スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

未聴LP(1月分)

mel-c101467778.jpg
  • カルロヴィチ:セレナーデ第2番、ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 ライスキ/ライスキCO (Poljazz PSJ 184 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第22番「バラード」、スヴェトラーノフ:祝典の詩 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya 33 CM 03157-58 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第27番 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya C10-14677-78 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第1&4番 タネーエフQ (Melodiya C10 20615 005 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第7&10番 タネーエフQ (Melodiya C1021431 002 [LP])
  • トゥリンドベリ:ヴィオリン協奏曲第1番、メリライネン:13人のための協奏曲 パロラ (Vn) アンゲルヴォ/オウルCO (Oulun Kamariorkesteri OKO LP 1 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からLP6点が届く。

今回注文したショスタコーヴィチ関係の音盤は一点のみ。初めて聴いた演奏者だが、簡単なプロフィールはここで確認できる(ただしポーランド語)。時々思い切った表情が付けられてはいるものの、全体にあまり切迫感がなく、やや退屈な仕上がりである。録音のせいか、オーケストラの音色が痩せた電子臭のするものになっているのも残念。カップリングのカルロヴィチ作品も、平明な抒情が心地好いとはいえ、それほど面白くはなかった。

スヴェトラーノフ指揮の第22番は、既にYedangのCDで架蔵済み。わりとベタな節とありがちな展開を持った作品であるが、こういう曲こそスヴェトラーノフの威力が発揮される。伸びやかな歌と際限のない咆哮、そして節操のない耽溺。作品の魅力が十分に再現された名演といえるだろう。スヴェトラーノフの自作は、ミャスコーフスキイ以上にベタベタ。嫌いではないが、率直に言って冗長に感じられる。

それほど気に入ったわけでもないのに、今度はミャスコーフスキイの弦楽四重奏曲にも手を出してみることに。交響曲の27曲に比べると、弦楽四重奏曲は13曲ということもあって集めやすいだろうという、根拠のない全集癖は、もはや業。幸いにしてタネーエフQが全曲録音をしているので、それに限って集めれば重複しない上に、質的にも水準以上のものが保証されるだろう。ということで、まずは4曲(2枚)。正直なところ、どれもピンと来なかったが、中では第10番が面白かった。第7番も民謡風の主題を持った平明な作品であるが、響きが単調で内面の劇性に乏しいというか、それがミャスコーフスキイの様式であることはわかるものの、どうにも捉えどころがなく、聴いていて集中力が保てない。これは、4曲全てに言えること。第1番などはあまりに晦渋で、好んで聴けるようになるには腰を据えて努力する必要がありそう。

フィンランドの大物作曲家2名の作品を集めたアルバムは、間違って届いたもの。送り返したりするのも面倒なので、もうそのまま受け取ることにした(^^; トゥリンドベリは最初期のフィンランド人作曲家で、その作品様式は完全にウィーン古典派に準拠したものである。自身も優秀なヴァイオリン奏者だったようだが、この協奏曲も美しく気品のある佇まいが好ましい。ただ、特筆すべき個性はなく、彼の名前が長らく忘れ去られていたのも仕方のないことだろう。独奏VnのパロラはケラヴァQの第一Vnも務めていて、室内楽奏者としても活躍している。華やかさはないが、端正で落ち着いた美しさが素敵である。メリライネンは、長い間フィンランド作曲家協会の会長を務めた、フィンランド楽壇の大物作曲家である。代表作の一つである交響曲第3番と同じ1971年に作曲された本作は、線的な音の絡みが生み出す内省的な雰囲気が印象的。用いられている作曲技法等のわりに、さほど前衛性を感じない。全くの偶然とはいえ、たまにはこうした未知の領域に耳を傾けるのも良いものだ。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Myaskovsky,N.Y.

