フェドセーエフとチェクナヴォリャーンのショスタコーヴィチ

  • ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲第2番、ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 マフチン (Vn) クニャーゼフ (Vc) ベレゾフスキー (Pf) (Warner WPCS-11844)
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ヤナーチェク:ヴァイオリン協奏曲「魂のさすらい」 スクリデ (Vn) M. フランク/ミュンヘンPO、ヤノフスキイ/ベルリン放送SO (Sony 82876731462)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1&3番 フェドセーエフ/モスクワ放送SO、モスクワ国立アカデミー室内合唱団 (Relief CR991077)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第10番、ハチャトゥリャーン:バレエ「ガイーヌ」より(「ガイーヌのアダージョ」「レズギンカ舞曲」「剣の舞」「ゴパック」) チェクナヴォリャーン/ナショナルPO (BMG TWCL-3014)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲全集 ダネルQ (Fuga Libera FUG512)
何だかやらなければならないことが山積み。思いっきり現実逃避モードでTower Records難波店へ。本当は、ムーソルグスキイを何か聴きたかったのだが、「展覧会の絵」以外はお寒い品揃えだったので、いつものようにショスタコーヴィチばかりになってしまった(^^;

ピアノ三重奏曲では、クニャーゼフがフィーチャーされているようなクレジットだが、実際は三者が拮抗した、大柄でありながらもバランスのとれた名演。現代風の洗練が感じられるとはいえ、ロシアの伝統的な音色であるのも嬉しい。特にピアノのベレゾフスキーが好調で、幾分ロマンティックな歌に流れる傾向はあるものの、圧倒的な力で音楽を牽引している。クニャーゼフの切実な音楽も素晴らしいが、マフチンも負けずに健闘している。国内盤で発売されたこともあって購入を後回しにしていたが、なんともったいないことをしていたのだろう。

スクリデのヴァイオリン協奏曲は、ナージャなどと同じく切々と歌い込みながらも派手に切れ味を見せ付ける、甘口路線の演奏。華やかで効果満点の演奏ではあるが、この作品はこんなに軟派な曲ではない。ヤナーチェクの協奏曲は初めて聴いたが、なかなか美しい曲で聴き入ってしまった。ただ、演奏自体はいまいち。ソロにもオーケストラにも、さらなる繊細さを求めたい。

フェドセーエフは、以前キャニオンでショスタコーヴィチの交響曲全集をリリースするはずだったが、諸般の事情でそれが頓挫したのを残念に思っていた。今回Reliefから発売された第1&3番のジャケットを見る限りでは、新たに全集の企画が進んでいるようで嬉しい限り。第10番と第8番は既にReliefからリリースされているが、この全集でその録音が使われるのか、それとも新たに収録し直されるのかはわからない。さて演奏内容だが、両曲ともに近年のフェドセーエフらしさが存分に発揮された美演に仕上がっている。オーケストラの高い技量に支えられた、隅々まで磨きぬかれた響きの美しさは、この演奏の最大の魅力だろう。力みの一切ない甘さすら感じさせる歌は、ショスタコーヴィチの初期作品の一面を魅力的に描き出している。第1番の立派な壮麗さは他に類がなく、聴き手によっては違和感を持つかもしれないほど。ただ、少々甘口に過ぎるところが、僕の好みではない。第3番はさらなる名演。流麗な音楽の中から、今まで気づかなかった美しい響きが随所に浮かび上がってくる。この作品をこれほど楽しんで聴いたのは初めて。きびきびとした合唱も素晴らしい。全集の完成が待ち遠しい。

チェクナヴォリャーンの交響曲第10番は、タワーレコードRCAプレシャス・セレクション1000の第3期発売分。世界初CD化だが、事前に全くチェックしていなかったので店頭で見つけて驚いた。発売直後だったようだが、もちろん即確保。これがまた、何とも凄い演奏。こういうのを爆演というのだろう。物理的な音量・音圧もさることながら、テンションが尋常ではない。オーケストラの技量はあまり高くなく、第2楽章などでは乱れまくるのだが、そんなことはお構いなしに突き進む音楽の凄みは筆舌に尽くし難い。低弦や金管楽器の妙なバランスを素直に認める気にはならないが、独特の沸き立つようなリズムの力が表出されているのは面白い。ハチャトゥリャーンは、全曲盤からの抜粋。こちらは文句なしにハマっている。

