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スヴィリードフの歌曲・未聴LP(9月分)

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  • シェドリーン:ユーモレスク、デニーソフ:変奏曲、スロニームスキイ:鐘、ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番 マイリンゴヴァ (Pf) (Opus 9111 0342 [LP])
  • フレーンニコフ:交響曲第2番、チェロ協奏曲第1番 ホミツェル (Vc) ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO (Melodiya C 01759-60 [LP])

  • J. S. バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番、シニートケ:ヴァイオリン協奏曲第3番 カガーン (Vn) ニコラエフスキイ/ソロイスツ・アンサンブル (Melodiya C 10-15681-2 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第13番、グリエール:弦楽四重奏曲第4番 ベートーヴェンQ (Westminster XWN 18423 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第6番、ディヴェルティメント コンドラーシン/ソヴィエト国立SO他、スタセーヴィチ/モスクワ放送SO (Melodiya 33 D 05472-75 [LP])
  • スヴィリードフ:悲愴オラトリオ イサコヴァ (MS) A. ヴェデールニコフ (B) コンドラーシン/モスクワPO他 (Melodiya C 01657-8 [LP])
  • スヴィリードフ:A. プーシキンの詩による6つの歌曲、M. レールモントフの詩による3つの歌、A. ブロークの詩による3つの歌 ネステレーンコ (B) スヴィリードフ (Pf) (Melodiya 33 C10-05983-84 [LP])
  • スヴィリードフ:さまようロシア オブラスツォーヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf) (Melodiya C10 20695 006 [LP])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏のための組曲 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-06661-62 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、荷物が届く。今回は、わりと面白い音盤が集まった。

マイリンゴヴァという女流ピアニストの「現代ソヴィエト・ピアノ作品集」には、有名作曲家の有名曲が収録されている。乾いた静謐感のある響きが和声の妙などをさりげなく伝えてくれるが、音楽の運びがいささか淡々とし過ぎていて、全体には単調な印象を免れ得ないのが残念。

フレーンニコフの代表作の一つ、チェロ協奏曲(第1番)をようやく聴くことができた。それまでの協奏曲作品(ピアノ協奏曲第1番、ヴァイオリン協奏曲第1番)に比べると、独奏チェロに配慮したオーケストラの響きや、全体に余裕のある抒情が漂っているところなどにフレーンニコフの進境を垣間見ることができる。だが、トッカータ的なパッセージでの猛烈な勢いや、脳天気なお祭り騒ぎといった、いかにもフレーンニコフらしい魅力が若干後退しているのも事実。ずいぶん後になる1986年には第2番が作曲されているのだが、そちらも一度聴いてみたいところ。ホミツェルは、華やかではないが、技術的にも音楽的にも堅実な演奏で立派。ロジデーストヴェンスキイも手堅くまとめあげている。ただ、交響曲第2番では不思議な軽やかさが印象的な一方で、ロシア風の重厚さが少々足りないようにも感じられた。

カガーンのバッハは、繊細ながらも格調の高い美しさを湛えた秀演。個人的な嗜好としては、あまりこういう透明感の強い音色は好まないのだが、この素晴らしさを認めないわけにはいかない。こうしたカガーンの演奏スタイルは、シニートケ作品との相性が抜群である。古典的な佇まいを崩すことなく、一定の音調の中で多彩な響きを繰り出すカガーンの演奏は、シニートケ作品の魅力を余すところなく再現している。シニートケのヴァイオリン協奏曲は他に知らないのだが、(今まで聴いた)彼の作品の中でも相当好きな部類に入る一曲だ。

グリエール&ミャスコーフスキイという師弟の弦楽四重奏曲が、ウェストミンスター・レーベルから出ていたのは、不勉強にして全く知らなかった。このジャンルにおける両者の傑作と評されることの多い2曲を、名四重奏団のベートーヴェンQが演奏しているだけに、ある種の筋では今さら何を…と言われるかもしれない。それにしても、こんな渋いアルバムが、バリリQのベートーヴェンなんかと同じカタログに並んでいたのかと思うと、ちょっと面白い。作品そのものは、さすがに世界中で広くレパートリーにされるには渋すぎるというか、あまりにも外面的なアピールが足りないが、独特のロシア情緒溢れる世界には相応の魅力がある。ミャスコーフスキイの第3楽章などは、まさに彼の“白鳥の歌”だろう。ベートーヴェンQの、どこかおっとりとした演奏も、これらの曲にはとても相応しい。

