケならではの音楽。でも、ショスタコーヴィチではなく何か全く別の音楽を聴いているような錯覚に襲われることも事実。終演後の間の抜けたブラボーはちょっと… 第9番も同様だが、比べてみるとこちらの方がまだショスタコーヴィチらしさが残っている。本盤の白眉は、やはりバーバーのアダージョだろうか。こんな音楽を生で体験してたら、きっと文字通り放心状態になるのではないだろうか。

スピヴァコフのアルバム、ショスタコーヴィチ作品はいずれもスピヴァコフ2回目の録音(映像を除く)となる。室内交響曲と二つの小品が、完璧としか言いようのない見事で自在な仕上がり。一方、ラヨーク(スピヴァコフらによるオーケストレイション)は、残念ながらいまひとつ。独唱のモチャローフが、この曲をレパートリーにしている(これが3度目の録音)わりに、全然巧くない。また僕は、オリジナルのピアノ伴奏が持つ“素朴さ”がこの風刺作品には相応しいと思っているので、そもそもオーケストレイション自体に違和感がある。シニートケ作品はスピヴァコフによる多重録音。これはもう、さすがとしか言いようがない。

2004年最後の買い物は、Tower Records難波店にて。ショスタコーヴィチ関係ばかり3点。

ケーゲルのN響ライヴはこの年末最大の目玉であったが、全4枚を買うには懐が寂しいし、試聴してみてオーケストラに物足りなさもあったので(ケーゲルの録音で、今更オケに不満を言うのもどうかとは思うが)、ショスタコーヴィチの一枚だけを購入。冒頭のマイスタージンガーから、各声部の精緻な描き分けと濁りのない響きに感心。無論、オーケストラには大いに不満が残るが(特に金管!)、終始端正な音楽作りが貫かれる。ショスタコーヴィチにおいても、この姿勢は変わらない。いわゆる爆演を期待する向きには物足りないかもしれないが、むしろ淡々と流れながらもニュアンスに満ちた深遠がふと顔をのぞかせる第3楽章にケーゲルの真骨頂がある。

一方、同じ交響曲第5番のロストロポーヴィチ盤は、彼ならではの極度に悲劇的な解釈が色濃く投影された演奏。随所に濃厚な表情付けが聴かれるが、ごく自然で十分に説得力が感じられるところに、指揮者ロストロポーヴィチの進境を窺うことができる。とはいえ、ここまで色付けが濃過ぎるのもどうか。ケーゲルとは随分品が違うように聴こえる。まぁ、あくまでも『証言』の世界を投影させて聴きたい人には悪くないだろうが。

Veneziaレーベルからリリースされたショスタコーヴィチの管弦楽曲集(2枚組)は、ほとんどがロジデーストヴェンスキイの既発音源ばかりだが、E. ハチャトゥリャーン指揮のバレエ組曲第1&2番が収録されているのが注目に値する。この指揮者による「馬あぶ」組曲の素晴らしさは筆舌に尽くし難いが、似たような趣向の作品だけに期待に胸ふくらませて聴いてみる。が…第1番は今ひとつ冴えず、いきなり肩透かし。第6曲などでは期待通りの勢いに満ちた音楽を聴かせてくれるが、全体にノリが悪いのか、演奏精度の粗さばかりが耳についてしまう。と、がっかりしていたら続く第2番の素晴らしいこと!同じような作品なのに、一体この違いは何なのだろうか。溌剌と弾むような音楽の流れ、憚ることのない歌い込み、節操のない爆発力、いずれも理想的で第1曲から耳が釘付けになる。第2曲のチェロや第4曲のトランペットといった個人技も卓越している。大満足。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Kegel,H.