ダネルQの弦楽四重奏曲全集も購入したが、こちらは聴き通すのに時間がかかりそうなので、また後日…(いつになることやら(^^;)
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かぶとやま交響楽団第33回定期演奏会

  • シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ、ベールヴァルド:交響曲第3番「風変わりな交響曲“Singulière”」、シベリウス:交響曲第2番、グリーグ: 「ペール・ギュント」 第1組曲より第1曲「朝」  中村晃之/かぶとやま響 (Private Recording)
随分と日にちが経ってしまったが、去る2月12日に行われたかぶとやま交響楽団第33回定期演奏会にエキストラ出演した(1st Vn)。当日の録音をCD-Rに焼いてもらったので、早速聴いてみる。

録音レベルが低い(シベリウスの強奏部分に合わせたせいか?)のと、やや残響が多い(聴衆がいつもにも増して少なかったせいか?(^^;)ために、細部のアラがあまり聴こえてこない。結構うまいじゃないか…と勘違いしてしまいそうになるが、技術的なことはさておき、音楽的な意図が全体に徹底していないことが、毎度のことながら不満。エキストラ頼みの弱小アマオケの哀しさである。また、チェロの人数が少なかったこともあって、弦楽器のバランスも良くない。ということで、前半のシューマンとベールヴァルドが中途半端な出来に終始したのも当然か。技術的にはそれほど悪い出来ではないのだが、作品全体を貫く音楽の流れがないために、どうしても細かい部分に耳がいってしまう。そうなると、音程の乱れやアンサンブルの不精確さばかりが気になってしまうという悪循環。

一方、シベリウスは第3楽章をのぞいて、音楽に一本筋が通っていた。特に第2楽章はなかなかの出来だったと思う。ただこれも、本番直前になって奏者が揃った勢いがプラスに作用しただけとも考えられ、そうなると半年近くも練習を積んできた団員にとっては素直に満足できないところだろう。アンコールは、思っていたよりつつがない出来だったが、やはり蛇足の感は免れない。

いささか手前味噌ではあるが、他の団体と比しても水準は低くない団体だけに、何とか壁を打ち破りたいところ。やはり、弦楽器の団員を増やすことしか、策はないだろう。人数の多いオケに疲れている方、どうぞお友達と一緒にかぶとやま交響楽団に入団してくださいませ!

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ソヴィエト・エコーズ

  • ソヴィエト・エコーズVol.1「遺産の陰に」 (Happinet Music HMBC-1002 [DVD])
  • ソヴィエト・エコーズVol.2「特権と圧力」 (Happinet Music HMBC-1003 [DVD])
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第30、40、41番、「泉のほとりで(ああ、私は恋人を失くした)」による6つの変奏曲 D. オーイストラフ (Vn) バドゥラ=スコダ (Pf) (Andante AN 2200 [CD+DVD])
  • モーツァルト:セレナード第10~12番 チェコ・フィルハーモニー木管アンサンブル (Supraphon COCQ 84088~9)
  • シベリウス:交響曲全集、ヴァイオリン協奏曲 D. オイストラフ (Vn) ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO (Venezia CDVE44237)
ハピネット・ピクチャーズから、お宝映像が発売されたとのことで、早速Tower Records難波店へ。第3巻はショスタコーヴィチとあまり関係ない内容だったので、購入を見送った。ショスタコーヴィチ関係の映像はいずれもどこかで見たことのあるものばかりだったのは残念だが、ティーシチェンコが弾き語る「ラヨーク」など、ドキュメンタリーとしてはなかなか面白い仕上がりで一気に観てしまった。なんとも軽薄な響きがする英語のナレーションは邪魔だが、貴重な映像がふんだんに用いられているので、ソ連音楽ファン必携のDVDといえるだろう。それにしても、1974年の「鼻」の再演映像は何度見ても泣ける。思い通りの響きが展開されるのを聴いて、子供のように嬉しそうな笑みを浮かべて興奮するショスタコーヴィチの顔は、本当に感動的。

