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2008年最初の買い物は国内盤

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  • ハイドン:「太陽四重奏曲集」 ウルブリヒQ (Denon COCO-70733~34)
  • モーツァルト:ディヴェルティメント集 ウィーンPO木管グループ (Westminster UCCW-3052)
  • モーツァルト:クラリネット協奏曲、ファゴット協奏曲 ウラッハ (Cl) エールベルガー (Fg) ロジンスキ/ウィーン国立歌劇場O (Westminster UCCW-3034)
  • ブリテン:カンティクル第1~5番、ウィリアム・ブレイクの歌と箴言 ピアーズ (T) フィッシャー=ディースカウ (Br) ブリテン (Pf) 他 (Decca UCCD-3627)
  • ブリテン:キャロルの祭典、みどり児はお生まれになった、金曜日の午後、詩篇150番 ブリテン/コペンハーゲン少年Cho、イングリッシュ・オペラ・グループ少年Cho、パーリー・ダウンサイド・スクールCho 他 (Decca UCCD-3630)
  • ドストエフスキー,F.・亀山郁夫(訳):カラマーゾフの兄弟1~5,光文社古典新訳文庫,2006~2007.
  • クレーメル,G.・臼井伸二(訳):クレーメル青春譜,アルファベータ,2007.
2008年最初の買い物は、Tower Records難波店で。といっても、これといった目当てがあったわけではなく、廉価な国内盤でもあれば何か……といった程度の軽いひやかし気分。

ハイドンの弦楽四重奏曲は、一時期タートライQでコンプリートしようと試みたことがあったのだが、半分くらい揃えたものの、どうしても演奏内容に不満が残るので断念。その後、コダーイQやフェステティーチQにも手を出したものの、結局はアマデウスQ(作品51以降)に東京Qの作品50、ウェラーQの作品33といったセットでひとまずは用が足りていた(作品76は、何だかんだ言って、何種類か棚に並んでいるが)。自分で四重奏をする時も、作品33以降しか弾くことがなかったということも大きいが、作品9、17、20の3つのセットは今に至るまで未聴のまま。DENONのクレスト1000シリーズにて廉価で再発されているのを見かけて、ウルブリヒQの作品20を購入。古き佳き時代の香りがする、落ち着いた演奏に満足。全集を揃えようと再びタートライQなどに手を出さない限りは、とりあえずこの曲集はこの音盤で十分だろう。

高校時代に、リバールが独奏したヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22番の復刻LPを聴いて以来、“幻のレーベル”ウェストミンスター・レーベルには一種独特の憧れみたいなものがあった。1991年春に、バリリQのベートーヴェン、ウィーン・コンツェルトハウスQのシューベルト、ハイドン、モーツァルト、ウラッハが主役の3枚などが一気にCD化された時には、喜び勇んで大学生協に予約注文したことを思い出す。この時の復刻CDの音質は、金属的で癇に障るようなものではあるが、それでも演奏そのものの素晴らしさ(とりわけバリリQ)は圧倒的で、夢中になって何度も繰り返し聴いたものだ。それから5年ほど後でリリースされた、新たに発見されたマスターテープによる復刻シリーズでは、たとえばバリリによるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタなどの名盤もCD化され、僕にとってはずすことのできない曲あるいは演奏が含まれたアルバムは、ほぼ揃えていた。もっとも、まだまだ学生で“大人買い”ができる身分でなかったこともあり、そうしょっちゅう聴くことはないだろうなぁ……といった辺りのアルバムは買いそびれたままであった。ウエストミンスター ニュー・リマスタリング・シリーズという棚を見かけて、つい最近、ユニヴァーサル(DG)から再リリースが始まったことを知る。すぐに店頭から消えることはないだろうが、せっかくだし、第2集しか持っていなかったモーツァルトのディヴェルティメント集(第1集)と、気になっていながらもクラリネット協奏曲がダブるという理由で買いそびれていたエールベルガーによるファゴット協奏曲の2枚を購入。楽器演奏そのものは確かに古い流儀なのだが、自然な息遣いで奏でられる愉悦感に満ちた音楽は、今なお不朽の価値を持っているといえるだろう。なにより音色がたまらなく魅力的で、とりたてて有名曲と言うほどでもないこれらの小品については、わざわざこの演奏以外で聴く理由はない、とすら言ってしまいたくなる。