コンドラーシンによるミャスコーフスキイの交響曲第6番は、CDでも入手可能なようだが、カップリングの「ディヴェルティメント」に惹かれてオーダー。コンドラシンは、幻想的だがいささか冗長なこの交響曲を、壮麗ながらも引き締まった立派な音楽に仕上げている。ただ作品自体は、さほど魅力的ではない。ディヴェルティメントは、いかにも晩年のミャスコーフスキイらしく、平明かつ粘度の高いロシア情緒に満ちた佳曲。スタセーヴィチの演奏は、可もなく不可もなく…といったところか。録音は悪い。

スヴィリードフの「悲愴オラトリオ」は、所有しているフェドセーエフ盤CDに十分満足しているので同曲異演を何枚も集める気にはならないが、やはりコンドラーシン盤は手元においておきたく、オーダーしたもの。フェドセーエフの華麗な音楽も素晴らしいが、コンドラーシンならでの地から湧き上がってくるような力強さは、やはり凄い。両者の基本的な解釈に決定的な違いはないので、気分に合わせて聴き分けるのも、ちょっとした贅沢か。

スヴィリードフの歌曲をまとまった形で聴くのは、恥ずかしながら初めて。ボリショイ劇場の往年のスター歌手2人(ヴィシネーフスカヤに人間性を酷評されている2人でもあるが…(^^;)のアルバムがカタログに並んでいたので、迷わずオーダー。どちらもピアノは作曲家自身である。ネステレーンコのアルバムは、最初期の2作品と脂の乗った時期の作品がカップリングされている。ショスタコーヴィチに師事する以前の作品である「プーシキンの詩による6つの歌曲」から、平明な単純さを持ったスヴィリードフの個性が発揮されている。やや意欲的なピアノ・パートに、作曲家の若さが垣間見えて面白い。「レールモントフの詩による3つの歌」も同様。ただ、一層の歌謡性を獲得した「ブロークの詩による3つの歌」の方が、僕には魅力的に感じられた。雄弁なネステレーンコの歌と、朴訥としたスヴィリードフのピアノとの組み合わせも、不思議と相性が良い。

代表作の一つでもある「さまようロシア」は、とても素晴らしい作品である。エセーニンの詩については、まだ何かを言える段階ではないが、時に単調ですらある旋律線が織り成す憂いを含んだ抒情は、聴き手の脳裏に様々な情景を喚起させずにはいない。今まで聴いたスヴィリードフ作品の中でも、突出した説得力を持った感銘深い名曲。オブラスツォーヴァの、いかにもロシアの女声といったきつい発声も美しく、演奏が終わると同時に沸き起こる熱烈な拍手も当然の名演である。スヴィリードフのピアノは、ライヴゆえか年齢(当時68歳)ゆえかはわからないが、コンディションが良いとは言いかねるものの、雰囲気は素晴らしい。

最後のグラズノーフ作品は、なんと先月届いたものと同じLPをダブり買い。脳の記憶容量もいよいよ劣化が激しくなってきたか。

YouTubeで、スヴィリードフが音楽を担当した映画「吹雪」の断片(ラストシーン?)を見つけた。自然描写が好みな感じなので、できれば全編観てみたいものだ。

映画「吹雪」より
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Khrennikov,T.N. 作曲家_Schnittke,A.G. 作曲家_Myaskovsky,N.Y. 作曲家_Sviridov,G.V.