さて、いつも通り“ついでの”買い物を物色。ショスタコーヴィチ関連には目ぼしいものがなかったので、今回は久しぶりにショスタコーヴィチ以外のCDばかり。といっても、ソ連・東欧系の演奏家ばかりですが(^^;

Andanteレーベルからリリースされたオーイストラフ&バドゥラ=スコダのモーツァルトは、同時期のスタジオ録音の2枚組CDを既に持っているので、それとは別のライヴ録音であっても本来なら購入を控えるところなのだが、なんとこのアルバム、DVDがセットになっている。変奏曲だけは以前に知人の好意でCLASSICA JAPANの録画を見せてもらったことがあるのだが、大好きなK. 454も含めて3曲も収録されている以上、これは買い逃すわけにいかない。映像と音声のずれは気になるが、格調高い二人の演奏姿に目が釘付け。バドゥラ=スコダの奏でるベーゼンドルファーの音色もたまらない。これぞ音楽!ですね。

別にモーツァルト・イヤーを意識したわけでもないのだが、モーツァルトをもう1枚。管楽合奏用のセレナードは大好きなのだが(特に変ホ長調K. 375)、それを1969年のチェコ・フィルのメンバーで聴けるとなれば、無条件に購入するのが当然だろう。「スプラフォン・ヴィンテージ・コレクション」というシリーズは、非常にこだわりのある、必ずしも一般受けしない音盤を意欲的に復刻している好企画だが、こうした“隠れた”名盤が発掘されるのは本当に嬉しい。演奏は、ローカル色の強い響きと、懐かしさすら感じさせるロマンティックで穏やかな音楽が非常に魅力的。僕の好きな第11番では少々ゆったりし過ぎとは思ったものの、自然体で楽しみながら楽器を奏でているだけなのに、極上の音楽に仕上がってしまう様は圧巻。

ロジデーストヴェンスキイによるシベリウスの交響曲全集はLPで所有しているのだが、Venezia盤が売れ行き好調なようなので、入手困難になる前に確保した。まぁ、安いですしね(^^; この全集は本当に素晴らしい。分厚い弦と重量級の輝かしい金管がシベリウスの響きとは異なるようにも感じられるが、非常に劇的な音楽の作りがシベリウスの魅力を見事に描き出している。もちろん、密やかな部分の緊張感と美しさにも不足しない。ムラヴィーンスキイの第7番なども同傾向なので、ロシアのシベリウス演奏の伝統とでもいうようなものがあるのかもしれない。LPを引っ張り出すことはあまりなかったので、今度の日曜日に演奏予定の第2番以外は久しぶりに聴いたのだが、いずれの曲にも感心しきり。第3番の華やかさなんて、ロジデーストヴェンスキイ以外にはできないんじゃないだろうか。第6番の強靭でよく歌う弦楽器も、たまらなく魅力的。

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チェルヌシェンコの「10のロシア民謡」

  • ロシア民謡集 チェルヌシェンコ/レニングラード・グリンカ合唱団 (Yedang YCC-0162)
2004年12月28日付の本欄で紹介した「Yedang Classics Selection: X'mas Box-Set」(Yedang YBOX50XMAS)というBOXセットに含まれていたこの一枚。もっとも、この音盤が目当てで50枚組みのBOXを買ったのだが、今までずっと「2つのロシア民謡」作品104の第2曲しかショスタコーヴィチ作品が収録されていないと思い込んでいた。ところがつい先日、ちょっと調べ物をしていた時に「10のロシア民謡」Sans. op. Qも収録されていることに気づき、慌てて聴き直してみた。暖かく厚みのある響きと伸びやかな歌心が、実に素敵な演奏。既に持っているポポフ盤と優劣はつけられないが、僕はこちらの方が好き。ポポフ盤と同様に間奏の挿入の仕方の変更や、繰り返しの省略等があるのは残念だが、この類の楽曲では致し方のないところか。