ブリテンの没後30周年記念シリーズも、特に日本語対訳が完備している声楽曲や歌曲を揃えたいと思っているものの、国内盤であるという気安さからか、ついつい買いそびれてしまっている。一部が値引きされていたので、ちょっとしたお得感もあって2枚を購入。カンティクル他の声楽曲集と児童合唱集、どちらもごく一部を除いて、初めて聴く作品ばかり。印象が強かったのはカンティクルの方。魂を奪われそうになるほど美しい。様式や詩の内容といった作品の真髄(?)にはまだ全くたどり着けそうにないが、単に音の羅列として聴くだけでも十分に美しい。時に淫靡さすら漂わせながら、どこまでも透明な響きに貫かれているのは、ブリテンの真骨頂なのだろう。ピアーズは改めて言うまでもないが、ディースカウの説教くささも作品によくハマっている。一方の児童合唱集は、比較的初期の作品が中心であることもあって、そこまでの圧倒的な印象はなかった。

昨年末から読み出した『カラマーゾフの兄弟』。何という面白さ!長編小説は基本的に好きではないのだが、そう言ってこの作品を今まで敬遠してきたことを後悔した。読み進むにつれて、ページをめくる速度が指数関数的に増していく。とにかく面白い。最もぶ厚い第4部は1日かからずに読んでしまった。これは、たぶん僕だけじゃないだろう。読み通さずに放っておけないほど面白い。もちろん、亀山先生の訳がこれに大きく寄与しているだろうことは、言うまでもない。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
(2006/11/09)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
(2007/02/08)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
(2007/07/12)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫) (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫) (光文社古典新訳文庫)
(2007/07/12)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟カラマーゾフの兄弟
(2007/04/27)
ミハイル・ウリヤーノフマルク・プルードキン

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ふらっと立ち寄った書店で見つけたクレーメルの自伝。『小さなヴァイオリン』(リブロポート)には、正直なところ「こういう人とは友人になれないだろうなぁ…」といった感想を抱いただけに、その続編である本書を買うかどうかはちょっと躊躇した。ざっと内容を確認したところ、D. オーイストラフとの師弟関係やチャイコーフスキイ国際コンクールの優勝など、音楽家としての華々しいキャリアの初期に加え、亡命なのか海外在住なのか、複雑かつ奇妙なソ連との関係など、興味の尽きない話題が目白押しだったので、即購入決定。もっとも、この世代のソ連体制との絡みには、個人的にそれほどの関心はない。というのも、そこでは官僚主義との軋轢が主であり、ショスタコーヴィチらが生きた旧世代のそれとは似て非なるものだと考えるからだ。だから、本書でもそうした部分よりもむしろ、共演した演奏家や、シニートケを筆頭とする作曲家達に対する率直な見解が興味深い。コンドラーシンに対する「興奮はあるが感動はない」という評価など、なるほどこの指揮者のある側面を言い当てているように思う(言うまでもなく、僕自身はコンドラーシンのいくつかの演奏に繰り返し感動し続けているわけだが)。ロジデーストヴェンスキイに対する評価も、おそらくは妥当なものだろう。シニートケの「きよしこの夜」についての記述も面白い。我が国の若者達も、素直にそれを聴き取っているようだ(笑)<下の動画を参照

クレーメル青春譜クレーメル青春譜
(2008/01/15)
ギドン クレーメル

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年末年始のまとめ聴き2(グラズノーフ他)

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  • ショスタコーヴィチ:室内交響曲、ナシーゼ:ヴィオリンとチェロのための二重協奏曲 L. イサカージェ (Vn) E. イサカージェ (Vc) L. イサカージェ/グルジア室内O (Melodiya C10 24855 005 [LP])
  • グラズノーフ:ピアノ協奏曲第1番、演奏会用ワルツ第1&2番 リヒテル (Pf) コンドラーシン/モスクワ・ユースPO サモスード/モスクワ放送SO (Monarch MWL 321 [LP])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第6番 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-17201-2 [LP])
  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第7番 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C10-17179-80 [LP])
  • 「金曜日の曲集」第1集 リームスキイ=コールサコフQ (Melodiya 33 D 016167-68 [LP])
  • ファヂェーエフ,A.・黒田辰男訳:若き親衛隊(全5冊),青木文庫,1953.
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、1月到着予定の商品が12月中に届いた。

