寺井尚子:ジャズ・ワルツ

  • 岩城宏之:森のうた 山本直純との芸大青春記,講談社文庫,2003.
  • トゥハマノヴァ(編):イタリアのメロディー(民謡)、リームスキイ=コールサコフ(ヤコヴレフ編):熊蜂の飛行、ショスタコーヴィチ(トゥハマノヴァ編):組曲「馬あぶ」より第3曲「人民の祝日」、ドヴォルザーク(ヤコヴレフ編):スラヴ舞曲第2番 ヤコヴレフ (domra) プリゴジナ (Pf) Instrumental Quintet (Melodiya 33D 00033835-36 [7" mono])
  • ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ テレツキー (Va) マイリンゴヴァ (Pf) (Opus 9111 0492 [LP])
  • ジャズ・ワルツ 寺井尚子 (EMI TOCJ-68060)
  • メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、シューベルト:交響曲第3番、イベール:モーツァルトへのオマージュ、ワーグナー:ジークフリート牧歌、ヘンデル(ハーティ編):水上の音楽  中村晃之/かぶとやま響 (Private Recording)
今更…という気がしないわけでもないが、岩城宏之の代表的な著作である「森のうた」を読む。ちょっと事情があってショスタコーヴィチ関連の文献にもう一度目を通しなおしているところなのだが、この本を読んだことがないことに気付き、子供へのお土産に「世界の昆虫」を買いに書店に入ったついでに購入。平易な文体で分量も少ないので、通勤一往復で読了。副題通り、岩城宏之が山本直純と過ごした芸大時代の思い出を綴ったエッセイ。個々の話の真贋そのものはともかくとして、ここに登場する人物達がいずれも活き活きと魅力的に描かれているのが楽しい。表題の「森のうた」は、この作品を演奏した時代の思い出の象徴といった感じで、「森の歌」そのものに対しては紙数もそれほど割かれているわけではなく、「スターリンへのあてつけで書いた“模範的な”作品だが、音楽的にはよくできている」という、ごく簡潔な紹介で済まされている。とはいえ、作曲の背景については少々乱暴なまとめ方をしていると思うものの、肝心の音楽的な特徴については簡潔ながらも的をはずしていないのはさすが。もっとも、この本に楽曲分析やショスタコーヴィチ論を求めるのは全くもって的外れなのだが。

Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から8月下旬に届いたのは、2点。ここのところ、注文しても獲得できる割合があまり良くない。まぁ、財布には優しいわけだが。

ドムラ(ロシア風マンドリン、といったところか)のアルバムは、ごく聴きやすいショウピースを4曲集めたもの。ヤコヴレフという奏者がドムラ界でどのレベルの名手なのかはよくわからないが、少なくとも聴き苦しい箇所は皆無。伴奏もリラックスした雰囲気を醸し出していて、なかなか楽しいアルバムになっている。

テレツキーによるショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタは、Rediffusion Aurora盤LPで既に所有していたのだが、うっかりして注文してしまったもの。男性的で深い音色のヴィオラ自体は魅力的だが、肝心の音楽は平凡。ただ、この作品の2番目の録音(1番目は当然初演者のドルジーニン)という歴史的な価値はある…と言えなくもないが。

寺井尚子のアルバムは、あちこちで高く評価されているのを見てTower Records難波店で購入。もちろん、表題曲がショスタコーヴィチの(偽)ジャズ組曲第2番の第2ワルツだというのも大きな理由ですが。内容については、他の何かと比較して評価することは僕にはできないものの、伸びやかで嫌味のないお洒落さがとても心地よい。どちらかといえば落ち着いた渋めのヴァイオリンの音色が影響しているのかもしれない。ピアノとベースの大人な雰囲気も素敵。こういうのをジャジーっていうのかな?よくわからないけど。少しこの人のアルバムも集めてみようかな… 解説には2曲目の「アパッショナータ~情熱」が「北の宿から」に似ていると書いてあったが、僕の耳には「満州の丘に立ちて」に聴こえて仕方ないのだが、わかってくれる人がどれくらいいるのやら(^^; なお、これはCD-EXTRA仕様になっていて、PCで聴くと「アパッショナータ~情熱」の演奏風景を見ることができる。

最後に、これまた今更…なのだが、7月9日に行われたかぶとやま交響楽団第32回定期演奏会の録音を聴く。7月12日付の本欄で演奏後の感想は簡単に書いたが、二ヶ月以上経って改めて録音で聴いてみてもそう大きく印象が変わることはなかった。ただ、こうして客観的に聴くと、いかにも細部が雑だなぁ。技術的な難易度が低い「水上の音楽」が、演奏した時の印象に比べると出来が良く聴こえる。なんだかんだ言って、技術的にきちんと練習を積まないことには聴くに耐える演奏はできないのだと痛感。もっとも、1st Vnが4プルトという規模にしてはそれっぽい響きになっているのは我ながら立派だと思いましたが。
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キタエンコのショスタコーヴィチ2

  • ショスタコーヴィチ:交響曲全集 キタエンコ/ケルン・ギュルツェニヒ管他 (Capriccio 71 029[SACD])
少し間隔が空いてしまったが、キタエンコ指揮のショスタコーヴィチの交響曲全集の続き。中期の作品群をまとめて。

第6番は、じっくりと丹念に音を紡ぐ第1楽章がなかなか素晴らしい。地味な音色のオーケストラながらも、スコアの多彩な響きが十分に再現されている。これは、録音の良さも多分に影響しているのだろう。それに比べると、第2楽章以降は今一つ。第1楽章と似たような姿勢で取り組んだためか、鈍重さが否めない。第3楽章のチューバの生々しさは素敵。

第7番は、とても立派な演奏。いわゆる純音楽的な演奏で、個々の主題や動機を丁寧に性格付けしながら、かっちりとした構成感を持ってこの長大な交響曲をまとめあげている。威圧的な音は注意深く避けられ、それでいて重量感のある(ロシア風の強烈さはないものの)響きが達成されている。スヴェトラーノフやバーンスタインのような暑苦しさを求める向きには物足りなさもあるだろうが、これはこれで非常に優れた解釈・演奏ということができるだろう。ただ、やはり二枚にまたがるのは不便かな。

第9番も、非常に真摯な演奏。第2楽章がやや速めで逆に第5楽章が少し遅いというテンポ設定が、この作品の本質をしっかりと捉えている。わざと馬鹿騒ぎするのではなく、かといって妙に深刻ぶるのではなく、等身大に描き出すことで作品に込められた皮肉を適切に引き出している解釈には、十分な説得力がある。オーケストラは技術面で若干の物足りなさを感じさせるものの、キタエンコの要求にはきちんと応えている。

ここまで聴いてきて、全てが高い水準の演奏であったことに感心するが、残念ながら第8番は今一つ冴えない演奏だった。この全集がリリースされる前に唯一単独で出ていた演奏だが、他の曲に比べると明らかに音のカロリーが低い。キタエンコの真面目な解釈自体は悪くないのだが、それが説得力を持つ響きにまでは昇華していない。作品の劇性がしっかりと捉えられていないのか、音楽の焦点が定まりきらない印象。

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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