ライナーのロッシーニ/ヴィオラ・ソナタ(ソクーロフ)

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  • ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲、歌劇「泥棒かささぎ」序曲、歌劇「シンデレラ」序曲、歌劇「ブルスキーノ氏」序曲、歌劇「絹のはしご」序曲、歌劇「ウィリアム・テル」序曲 ライナー/シカゴSO (RCA 82876 65844 2)
  • ストラヴィーンスキイ:3楽章の交響曲、交響曲ハ調、詩篇交響曲 ギーレン/南西ドイツ放送SO他 (hänssler CD 93.183)
  • ミャスコーフスキイ:室内楽のためのセレナード、弦楽のためのシンフォニエッタ、抒情小協奏曲、祝典序曲 サモイロフ/モスクワ新オペラO他 (Regis RRC 1244)
  • グラズノーフ:バレエ「お嬢さん女中」 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya MEL CD 10 00020)
  • グラズノーフ:管弦楽作品集 スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Venezia CDVE 04270)
  • ドミートリ・ショスタコーヴィチ ヴィオラ・ソナタ (TDK Core TDBA-0135 [DVD])
かぶとやま交響楽団の第36回定期演奏会(11月24日)にエキストラ出演することになっているのだが、下準備はおろか、楽器ケースすら開けられない日々が続いている。さすがにイメージ・トレーニングくらいはしておかないと……ということで、遅ればせながらメインのチャイコーフスキイの交響曲第5番以外の2曲について、スコアをアカデミア・ミュージックに注文し、適当な音盤を探しにTower Records梅田店へ。当欄の記録を遡ってみると、この店は1年以上ぶりで、音盤屋に足を運ぶこと自体半年ぶりだった。ポイントカードのシステムが変わっていて、たまっていたポイントが無駄にならず、これはラッキーだった。

まずは、ロッシーニの歌劇「シンデレラ」序曲。かつて「泥棒かささぎ」序曲をやった時にカラヤンのロッシーニ&スッペ序曲集というアルバムを買っていたのだが、そこには収録されていなかったので、慌てて探しに出た次第。普段から滅多に聴かない系統の音楽だけに、店頭の棚をいくら眺めても食指の伸びる商品がない。仕方ないので一番安いもの……ということでチョイスしたのが、このライナー盤。油断して聴いてみたら、あまりに剛毅な音楽に吃驚。徹底してライナーの音楽に仕上げられているところに、凄みすら感じる。素晴らしい演奏には違いないが、ロッシーニの作品に期待されるような雰囲気は皆無。こんな演奏を、入門者向けの激安価格で販売してはいけない。

ストラヴィーンスキイの交響曲ハ調は、学生時代にとある学生オケのエキストラで弾いた時に買ったカラヤン盤を持っているが、もっとゴツゴツした、いかにも新古典時代のストラヴィーンスキイ!といった演奏も聴いてみたくて、ギーレン盤を購入した。……が、微妙に期待とは違った印象。キレ味のよい華やかな演奏ではあるが、どこかおっとりとした丸みを感じる。3曲とも遅めのテンポであることも、多少は影響しているのかもしれない。「詩篇交響曲」がこのような演奏スタイルとの相性も良く、優れた演奏だった。一方、「三楽章の交響曲」は、ギーレンならもっと良い演奏ができたと思う。お目当ての「ハ調」については、元来、冗長さが気になる作品だけに、もう少ししっかりとした構成感が欲しいところ。

せっかく店に足を運んだのだから、やはり他の棚も一通り見ておきたいところ。といっても、ここのところ集中的に聴いている作曲家ばかりチェックしてしまうのは致し方のないところか。ミャスコーフスキイの未聴作品ばかりが収録されている音盤を見つけたので、迷うことなく確保。作品32の3曲+αという内容だが、ケース裏面の表記が間違っている。作品番号だけで反応するリスナーが多い作曲家とは思えないので、実害はほとんどないだろうが。さて、その作品32の3曲だが、この作曲家にしては晦渋さがあまり前面に出ず、わりと濃厚なロシア・ロマンティシズムを感じさせて、なかなか素敵。特にセレナードはベタさがたまらない。シンフォニエッタも同様だが、やや中途半端か。ミャスコーフスキイらしさという点では、抒情小協奏曲が抜きん出ている。独奏楽器が目立つ作りではないが、渋い楽想と和声が、若やいだ清澄さを感じさせる響きと絶妙のバランスを形成していて素晴らしい。祝典序曲も、ミャスコーフスキイらしいオーケストレイションが楽しめる、気の利いた逸品。サモイロフという指揮者も、モスクワ新オペラOというオーケストラも初めて聴いたが、非常に水準の高い音楽を奏でている。