HMV(通販)でお買い物(12月分補遺)

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第3&14番 ポプラフスカヤ (S) ダヴィドフ (Br) カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO & Cho (Arts 47723-8 [SACD])
  • ショスタコーヴィチ:劇・映画音楽集(組曲「ハムレット」、組曲「リア王」、映画音楽からの8つのワルツ) セローフ/レニングラードCO、アルチュレル/サンクト・ペテルブルグSO (Manchester CDMAN129)
1月12日付の本欄で紹介した、昨年12月にHMVにオーダーした音盤の内、入荷が遅れていた2点が届いた。

カエターニによる交響曲全集も、残すところあと2枚となった。この2曲は、全集中で最も新しい録音である。第3番は、このコンビらしい、明晰で流れの良い演奏である。特筆すべき特徴はないが、手堅く仕上げられている。ただ、全体に騒がしさが耳につく。第14番は、とにかく2人の独唱者達の出来が素晴らしい。声質だけではなく、楽曲の雰囲気を適切に捉えた響きの作り方が絶妙である。オーケストラも丁寧な演奏で好感が持てるが、響きが明るすぎるのに違和感が残る。また、どちらかといえば穏やかすら感じさせる音楽も、個人的には物足りない。

セローフ指揮の劇音楽集はMelodiya(Olympia)レーベルのCDで既に架蔵しているが、アルチュレル指揮のワルツ集は未入手だった。8曲から成るワルツ集は、T. ザンデルリンク盤(DG)と同内容で、DSCH社の新全集では「ステージ・オーケストラのための組曲第2番」とされているもの。いずれもソツのない演奏で、楽しんで聴くことができる。血沸き肉踊るような乱舞ではなく、わりと上品な仕上がりなので、これといったインパクトには欠けるところで好き嫌いが分かれるだろう。

音楽とは直接関係ないが、非常に面白かった本を紹介しておく。昨年の秋に出版された井上章一著『夢と魅惑の全体主義』(文春新書)は、そのテーマ設定の秀逸さに加えて、モダン派の建築家達がいかに社会と関わっていたのかという問題提起が大変興味深い好著であった。その中で引用されていたリシャット・ムラギルディン著『ロシア建築案内』(TOTO出版)を買ってみたのだが、これが抜群に面白い。もちろん、建築写真の数々を見るだけでも楽しいのだが、解説の密度の高さには感服する。ロシア=ソヴィエト文化に興味がある人には絶対お薦め。

夢と魅惑の全体主義 (文春新書)夢と魅惑の全体主義 (文春新書)
(2006/09)
井上 章一

商品詳細を見る
ロシア建築案内ロシア建築案内
(2002/11)
リシャット ムラギルディン

商品詳細を見る

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

京都大学交響楽団第180回定期演奏会

ku_180.jpg
  • 京都大学交響楽団第180回定期演奏会 創立90周年記念特別公演(大阪公演)
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1&2番 D. コーガン (Vn) M. ショスタコーヴィチ/チャイコーフスキイSO (Delos DE 3363)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1&2番、ブロークの詩による7つの歌曲 バークミン (S) チューリヒ・ピアノ三重奏団 (Claves 50-2605)
京都大学音楽研究会の大先輩に誘われて、京都大学交響楽団の定期演奏会に足を運んだ(先輩は、京大オケのOBでもある)。プログラムは、以下の通り:
  1. ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
  2. フォーレ 組曲「ペレアスとメリザンド」
  3. R. シュトラウス アルプス交響曲
     指揮:山下一史  2007年1月15日(月) ザ・シンフォニーホール
仕事の都合で、残念ながらアルプス交響曲しか聴くことができなかった。巧いとか、その反対に技術的なアラを探すような聴き方を学生オケに対してするつもりはない。時間と情熱を存分に注ぎ込んで曲を徹底的に磨き上げようとする、ある種体育会系的なひたむきさが演奏に表れていて、何よりもそれに感心した。弦楽器のボウイング一つとっても、こういう風に揃えることは社会人オケではまず無理で、学生ならではの特権が懐かしくもあり羨ましくもあり。終演後は、先輩に連れられて山下氏の楽屋へ。当日の演奏について良かったところと反省点とを一気呵成にまくしたてている姿に、今度はプロの情熱を見ることができて、大いに刺激を受けた。

