2005年最後の「覚え書き」

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立文化省SO (Melodiya C 10-18617-18 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、K. ハチャトゥリャーン:チェロ・ソナタ ウィンランド (Vc) ソリョム (Pf) (Artemis Arte 7110 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:不明(ドルマトーフスキイ詩「遠い祖国の響きが聴こえる(???)」 S. Yuszkewicz、A. Shworak、H. Kurilovich、A. Jurovskaya、Walter Rasiuk (Accomp.) (FRC Records 707 [78rpm])
  • ショスタコーヴィチ:映画音楽「五日五晩」 E. ハチャトゥリャーン/ソヴィエト映画SO (Melodiya D 11327-28 [10" mono])
  • ショスタコーヴィチ:ユダヤの民族詩より、プロコーフィエフ:ヘブライの主題による序曲、スロニムスキイ:カンタータ「歌の歌」 ボブリネヴァ (S) ボリソヴァ (MS) マースレンニコフ (T) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO ベフテレフ (Pf) ミハイロフ (Cl) スピヴァコフ、コペリマン (Vn) バシメート (Va) ベルリンスキー (Vc) ノヴィコヴァ (S) プロウジニコフ (T) クライン (Ob) ブヤノフスキイ (Hr) タウアー (Hp) ネステロフ/室内合唱団他 (Le Chant du Monde LDX 78.808 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:オラトリオ「森の歌」、グリーンカ:歌劇「皇帝に捧げた命(イヴァーン=スサーニン)」よりフィナーレ、エルガー(ブランケン編):「戴冠式頌歌」より第5曲「希望と栄光の国」 ブランケン/ハーグ・レジデンティO他 (Mirasound Musica MS 20.7050 [LP])
  • アーヴィング・バーリン・イン・ラテンアメリカ マチートと彼のオーケストラ (Tico LP-1062)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第15番、ピアノ五重奏曲 ル・ゲ (Pf) ドビュッシーQ (Arion ARN 68675)
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からLPが届く。体調を崩していたために11月到着分を聴きそびれていたら、12月分が到着。年を越しての未聴盤は極力なくしたいので、まとめて聴く。

11月分最大の収穫は、ロジデーストヴェンスキイ指揮の交響曲第10番の旧盤。有名な全集録音の前(1982年)に録音されたもので、このLP以外、一切再発されていないはず。ショスタコーヴィチのHPなんかを作っているのに持っていないのは恥ずかしいと思いつつも、ずっと買い逃してきたもの。この度、めでたくもようやく入手することができた。全集盤とそう離れていない時期の録音である上に、録音エンジニアも同じなので、聴いた印象が大きく異なるということはない。ただ、一気呵成な音楽の流れは本盤の方が上。ロジデーストヴェンスキイ独特の粘り気がある鈍重さ(決して悪い意味ではない)はあまり感じられず、むしろ若々しいとさえ形容できるような推進力が魅力的な演奏である。全集盤との間に優劣はつけ難いが、未CD化であるのが惜しい演奏内容だと思う。

ウィンランドによるチェロ・ソナタ集は、地味ながらも安定した仕上がりで悪くない。ショスタコーヴィチでは、端正な弾き方が作品の抒情性を格調高く表出している。終楽章などでは若干鈍さを感じなくもないが、解釈としては一貫しているので聴き手の好み次第で評価が多少分かれるかもしれない。K. ハチャトゥリャーンの作品は、ロストロポーヴィチに献呈されたもの。ソナタ、というよりは各楽章に標題のついた組曲に近い印象。第4楽章のトッカータが、作曲者の個性がよく出ているとともに、ロストロポーヴィチにもよく合う曲調でなかなか面白い。

今回もSP盤を一枚入手したのだが、すぐに聴いて内容を確認できないため、一体どの曲なのかわからない。詩がドルマトーフスキイであることと、ローマナイズされたロシア語のタイトルから推測すると、組曲「エルベ河での出会い」作品80aの第3曲「エルベ河の歌」か「E.ドルマトーフスキイの詩による4つの歌曲」作品86の第1曲「祖国は聞いている」のどちらかだと思われるが、演奏者名でヒュームのカタログを調べても該当する音盤は載っていないため、今のところはお手上げ状態。いつか聴くことができたら改めて本欄ででも報告したい。

12月到着分にも、長らく入手が叶わなかった音盤が2枚含まれている。E. ハチャトゥリャーン指揮の「五日五晩」は、同じ顔合わせによる同時期の録音である「馬あぶ」の素晴らしい演奏内容から、是非とも聴いてみたいと思っていたもの。本盤でも、情感たっぷりの歌心やロシアン・テイスト満載の響きなど、このコンビの魅力が余すところなく発揮されている。音楽の流れも自然なもので、ベートーヴェンの「第九」の引用が出てくる箇所では、不思議と違和感なく聴こえてしまうほど。この作品の決定盤と言って構わない内容だが、CD化が一切されていないのは残念。

