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HMV(通販)でお買い物(8月分)

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  • ショスタコーヴィチ:交響曲第3&14番 ゴーゴレフスカヤ (S) アレクサーシキン (B) M. ヤンソンス/バイエルン放送SO & Cho (EMI 0946 3 56830 2 8)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 M. ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウO (RCO Live RCO 06002)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、ヤナーチェク:ラシュスコ舞曲集 テンシュテット/ミュンヘンPO (Weitblick SSS0059-2)
  • スメタナ:ピアノ三重奏曲、ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 ローマ・ピアノ三重奏団 (Genuin GMP 04509)
8月上旬にHMVでオーダーしたものが、届いた。

M. ヤンソンスの交響曲全集、最後の一枚。丁寧に整えられたアンサンブル、無難なテンポ設定、模範的な楽曲解釈…ではあるのだが、どこか物足りないという、一連の全集録音の特徴を端的に示したような内容である。第3番は、後半の合唱が壮麗で立派なものの、前半部がいかにも表面的で退屈する。不出来な部類に入る作品とはいえ、もう少し魅力的な箇所があってもよいはずだ。第14番もごくオーソドックスな解釈で、スコアの再現という点では上質の演奏ということができるだろう。ゴーゴレフスカヤが精彩を欠くものの、アレクサーシキンの歌唱は流石に貫禄を感じさせる。しかし、この作品にはもっと鬼気迫る叫びや、凍てつくような静寂、病的な美しさ…といった常軌を逸した表現が必要不可欠のはず。あまりにも常識的な音楽に終始しているこの演奏では、この作品の魅力や凄さを知ることはできない。

ロイヤル・コンセルトヘボウOの自主制作レーベルからも、同じくM. ヤンソンス指揮のライヴ録音がリリースされた。こちらは、なかなか良い。極上のオーケストラを伸び伸びと歌わせる、ヤンソンスの手腕が存分に発揮された佳演といえるだろう。解釈上の新機軸があったり、聴き手に新たな発見をさせるような音楽ではないが、作品に対する素直な取り組みに好感が持てる。オーケストラの幾分くすんだ響きのおかげで、どこか節度を持った上品さも感じられる。

テンシュテットの新譜は、ミュンヘンPOとの珍しい顔合わせによるもの。1975年の放送用録音ということで、マイクが近すぎる感は否めないものの音質は良好。冒頭から密度の高く緊張感に貫かれた音楽が展開される。やや病的なまでに張り詰めた雰囲気はテンシュテットならではのものだろうが、全体の構成は至極真っ当で、細部まで磨き抜かれた表現には説得力がある。明るめの音色で壮麗かつ熱く繰り広げられる音楽はスケールが大きく、非常に素晴らしい演奏である。テンシュテットらしさを期待する向きには物足りなさもあるだろうが、ショスタコーヴィチ作品の演奏という立場から考えるならば、1985年の録音(裏青)よりこちらの方が好ましい。ヤナーチェクのラシュスコ舞曲集という作品は初めて聴いたが、とても美しく楽しい音楽。こちらも極めて優れた演奏。

今回唯一の室内楽であったローマ・トリオのアルバムは、平凡な内容。技術的な破綻はなく、解釈も至極真っ当なもの。ただ残念なことに、各奏者の音にこれといった魅力が感じられない。優等生的な安全運転の音楽作りも、物足りなさの一因だろう。

ようやく、たまりにたまった未聴盤が一掃できた。何とも爽やかな気分である(^^)。
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HMV(通販)でお買い物(7月分)

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  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14&1番 マッティラ (S) クヴァストホフ (B) ラトル/ベルリンPO (EMI 0946 3 58077 2 1)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第2&12番 M. ヤンソンス/バイエルン放送SO&Cho (EMI 0946 3 35994 2 0)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 バレーザ/クロアチア放送SO (ORFEJ CD ORF 314)
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ヴァイオリン・ソナタ ジョセフォウィッツ (Vn) ノヴァチェク (Pf) オラモ/バーミンガム市SO (Warner 2564 62997-2)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3、7、8番 ハーゲン四重奏団 (DG 00289 477 6146)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 コンドラーシン/ドレスデン・シュターツカペレ (Profil PH06023)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5&6番 テミルカーノフ/サンクト・ペテルブルグPO (Warner WPCS-11947)
8月上旬に届いた荷物は、7月上旬にHMVでオーダーしたもの。今回は、メジャー・レーベルから最近リリースされたCDで、買いそびれていたものを集中的に。