CDジャケットには「10のロシア民謡」ではなく、各曲のタイトルのみが記されていたために、全く注意することなく聴き流してしまっていた。嬉しい誤算…には違いないのだが、一度は聴いていたにもかかわらず気づかなかったというのは何とも恥ずかしい。ショスタコーヴィチのファン、失格か(^^;

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2006年の初買い物

  • ア・ナイト・アウト マチートと彼のオーケストラ (Tico LP-1074)
  • ショスタコーヴィチ:室内楽集(ピアノ五重奏曲、ピアノ三重奏曲第2番、ヴァイオリン・ソナタ、ヴィオラ・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ・ソナタ第1&2番) アウアー (Pf) ローゼンタール、ボー (Vn) ホーゲヴェーン (Vc) ローゼン (Vc) ファン・クーレン (Vn & Va) ブラウティガム (Pf) ロスラー (Vc) ヴュルツ (Pf) ストーン (Pf) (Brilliant Classics 7535)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1&2番、A. ブロークの詩による7つのロマンス ロジャース (S) ボザール三重奏団 (Warner 2564 62514-2)
昨年12月31日の本欄に記した「アーヴィング・バーリン・イン・ラテンアメリカ」というアルバムと同時に注文した「ア・ナイト・アウト」が入荷したので、Tower Records難波店へ。「Song of Lisbon」の1曲だけがピアソラの編曲のようだが、ここまで明らかに他のナンバーと雰囲気が違うのも実に面白い。楽しいアルバムではあるが、おそらく資料として棚に鎮座したまま埃をかぶりそうな気が…(^^;

Brilliantレーベルから出たショスタコーヴィチの室内楽曲集は既発音源を集めたもので、僕もそれらは既に所有しているので気に留めることはなかったのだが、ロスラーが弾いたチェロ・ソナタだけは持っていなかったことに気づき、慌てて購入。技術的な不満はなく、音色も悪くない。ただ、チェロもピアノも歌いまわしに不自然さがあり、あまり感心しなかった。その他の演奏はいずれも平均的な出来で、セットとしては特にお薦めできるようなものではない。価格だけが魅力だろう。

ボザール・トリオは、何だか気付けばメンバーが交代しているような印象があるが、この最新メンバーでの演奏は初めて聴く。個人の確かな技量に基づく安定したアンサンブルはさすが。ただ、音色に艶があまり感じられないのは不満。ピアノ三重奏曲第1番などでは、もう少し甘い抒情を歌い上げてほしいところだ。ピアノ三重奏曲第2番は、この編成の基本的なレパートリーでもあるせいか、より充実した音楽が繰り広げられている。しかし、乾いた響きが凄みに直結せず、全体の印象としてはやや平板になってしまっているのが惜しい。ブロークの詩による7つのロマンスも、同様の演奏。ソプラノのロジャースは、ベコヴァ・シスターズと共演したChandos盤では美しさが際立っていたが、本盤ではそれほどの冴えが感じられない。

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Buywellでの買い物

  • Cello Phapsody(シューマン:民謡風の5つの小品、ブラームス:6つの歌、ショスタコーヴィチ:2つの小品、ファリャ:スペイン民謡組曲、ニン:「スペインの歌」より、ヒナステラ:パンペアナ第2番) ペレイラ (Vc) ボラード (Pf) (Tall Poppies TP078)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、シニートケ:チェロ・ソナタ ペレイラ (Vc) ムーア (Pf) (Tall Poppies TP018)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番、バルトーク:ピアノ協奏曲第3番、2台のピアノと打楽器のためのソナタ オグドン、ルーカス (Pf) ホーランド、フライ (Perc) フォスター/ロイヤルPO、サージェント/ニュー・フィルハーモニアO (EMI 7243 5 74990 2 6)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ブレイスウエイト/アデレードSO (ABC Classics 426 510-2)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第11番、ジャズ組曲第1番、J. シュトラウス(ショスタコーヴィチ編):ポルカ「観光列車」 カエターニ/メルボルンSO (ABC Classics 476 8364)
Buywellというオーストラリアの業者から、初めてCDを購入。カエターニのCDが目当てだったのだが、せっかくなので目についたものも一緒に注文したところ、数枚の手配に時間がかかったようでオーダーから3ヶ月経ってようやく到着(業者の対応は非常に丁寧で好感が持てた)。目的のカエターニ盤は既に店頭にも並んでいたので、やっと聴くことができる…といった感じ。

