「タヒチ・トロット」の自筆譜ファクシミリ

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  • Tahiti Trot,Paul Sacher Stiftung,2006.(ISBN:3-935196-78-4)
  • Malko,N.,A Certain Art,William Morrow & co.,inc.,New York,1966.
世の中、それこそ猫も杓子も個人ブログを持っているご時勢だが、それだけに、自分にとって有用な情報をピンポイントで見つけ出すのは、随分と手間のかかる作業になってきた。そもそも、ブログリーダーに気になるサイトやキーワードの登録はしてあるものの、ブログリーダー自体を起動することが滅多にないという生来の怠惰さが問題ではあるのだが…(^^;

ということで、高い頻度でチェックするブログというのは限られているのだが、その数少ない一つが、「私たちは20世紀に生まれた」という沼辺信一氏のブログである。もう随分と前のことになるが、2007年1月30日の記事に「夕方に帰宅したら、ニューヨークの楽譜商からショスタコーヴィチの『タヒチ・トロット』自筆譜のファクシミリが届いている」という一文を見つけた。Amazon等のネットショップを探してみてもカタログに掲載されていないし、少しだけ苦労して探し当てたのが、OMI (Old Manuscripts & Incunabula)という楽譜商。このサイト内に、当該ファクシミリの紹介があったので、価格設定も(たぶん)良心的だったこともあり(送料込みで12,000円程度)、即決で注文。オーダーから手元に届くまで10日足らずだったし、メールオーダーゆえの英作文の手間(そんな大変なものじゃありませんが)を考えても非常に良い業者ではないかと思う。

このファクシミリは、パウル・ザッハー財団が出版したもの(財団のHPには、このファクシミリは掲載されていない)だが、Sikorski社のクレジットもあるので、ひょっとしたら国内の楽譜商を通してでも入手可能なのかもしれない。

さて、このファクシミリの内容だが、自筆譜部分は12ページしかないものの、独英2ヶ国語で各20ページ弱に及ぶ解説の論文5本が収録されている他、1926年にモスクワで刊行されたファミーン編「タヒチ・トロット」(ポドレフスキイ詞)のヴォーカル・スコアが付録としてついている。5本の論文の著者と題目は次の通り:
  • Matthias Kassel:A Case for (More Than) Two Tea for Two en route from Youmans to Shostakovich
  • Heidy Zimmermann:A Bet or a Commission? The Genesis of Shostakovich's Tahiti Trot
  • Robert Piencikowski:Tahiti Express? The Manuscript and Its Story
  • Ulrich Mosch:A “Brilliant Orchestration” Analytical Remarks on Youmans's Original and Shostakovich's Arrangement
  • Felix Meyer:“Sickly Eroticism” Shostakovich's Tahiti Trot in the Firing Line of Music's Morality Squad
これらの内容については、前述した沼辺氏のブログの2007年2月10日以降の記事と、2007年4月17日の記事を参照されたい。ここでは、これらの資料から僕自身が新たに得た知見をまとめるだけにしておく。
  • 当時大ヒットしていた「二人でお茶を」は、作曲家ファミーンが“自作”と偽って出版した「タヒチ・トロット」という楽譜によって、ソ連に紹介された。ただし、この出版以前にも録音等で聴かれていた可能性もある。
  • メイエルホーリド劇場で上演された「吼えろ、支那」(1926年初演)という劇中、数名のアメリカ人が船上でダンスをする場面で、この「タヒチ・トロット」が用いられた。このことは、ソ連で「二人でお茶を」を有名にするのに一役買った。
  • 「二人でお茶を」の初版譜は変イ長調、「タヒチ・トロット」の楽譜はト長調である。ただし、当時発売されていた「二人でお茶を」の録音で、変イ長調で演奏されているものは皆無らしい。
  • ショスタコーヴィチのオーケストレイションは、変イ長調である。
  • マリコーの自伝「A Certain Art」には「タヒチ・トロット」のオーケストレイションについて言及されているにも関わらず、有名な「60分で編曲できるかという賭け」の話は一切出てこない。
  • 仮に『証言』が真にショスタコーヴィチの発言を書き留めたものだとしても、『証言』以外でショスタコーヴィチ自身がこの「賭け」について述懐した記録はない。
  • オーケストレイションの準備と思われるショスタコーヴィチ自身のスケッチが、(断片的に)現存している。
  • ファクシミリに収められた自筆譜は清書ではなく、少なくない書き直しの跡がある。
これらを総合すれば、「マリコーとの賭け」というのがショスタコーヴィチ“神話”の一つであると考えるのが妥当であろう。むしろ、相応の時間をかけて「二人でお茶を」のオーケストレイションを行なったのではないかと考えられる。もちろん、神話だからといって、この作品の価値が損なわれるわけではない。