謹賀新年…でもまだ昨年の未聴盤ばかり…

  • シューベルト:弦楽五重奏曲 ロストロポーヴィチ (Vc) タネーエフQ (Victor VIC-5091 [LP])
  • ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 オボーリン (Pf) ガウク/モスクワ放送SO (СССР ГОСТ 5289-56 [LP])
  • Recollection(ペトロフ:映画「Beware of Cars」よりワルツ、カラ=カラーエフ:インプロヴィゼイション、フラトキン:Declaration of Love、Saulsky:Recollection、ショスタコーヴィチ:映画「馬あぶ」の主題によるパラフレーズ、Latman:J. S. バッハのオルガン前奏曲の主題によるコンポジション、ペトロフ:映画「The Taming of Fire」より序曲) バドヘン/レニングラード・コンサートO (Melodiya 33 C60-15069-70 [LP])
  • Barcs Brass Festival 1986 (Radioton SLPX 12953 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ、レビャートキン大尉の4つの詩 スーク (Va) パネンカ (Pf) シュパチェク (B) ハーラ (Pf) (Supraphon 1111 2000 G [LP])
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番、ハチャトゥリャーン:チェロ協奏曲 ピンター (Pf) ヴァント/ベルリン放送SO ピンター (Vc) ケンペ/ライプツィヒ放送SO (Urania URLP 7119 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲、バレエ組曲、映画音楽集 クチャル/ウクライナ国立SO (Brilliant 6735)
  • The Romantic Trumpet Collection(ショパン:前奏曲第24番、練習曲第3番「別れの曲」、練習曲第21番変「蝶々」、R. シュトラウス:「情緒のある風景」より“寂しい泉”、シューベルト:即興曲第3番、セレナーデ、メンデルスゾーン:無言歌第30番「春の歌」、スクリャービン:練習曲第11&12番、チャイコフスキー:感傷的なワルツ、ラフマニノフ:2つの歌より「春の洪水」、ドビュッシー:アラベスク第1番、リスト:コンソレーション第3番、「おお、私が眠る時」) ドクシツェル (Tp) ソロドフニク (Pf) (Yedang YCC-0163)
  • ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番 キーシン (Pf) キタエンコ/モスクワPO (Yedang YCC-0019)
  • ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1&4番 ポストニコヴァ (Pf) ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ音楽院O (Yedang YCC-0008)
  • J. S. バッハ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲、ヴィヴァルディ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 RV548 & 576、テレマン:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲、ハイドン:オーボエ協奏曲 クルリン (Ob) スタドレル (Vn) ツィリュク、チェルヌシェンコ/レニングラード室内O (Yedang YCC-0111)
  • ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、ポロネーズ第5&6番、即興曲第3番、夜想曲第8番、舟歌、練習曲第13&5&17&4番、ワルツ第2番「華麗なる大円舞曲」 ルービンシュタイン (Pf) (Yedang YCC-0093)
12月16~19日と、3泊4日で東京方面に出張。空き時間に東大からアカデミア・ミュージックを経由し、そのまま神保町まで歩き、お茶の水駅から東京駅まで移動して子供のお土産を買い、地下鉄で本郷三丁目に戻る…といった強行軍を実施。今回は時間がなかったこともあり、各店を丹念にチェックするというよりは、せっかくここまで来たからのぞいてみようという程度だったため、音楽関係の収穫らしい収穫は富士レコード社で購入したシューベルトのLPのみ。誰がどうやって聴いてもそれとわかるロストロポーヴィチのチェロ(2nd)と、タネーエフQとの組み合わせは、残念ながら違和感ありまくり。部分的には美しい箇所も少なくはないのだが、全体的にはどうにも散漫でまとまりのない印象。

実は今回の買い物、新世界レコード社での収穫に満足して帰った。といっても、最近のここはクラシック関係の音盤や楽譜はぱっとしない。それはもうわかっているので、何か“ネタ”になりそうなものはないかと店内を眺めていると、あるわあるわ。「北朝鮮のチャイコフスキー」なんてコピーのついたCDには、思わず声を出して笑ってしまいそうになった。さすがに、買いませんでしたがね(^^;。後は、ウクライナ海軍のTシャツとか色々。結局、家族へのお土産にワニのゲーナ(おなかを押すと、チェブラーシカのあのメロディが流れる)と、ソ連共産党第26回大会の旗を買いました。

出張から帰ってくると、Mikrokosmos Mail Order Co.からLPが届いていた。12月日付けの本欄でちょっと触れたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、オボーリンとガウクという食指をそそられる顔合わせだったので注文したものだが、残念ながらあまりに音質が悪すぎて、何が何だかわからない(^^;。リマスターされて音質改善されたCDでもあれば聴いてみたいものだ。