2月号が発売になったので、『レコード芸術』誌1月号の「海外盤試聴記」に寄稿したものを以下に掲載しておく(一部改)。

ヴァイオリン協奏曲は、作曲家D. ショスタコーヴィチの息子と、大ヴァイオリニストL. コーガンの孫との顔合わせという話題盤。チャイコフスキーSO(旧モスクワ放送SO)はソ連時代にマクシームが首席指揮者を務めていた団体でもあり、当時の彼らが残した名盤さながらのどこか節操のないオーケストラの存在感が際立つ演奏となっている。第1番冒頭の弱奏部からしっかりと音が鳴らされ、終始マクシーム独特の生理的な快感に満ちた響きが繰り広げられる。時に独奏を霞めてしまう瞬間もあるが(たとえば第1番第2楽章)、作品が要求している管弦楽部の比重を考えると、下手にバランスを優先するのよりは好ましい。情緒に流されがちではあるが、スケール感にも不足していない。ただ、第2番の第2楽章などでは一層の官能性を求めたいところ。作品への真摯な姿勢が光るコーガンのヴァイオリンは高水準であるものの、快刀乱麻を断つとは言い難く、残念ながら速い楽章では音楽がもたつく。

チューリヒ・ピアノ三重奏団のショスタコーヴィチ・アルバムは、技術的にも音楽的にも高い水準でバランスのとれた演奏。音色はまさしくドイツ流儀のものだが、伸びやかな歌心と素直な高揚感が印象的な第1番が、作品と演奏者双方の魅力が存分に発揮された秀演である。一方第2番は、端正な楽曲構成と丹念な演奏にもかかわらず、律儀なフレージングゆえに、ショスタコーヴィチに特有な息の長いクライマックスの表出に今一つの物足りなさが残る。もっとも、この整然とした佇まいを好ましく思う聴き手も少なくはないだろう。歌曲でも彼らのスタイルは同じで、凝縮への志向が強いこの作品の特徴をしっかりと捉えている。しかし、バークミンの歌が外面的で、室内楽的な観点からは散漫な仕上がりになってしまったのが惜しい。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

裏青CD-R、四題(遅ればせながら謹賀新年)

wmescdr1024.jpg
  • ソ連国歌、日本国歌、ショスタコーヴィチ:交響曲第15番、グリーンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO (World Music Express WME-S-1024)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ベリルンド/ベルリンPO (Tresure of the Earth TOE-2027)
  • ベルリオーズ:歌曲集「夏の夜」、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 フィンク (A) ガーディナー/チェコPO (Tresure of the Earth TOE-2062)
  • クラウディオ・アバド、ベルリン・フィル音楽監督退任特別コンサート(ブラームス:運命の歌、マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌、ショスタコーヴィチ:映画音楽&劇音楽「リア王」) マイアー (MS) ツィドコヴァ (MS) コチェルガ (B) アバド/ベルリンPO、スウェーデン放送Cho、エリック・エリクソン室内Cho (Live Supreme LSU-1061-2)
  • Seroff,V. I.:Dmitri Shostakovich: The Life and Background of a Soviet Composer,Alfred A. Knopf,New York,1943.
  • マース,F.・森田 稔・梅津紀雄・中田朱美訳:ロシア音楽史 《カマーリンスカヤ》から《バービイ・ヤール》まで,春秋社,2006.
いわゆる“裏青盤”を何枚かまとめて、CDショップ・カデンツァで購入。リリース量が少なくないこともあって、この方面まで手を出すと収拾がつかなくなる…と自粛してはいるのだが、やはりカタログに並んでいるのを見ると、次から次へと欲しいものが出てくる。とりあえず新譜のチェックはしているので、そのリストから適当に選択して注文した。

今回、注文するに至った最大の動機は、交響曲第15番の日本初演(表記されているデータを信用するならば…ではあるが)の録音が2006年夏にリリースされたことであった。1972年6月1日の東京公演の録音については、よしじゅんさんが貴重な音源を所有されているようだが、こちらは同年5月10日の大阪公演の録音である。NHKが収録・放送したようなので、FMのエアチェック音源がマスターではないかと推測される。プログラムに先立って演奏されたソ連と日本の国歌も収録されているのが、非常に嬉しい。ソ連国歌は、アレクサーンドロフ・アンサンブルの録音が刷り込まれているので調性に違和感があったが、「君が代」の濃厚で壮麗な響きは悶絶もの。メインのショスタコーヴィチは、国外初演(東独初演との関係がはっきりはしていないが)の名に恥じない名演である。全曲を通じてテンションが猛烈に高く、おもちゃ箱をひっくり返したかのように、多彩な楽想がとめどなく溢れ出てくるような演奏。終楽章のクライマックスは、まさに忘我の境地。K. ザンデルリンクの深遠な音楽とは対極にあるが、ロジデーストヴェンスキイもまたこの曲の本質に迫っていることは疑う余地がないだろう。「ルスラン」での奔流のような音楽も、ロジデーストヴェンスキイならでは。モスクワ放送SO独特のメタリックな響きも快感。