それにしても、この機会に初めて読んだマリコーの自伝は、とても面白かった。リャードフ、リームスキイ=コールサコフ、グラズノーフといった“歴史上の人物”と直に接したエピソードの数々に加え、ショスタコーヴィチには5つの章を割いて、その鼻持ちならない青年時代の姿を活き活きと描写している。ソレルティーンスキイについての記述もあり、ショスタコーヴィチ・ファンならば、是非とも読んでおきたい書物の一つである。読み通すのに時間がかかって、3月には入手していたファクシミリの紹介がすっかり遅くなってしまいましたが(^^;

なお、パウル・ザッハー財団は「アフォリズム」の自筆譜も所蔵しているらしい。これも出版してくれたら嬉しいのだが。

マエストロ・オザワ60歳祝賀チャリティ・コンサート(1995年9月1日)
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HMV(通販)でお買い物(未入荷分)

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  • プロコーフィエフ:チェロ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ラフマニノフ:ヴォカリーズ カーシュバウム (Vc) P. ヤブロンスキ (Pf) (Altara ALT1019)
  • アルゼンチン音楽のパノラマ(ヒナステラ:バレエ「エスタンシア」より「マランボ」、ピアノ・ソナタ第3番より「Impetuosamente」、アレマン:2つのクラリネットのためのソナチナ、ピアソラ:アディオス・ノニーノ、Koc:Fantasia Sobre Poemas de Borqes、Franze:Lamento Quechua、Picchi:Invierno en el Tropico、マシャード:トッカータとフーガ、Grau:Entradas de la Andante Caballeria 、Schemper:ソナチナ、ピント:Dos Canciones) VA (Cosentino IRCO 306)
HMVへの4月注文分の残り(一部)が届いた。

カーシュバウムというチェリストは初めて聴いたのだが、調べてみると、わりと有名かつ評価の高い奏者のよう。清潔な音程と節回し、そして柄の大きな歌心。実に素晴らしい演奏である。ショスタコーヴィチでは少々派手なようにも感じられるが、プロコーフィエフはこの奏者の美質が存分に発揮された秀演と言えるだろう。P. ヤブロンスキのピアノも素直な音楽を奏でていて、リズム感の良さ、音のきれいさ共に文句なし。

ピアソラ自身が演奏しているCDは、そのほとんどを蒐集したが、まだ7枚(超レアなものを除く)入手し損なっている音盤がある。その内の一枚が、この「アルゼンチン音楽のパノラマ」。オーケストラ伴奏版の「アディオス・ノニーノ」(8分弱)だけのために、3,228円(てっきり、2枚組かと思った)を払うのも躊躇したのだが、コレクションとはそういうものだし、思い切って購入した次第。わりとおとなしい感じの端正な演奏だが、何といっても全体の雰囲気が豊かで、しみじみとした味わいが素敵。他の収録曲には、あまり惹かれるものはなかったが、さすがヒナステラだけは格が違う。ただ、マランボなんかはもっと爆裂した演奏で聴きたいような気がする。このくらい洗練されていた方が、アルゼンチンらしいと言えるのかもしれないが。

r>今度の日曜日(17日)は、宝塚市交響楽団の第42回定期演奏会にエキストラ出演する。メインのブラームス(交響曲第4番)は、1999年3月、かぶとやま交響楽団の第21回定期演奏会でウィーンPOのホルン奏者ストランスキー氏の指揮で演奏して以来だが、残る2曲(ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲、ベートーヴェン:交響曲第4番)はどちらも初めて。特に「タンホイザー」序曲の最後3ページちょっとは、拷問のよう。カラヤン/ベルリンPOの映像でテンションを上げて、何とか本番を乗り切りたい。