ラトルは以前に第10番と第4番を録音しているが、いずれも細部へのこだわりを見せつつ、楽曲の構成と内容を的確に把握した名演であった。この新譜ではオーケストラがBPOということもあって、より機能的で優れた演奏を期待しつつ聴き始めた。が…… 正直なところ、第14番は期待はずれだった。丹念に整えられたアンサンブルは流石で、これほど滑らかな美しさを持った演奏も珍しいだろう。しかし、終始(おそらく)意図的に抑制された表現は、逆にこの作品が持つ内面的な力強さを削いでいる。これはソプラノの線の細さも影響しているのだろうが、結果として何を言いたいのかよくわからない音楽になってしまった。一方、第1番は素晴らしい。ラトルらしい細部にこだわった表現が、BPOならではの古典的ながらも壮麗な響きで展開される様は、まさに貫禄の名演といえるだろう。熱気にも不足しない。このコンビが現在到達している境地を、最良の形で示している演奏である。

既に完結しているM. ヤンソンスの交響曲シリーズは、未架蔵分を半ば義務的な気持ちでオーダー。よく整えられた滑らかな演奏で、バイエルン放送SOならではの音色も楽しむことができる。が、作品に対する共感や熱意といったものが全く感じられず、どこかお仕事的な雰囲気が漂う、平凡な音楽になっているのが残念。第2番では、合唱の入りの表現がやや個性的だが、それ以外はこれといったひねりもなく、淡々と音楽が流れていく。第12番に至っては、交響曲全集を完結させるという義務感だけで演奏しているかのような、空虚な内容。

交響曲第4番の新譜はライヴ録音。だが、バレーザという指揮者もクロアチアのオーケストラも、不勉強にして初体験。それにしても、この演奏をどう評価したら良いのだろう。まず、テンションの高さが、いくらライヴだからといえ、異常過ぎる。冒頭から勢い余り過ぎて、こめかみから血が噴き出しているかのよう。次に、技術的にはいかにも旧東側の田舎オケといった風情で、率直に言って下手。少なくとも録音で繰り返し鑑賞するには、崩壊している箇所が多すぎる。したがって、勢いに任せた猛烈に荒っぽい演奏…なのだが、奏でられている音楽には、妙に胸をざわつかせられる。お世辞にも上質とは言えない演奏ながらも、恥ずかしいほどストレートに作品の本質を聴き手にぶつけてくるような、そんな不思議な音楽である。手放しで賞賛することはできないが、無視することもできない。

“天才少女”ジョセフォウィッツの名前は前から知っていたが、今まで全く聴く機会がなかった。ショスタコーヴィチの協奏曲(ライヴ録音)とソナタ(スタジオ録音)をカップリングしたアルバムがリリースされたので、どんな奏者かという興味も手伝って購入。残念ながら、あまり感心することはできなかった。特に協奏曲で、線の細さが致命的。左手の技術は達者なのだが、さすがにこの協奏曲を弾くには音量が足りなさ過ぎる。銘器を使っているようだが、この録音からはその輝きは感じられない。表現も、少女趣味の甘ったるいものではないとはいえ、中途半端。ただ、オーケストラは整然と統率されていて素晴らしい。爆発力にも不足しておらず、傑出した出来である。ソナタでは音量に対する不満は幾分少なくなるが、それでも線の細さゆえに表現が単調なものに終始している感は否めない。第2楽章は、気持ちは分かるが、彼女の演奏スタイルで選択する解釈ではないだろう。ピアノは腕力に任せた演奏で、これもまた単調。

なお、このCDの購入者はWarnerのサイトで、特典をダウンロードすることができる。内容は「24の前奏曲(ツィガーノフ編)」の第6曲(ピアニストはソナタと同じノヴァチェク)の音楽ファイル(WMA形式:1.76MB)。これは、あまりうるさいことを言わずに楽しめる。