スヴェトラーノフ指揮の「ユダヤの民族詩より」は、Melodiya盤のカップリングが“あの”「ローマ三部作」だったために中古LPは結構な高値で出回っていた。Scribendumレーベルで「ローマ三部作」がCD化されたので入手しやすくなるかと思ったが、今までずっと買い逃してきた。今回入手できたのはLe Chant du Monde盤だが、こちらの方がカップリングの曲が興味深いので、目的がショスタコーヴィチ作品だとはいえ、ラッキー。ショスタコーヴィチは、柄の大きな音楽が特徴的。短編オペラのような雰囲気すら漂う。スヴェトラーノフらしい粘り気のある重厚な歌は、ユダヤ風というよりは徹底的にロシア風。こうした音楽作りの方向性の評価については聴き手の好みに委ねられるだろうが、本盤の欠点は女声の弱さ。これは声量ではなく、声質の問題。あまりにもきつ過ぎるのが気になる。これ以上考えられないような(録音された1980年時点では、大半が若手だったとはいえ)豪華メンバーのプロコーフィエフ作品は、溌剌とした音楽運びでこの曲の魅力を余すところなく表現し尽くした名演。スロニムスキイ作品は今回初めて聴いたが、どこかヤナーチェクの合唱曲を彷彿とさせる響きが美しい。合唱もさることながら、独特の楽器の使い方が印象に残る。作品の内容とか作曲背景などは、情報がなくて残念ながらわからなかった。

注文時のカタログには「Shostakovich: Seven Songs」としか書いていなかったMirasound Musica盤。現物を見てみると、オランダ語表記しかない… ヴランケンがハーグ・レジデンティOの音楽監督になって25周年記念…とかいうような内容のことが書いてありそうなのだが、正直、まったくわからない。「Het Lied van de Bossen」って何だ?と杉田玄白になった気分で作品を推測し始めたが、豪勢に合唱団が並んだ演奏会風景のジャケットを見れば一目瞭然。「森の歌」以外にありえない。一聴したところ、大編成ならではの壮麗な響きはするものの、オーケストラ、合唱共に力不足なのが明らか。第2楽章や第5楽章などでは鈍さが目立って楽しめないし、緩徐楽章では雰囲気のない単調な響きに退屈する。唯一終楽章は高揚感に満ちているが、少なくとも録音で聴き手を圧倒するには至らない。当時、長い低迷期にあったハーグ・レジデンティOの状態を窺い知ることができる。恐らくアンコールで演奏されたと思われるグリーンカ作品も同じ傾向。最後のエルガー作品は、有名な「威風堂々第1番」の中間部の元となった合唱曲。児童合唱の入った合唱の音程の不揃いが非常に気になるが、アンコールにあまりうるさいことを言っても仕方がないだろう。

さて、2005年最後の買い物はTower Records難波店で。注文していたCDが入荷したとのことで、それを引き取るのが主な目的。

注文していたのは、「アーヴィング・バーリン・イン・ラテンアメリカ」というアルバム。1950年代末、アルゼンチンを離れてニューヨークで過ごしていた時代の仕事だが、タイトルからも明らかなように、タンゴとはほとんど関係なく、アーヴィング・バーリンの作品をラテン・スタイルにアレンジした企画アルバム。編曲、あるいは演奏に加わったというはっきりとした証拠は残っていないようだが、斎藤充正氏の「アストル・ピアソラ闘うタンゴ」では、「How deep is the ocean」と「Be careful,it's my heart」の2曲がピアソラの編曲で、バンドネオンで演奏にも参加していると判断している。確かに、アルバムの他の曲とは明らかに雰囲気が違うので恐らく間違いはないだろう。基本的には資料的価値の観点で購入したアルバムではあるが、全体の雰囲気も悪くなく、何かの折に棚から引っ張り出すこともありそうな気がする。

いつものことながら、これだけでは寂しいのでショスタコーヴィチの棚をチェック。ドビュッシーQの弦楽四重奏曲全集の完結巻を見つけたので確保。ソレルQの全集も完結したようだが、こちらは第4巻以降を買いそびれたまま。さて弦楽四重奏曲第15番は、良くも悪くもこの団体らしい仕上がり。明るめの音色で流麗な音楽が繰り広げられる。この作品が持つ響きの微妙な多彩さや、密やかな歌心などが前面に出た個性的な演奏ということができるだろう。ただ、異様な心象世界という雰囲気からは遠く、そこに物足りなさを感じなくもない。となると、ピアノ五重奏曲の方が良いだろうと推測したのだが、もちろん悪くはないものの、残念ながらいまひとつ冴えない出来だった。ゆったりとした音楽の構えは良いが、スケール感や感情表現の起伏などに中途半端さが否めない。