Part IPart II
歌劇「タンホイザー」序曲(カラヤン/ベルリンPO:1975年)

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HMV(通販)でお買い物(5月分)

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  • ハイドン:交響曲第104番、ブリテン:4つの海の間奏曲、ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ケンペ/BBC SO (BBC BBCL 4188-2)
  • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1&2番 S. ハチャトゥリャーン (Vn) マズア/フランス国立O (Naive V 5025)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番(2台ピアノ版)、コンチェルティーノ アントルモン、ミッコラ (Pf) (Cascavelle VEL 3102)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、シニートケ:O. カガーン追悼のマドリガル、響く文字、チェロ・ソナタ第1番、ショスタコーヴィチ:8つの小品(「子供のノート」より第6曲、「人形たちの踊り」より第6曲、喜歌劇「モスクワよ、チェリョームシキよ」より「リューシャの憧れの歌」、音楽舞踏劇「勝利の春」より第2曲、組曲「ミチューリン」より第3曲、組曲「馬あぶ」より第10曲、チェロのためのモデラート、劇音楽「ハムレット」(1954年版)より「ジーグ」) S. ゲルハルト (Vc) オズボーン (Pf) (Hyperion CDA67534)
  • シニートケ:交響曲第1~4番 ロジデーストヴェンスキイ/ソヴィエト国立文化省SO他 (Venezia CDVE04261)
  • 映画『チェリョームシキ』 (Decca 074 3138 [DVD])
5月上旬にHMVへ注文した品物が届いた。生誕100年の昨年、少なくない数のリリースがあったため、まともに新譜を追うことができず、ウィッシュリストも100枚を越えて久しい。嬉しい悲鳴…ではあるのだが、話題盤を先に買うか、それとも入手困難になりそうな雰囲気のものを優先してコレクションを整えるか、非常に悩ましい。今回のオーダーも、こうした悩みをそのまま反映したものになった。

コンスタントに貴重な音源をリリースし続けているBBC Legendsシリーズから、今回はケンペのアルバムを購入。これも昨年のリリースだったと記憶している。極めて優れた演奏内容に、今まで買いそびれていたことを後悔。引き締まった造形美を漂わせつつも、味わいの濃い歌をしっかりと聴かせてくれる。華やかな金管楽器の響きは、まさにドイツ流儀だが、ハイドンはもちろんのこと、ブリテンやショスタコーヴィチにおいても楽曲から浮き上がることなく意味深い響きとなっていることに感心する。本アルバムのベストはハイドンだが、ショスタコーヴィチもそれに劣らぬ秀演である。

注目株の若手ヴァイオリニスト、S. ハチャトゥリャーンによるショスタコーヴィチの協奏曲は、昨年、D. コーガンのアルバムと同時期にリリースされた記憶がある。達者な技術に基づいたやや粘り気のある深い音色は、なかなかに魅力的。瞑想的な雰囲気を色濃く打ち出した第1番の第1楽章が、独特ではあるが訴求力の強い音楽に仕上がっている。第3楽章でも、仄暗さを湛えつつもしなやかに流れるオーケストラが特徴的なことから、この解釈はマズアがリードしているのかもしれない。とはいえ、表現が上滑りすることはなく、充実した手応えのある佳演といえるだろう。これに比べると、第2番は独奏、オーケストラ共にやや平凡。落ち着いた音楽の運びは貫禄十分だが、もう一歩踏み込んだ狂気を求めたいところ。ただ、第2楽章で聴かせる弱音の美しさはとても印象的。

交響曲第15番の2台ピアノ用編曲は、今年上半期にリリースされた中でも特に注目を集めた盤といえるだろう。ショスタコーヴィチ自身による編曲は、おそらくDSCH社の新全集第30巻(未刊行)に所収されるものだと思われる。技術的な不満はなく、丁寧な音楽作りにも好感が持てる演奏である。しかし、第4番や第10番などとは異なり、線的な絡みが大部分を占めるこの作品に関しては、2台ピアノではむしろ楽曲の骨格が見え辛くなってしまう。また、打楽器をはじめとする独特の色彩感が欠落することも、この曲においては特にマイナスだろう。併録のコンチェルティーノは、際立った特徴はないものの、きびきびとした音楽の運びが心地好い。