グラズノーフの「お嬢様女中」は、つい先日ジュライティス盤で聴いたばかりだが、スヴェトラーノフ盤CDがあったので、買ってしまった。やっぱり良い作品だと再認識。ただ、音楽の伸びやかさという点では、ジュライティス盤に軍配があがるか。オーケストラに関しては、互角。

同じくグラズノーフの管弦楽作品集は、収録時間の限りに片っ端から詰め込んだ、いかにもVeneziaレーベルらしい内容。スヴェトラーノフはグラズノーフの管弦楽作品のほとんどを録音しているので、このアルバムで大半が揃ったのかと思ったが、はやしひろしさんの有名なエフゲニー・スヴェトラーノフのページをチェックしてみると、ざっと以下の作品が未収録だった(漏れがあるかもしれない):
  • ギリシャの主題による序曲第1番 作品3
  • ギリシャの主題による序曲第2番 作品6
  • セレナード第1番 作品7
  • セレナード第2番 作品11
  • 2つの小品 作品14
  • マズルカ 作品18
  • 幻想曲「森」作品19
  • 東洋的狂詩曲 作品29
  • 交響的絵画「クレムリン」作品30
  • 謝肉祭 作品45
  • 祝典の行列 作品50
  • 暗闇から光明へ 作品53
  • 運命~語りと踊り 作品81
  • 劇的序曲「運命の歌」作品84
  • 2つの前奏曲 作品85
  • 交響的プロローグ「ゴーゴリの思い出」作品87
  • フィンランド幻想曲 作品88
  • 劇音楽「サロメ」作品90
  • 祝典の行列 作品91
  • カレリアの伝説 作品99
余裕で第2集が出来る分量が残っている。是非に続編を期待したい。

買い物をして帰宅すると、ソクーロフ監督の「ヴィオラ・ソナタ」のDVDが届いていた。1992年に大阪で開催されたレンフィルム祭でこの映画を観たのが懐かしい(会場がどこだったのかは、全く覚えていない…)。その後、クラシカ・ジャパンでも放映されたりしたので、その筋の人にとっては決して“幻の映画”ではないのだが、隅々まで意味深く構成された素晴らしい内容なので、DVDで繰り返し視聴できるようになったことを歓迎したい。使用されている写真や映像素材のソース確認について、ちょっとだけお手伝いをさせてもらった関係で、解説書の片隅に名前まで載せていただき、恐縮至極。片山杜秀氏による解説が素晴らしく、映画そのものもさることながら、商品として非常によく出来ている。

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genre : 音楽

tag : 作曲家_Myaskovsky,N.Y. 作曲家_Glazunov,A.K. 演奏家_Svetlanov,E.F. 作曲家_Shostakovich,D.D.

録画三昧&ヘーントヴァの著作まとめ買い

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  • ショスタコーヴィチ:バレエ「ボルト」(2006年9月;7月21日放映 [NHK-BShi])
  • ショスタコーヴィチ:バレエ「ボルト」 (BelAir BAC020 [DVD])
  • クレメラータ・バルティカ演奏会(2007年6月16日;8月3日放映 [NHK-ETV])
    • マーラー:交響曲第10番(編曲:シュタットルマイヤー、クレメラータ・バルティカ)
    • ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ(編曲:ジンマン、プシカレフ)
    • カンチェーリ:リトル・ダネリアーダ
    • ピアソラ:ブエノスアイレスの四季(編曲:デシャトニコフ)
    • ピアソラ:フーガ・イ・ミステリオ【アンコール】
  • チャイコーフスキイ:交響曲第5番 スヴェトラーノフ/NHK SO(1997年9月6日;8月20日放映 [NHK-ETV])
  • Хентова,С. М.,Шостакович - Пианист,Музыка,Ленинград,1964.
  • Хентова,С. М.,Шостакович в Петрограде - Ленинграде,Лениздат,Ленинград,1979.
  • Хентова,С. М.,Молодые годы Шостаковича,Книга вторая,Советский Композитор,Ленинград,1980.
  • Хентова,С. М.,Шостакович: Жизнь и Творчество,Том 1,Советский Композитор,Ленинград,1985.
  • Хентова,С. М.,Шостакович: Жизнь и Творчество,Том 2,Советский Композитор,Ленинград,1986.
  • Хентова,С. М.,Пушкин в Музыке Шостаковича,Variant,St Petersburg,1996.
今まで使っていたテレビの調子が悪くなってきたので、7月にテレビとHDDレコーダーを購入した。コピーの制限とかが煩わしくて、今までは古いVHSデッキで用を足していたのだが、デジタル放送の画質はやはりきれいだし、録画の操作もずいぶんと楽になった。もっとも、2011年の地デジ完全移行とか、利権臭がぷんぷんとする流れに乗ってしまったようで、どこか納得しかねる部分もあるのだが。とはいえ、今まで撮りためたVHSの録画をDVD-Rにダビングする分には、ビデオモードでコピーフリーなので、収納スペースの問題も考えると、せっかく操作が簡単になったこの機会にメディアの移行を進めておきたいところ。