本年の本欄への書き込みは、以上で終わりです。Tower Records渋谷店で買い込んだCDの半分以上が未聴のままになってしまったのが、何とも心残り。年明け早々に全て聴いて、また本欄に書き込みたいと思います。

不定期かつ、文字通りの“覚え書き”でしかない内容ではありますが、時折非常に有益かつ嬉しいメールなどを頂くこともあり、ご覧いただいている皆さんに感謝する次第です。来年もよろしくお願いいたします。では、皆さん、良いお年を。
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神田古書センタービル

  • ショスタコーヴィチ:革命詩人による10の詩 スヴェシニコフ/ロシア・アカデミー合唱団 (Melodiya 33D 05642-43 [LP])
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ショパン:序奏と華麗なポロネーズ、グラナドス:オリエンタル、ダヴィドフ:噴水のほとりにて、チャイコーフスキイ:夜想曲、リームスキイ=コールサコフ:熊ん蜂の飛行 岩崎洸 (Vc) 岩崎淑 (Pf) (新世界レコード SMK-7739 [LP])
久しぶりに仕事で東京に行った。今回は時間があまりなかったこともあり、買い物はTower Records渋谷店で集中的にした(こちらはまた後日)のだが、やはり“聖地”神田古書センタービルだけは足を踏み入れておかねばならない。

フロアが6階から4階に変わってから初めて足を運んだ新世界レコード社にて、中古LPを一枚。「十の詩」のスヴェシニコフ盤は既に所蔵しているのだが、ジャケットが違った(ディスク番号は同一)ので思わず購入。というより、せっかくだから何か買っていこうと思ったものの音盤・雑貨ともに目ぼしいものがなく、正直なところ消極的な選択。他には戦勝60周年記念カレンダーと姪へのお土産にチェブラーシカのぬいぐるみを購入。以前、娘にゲーナのぬいぐるみを買って帰ったことがあったが、お腹を押すと物悲しいロシアの調べが流れて楽しい。もうすぐ2歳になる姪にも評判はよかったようだ。

続いて、8階の富士レコード社古書センター店へ。丁寧にレコードを漁る時間はなかったのだが、岩崎姉弟によるショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ他のアルバムを発見。これは1970年の第4回チャイコーフスキイ国際コンクールの第3位入賞記念(第1位はゲリンガス)アルバムだが、なかなか見つけることができなかっただけに嬉しい収穫。演奏は、懐の深い大きな音楽が印象的。音色そのものはやや単調で色彩感にに欠けるが、適度な渋さをもって奏でられるゆったりとした歌にはそれを補う魅力がある。ショスタコーヴィチではもう少し引き締まった覇気を前面に押し出して欲しい瞬間もあるが、絶妙の呼吸で一体感を醸し出すピアノの貢献もあり、優れた音楽に仕上がっている。

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ロストロポーヴィチの交響曲第14番

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 ヴィシネーフスカヤ (S) レシェティン (B) ロストロポーヴィチ/モスクワPO (Melodiya SUCD 10-00241)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 ヴィシネーフスカヤ (S) レシェティン (B) ロストロポーヴィチ/モスクワCO (Revelation RV10101)
この前、2ちゃんねるのショスタコーヴィチ関連スレッドを見ていたら、ショスタコーヴィチの交響曲第14番のロストロポーヴィチ盤が話題に上っていた。Melodiya盤とRevelation盤、ともに所有はしていたが、ロクに聴き比べることもなく当然のように両方を同一録音だと思い込んでいた。全く違うということで、慌てて聴き比べ。確かに、完全な別録音ですね。オーケストラもモスクワ室内Oと表記されているし、第5楽章冒頭の客席ノイズからもライヴ録音だということがわかる。Hulmeのカタログを見たら、ちゃんと別物だと記されていた。

Revelation盤は音質が大分落ちるものの、演奏自体はMelodiya盤と優劣のつけ難い傑出した出来。演奏の精度も申し分ない。むしろ、オーケストラの技術的な洗練度はライヴにもかかわらずRevelation盤の方が上。冷徹な響きで猛烈な音楽を完璧に描き出す様はバルシャイ盤を彷彿とさせ、Melodiya盤とはまた違った魅力がある。二人の歌手は、改めて言うまでもなく圧倒的に素晴らしい。