ゲルハルトのショスタコーヴィチ&シニートケ集は、収録曲が面白かったのでオーダーしてみたもの。残念ながらショスタコーヴィチのソナタは、鼻のつまったような音色、あまり自然ではないフレージング(ボウイングの癖なのかもしれない)、瞬間湯沸器的な盛り上げ方など、いずれも僕の好みとは異なった演奏。第3楽章の終結部などは、緊張感を持った弱奏が美しいのだが、全体的な印象はあまり良くない。一方、シニートケの3曲ではこの弱奏が効果的で、作品の持つ響きの美しさが十分に引き出されている。最後に収録されている「8つの小品」は、1991年にМузыка社から出版されたチェロ用の編曲集をそのまま演奏したものと思われる。いずれも旋律線のきれいな楽曲ばかりなので、もう少し伸びやかな歌心が欲しいところではあるが、密やかな美しさの表現は優れている。

シニートケの交響曲集が安価で出ていたので、第1、2、5番以外は未聴であることもあって購入。第1番は昔面白がって聴いた記憶があるが、今回改めて聴いてみると、特に第2番のしっかりと作り込まれた響きの完成度に心惹かれた。第4番もなかなか良い。第3番も魅力的な作品だとは思うが、現段階では好き…というほどではないかな。大変な多作家であるだけに、シニートケの全作品を制覇しようとまでは思わないが、巷の評判を参考に色々と聴いてみたいところ。興味の赴くままに手を広げると、収拾がつかなくなるのは分かっているのですけどね…(^^;

ショスタコーヴィチ唯一のオペレッタである「モスクワよ、チェリョームシキよ」の映画版が、ついにDVD化された。リリースは2007年にずれ込んだとはいえ、生誕100年ゆえの企画と言える。ショスタコーヴィチの書いた音楽が全て使用されているわけではないが(ラビノヴィチ指揮のレニングラードPOによる演奏は、ロシアン・テイストに満ちた雰囲気豊かなもの)、舞台版の台本とそう大きな相違はない。筋書きは陳腐というよりはむしろ、駄作の部類に入れても構わないようなもので、映画として楽しむには不満が残る。このDVDの見どころは、当時のソ連の若者の風俗と、チェリョームシキ地区の実際の姿を映像で観られることに尽きる。したがって、コアなショスタコーヴィチ・ファン、あるいはソ連音楽ファン向けのコレクターズ・アイテムということになるだろう。おそらくは日本語字幕版がリリースされることもないだろうし(この程度であれば英語字幕でほとんど不自由は感じない)、少しでも興味があるならば、早めに確保しておくべきでしょう。

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genre : 音楽

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新ショスタコーヴィチ(改訂版)

  • MacDonald,I. (Revised and Updated by Clarke,R.),The New Shostakovich,New ed.,Pimlico,London,2006.
昨秋、米Amazonにて購入したものの、そのまま放置していた本を、ようやく読了(限りなく斜め読みに近い読み方ではあるが)。

I. マクドナルド氏による本書の初版(1990年)は、当時既に“偽書”と確定されつつあった『証言』を下敷きにして、「ユローディヴィ」としてソ連の国家体制と闘い続けたというショスタコーヴィチ像を提示した、話題の一冊であった。大学に入学して間もない貧乏学生だった僕には、洋書を買う余裕などなく、いざ購入しようかと思った時には、もう入手できなくなっていた。

ピアニストのR. クラーク氏が改訂を行なった箇所は、未だに初版を入手していないがゆえに、具体的にどの部分なのか、さらにはどの程度の改訂が行なわれているのか、確認できていない。ただ、初版以降に発表された書籍(フェイの評伝や、ウィルソンの回想録など)に対する言及は、おそらくクラーク氏によるものだろう。