…などと思っていたところ、タイミング良く、ショスタコーヴィチ関係の番組が2つ放映された。一つは、昨年生誕100年の一環としてボリショイ劇場で蘇演されたバレエ「ボルト」。“蘇演”とは言っても、大まかな筋は原作を踏襲しているが、登場人物の名前をはじめとして、台本は新規に構成されている。丁寧に検証はしていないが、音楽もショスタコーヴィチの書いた曲を順番通りに全て演奏してる訳ではない。もっとも、1980年代に上演された「黄金時代」は、筋書きすらも全く異なっていたことを考えると、これを“蘇演”と呼んでも良いのかもしれない。第2幕後半、イヴァーチカの夢のシーンなどは、ちょっと退屈したが、全体に“あの時代”の雰囲気が満ちていて、ソ連史に多少の知識を持っている人ならば面白く観ることができるだろう。

なお、これはBelAirというレーベルからリリースされたDVDと同一の内容。ただし、テレビ放送では冒頭に日本語のあらすじが表示されたが、DVDは日本語字幕すらなし。バレエだから、あまり関係ないが。DVDには、本編の他に振付のラトマンスキイ他のインタビューと、「アヴァン=ギャルドとキッチュ」という短編が収録されている。後者には、初期の映画の断片が含まれていたりする。

テレビの番組おすすめ機能を試していたら、いきなりクレメラータ・バルティカの演奏会がヒット。内容詳細にはマーラー作品しか表示されなかったし、来日公演のプログラムもチェックしていなかったのだが、たぶんショスタコーヴィチもあるだろうとヤマをかけて録画。こういう嗅覚は、まだ衰えていないようだ。マーラーの冒頭、ヴィオラ・ソロの後に入ってくるクレーメルの音色は、彼ならではの絶妙なもの。弦楽合奏の澄んだ響きは、クライマックスでの物足りなさを差し引いても、この作品の魅力を十分に伝えている。ショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタは、やはり編曲に違和感が残るが、こうやって映像で観るとそれなりに面白い。ただ、クレーメルのコンディションは、あまり良くない。1979年のガヴリーロフとのLDや1983年の来日公演(ピアノはアファナーシエフ)に聴かれた異様に研ぎ澄まされた緊張感は、ここでは随分と後退している。これは、単に伴奏の編成が違うというだけではないだろう。大変面白かったのは、カンチェーリ作品。カンチェーリと同郷の映画監督ゲオルギイ・ダネリヤに捧げた作品ということだが、ユーモラスでありながら何とも哀愁漂う独特の雰囲気がたまらない。団員達の妙なうなり声(?)も楽しいのだが、一体何を表しているのだろうかと調べてみたら、ダネリヤ監督でカンチェーリが音楽を担当した「不思議惑星キン・ザ・ザ」というSFコメディのパロディらしい。この映画に出てくる異星人は、あらゆる会話を「クー」で済ますらしく、団員達が出している声は、この異星人の言葉のようだ。最後(とアンコール)のピアソラは、彼らお得意のレパートリー。すっかり自家薬籠中のものとした感が漂う。正直、編曲・演奏共、未だに好きにはなれないが…(^^; 映像的には、ヴィオラのウラ・ウリジョナとチェロのマルタ・スドラバという2人の美人奏者がフィーチャー気味だったが、確かにクレーメルのアップが続くよりは精神衛生上、大変よろしい。