ハーゲンQのショスタコーヴィチ第2弾(シリーズ化する意図があるのかどうかはわからないが)は、第3、7、8番という有名曲路線。随分前にリリースされた第1弾が第4、11、14番という凝った選曲だったことを考えると、(もし全集にする予定がないのであれば)ちょっと日和ってるなぁ…というのが率直な感想。DGはエマーソンQで全集を持っているから、あえてもう一つ全集を作る必要性はないわけだが、半数近い6曲を録音したのなら、全曲やっちゃって欲しいところではある。とはいえ、僕はハーゲンQに感心したことがない。まず第1Vnの技量が決定的に不足していること、次に似非クレーメルのような音色が趣味ではないこと、そして乾いた音楽作りが不必要に攻撃的で楽しむことができないことが、その理由だ。それでも、VaとVcが達者なこともあって第14番では、それなりに美しさを感じることができたが、今回の3曲には不満が残った。鼻歌のような抜いた音色は、第3番には全く相応しくない。楽曲のクライマックスが表面的な興奮によって表現されているために、単にささくれだっている以上の意味が感じられない。切々とした歌の踏み込みも浅い。この団体の表現様式と作品との間にあまり違和感がないのは、第7番か。過剰な思い入れを排して淡々と音を紡いでいく解釈は、悪くない。特に第1楽章は、きびきびとした音楽の運びがなかなか素敵。ただ、第2楽章の歌いまわしには妙な雑味が感じられるのと、第3楽章のフーガがいたずらに荒っぽいのは残念。第8番は、演奏会でも取り上げる機会が多いのだろうが、安定してこなれた演奏に仕上がっている。とはいえ、作品が内包している情報量と、この団体が発信する情報量との間に差があるため、他に名演が少なくない中でこの演奏の存在感は薄い。

コンドラーシンの交響曲第4番は、入荷が遅れたために上記の荷物とは別便で発送されてきた。1963年2月23日に行われた東独初演のライヴ録音であるこの盤は、生誕100年の記念に相応しい、間違いなく本年最大の収穫である。コンビチュニー指揮の第10&11番や、カラヤン指揮の第10番(裏青)に代表されるように、ショスタコーヴィチ作品との相性が抜群のオーケストラであるドレスデン・シュターツカペレを、ムラヴィーンスキイと双璧であるショスタコーヴィチ指揮者であるコンドラーシンが、(ショスタコーヴィチ自身に望まれて)自ら世界初演を担当した作品を演奏した演奏会の記録…というだけで、優れた演奏を期待するのは当然だが、この演奏はその期待のはるか上をいく超弩級の名演である。全体の確かな構成、息の長いクライマックスを実現する緻密な設計、唯一無比の適切なテンポ設定といった基本的な解釈は、当然ながら完璧。凄いのは、全ての音が圧倒的な表現力と意志を有していること。強奏部の凄惨さもさることながら、いつ暴発してもおかしくないぎりぎりの緊張感に貫かれた弱奏部の雄弁さが、際立って素晴らしい。長大な作品にも関わらずあっという間に終るように錯覚させられてしまう集中度の高さと、しばらくは他の音楽を聴きたくなくなるような巨大で深刻な余韻の前には、いかなる形容も無力だ。

8月の中旬、首都圏在住の友人から貴重なプレゼント(お中元?(^^))をいただいた。首都圏で行われたショスタコーヴィチ関係の演奏会のプログラムや、年始に行われたサンクト・ペテルブルグでのショスタコーヴィチ生誕100年記念演奏会にまつわるグッズ等々。この友人には、いつもご厚意をいただいてばかりで何もお返しできていないのが心苦しい。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。WWWサイトを運営してよかったことは、こういう僕よりもはるかに色んなことを知っている方々と親交を結べたことだ。