リアナ・イサカージェは、グルジア出身のヴァイオリニスト/指揮者である。ショスタコーヴィチの室内交響曲は、全体にゆったりとしたテンポで、陰鬱な雰囲気をじっくりと表出した佳演。第3楽章などは遅すぎて音楽の推進力に不足する感は否めないが、第1、4、5楽章といった緩徐楽章は立派な仕上がりである。グルジアの作曲家ナシーゼの作品は、難解な部分がない聴きやすい音楽だが、あまり新鮮味はない。イサカージェの凛としたヴァイオリンが印象的だった。

グラズノーフのピアノ協奏曲第1番は、同曲に並々ならぬ思い入れを寄せていたリヒテルによる演奏(ジャケットには、スタニスラフ・リヒターと表記されている)。CD化もされている有名な音源だが、僕は作品、演奏共に初めて聴いた。1950年代前半という録音年を考えれば仕方のないことではあるが、録音が悪すぎて、特に弱奏部のニュアンスなどはよく聴き取れない。そのせいか、甘く切なく盛り上がる部分での、リヒテルの強靭なタッチばかりが印象に残る。グラズノーフ後期の大作だが、霊感の枯渇が顕著な作品も少なくない中、円熟した作曲技法と瑞々しい旋律の美しさとがギリギリ共存した、なかなか魅力的な作品だと思う。機会があれば、他の演奏にもあたってみたいところ。

同じくグラズノーフの弦楽四重奏曲は、最晩年の第6番と第7番。これで、番号付きでは第2番と第5番を残すだけとなった。で、第6番だが、正直よくわからない。中間楽章がそれなりの魅力を持っているのと、妙に肥大した両端楽章で収拾がついていないところはいかにもグラズノーフらしいのだが、肝心の楽想から新鮮さが失われている(単に暗いとか明るいとかいう次元ではなく)。

それに比べると、第7番は「過ぎ去りし日々へのオマージュ」という副題に相応しい、どこか吹っ切れたような透明な明るさが漂う作品。全体にはっきりとしない冗長さは付き纏うものの、他の四重奏曲と比べれば、手堅いまとまりが感じられなくもない。気分的に連続している第1楽章と第2楽章では、いかにも最晩年の作品らしい澄んだ悟りと諦観が不思議と印象に残る。それに対して後半の楽章はやや平凡か。作品番号は第6番と続いているが、作曲時期には10年ほどの開きがあり、この間にグラズノーフはソ連から亡命している。

昨年11月5日付の本欄で少し触れた「金曜日の曲集」。その第1集がリストにあったので早速注文した。後で、同じ演奏が第2集と合わせてCD化されていることを知り、ちょっと損した気分(^^; 第1集の収録曲は以下の通り:
  1. 前奏曲とフーガ(グラズノーフ)
  2. セレナード(アルツィブーシェフ)
  3. ポルカ(N. A. ソコローフ、グラズノーフ、リャードフ)
  4. メヌエット(ヴィートル)
  5. カノン(N. A. ソコローフ)
  6. 子守歌(ドステン=ザッケン)
  7. マズルカ(リャードフ)
  8. サラバンド(ブルメンフェーリド)
  9. スケルツォ(N. A. ソコローフ)
この曲集の成り立ちを考えれば玉石混合なのは当然だが、どの曲も旋律自体は普通に綺麗なので、仲間内で四重奏を楽しむ時には腕慣らしに丁度良い作品集だろう。演奏会でのアンコールピースには……ちょっと軽過ぎるかな。リームスキイ=コールサコフQは初めて聴く団体だが、少々野暮ったいものの、手堅い演奏をしている。ただ、録音のせいか音がきついのが少し耳障り。

昨年末、「若き親衛隊」全5冊を、とある方から譲っていただいた。年末年始を使って一気に読了。これは、1947年の批判を受けて1951年に改作した方の邦訳であるが、各巻末には初版との相違点が詳細に記されているので、敢えて初版を入手しなくても大体のことは分かるようになっていて有難い。また、第5巻では訳者による長文の解説もあるので、ファヂェーエフという作家の概略、そして「若き親衛隊」の改作にまつわる諸々の事柄も、この一冊(というより、一セットと言うべきか)があれば十分理解できる。