なお、今回の件、本来なら2ちゃんねる内に書き込むべきなのかもしれないが、僕は基本的に(匿名かどうかは問わず)他の掲示板に書き込まない主義なので、本欄で(勝手に)取り上げたことをご容赦願いたい(こういう風に断るべきものかどうか、よくわからないが)。なぜ、掲示板に書き込まないか。理由は簡単で、自分のHPにつけているBBSですらフォローしきれないズボラな性格なのに、あちこちで書き捨てみたいな行為をしたくないだけ。インターネットでの発言を“便所の落書き”などと言う人達もいるようだが、情報なんて結局は自分で取捨選択しなければならないもの。ちゃんとしたところで書いたり話したりしたから正しいわけでもないし、便所の落書きだから間違っているわけでもない。とにかく、今回はまた一つ自分の間違いに気づくことができたわけで、どなたか分からないが情報を書き込みされた方に感謝したい。

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風邪でダウン

  • バラキレフ:交響曲第1番、カリンニコフ:交響曲第1番 コンドラーシン/モスクワPO (Melodiya MEL CD 10 00957)
  • ショスタコーヴィチ(ツィガーノフ編):10の前奏曲、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番、ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ ラクリン (Vn & Va) ゴラン (Pf) (Warner WPCS-11881/2)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番、チェロ・ソナタ チャン (Vc) パッパーノ (Pf)/ロンドンSO (EMI 0946 3 32422 2 7)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番、祝典序曲 ジョルダニア/ロシア連邦O (Angelok1 CD-9932)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO (Arts 47704-8 [SACD])
風邪をこじらせて、ひどい目にあった。11月末から12月頭にかけて、ほとんど寝たきり&病院通い。しかも、一家四人揃って。年末は何かとバタバタするのに、色んな予定が大幅に狂ってしまった。

さて、寝込む前にTower Records難波店で買い込んだ音盤について。

Melodiyaレーベルの新譜(といっても復刻物ではあるが)を、久しぶりに店頭で見た。権利関係もさることながら、会社自体がどうなっているのかさっぱり分からない状態であるものの、今後貴重な音源が少しでも多くCD化されることを願いたい。ということで、コンドラーシン指揮のカリンニコフを入手。バラキレフの交響曲は、2004年10月25日付の本欄で触れた中古LPにて聴いたことがあったが、カリンニコフは初めて聴く演奏。作品の抒情性が素直に表出された、洗練された流れが印象的な仕上がり。どこか泥臭さを感じさせるスヴェトラーノフ盤の対極にあるような演奏だが、どちらもツボをよく押さえていて甲乙つけ難い。敢えてどちらか一方を選ばなければならないとすれば、僕はスヴェトラーノフ盤をとる…かな?

ポイントカードがたまっていたので、なんとなく買いそびれていたラクリンのアルバムも購入。実に良い音がしている。言うまでもなく、磨きぬかれた技術も傑出している。ベートーヴェンでは若々しい素直な音楽作りに好感が持てるが、ショスタコーヴィチの前奏曲では作為的な表情付けが気になる。メイン(?)のヴィオラ・ソナタでは、いかにもヴァイオリニストのヴィオラという音色だが、技術的には全く問題のない澄み切った響きは立派なもの。見事にコントロールされた弱音で徹底的に静謐感を描き出そうとする解釈には説得力があるものの、歌い口に軟派なところがあって僕の好みとは異なる。

ハンナ・チャンのアルバムも、目に付いたので確保。協奏曲は、ライヴのような一貫した熱気が感じられる(収録も一日で行われている)が、全体にチェロの音量が小さく、無理して荒れた音になっているのが気になる。音楽自体も、ソロ、オーケストラ共に平凡。第3楽章のカデンツァでは調弦の狂いも気になる。彼女の演奏はほとんど聴いていないのでこの録音だけで全てを判断することはできないが、少なくともこの作品は彼女に不向きだろう。ソナタでは協奏曲ほどの力みは感じられないものの、やはり随所で楽器が鳴りきらずに音が割れてしまうのが耳障り。左手の技術にはさほど不満がないだけに、もう少し丁寧な演奏を望みたいところ。ただ、第3楽章だけは清らかな静謐感があって立派な出来。