で、そのプレゼントの一つが、テミルカーノフのアルバム。第6番の演奏会は、友人が会場で実際に聴いたとのこと。訪問者雑記帳にいただいた情報によると、第5番もサンクト・ペテルブルグで行われた演奏会(1月7日)が収録される予定だったようだが、演奏中に携帯電話が数回鳴ったこともあってか前年に行われたバーミンガムのコンサートが採用されたとのこと。2曲とも、煌びやかで輝かしいオーケストラの音色の魅力が際立つ仕上がりである。しなやかで流麗なテミルカーノフの音楽を、気負うことなく余裕を持って再現した大人の演奏と言うことができるだろう。テミルカーノフが得意としている第6番の方が、燃焼度の高いより魅力的な演奏となっている。こういう演奏で聴くと、これらの作品は既に“古典”だという感を強くする。ただ、ローカル色の薄まったオーケストラの響きや、軋みのない滑らかな音楽作りには一抹の寂しさや物足りなさを感じることもまた事実。第5番終演後のイギリス式(?)口笛吹き鳴らしの喝采は、どうにも軽薄でいただけない。

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HMV(通販)でお買い物(6月分)

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  • ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」、ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 ジュピター・トリオ (Bridge 9147)
  • ハイドン:ピアノ三重奏曲第39番「ハンガリー風」、メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番、ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 Karvay (Vn) Karanovic (Vc) Stroissnig (Pf) (ORF CD 381)
  • プロコーフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番、ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ、シェドリーン(ツィガーノフ編):フモレスケ、アルベニス風に エシュケナージ (Vn) アンゲロフ (Pf) (Gega New GD 269)
  • Sviatoslav RICHTER Archives Volume 9(ミャスコーフスキイ:ピアノ・ソナタ第3番、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより第19~22番、プロコーフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番 リヒテル (Pf) (Doremi DHR-7806)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品、ストラヴィーンスキイ:協奏曲ニ調、ショスタコーヴィチ(D. シトコヴェツキ編):弦楽四重奏曲第3番、ストラヴィーンスキイ(ドゥシキン編):歌劇「マヴラ」より「ロシアの歌」 D. シトコヴェツキ/ニュー・ヨーロピアン・ストリングス (hänssler CD 98.488)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6、9、11番 ドビュッシー四重奏団 (Arion ARN 68596)
  • ショスタコーヴィチ:ステパーン・ラージンの処刑、交響詩「十月革命」、5つの断章 オースティン (Br) シュウォーツ/シアトルSO & cho (Naxos 8.557812)
5月末にHMVでオーダーしたものが、7月頭に届いたものの、2ヶ月近く未聴のままほったらかしにしてしまった。あまり店頭では見かけないコレクションのための音盤を中心に、最近リリースされていて買いそびれていたものも含めて計7枚。

ジュピター・トリオは、第4回大阪国際室内楽コンクール(2002年)の優勝団体。安定した技術で勢いの良い音楽が魅力的なアルバムである。ただ、ショスタコーヴィチでは若干表現の多彩さに欠けるのが物足りない。ベートーヴェンは溌剌とした雰囲気が悪くない。

ピアノ三重奏曲をもう一枚。このアルバムには「spread your wings」というタイトルがついているので、若手支援の企画なのかもしれない。個々の技術水準は低くないのだが、アンサンブルはやや雑然とした印象。表現も直線的で、音楽的な深みは十分に獲得されていない。3人とも中欧出身ということもあってか、ハイドンが特に爽やかで整った佳演だった。ショスタコーヴィチも、楽曲への真摯な取り組みと自然な熱気が悪くはない。ただ、作品が持っている力を表出するには力量不足の感が否めない。メンデルスゾーンは、有名曲だけに色々考え過ぎてしまったのだろうか。もっと素直に歌って欲しいところ。

ブルガリア出身のエシュケナージというヴァイオリニストは、寡聞にして初めて知った。ショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタの音盤はほとんど蒐集できているので、コレクションの穴埋め的な意識で何気なくオーダーしたのだが、これがなかなか優れた演奏で嬉しい誤算。まず、木の香りがする骨太の音色が美しい。切れ味の良い技術も安定していて水準が高い。落ち着いた音楽の運びが、作品の美しさを丹念に描き出している。第2楽章はもう少し狂気を感じさせて欲しいところだが、両端楽章は実に見事。プロコーフィエフのソナタも良かったが、シェドリーンの2曲がお洒落で素敵。