さて、気の向くままに聴いていく。

ペレイラによる小品集は、主として各国の民謡を素材とした作品を集めたもの。チェロ用に編曲された曲ばかりである。ショスタコーヴィチの「2つの小品」とされているのは、バレエ「明るい小川」の「アダージョ」と、映画音楽「ミチューリン」の「春のワルツ」である。線が細いのか、全体にメリハリがあまり感じられない演奏である。優しい歌はそれなりに素敵だが、さして魅力的とは言えない。技術的には特に不安を感じない。

同じチェリストによるショスタコーヴィチのチェロ・ソナタも、やはり印象の薄い演奏。決して悪くはないのだが、平凡な感は否めない。シニートケのソナタも同様。

オグドンの協奏曲はLPで所有しているが、何となく目についたので衝動買い。余裕のある端正な音楽が素敵。オリジナルLPには含まれていなかった「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」は、鋭い前衛性とは正反対の抒情的な美しさを湛えた好演。僕はもっとゴツゴツした手触りの演奏が好みだが、もちろんこういう方向性も悪くはない。

指揮者もオーケストラも初めて耳にするコンビによる交響曲第8番は、オーストラリア以外では入手し辛いのだろうと思って勢いで購入。これが意外に掘り出し物的な佳演だった。すっきりと整えられた響きの中に、真摯で力のある音楽が繰り広げられる。第2楽章は散漫な出来だが、それ以外は集中力に満ちた共感溢れる演奏に仕上がっている。

最後に、今回の目的だったカエターニのアルバム。交響曲第11番は、12月6日付の本欄で述べたミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO盤もあってどちらもライヴ録音だが、こちらはその2年後の演奏である。明るめの音色でしなやかに流れていく音楽作りは、本盤でも同様。音楽の集中力および燃焼度はこちらの方が上だろう。ただ、旧盤で異彩を放っていた鐘の音色は、ここではごく普通のものになっている。カエターニ自身に鐘に対するこだわりがあるのかどうか、この2枚を聴き比べる限りではよくわからない。ジャズ組曲第1盤番は、気だるさ漂うきれいな仕上がりだが、少々まったりとし過ぎであまり好みではない。おそらくアンコールで演奏されたと思われる「観光列車」の編曲は、貴重な録音。非常に美しくまとめられているが、ロジデーストヴェンスキイ盤のパンチが利いた演奏に耳が慣れているので、少々物足りない。

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昨年12月の買い物

  • 五重奏のためのコンチェルト ピアソラ五重奏団 (RCA 8287 674266-2)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ、ストラヴィーンスキイ:イタリア組曲 フカコヴァ (Vc) クランスキー (Pf) (Kontrapunkt 32216)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ(クヴァツキイ編)、「馬あぶ」からの組曲(ボリソーフスキイ編)、ヴィオラ・ソナタ トムテル (Va) ギムセ (Pf) (Somm SOMMCD 030)
  • ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより(第1~9、15~17、19、12番) カレファクス・リード五重奏団 (MDG 619 1185-2)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ独奏曲全集第1巻(5つの前奏曲、3つの幻想的な舞曲、格言集、ポルカ、24の前奏曲、人形の踊り) ペトルシャンスキイ (Pf) (stradivarius STR 33727)
  • ショスタコーヴィチ:室内交響曲、クニッテル:マタイ受難曲 ドゥツマル/ポーランド放送・アマデウスCO (Polskie Radio PRCD 095)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1&2番、コンチェルティーノ(I. ディモフ編) ウーリク (Pf) ライナー (Tp) スターレク/SWR放送O (hänssler CD 93.113)
  • ハイドン:交響曲第90番、ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 ウォルフ/フランクフルト放送SO (hr hrmk 011-02)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 エルムクィスト/ルクセンブルクPO (Classico CLASSCD 604)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 ドミトリエフ/サンクト・ペテルブルグSO (Water Lily Acoustics WLA-WS-77-CD)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5、9番 コフマン/ボン・ベートーヴェンO (MDG 337 1202-2)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第9、10番 カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO (Arts 47675-2)
ショスタコーヴィチ生誕100年の2006年。明けまして…どころか、最初の書き込みが2月になってしまった… まぁ忙しくないというのも困ったことなので、この状況に不満があるわけではないが、未聴盤を積み上げる癖だけはつけないようにしないと。