同じくおすすめ機能で、スヴェトラーノフの来日公演もヒット。かぶとやま交響楽団の第36回定期演奏会(11月24日)の曲目でもあるし、ホルンの松崎氏の伝説の名演でもあるし、一応録画してみた。N響がスヴェトラーノフに身も心も預けているような、ある意味、微笑ましい記録である。

閑話休題

オランダの高名なショスタコーヴィチ(というかソ連音楽全般)マニアの方から、引越しで処分する本があるのでいらないか?というメールをもらった。リストの中には欲しい本が目白押しだったが、懐と相談して(ユーロ高は、ずっしりと響きますね)ヘーントヴァの著作ばかり6冊を譲ってもらうことにした。海外送金は面倒だったが、現物が手元に届いたのはメールをもらってから一ヶ月弱。特にトラブルもなく、スムーズな取引きができてほっとしている。恥ずかしながら今まで入手していなかった、「2巻本」を書棚に並べることができたのが今回の最大の収穫だろう。本当は、それに先行する「4巻本」も揃えたかったところではあるが。「Шостакович - Пианист」は、巻末にショスタコーヴィチが出演した演奏会のリストがあり、なかなか貴重な資料である。残念ながら、流し読みできるようなロシア語の力はないので、気の向いた時、あるいは必要に迫られた時にぼちぼちと読んでいきたい。

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クリサのパガニーニなど・未聴LP(8月分)

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  • グラズノーフ:バレエ「お嬢さん女中」 ジュライティス/モスクワ放送SO (Melodiya C10-12565-66 [LP])
  • グラズノーフ:暗闇から光明へ、劇音楽「サロメ」 ラーフリン、ディミトリアディ/モスクワ放送SO (Melodiya D 9429-30 [10"mono])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏のための組曲 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-06661-62 [LP])
  • カバレーフスキイ:カンタータ「わが祖国」、J. S. バッハ:カンタータ第4番より二重唱、ブリテン:「キャロルの祭典」より第10曲「デオ・グラシアス」他 ストルーヴ/ピオネール児童合唱団 カバレーフスキイ/ソヴィエト国立SO他 (Melodiya C 01663-4 [LP])
  • ボロディーン:小組曲、カバレーフスキイ:ソナチネ第1番、プロコーフィエフ:「年とった祖母の物語」、「束の間の幻影」より第7曲、「サルカズム(風刺)」より第3曲、「10の小品」より第2、3、6、7、8、9曲 ソフロニーツキイ (Pf) (Melodiya D 016161-016162 [LP])
  • パガニーニ:ソナタ第2&6番 作品2-4&6 24のカプリースより第13、17、23番、ラ・カンパネラ(クライスラー編)、シニートケ:ア・パガニーニ、シマノフスキ:パガニーニの3つのカプリース クリサ (Vn) チェーキナ (Pf) (Melodiya C10 21869 001 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、8月到着分の荷物が届いた。今回は、ショスタコーヴィチ作品は皆無。ここのところ、ショスタコーヴィチ周辺の作曲家ばかり(といっても、ごく限られた数名だけだが)続けて聴いている。

まずは、グラズノーフが3枚。グラズノーフのバレエでは、先日初めて全曲を聴いた「ライモーンダ」も良かったが、この「お嬢さん女中」というのもなかなか珠玉の逸品揃い。全1幕とはいえ、演奏会形式で全曲を通して聴こうとは思わないが、自宅で寛ぎながら録音を聴く分には、品の良い美しさを湛えた音楽がとても魅力的である。大柄で濃密な歌心に溢れた演奏も、名演と言ってしまって良いだろう。

「暗闇から光明へ」(幻想曲)と劇音楽「サロメ」という2曲の管弦楽曲も、当然ながら初めて聴いた作品。よく知られた曲なのかどうかも分らない。前者は、まさに曲名通りの展開・構成であるが、どうも何を言いたいのかがはっきりとしない、晦渋な冗長さを感じさせる。「サロメ」も、第1曲「前奏曲」の方は似たような感じ。第2曲「サロメの踊り」では、グラズノーフ特有の濃厚ながらも上品な抒情が印象的だが、旋律にしろオーケストレイションにしろ、今一つ精彩を欠く。演奏は、いかにもなソ連型で、雰囲気は抜群だが少々荒っぽい。でも、あまり洗練された演奏だと、作品の退屈さが際立ってしまうような気もする。