DOREMIレーベルのリヒテル・シリーズは、存在自体は知っていたが、その内容をきちんとチェックしていなかった。初出かどうかははっきりとわからないが、ショスタコーヴィチ作品は未架蔵のライヴ録音だったので購入。非常にコンディションの良い演奏会だったようで、完璧としか言いようがない。ショスタコーヴィチでは、瞑想的な雰囲気と並々ならぬ覇気が両立していて、これ以外の解釈・演奏は考えられないくらい。ミャスコーフスキイも素晴らしいが、何と言ってもプロコーフィエフが凄い。凄すぎる。

D. シトコヴェツキ/ニュー・ヨーロピアン・ストリングスのアルバムは、何よりも洗練された柔らかさと広がりのある美しい響きが大変魅力的である。ショスタコーヴィチの作品11の第1曲が、彼らの演奏の美質を存分に示している。第2曲では、もう少し鋭さが欲しい部分もあるが、ともあれこの曲からこれだけ流麗で芳醇な響きを引き出した演奏はない。弦楽四重奏曲第3番は、D. シトコヴェツキが弦楽合奏用に編曲したもの。Sikorski社からポケットスコアも出版されているが、録音はたぶんこのCDが初めてだろう。第8番と同様に作品自身が持つスケールが大きいことと、コントラバスの付加とSoloとTuttiの配分が編曲の主たる要点であることもあり、弦楽合奏用に編曲することに違和感は全くない。演奏は、やはりふくよかな美しさが際立つもの。作品の切実な訴えが流麗さに覆われているような印象が若干なくもないが、テンポ設定等の解釈も極めて真っ当で、価値のある仕上がりとなっている。ストラヴィーンスキイの作品も同様だが、明るい響きを持っているこの団体には、こちらの方がより適しているようにも思えた。最後に収録されている「ロシアの歌」がとても素敵な小品で気に入った。

ドビュッシーQによる弦楽四重奏曲全集の第4巻は、どういう事情かはわからないが、少なくとも日本で入手できるようになったのは、第5巻より後だったようだ。この1枚だけなかなか揃わなくて気分が悪かったが、これでめでたくこの全集は完結。そういえば、ソレルQの全集も半分くらいしか揃えてなかった… さて、演奏内容。第6番は、わりと腰の軽い出だしではあるものの、落ち着いた響きのおかげで浮ついた印象は全くない。上品ながらも気持ちの良さそうな歌が、この作品に相応しい。第9番も同様の演奏で、丁寧で真摯な解釈と高いアンサンブル技術は立派なのだが、僕には少々落ち着き過ぎで力強さに不足するように感じられた。楽章毎の性格付けもやや単調。このアルバムの中で最も素晴らしかったのは、第11番。地味ながらも内面の燃焼度は高く、淀みなく流れる洗練された音楽ながらも、コクのある訴求力が全編に貫かれている。しっとりした余韻の残る秀演である。

最後に、今回購入した中で唯一の管弦楽作品を収録したアルバム。「ステパーン・ラージンの処刑」の新録音だが、収録年は1996年。「十月革命」は2000年で「断章」は2005年と、どの時点でアルバムとしての企画がまとまったのかは不明だが、いかにもNaxosらしい選曲である。演奏も、単に珍曲をやりました…という以上の水準なのが嬉しい。「ラージン」は、とてもよく整えられた手堅い演奏。落ち着いたテンポで、丁寧にスコアを音化しているのが好ましい。ただ、独唱をはじめ、全体に響きが細身で力強さや広がりに欠けるのが惜しい。感心したのが「十月革命」。伸び伸びと歌い上げた演奏は、スケール感にも不足していない。地味な響きではあるが、アクが強くない分、聴きやすさも増している。「断章」は、作品への丁寧で真摯な取組みが好ましい。もう少し響きに多彩さが欲しいところではあるが、他の2曲と比べると収録年が新しいこともあってか、随分とマシ。

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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