バドヘンのアルバム、演奏者も知らなければ収録曲(作曲家)もほとんど知らない。どんな内容かとドキドキしながら針を落としたところ、これが70年代のピアソラのような、時代を感じさせるサウンド、いかにもな甘い音楽に迂闊にも惹きこまれてしまった。お目当てのショスタコーヴィチ作品は、「馬あぶ」のロマンスをムード音楽仕立てにしたもので、編曲というよりは旋律の残骸だけが残っている別の作品といった感じ。この曲だけ単独に取り出して論じることには、全く意味がないだろう。

「Barcs Brass Festival 1986」は、金管五重奏団ばかりを集めたハンガリーでの音楽祭のライヴ録音。好んで聴く編成ではないが、こうしてたまに聴くとこれはこれで実に魅力的。参加団体の水準も決して低くはない。ショスタコーヴィチ作品は、バレエ「ボルト」から第2曲「官僚の踊り」の編曲がベルギーの団体によって演奏されているが、これはいまひとつぱっとしない演奏。金管五重奏ならではの響きが感じられるわけでもなく、また鮮やかな技巧で圧倒するわけでもなく、わざわざこの編成で編曲までして演奏する意義が見出せない。

スーク&パネンカのショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタは既にCDで持っているが、カップリングの「レビャートキン大尉の4つの詩」が未聴。バス独唱は悪くはないものの声質にドスの効いた凄みがあまりなく、少々物足りない。素晴らしいのはハーラーのピアノ。非常に多彩かつ高貴な響きに耳を奪われる。この作品の演奏としては甘過ぎるように感じられるが、これはこれで立派な演奏。

ヴァント指揮のショスタコーヴィチは珍品の部類に入るだろう。少なくとも正規録音では他に存在を聞いたことがない。演奏は、妙にせかせかした、歌にもリズムにも今ひとつ乗り切れないもの。ピアノ・ソロはさすがにそこそこだが、トランペット・ソロと弦楽合奏は明らかに技量不足。折り目正しくフレーズや和声を処理している辺りにヴァントの個性が窺えなくもないが、コレクターズ・アイテムの範疇を出ないだろう。カップリングのハチャトゥリャーンも同じくぱっとしない。

先日の買い物で、まだ聴いてないものを聴く。

クチャルによるショスタコーヴィチ管弦楽曲集は、いかにもBrilliant Classicsレーベルらしく盛りだくさんな内容。演奏内容には若干ムラがあるが、コストパフォーマンスという点では優れたアルバム。全体に丁寧な取り組みに好感が持てるが、中でも「ハムレット」と「馬あぶ」の2曲が立派な演奏。ジャズ組曲第1番も少々あざと過ぎるが、意欲的な表情付けが楽しい。

イエダンのクリスマス・ボックスは、さすがに一気に聴くことはできないので、箱の上の方から順にコツコツと。ついこの前もドクシツェルのアルバムを聴いたところだが、またまた似たような編曲物を集めたアルバム。一枚を通して聴くと単調さは免れないが、それでも伸びやかな歌心と、輝かしくも甘く切ない音色、そして完璧なテクニックには脱帽。

キーシンのショパンは、1984年とクレジットされているから、恐らく日本で言えば中学生時代の演奏。こんなの、天才としか言いようがない。音楽的にも技術的にも否の打ち所がないばかりか、「ショパンの協奏曲ってこんなに素晴らしく魅力的な音楽だったのか」と聴き手に再認識させてくれるのが凄い。

一方、ポストニコヴァのラフマニノフは、ロジデーストヴェンスキイの伴奏共々、豪快に作品の魅力を直接訴えてくるような秀演。少々難解な第4番を退屈させずに聴かせてしまう辺り、この夫婦の面目躍如といったところか。

クルリンとスタドレルによる、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲集は、僕にはとても懐かしい響き。バルシャイ指揮の「四季」で音楽を聴き始めた僕にとっては、“ソ連のバロック”というのがある意味で原風景。

ルービンシュタインのショパンは、実はまともに聴くことすら初めて。たった一枚のライヴ盤だけで全てを判断することはできないが、それにしてもこの華麗さは只事ではない。圧倒的な推進力に満ちた素晴らしい音楽。脈絡のないボックスセットだからこその出会いに感謝。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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