弦楽四重奏のための作品も、毎月ぼちぼちと聴き進めている(実は、番号付きの作品は未聴なのだが…)。今回聴いた「組曲」は、あまり出来の良い作品ではないのだろう。そもそも全体の論理的な構成を云々するような作品ではないが、個々の楽曲自体にもとりたてて魅力は感じられない。独特の雰囲気が残り香のように漂うのだが、僕の趣味に合わないということもあるのだろう。ショスタコーヴィチQの演奏は、程良いロシア臭を漂わせた堅実なもの。

児童合唱のアルバムは、この団体のために書かれたカバレーフスキイ作品がメイン。平易な旋律、楽しげながらもどこか野卑な雰囲気、時折無駄に咆哮するオーケストラ、いかにもカバレーフスキイといった曲だが、これといった工夫があるわけではなく、一般には全くといって知られていないのも当然だろう。演奏は、特にオーケストラが魅力的だが、合唱も十分に健闘している。一方、B面は児童合唱用(?)の作品を集めたオムニバス。珍しい選曲ではあるが、ピアノやオルガンの薄い伴奏だと、致し方のないこととはいえ、技術的な弱さが露呈するのが残念。

ソフロニーツキイのオムニバス・アルバムは、何となく買ってしまった。恐らく、この盤に収録されている曲は、どれも国内盤CDで入手可能ではないだろうか?それはともかく、ボロディーン作品の深遠な単純さには、圧倒的な感銘を受けた。ソフロニーツキイにとっては晩年の録音だが、酒とドラッグに溺れたと言われるこの時期だからこそ達成され得た音楽なのかもしれない。もちろん、その他の作品も極めて高い水準の演奏である。

ベートーヴェンQの第1Vn(二代目)奏者であるクリサのパガニーニ・アルバムは、自身が初演したシニートケの「ア・パガニーニ」を目当てにオーダーしたもの。技巧的な冴えで圧倒するタイプの演奏ではないが、高水準の技術に裏打ちされた透明感溢れる響きは、清潔な気品を漂わせている。A面のパガニーニ・オリジナルも立派な仕上がりだが、やはりこのアルバムのメインはB面だろう。シニートケ作品は壮大なスケールを持った演奏で、凝りまくったクレーメルの演奏などと比べると、どこか風格のある深遠さすら感じられる。シマノフスキ作品は、一瞬原曲が分からなくなるほどの独特の響きを持っているが、これがクリサの音色とよく合う。とても気に入った。

最後に、パガニーニつながりで、映像を一つ。

パガニーニ:“God save the King”変奏曲(Vn:ツィンマーマン)

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HMV(通販)でお買い物(6月分)

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  • ショスタコーヴィチ:バレエ組曲第3番、チャイコーフスキイ:ロココ風の主題による変奏曲、弦楽のためのセレナード カンタ (Vc) キタエンコ/オーケストラ・アンサンブル金沢 (Warner WPCS-12031)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、メイエル:ピアノ三重奏曲 アルカディア三重奏団 (Bella Musica BM 31.2415)
  • ラヴェル:ヘブライの歌、バルトーク:ヴィオラ協奏曲、ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番、ラヴェル:2つのヘブライの歌 ヴィーダー=アサートン (Vc) フュルスト/シンフォニア・ヴァルソヴィア (RCA 88697 028292)
  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番、チャイコーフスキイ:弦楽四重奏曲第3番、 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番 アトリウムQ (EMI 7243 5 85638 2 5)
  • シェーンベルク:浄夜、ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 サンシャイン/カメラータ・トランシルヴァニカ (BMC CD 068)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第14番、ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 ヴィシネーフスカヤ (S) レシェティン (B) バルシャイ/モスクワ室内O、グラーチ/モスコヴィア室内O (Venezia CDVE 04256)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番、B. チャイコーフスキイ:主題と8つの変奏 コンドラーシン/ドレスデン・シュターツカペレ (Profil PH06065)
HMVから6月注文分が到着。