ベリルンドの交響曲第8番は、2001年8月のリリース。マゼールの代役として登場した2001年5月17日の演奏である。何より、ベルリンPOの威力に圧倒させられる。豪奢なふくよかさがいささかショスタコーヴィチらしからぬようにも感じられるが、そうした趣味の範疇をはるかに越えた凄みが、この演奏にはある。ベリルンドの解釈は極めて真摯なもの。とりたてて個性を感じさせはしないが、それだけにショスタコーヴィチの音楽とベルリンPOの魅力がストレートに表現されている。ただし、膝上録音なのか、椅子の軋みが耳障りなのは残念。

ガーディナーとチェコPOという珍しい顔合わせによる録音は、2001年5月18日に行われた「プラハの春」での演奏。2001年11月のリリースである。よく磨かれ、よく整えられた正統派の佳演である。ガーディナーの端正な音楽が、適度に気合の入ったオーケストラによって魅力的に響いている。カップリングの「夏の夜」は、さらに素敵な演奏。不勉強にして存在すら初めて知った曲だが、実に良い。倉田わたる氏の新・ベルリオーズ入門講座では、「ベルリオーズの歌曲中最高位に位置する傑作」と記されていたが、他の歌曲を知らないとはいえ、さもありなんと思う。

2002年4月25日に行われた、アバドのベルリンPO音楽監督退任特別コンサートの録音は、2003年6月のリリース。ディスク1に収録されたブラームスとマーラーは、このコンビならではの貫禄の演奏。とにかく美しい。彼らの到達した至高の境地と言って、何ら差し支えないだろう。興味深いのは、ディスク2の「リア王」。アバドが自分自身をリア王になぞらえたわけではないだろうが(だとしたら、誰がゴネリルとリーガン?アバド体制を支持した聴衆がコーデリア?こんな解釈は、いくらなんでもベタ過ぎますね(^^;、最後のプログラムとしては、異例なほど意欲的な内容だ。というのも、コージンツェフの映画の抜粋を上映しつつ、それに合わせてオーケストラがショスタコーヴィチの音楽を演奏するという企画。さらにその音楽というのが、「リア王」という曲名でショスタコーヴィチが中期に書いた劇音楽と、晩年に書いた同名の映画音楽とを組み合わせて70分強の作品に仕立てたもの。ベルリンPOの分厚く豪華な響きもあって、不思議と違和感なくまとまっている。演奏も、流麗さと壮大さが素晴らしく共存した立派なもの。ショスタコーヴィチが喜ぶかどうかはわからないが。

セローフの古典的文献を、ようやく入手して全部読んだ。主だったトピックは、日本語で読める複数の文献に引用されているので、原著にあたるのをサボっていただけなのだが、読んでみて大いに反省した。交響曲第7番までの記述だが、ショスタコーヴィチが結婚する以前の家庭環境について、非常に詳しくまとめられている。母ソフィヤ、姉マリーヤがどのような人物であったのか、そして妹ゾーヤがどのような青春時代を送ったのかが、実に活き活きと描写されていて、どのページも読み飛ばすことができない。単にショスタコーヴィチについての“最初の”伝記であるという以上の価値を持っている。音楽的な内容については、今となっては目新しい記述はないものの、伝記的な価値は今なお第一級の資料である。

もう一冊、マースの大著も一気に読了。書名の通り、グリーンカからショスタコーヴィチに至るロシア=ソ連音楽の歴史について、網羅的に記述されている。いずれの項にも最近の研究成果が反映されていて、専門書でありながらロシア=ソ連音楽の入門書としても格好の一冊ということができるだろう。特に社会主義リアリズム等のイデオロギーが音楽にどのように反映されたのかに関する考察に紙数が割かれているので、大変参考になる。巻末の年譜(梅津氏作成)も資料的価値が高く、見ているだけでも楽しい。価格が非常に高いのが難点か。

Dmitri ShostakovichDmitri Shostakovich
(1943/06)
Victor I. Seroff

商品詳細を見る
ロシア音楽史―『カマーリンスカヤ』から『バービイ・ヤール』までロシア音楽史―『カマーリンスカヤ』から『バービイ・ヤール』まで
(2006/03/01)
フランシス マース