ということで、初版との相違は無視して、この改訂版のみに対する印象を記す。まず、読み物としては、十分に刺激的で面白い。ショスタコーヴィチが生きた時代についても、やや一面的である感は否めないものの、きちんとした記述がなされている。ただ、いかにショスタコーヴィチの人格が形成される過程においてスターリン時代が重大かつ決定的な時期であったとはいえ、フルシチョフ以降の時期に対する論述の分量が明らかにバランスを欠いて少ない(あるいは、スターリン時代が多い)。また、取り上げられている作品も交響曲と弦楽四重奏曲が中心で、特に歌曲の扱いが過小なのも気になる。個人的に、ここで提示されているショスタコーヴィチ像には多少の違和感はあるものの、それが受け入れ難いわけではないのだが、たとえばオーウェルの『1984年』まで引き出して大げさに論を展開するほどのものではないと思う。主張の是非はともかくとして、フェイの実証的な論述に対して、ある事象に対する解釈を導く過程が主観的な飛躍を含んでいるところにも問題を感じる。90年当時ならともかく、ソ連が崩壊してから15年以上が経った現在において、この本を研究書あるいは評伝として評価するわけにはいかないだろう。

実は、この本と一緒に購入した書籍がまだ2冊、埃をかぶったままになっている。早く読まなきゃ…

The New ShostakovichThe New Shostakovich
(2006/07/06)
Ian MacDonald

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New ShostakovichNew Shostakovich
(1990/04/26)
Ian MacDonald

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閑話休題。先週末、京都大学音楽研究会の大先輩に誘われて、かぶとやま交響楽団にエキストラ出演した時に知己を得た方と弦楽四重奏をして遊んだ。ヴァイオリンもしばらく弾いていなかったのに、ヴィオラを頼まれて必死に初見をしてきたが、やっぱりカルテットは楽しいですね。特に今回は、僕なんかよりはるかに上手な3人とやらせてもらったのでなおさら。その時、先輩が「指が回る内に、エルンストの『夏の名残りのバラ』をやりたいなぁ」なんて発言を。対抗なんてしようのない僕は、おとなしくL. コーガンでも観て、弾いた気分にだけなっておきましょう。(^^; それにしてもこの映像、えげつないくらい巧い。

パガニーニ:「ネル・コル・ピウ」による序奏と変奏曲ワックスマン:カルメン幻想曲
L. コーガン(Vn)

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未聴LP(5月分)+追悼:坂井泉水さん(ZARD)

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  • サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より「ピアニスト」、J. S. バッハ:主よ人の望みの喜びよ、民謡の万華鏡(母のない子、かわいいアウグスティン、Chopsticks、フレール・ジャック)、ワルツの歴史(シューベルト:ワルツ ハ長調、ショパン:ワルツ 嬰ハ短調、ブラームス:ワルツ ホ長調、シュトラウシアーナ(J. シュトラウス2世メドレー)、ラヴェル:「マ・メール・ロワ」より「パゴダの女王レドロネット」、ビゼー:「子供の遊び」より「ラッパと太鼓」、「シャボン玉」、ストラヴィーンスキイ:3つのやさしい小品、サティ:ジムノペディー第2番、ショスタコーヴィチ:組曲「黄金時代」よりポルカ ホワイトモア、ロウ (Pf) (RCA CAL-1050 [LP])
  • バラーキレフ:イスラメーイ、ドビュッシー:喜びの島、ブトリー:3つの小品、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガより第24番 ブトリー (Pf) (MK D 4276-7 [10" mono])
  • スヴィリードフ:クールスクの歌、ロシアの詩人の詩による5つの合唱曲 コンドラーシン/モスクワPO ユルロフ・ロシアCho他 (Melodiya CM 01021-01944 [LP])
  • ブリテン:民謡編曲集(第1~6集より抜粋) ピアーズ(T) エリス(Hp) (Decca SXL 6793 [LP])
5月注文分に遅れること数日、4月注文分がArs Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からいつも通りに届いた。