「オーケストラ・アンサンブル金沢21」シリーズの中に、ショスタコーヴィチ作品を収録した一枚を見つけたので、注文。キタエンコにとって、バレエ組曲第3番は2回目の録音となる。こじんまりとまとまったアンサンブルは美しいが、やはり小編成のオーケストラでこの作品を聴くのは、率直に言って楽しいものではない。「ロココ」(独奏者はOEKの首席奏者)で顕著なように、室内楽的な繊細な求心性を重視したアンサンブルの完成度は高いものの、伸びやかで大柄な歌の魅力が後退しているのは残念。弦楽セレナーデも同様の演奏だが、この作品の場合はこういう方向性も悪くないだろう。

ピアノ三重奏曲第2番とチェロ・ソナタは、ショスタコーヴィチ作品の中でも特に未入手CDの数が多い曲である。これらのジャンルにとって、不可欠なレパートリーであることの証とも言えるが、正直、演奏内容は玉石混合(しかも、石の比率が高い)ということもあって、あまり触手が伸びない。今回購入したアルカディア三重奏団のアルバムも、蒐集上の義務感から注文した一枚である。わりとあっさりした演奏で、作品の巨大さよりは、颯爽とした格好良さが前面に押し出されている。解釈の方向性は悪くないが、ピアノが若干非力なこともあり、音楽の訴求力が弱いのが惜しい。もっとも、このアルバム最大の価値は、カップリングにメイエルのピアノ三重奏曲が選ばれていること。僕は初めて聴いた作品だが、ずっしりとした手応えのある印象的な曲であった。もっと大柄な表現力を持った団体の演奏でも聴いてみたい。

ヴィーダー=アサートンのアルバムは、ちょっと変わった構成。ユダヤつながりの選曲なのかもしれないが、バルトーク作品にしろショスタコーヴィチ作品にしろ、そもそもユダヤ的な側面が強調されているわけではなく、企画意図がはっきりしない。編曲物の中に、ショスタコーヴィチ作品が一曲だけ紛れ込んでいるのも、若干の違和感がある。さて演奏だが、やや渋めの心地好い音色で奏でられる歌は、それなりに魅力的。ただ、オーケストラと拮抗するには、いささか腕力不足の感が否めない。ラヴェル作品のようにオーケストラが伴奏に留まるものについては悪くないのだが、2つの協奏曲では、表現の幅が狭く、平坦な音楽に聴こえてしまうのが惜しい。

結成3年にして第9回ロンドン国際弦楽四重奏コンペティションの優勝団体となった、アトリウムQのデビュー盤。サンクト・ペテルブルク音楽院で、タネーエフQのチェロ奏者レヴィンソンに師事したとのこと。あまりロシア臭は感じられず、現代風に洗練された、インターナショナルな印象を受ける。アンサンブルの技術水準は非常に高く、実に清潔で澄んだ響きをもって上品にまとめられた音楽は、立派なもの。一見バラバラなようにも見える収録曲はいずれも、こうした彼らの魅力を余すところなく発揮するに相応しい選曲である。もっとも、聴き手に忘れ難い印象を残すまでには至っておらず、一層の表現力の獲得を今後に期待したいところ。

カメラータ・トランシルヴァニカという聞いたことのない団体の、二大名曲をカップリングしたありがちなアルバムは、実のところ全く期待せずに注文したのだが、これがなかなかの好演で嬉しい誤算だった。一聴して、落ち着いた音色で奏でられる気持ち良さそうな歌に惹かれる。ショスタコーヴィチでも、いたずらに深刻さを強調せず、終楽章のコーダでは、どこか希望の光が射すような雰囲気すら漂う。どちらかといえば「浄夜」向きの、やや軟派な音楽作りだが、(良い意味で)聴きやすい仕上がりである。

バルシャイによる交響曲第14番のモスクワ初演ライヴは、Russian Disc盤で既に所有しているのだが、カップリングは未聴だったので購入。そもそも単価が安いので、迷うことは何もなし(^^) モスコヴィア室内Oという、英語で見ると一瞬モスクワ室内Oかと間違ってしまう団体だが、さすがにそれほどの凄みはないものの、整然とよくまとまったごくオーソドックスな演奏である。ただ、あまり印象深くはない。もっとも、これはカップリングゆえに不利を被っている部分もあるのだろう。

コンドラーシンの第15番は、某誌に評が掲載予定なので、省略。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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