商品詳細を見る

ともあれ、これで旧年中に入手した音盤を一通り聴くことができた(書籍はまだ数冊残っているが…)。ということで、皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします(^^)。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

HMV(通販)でお買い物(12月分)

berlin-bph0611.jpg
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 K. ザンデルリンク/ベルリンPO (Berliner Philharmoniker BPH 06 11)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第12&2番 カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO & Cho (Arts 47705-2)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 クヂノフ (B) カエターニ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO & Cho (Arts 47708-2)
  • ショスタコーヴィチ:映画音楽集Vol. 3(組曲「ハムレット」、組曲「忘れがたき1919年」より、組曲「5日5夜」、組曲「若き親衛隊」より) シナイスキー/BBCフィル (Chandos CHAN 10361)
  • ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲集 バルシャイ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSO (Brilliant 8212)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第2&14番 ソレルQ (Chandos CHAN 10114)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番、3つの小品、子供のノート、ムルズィルカ、5つの前奏曲、バレエ「明るい小川」より シェルバコフ (Pf) (Naxos 8.570092)
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ(ジンマン&プシカレフ編)、ヴィオラ・ソナタ(V. メンデルスゾーン編) クレーメル (Vn) バシメート (Va) クレメラータ・バルティカ (DG 477 6196)
HMVでの今回のオーダーは、2006年の新譜の中でもメジャーなものばかりだが、買いそびれる前に確保してしまおうというチョイス。

ベルリンPOも自主制作盤をリリースを開始したというニュースは、クラシック音楽のCD市場の近況を反映した、一種の象徴的な出来事としてそれなりに注目を集めた。その第一弾にショスタコーヴィチの交響曲が、それもK. ザンデルリンクが得意とする第15番の究極の名演が含まれたことは、何とも嬉しい。既に裏青レーベルで公演二日目の録音は出回っていたが、今回はその前日の演奏。録音の品質も上々で、ザンデルリンクの懐の深い音楽と、ベルリンPOの貫禄の名技を堪能することができる。翌日の演奏と比較すると全体にテンポが若干ながら速く、ライヴならではの緊張感という点ではこちらの方が上のようにも感じられる。一方で、深遠な雰囲気という点では翌日の方がより優れている。いずれにしても、楽曲のあらゆる箇所を意味深く響かせつつも(たとえば第2楽章で第1交響曲の引用がチェレスタに出てくる瞬間など)、端正な形式感を厳然と保ちながら巨大な音楽を形成するザンデルリンクの手腕には脱帽。文句のつけようがない名演である。

カエターニの交響曲録音は単発で出ている時に揃えていたので、いくら全てSACD化されたからとはいえ、残り4枚という状況で今さら全集BOXを購入する気にはなれない。ということで、まず2枚を確保した。第12番は、颯爽とした格好良さを感じさせながらも、スマートな熱さと表現意欲に満ちた秀演。このコンビの魅力が存分に発揮されている。第2楽章でも緊張感が途切れることなく、作品のあるべき姿を再現した演奏と言っても過言ではないだろう。第2番も同様で、洗練された音楽の運びと素直な昂奮とのバランスが心地好い。やや軽いものの合唱も悪くはない。ただ、サイレンの選択には疑問が残る。

第13番は、少し流麗に過ぎる。全体に速めのテンポ(テミルカーノフ盤ほどではない)で推進力のある音楽ではあるが、腰が軽くてこの作品では物足りなさが残る。これは独唱により顕著で、美声ではあるがそれを前面に押し出し過ぎなのか、肺腑を抉るような切実さが感じられない。一方で、弱奏部などで聴かせる繊細なまでの音色への配慮は立派なもの。

シナイスキーによるショスタコーヴィチの映画音楽集3は、前作までと同様の優れた内容である。資料的価値には興味がないのか、組曲の中でもそれほど演奏効果の高くない曲などが省略されているのは少々残念だが。「ハムレット」は、彼らにしては少し地味な仕上がり。端正で流れの良い音楽作りは水準が高いが、それほど柄の大きさが感じられない。晩年の作品とはいえ、もう少し華やかさがあっても良いと思う。第4曲は省略されている。「忘れがたき1919年」からは「クラースナヤ・ゴールカの猛攻」1曲のみ。これは、壮麗な魅力に満ちた秀演である。スケールの大きな力強い歌が、たまらなく素敵。「5日5夜」は、この曲の決定盤と言ってしまっても差し支えないだろう。磨き上げられた輝かしい響きと、緊張感に貫かれた大柄な音楽の流れが、作品の完成度の高さを余すところなく伝えてくれる。録音の少ない「若き親衛隊」は、残念ながら3曲のみの抜粋である。活き活きとした華麗な音楽は、この時期のショスタコーヴィチの作風をよく捉えている。