さて、ようやく昨年12月初旬のTower Records渋谷店で買い物した分を一通り聴くことができた。

まずは5階で、ピアソラの録音で買い逃していたものを一点確保。これはEdición Críticaというシリーズの一枚だが、目的はボーナストラックとして収録されているトロイロとのバンドネオン二重奏。国内盤でこのアルバムが再発された時にこの二重奏がボーナストラックとして復刻されていたのだが、全く気づかずに買い逃してしまっていたただけに嬉しい。左右のチャンネルが逆になっているとの情報もあるが、オリジナルを知らないだけに何とも言えない。内容は…最高。たった2曲、それも合わせて10分にも満たない長さだが、何度も繰り返し聴いてしまった。こういうインティメートで濃密な雰囲気は、タンゴに限らずそうめったに聴くことができない。

あとは6階でショスタコーヴィチ関係の音盤を目に付くままに。

フカコヴァのチェロ・ソナタは、もう10年以上も前にJEUGIA河原町店という、今では1階がマクドナルドになっている建物の2階で見つけていたものの、他に買わなければならないものが多すぎて買いそびれている内にすっかり見かけなくなっていた音盤。去年東京に行った際にこの店舗で在庫を確認したが、その時は予算がなくてまたまた見送ったのだが、今回ついに確保。といっても、そこまで執着するほどの内容ではなかったが。逞しさと形容するほどではないが、十分な力強さを持った弾きっぷりは収録曲に相応しいもの。テンポ設定などの解釈はごくオーソドックスで、技術的にも高い水準で安定している。悪くはないのだが、これといった魅力が感じられないのもまた事実。

トムテル(Lars Anders Tomter)というヴィオリストによるショスタコーヴィチ作品集は、編曲物を含む興味深い選曲のアルバム。チェロ・ソナタの編曲は“西側初録音”との表記がなされているが、MelodiyaからLPが1枚リリースされていただけなので、貴重であることには間違いない。ただ、このご時勢に“西側”なんて区別に意味があるとはあまり思えないが。深い音色は十分に魅力的だが、音域の制約による旋律線の変更などの違和感を払拭するほどの出来ではない。ピアノが控えめなのも物足りない。一方、ベートーヴェンQの初代ヴィオリスト、ボリソーフスキイの編曲による「馬あぶ」組曲はなかなか面白かった。有名なロマンスの他に3曲が選ばれ、それぞれに技巧的な見せ場も盛り込まれた意欲的な編曲。アンコール・ピースとしてもっと取り上げられても良いのではないだろうか。メインのヴィオラ・ソナタは、いまひとつの出来。技術的な精度の甘さも気になるが、音楽的な掘り下げの浅さが何とももどかしい。この演奏では、暗いけど、何となくきれいな感じのする曲…というような印象しか持てない。

オーボエ、クラリネット、バスクラリネット、サクソフォーン、ファゴットというリード楽器ばかりの五重奏による「24の前奏曲とフーガ」は、第1,4,7,8番の4曲は以前に別メンバーによる録音があった。それから10年経って編曲が進んだということなのだろうか。今度は14曲が収録されたアルバムである。印象は旧盤とそう大きく変わらないが、技術的な難易度の高い曲もあるためか、音程の甘さが少々気になる。それにしても、不思議と違和感のない編曲だ。