「More Major Classics for Minors」と題されたアルバムは、子供達がクラシック音楽に親しむきっかけとなるように企画されたもの。ラジオ番組のように、簡単な解説のナレーションが各曲の合間に入っている。全ての曲が完全な形で収められているわけではなく、編曲者の名前も表記されてはいないが、いずれも2台ピアノで演奏されている。この種のアルバムに対して純粋に芸術的な観点からのみで評価するのは筋違いというものだろう。企画の趣旨に相応しく、きれいな音楽が楽し気な雰囲気を漂わせて演奏されている。凝った選曲なのが、とても興味深い。

ブトリーという音楽家のことは寡聞にして知らなかったが、オーケストラ・アンサンブル金沢の最新アルバムでは自作の指揮もしているようで、近年はピアニストとしての活動からは遠ざかっているのかもしれない。1958年に録音されたこのピアノ小品集は、彼の若き日の思い出ということになるのだろうか。達者な技術で色彩感豊かな音楽が繰り広げられていて、録音状態を度外視すれば、なかなかの好演で楽しい。ショスタコーヴィチでは、崇高さというよりは人間的な色気を感じさせるところに、興味を惹かれる。ブトリー本人の作品も収録されているが、これは正直なところ、ピンと来なかった。

「クールスクの歌」は、スヴィリードフの代表作として名前をよく聞くが、実際に耳にしたことはなかった。コンドラーシン指揮ということでずいぶん期待したのだが、現時点では、まだ曲の魅力がよく掴めないでいる。随所にスヴィリードフらしい響きが聴こえてくるのだが、クールスクの民謡調の旋律線が肌に合わないのか、とにかく素直に入り込めない。それに比べて合唱曲の方は、ごく自然に心に沁みる。そう何種類も聴き比べできるような作品/作曲家ではないし、iPodにでも入れて、じっくりと時間をかけてチャレンジしてみよう。

今回入荷したものの中では、ブリテンの民謡編曲集が大当たり。ブリテン・ファンならお馴染みの名盤なのかもしれないし、CDでもリリースされているのかもしれないが、残念ながら僕はその辺りの情報を全く持ち合わせていない。ただとにかく、テノールとハープの響きに引き込まれてしまう。平易な旋律線を持った曲であることに加え、派手さや表面的な変化には乏しい編成なので、聴きながらウトウト…するかと思ったら、これがとんでもない。むしろ、妙に目が冴えて、聴覚が異様に研ぎ澄まされるような感じ。一体、ブリテンはどんな音世界に身を委ねていたのであろうか。

さて、最後に少し脱線。5月27日、ZARDの坂井泉水さんが不慮の事故でお亡くなりになった。大学4回生の時、研究室でいつも流れていたのがZARDの曲だった。芸術云々という次元の話ではなく、彼女の歌声は、楽しかったあの頃と不可分なだけに、ちょっとした感慨を抱いた次第。ヒット曲も多数あったが、僕が好きだったのは、栗林誠一郎が作曲した曲(たとえば、「ハイヒール脱ぎ捨てて」「もう探さない」「I still remember」「遠い星を数えて」などなど)。誤解を恐れずに言えば、要するに、ちょっと“ダサめ”の曲が好きだったんだなぁと思う。彼女自身も、格好つけて歌うと途端にダサくなるし。だから、2000年前後から作曲者を変えてみたり、趣向を変えてみたりし出した途端、僕はすっかり興味を失ってしまった。今でも、3枚目のアルバム「HOLD ME」が最高傑作だと思うし。軽やかに甘え成分を含みつつも、透明感のある彼女の声質は、今改めて聴いてみても、やっぱりいいなぁ。ライヴはどうだとか、歌唱力がどうだとか、そんな聴き方をするような音楽ではないような気がする。ひたすら好きだの嫌いだのといった歌詞(「切ない」って言葉が多いですねぇ)ばかりで、自分で口ずさむのはいくらなんでも憚られるが、ふとした時に埃を払いつつCDを取り出すのも悪くない。合掌。

ZARD '91~'01 PV Part I
「Good-bye My Loneliness」~「きっと忘れない」
ZARD '91~'01 PV Part II
「きっと忘れない」~「Don't you see!」
ZARD '91~'01 PV Part III
「Don't you see!」~「promised you」
「異邦人」
TAK MATSUMOTO featuring ZARD

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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