バルシャイが弦楽合奏用に編曲したショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は全部で5曲になるが、それらをまとめて新たに録音したアルバムが出た。ブリリアント・レーベルにバルシャイが録音したショスタコーヴィチ作品を全て収録した限定盤の大物セットにもこれが収録されていて、そこにはバルシャイのインタビューが収められた特典DVDが付いているとのことだったので、本当はそちらで購入することを検討していたのだが、さすがに無駄な買い物かなぁと思い直し、おとなしく最小限の買い物。まぁ、置き場所にも困るし。さてこのアルバム、まず、どうにもぼやけた録音に不満が残る。そして、そのぼやけた印象は演奏そのものにも当てはまる。バルシャイによる同曲の録音は、いずれも室内オーケストラを率いてのものだったが、今回は普通のオーケストラということで、響きのベクトルが全く逆向きなように感じられる。そこには、アンサンブルの精度がいまひとつであることも少なからず影響している。バルシャイの音楽作り自体は、ショスタコーヴィチ作品の劇性と響きをよく理解した模範的なもの。それだけに、物足りなさが残る。

ソレルQの弦楽四重奏曲全集はVol. 3までは架蔵済みなのだが、その後すっかり放置していた。今回は、Vol. 4を注文。第2番は、わりと良い演奏。伸びやかな歌と洗練されたアンサンブルが心地好い。…が、終楽章だけは退屈。なぜか、他の楽章ほどロシア情緒が感じられない。変奏の弾き分けもあまり冴えない。第14番は、全体に表現意欲に満ちている一方で、それが逆に勢い一辺倒の直線的な音楽になっているのが残念。この作品では、もっと透明かつ甘美な響きを楽しみたいところ。

シェルバコフのピアノ曲集は、意欲的なプログラミングもさることながら、優れた演奏内容が際立つ秀逸なアルバムである。特にソナタ第2番は、颯爽とした推進力を持った、良い意味で聴きやすい音楽に仕上がっている。一方で様式的には端正に作られているので、作品の魅力を幅広い聴き手に伝え得る演奏と言えるだろう。「3つの小品」は、ちょっと元気が良過ぎるようにも思えるが、もちろん破綻などはなく、楽しく聴くことができる。「子供のノート」は、さらに弾き飛ばしているような印象。悪くはないのだが、もう少し穏やかな抒情を感じさせてくれる演奏の方が、個人的には好みである。「ムルズィルカ」も同様なのだが、こちらは勢いの良さが作品の性格と相まって好結果につながっている。「5つの前奏曲」では、溌剌とした音楽の運びで各曲の性格を丁寧に描き出していて、これはなかなかの秀演。アルバム中、最も面白かったのが「明るい小川」。選曲も洒落ているし、演奏もツボを押さえていて実に楽しい。ショスタコーヴィチのバレエ音楽の魅力を素直に描き出した演奏である。

最後に、クレーメル他の編曲アルバム。2曲の器楽ソナタのピアノ・パートを小規模の管弦楽に編曲したものだが、ピアノという単一の楽器が醸し出す多彩な響きを多彩な楽器に置き換えたことで、音楽の凝縮力が損なわれてしまった感が否めない。特にヴァイオリン・ソナタは、作品の持つ内的な高揚感や強靭な精神を即物的に大編成の壮麗な響きで表現しているところが納得できない。オーケストラが様々な奏法で多様な音色を出しているのも、クレーメル個人がするのとは異なり、妙にあざとい印象しか残らない。クレーメルは相変わらず達者な技術を駆使して旺盛な表現意欲を聴かせるし、クレメラータ・バルティカも健闘しているが、個人的には積極的に評価する気にはならない。ヴィオラ・ソナタの方は、響きの表面的な美しさをなぞっただけのような編曲で、実演でその響きに包まれるのならばともかく、録音で聴いても空虚なだけ。バシメートは貫禄の演奏だが、鬼気迫る張り詰めた雰囲気は薄い。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Sanderling,K.