ペトルシャンスキイによる主として初期のピアノ作品を集めたアルバムは、「ショスタコーヴィチのピアノ作品全集」の第1巻とされている。DSCH社の新全集に準拠した“全集”となるならば非常に価値があるだろうが、今後どのような収録曲でリリースされていくのか、あまり期待せずに注目したい。5つの前奏曲、3つの幻想的な舞曲、格言集といった初期作品と人形の踊りについては、もったいぶった表情付けが楽曲の魅力を損なっているように思われる。もっと素直に弾き飛ばしてしまう方が、むしろ好ましいだろう。「ポルカ」にもその傾向は見られないわけではないが、ここでは勢いの良さが上回っていてさほど不満は感じない。24の前奏曲は、ごく普通の演奏。丁寧に弾き込まれてはいるものの、特に個性は感じられない。

ドゥツマル指揮の室内交響曲は、10年ほど前に同じ団体で録音された旧盤がある。それに比べると、アンサンブルの精度や音楽の振幅は向上している。とはいえ、数多い録音の中で独自の存在感を示すには至っていない。クニッテルの作品は初めて聴いたが、さすがに一聴しただけではよくわからない。囁くような声楽の扱いが印象的。

ウーリクによるピアノ協奏曲は、独奏・オーケストラ共にもう少し美しさを求めたい。特にオーケストラの精度がいまひとつで、音楽の流れが鈍い。第2番の方が第1番よりも出来は良いが、音楽そのものは平凡である。コンチェルティーノの編曲は、どこか交響詩「十月革命」を彷彿とさせる物々しさが面白い。演奏自体は、可もなく不可もなくといったところ。

ウォルフ指揮のアルバムは、ハイドンとショスタコーヴィチの交響曲をカップリングした、ありそうでなかった組み合わせが面白い。オーケストラの透明な響きには現代的な趣きがあり、ショスタコーヴィチとよく合っている。軽量級ではあるが、ごく標準的な解釈といえるだろう。ハイドンも颯爽とした楽しい演奏だが、あっさりと流れ過ぎているようにも思える。

エルムクィスト指揮の交響曲第5番は、Classicoという名の通ったレーベルからリリースされているにもかかわらず、三流アマオケのような演奏技術に思わず耳を疑ってしまう。ここまで酷い演奏を聴いたのは久しぶりだ。

期待はずれだったのは、ドミトリエフ指揮の交響曲第7番。演奏そのものはロシア風でありながらも洗練された音楽で心地よいのだが、録音が奇妙なほどに遠く、音楽の細部が聴き取り辛い。それなりに熱気溢れる盛り上がりも窺えるのだが、扉の向こうで演奏が繰り広げられているような臨場感のなさには不満しか残らない。

コフマン指揮の交響曲集、未入手の第5&9番が棚に並んでいたので確保。第1弾の第10番だけがまだ見つからないが、まぁ、その内どこかで手に入るでしょう。さて、このアルバムに収録された2曲には、コフマンによるショスタコーヴィチ演奏の美質が非常によく現れている。力みのない響きと音楽の流れが、楽曲の持つ、いわゆる純音楽的な魅力を適切に伝えてくれる。演奏とは関係ないが、一つだけ気になったのは、Windows Media Playerで再生したところ、なぜかレヴィ指揮のアルバムが表示されたこと。演奏時間は明らかに違うので、例のイヴァーノフ盤のようなことはないだろうが、妙にナーバスになってしまう。これもPTSDと言えるのでしょうかね?(^^;

カエターニ指揮の交響曲も、未入手の第9&10番を確保。これで現在リリースされている分は揃った。両曲とも素晴らしい出来に感心した。スケールの大きな音楽としなやかな流れがバランスよく両立している上に、整然とした様式感にも不足しない。特に第9番が立派な仕上がり。第10番も全体に熱気が漲っていて魅力的な演奏だが、後半の2つの楽章では音楽が若干弛緩するように感じられるのが惜しい。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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