グルジアの指揮者ヴァフタン・ジョルダニアは、つい先日の10月4日に62歳で逝去されたばかり。図らずも追悼盤となってしまった交響曲第8番&祝典序曲のアルバムを店頭で見つけた。ジョルダニアのショスタコーヴィチは他に交響曲第11番と映画&劇音楽集を聴いたことがあるが、どちらもあまり感心しなかった記憶がある。未聴だが、交響曲第1&12番というアルバムもある模様。さて、演奏内容。交響曲は、極端なほどに抒情的な音楽作りが特徴的。第3楽章以外は、徹底して響きの爆発を避けているのではないかと思えるほど。意図としてはよくわかるのだが、やはり単調さは否めない。せっかくロシアのオーケストラで演奏しているにもかかわらず、その魅力はほとんど感じられない(もっとも、技術的にそれほど巧い団体ではないが)。物足りなさが残る仕上がり。祝典序曲は、素直な音楽作りが心地よい。技術的な精度はそれほど高くないが、十分に楽しめる。

同じく交響曲第8番のカエターニ盤。第2楽章と第3楽章以外のテンポが猛烈に速い。だが、聴こえてくる音楽の中にこの快速テンポの必然性はあまり感じられない。むしろ作品が本来持っているテンポ感とずれているために、楽曲の展開が有する劇性が損なわれている。音楽の流れに感情の起伏がついていかないような、そんな違和感が残る。

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  • ベートーヴェン:交響曲第4番、ブラームス:交響曲第2番、ウェーバー:「オベロン」序曲、シューベルト:交響曲第8番、チャイコーフスキイ:バレエ「くるみ割り人形」(抜粋)、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」、ショスタコーヴィチ:交響曲第12番、サルマーノフ:交響曲第2番 ムラヴィーンスキイ/レニングラードPO (Dreamlife DLVC-1116 [DVD])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO (Arts 47676-8 [SACD])
ふらっと立ち寄ったヨドバシ梅田で、新しい(5G)iPodを見て物欲が爆発。結局60Gタイプを買ってしまった。実は、カセットテープ時代も含め、携帯音楽プレイヤーを買ったことは一度もない。というのも、持ち歩く音楽を選んだり、持ち歩けるように変換したりする手間が面倒くさかったから。60Gも容量があれば、外で聴きたくなりそうなものを最初から全部入れておけばいいので、何とも便利。それに、動画再生もできるということで、長時間の移動の際には、またとない暇つぶしにもなる。もちろん、最初にiTunesで読み込んだりする手間はかかるのだが、久しぶりにおもちゃを手に入れた気分で夢中になって作業をしてしまった(^^;

とりあえず、ショスタコーヴィチの(持っている)全作品をデータベース代わりに読み込む。LPなどを棚から出す手間がなくなったので、ちょっと曲を確認したい時に即座に音を確かめることができるようになったのは大変嬉しい。ピアソラの全アルバムも斎藤充正氏のディスコフラフィに従って、オリジナルの曲順に並べ直して整理。他にソ連の大衆歌曲をCD5枚分、クラシック音楽も室内楽を中心に数十曲、ピアソラ関連のタンゴ、気分転換用のポップスなども入れて、今のところ31G程度。無理して満杯にする必要もないので、とりあえずはこれだけ毎日持ち歩いている。極楽。

ショスタコーヴィチ関係では、映像のあるものは動画で取り込んでみた。電車の中でムラヴィーンスキイの第8番やスヴェトラーノフの「森の歌」なんかを凝視している様はあまり他人に見られたくはないものの、音質・画質ともに携帯プレイヤーとしては全く不満のない水準なので、夢中になって観てしまう。今のところ、駅を乗り過ごしたことはないが、油断は禁物ですね。緊張しながら音楽に集中しています。

さて、動画を取り込んでいる時に、ムラヴィーンスキイ指揮の交響曲第12番の映像をDVDで持っていないことに気づき、Tower Records梅田店へ。どの映像も本編はVHSで持っているのだが、ベートーヴェンやブラームスでインタビューやリハーサルも収録されているのがDVD版の嬉しいところ。いつ観ても、ムラヴィーンスキイのリハーサルは僕の理想そのもの。実際に弾くとなると猛烈にしんどいのでしょうが。

カエターニの新譜も目に付いたので、ついでに確保。明るめの音色でしなやかに流れていく音楽は、いかにもカエターニらしい作り。第11番というとどうしても重量級の響きを求めてしまうが、こういう方向性も決して悪くはない。ただ、音楽の求心力はそれほどでもなく、この長大な作品を一息で聴かせるには少々散漫なのが残念。特筆すべきは、最後の鐘。まるで教会で録音してきたものをかぶせたかのような異質な響きには好悪がはっきりと分かれるだろうが、興味深いことだけは間違いない。個人的には、交響曲である以上、コーダだけを突出して強調することで全体のバランスが崩れるような解釈は、その意図が明確かつ妥当なものだとしても、あまり好きではない。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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