未聴LP(12月分)

  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番、シマノフスキー:弦楽四重奏曲第2番 ヴァギーQ (CBC SM 312 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第3番 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya 33 D 016145-46 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第27番 ガーウク/モスクワ放送SO (MK 1524 [LP])
  • 日本・ロシア音楽家協会(編):ロシア音楽事典,(株)河合楽器製作所・出版部,2006.
12月は本業に加えて出張やその他の用事が重なり、とても音楽を聴く時間を作り出せる状況ではなかった。音楽に関係するところでは、16日(土)に東京外国語大学亀山郁夫教授が中心となって企画された「ドミートリー・ショスタコーヴィチ生誕100年記念国際シンポジウム『甦るショスタコーヴィチ』」に参加し、翌17日(日)には宝塚市交響楽団の第41回定期演奏会にエキストラ出演。シンポジウムは、ショスタコーヴィチに関心のある人ならその名を一度は目にしたことがあるに違いない、わが国を代表する研究者と海外の大物(ヤクーボフ氏、バートレット女史、ウィルソン女史)が一同に会した華やかなもの。やや不便な場所と、事前の宣伝に不足していたにもかかわらず、100名強の来場者があったというのにも驚いた。個人的には、こうした文系のシンポジウムというは全くの初体験だったので、普段の自分達の流儀との違いに戸惑うことも多く、また同時に刺激も受けることができた。パネリストとしては、全く何の貢献もできなかったけれど。一方、塚響のプログラムは、次の通り:
  1. チャイコーフスキイ:ピアノ協奏曲第1番
  2. ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
    ショスタコーヴィチ:ノヴォロシイスクの鐘の音楽 【アンコール】
     指揮:船曳圭一郎、Pf独奏:山畑 誠  いたみホール
「第10番をやるので是非」と声をかけてくださった団の方々に感謝あるのみ。プログラムの楽曲解説とアンコールの選曲で、少しは恩返しできましたかね?

こんな感じで、音楽鑑賞なんて通勤途中のiPodのみ…といった惨憺たる状況下、Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からLPが届く。

ヴァギーQは1965年に結成されたカナダの団体。結成後間もない1966年にショスタコーヴィチの第8番を録音しているので、これは彼らにとって同曲の2回目の録音ということになる。旧盤は未聴なので比較はできないが、安定した技術を持つ、手堅いアンサンブルだという印象。いかにも北米圏の団体らしく音色に華はないが、堅実な楽曲解釈と丁寧な演奏には好感が持てる。どちらかといえばシマノフスキーの方に適性を感じたが、両曲とも水準の高い佳演である。

今回もまた、ミャスコーフスキイの交響曲をオーダー。第3番は、スヴェトラーノフによる全集録音中の1枚。不安と怯えのような感じが支配的な音楽は、極めて晦渋な印象。スクリャービンからの影響なども指摘されているようだが、僕には正直なところピンと来なかった。演奏に関しては、技術的な問題は感じなかったが、現時点では、音楽的な内容を判断できるほど作品を掴めてはいない。

もう一枚は、名曲第27番。ガーウクの破廉恥なまでの歌心は、本能的に聴き手の心を揺さぶる。残念ながら録音は劣悪で、楽曲の細部は潰れてはっきりと聴き取れない部分も少なくないが、それでもなお、この落日の抒情とでもいった美しさは十分に伝わる。

夏に発刊されていたのはチェックしていながらも、何となく買いそびれていた『ロシア音楽事典』をようやく購入。これは、ロシア音楽に関連する事項を網羅的に取り上げた、何かと便利な事典。比較的有名な作品までもが項目となっている充実振り。記述については詳細度や正確さにやや散らばりがある。たとえば、ショスタコーヴィチの映画音楽「馬あぶ」(本書では「あぶ」と表記)の解説は、あら筋の他、有名な「ロマンス」が用いられているシーンにも誤認がある。とはいえ、まずは手元に置いておくべき一冊だろう。

ロシア音楽事典ロシア音楽事典
(2006/08/01)
日本ロシア音楽家協会

商品詳細を見る

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Myaskovsky,N.Y. 演奏活動_宝塚市交響楽団

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
12 | 2007/01 | 02
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。