ショスタコーヴィチが音楽を担当した映画は初版に基づいたものだが、改作の焦点は「若き親衛隊」が組織され、活動していく過程における党の教育的指導的役割を強調するところにあったことを考えると、少なくとも現代の日本にいる我々にとっては、(いささか乱暴ではあるが)それほど大きな違いはないとも言える。それよりも、どうにも救いようのない話に、新年早々暗い気持ちになってしまった(^^; 主要な登場人物である少年少女達が純粋で高潔な者として描かれているだけに、否応無しに(もっとも本人達にとっては“進んで”なのだが)地下活動に巻き込まれていく様、そしてその活動が悲惨な最期を迎える様は、全体主義そして戦争の狂気以外の何物でもない。さらに、こうした悲劇に対してすら、リアリズムの名の下に偉大な党の正当性を刻印せずにはいられなかったソ連共産党の異常さには、ひたすら暗澹たる思いだけが残る。

【1945年版】
若き親衛隊〈上巻〉 (1952年)若き親衛隊〈上巻〉 (1952年)
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ファジェーエフ

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若き親衛隊〈下巻〉 (1952年)若き親衛隊〈下巻〉 (1952年)
(1952)
ファジェーエフ

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【1951年版】
若き親衛隊〈第1〉 (1953年) (青木文庫〈第99〉)若き親衛隊〈第1〉 (1953年) (青木文庫〈第99〉)
(1953)
ア・ファヂェーエフ

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若き親衛隊〈第2〉 (1953年) (青木文庫〈第111〉)若き親衛隊〈第2〉 (1953年) (青木文庫〈第111〉)
(1953)
ア・ファヂェーエフ

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若き親衛隊〈第3〉 (1953年) (青木文庫〈第130〉)若き親衛隊〈第3〉 (1953年) (青木文庫〈第130〉)
(1953)
ア・ファヂェーエフ

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若き親衛隊〈第4〉 (1953年) (青木文庫)若き親衛隊〈第4〉 (1953年) (青木文庫)
(1953)
ア・ファヂェーエフ

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若き親衛隊〈第5〉 (1954年) (青木文庫)若き親衛隊〈第5〉 (1954年) (青木文庫)
(1954)
ア・ファヂェーエフ

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年末年始のまとめ聴き(グラズノーフ、ミャスコーフスキイ)

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  • グラズノーフ:弦楽四重奏曲第4番 ショスタコーヴィチQ (Melodiya C 10-16797-8 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第5&8番 タネーエフQ (Melodiya C10 19185 005 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:弦楽四重奏曲第11&13番 タネーエフQ (Melodiya C10-16211-2 [LP])
  • ミャスコーフスキイ:交響曲第11番、弦楽のための2つの小品 ドゥダーロヴァ/モスクワSO (Melodiya 33 C 10-09483-84 [LP])
  • グリーンカ:「あなたと一緒ならどんなにかすばらしい」「血には憧れが燃えさかり」、A. ルビンシテーイン:ミルザ=シャフィによる12の歌(ペルシャの歌)より「Клубится волною」、ダルゴムィーシスキイ:「老いた伍長」、フレーンニコフ:「ソンブ・オブ・ソング」、劇音楽「遠い昔」より「Песенка Лепелетье」、スヴィリードフ:R. バーンズの詩による歌曲より「Финдлей」、カバレーフスキイ:シェイクスピアによる10のソネットより第4曲「ソネット第30番」「ドン・キホーテのセレナード」 エイゼン (B) ヴィノグラードフ (Pf) アダモフ (Vc) (Melodiya D 5928-5929 [10"mono])
  • Shostakovich Edition (Brilliant 8128)
  • グラズノーフ:歌曲全集 エフトディエヴァ (S) シキルティル (MS) ルコニン (Br) セローフ (Pf) (Northern Flowers NF/PMA 9925)
  • イヴァシキン,A.・秋元里予(訳):ロストロポーヴィチ,春秋社,2007.
年末年始の休みで、たまった未聴盤に針を通した。カートリッジ(ごくオーソドックスなDL-103ですが…)の針交換もして、気分も爽快。

Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの12月到着分は、一曲を除いて聴いたことのない曲ばかり。

グラズノーフの弦楽四重奏曲第4番は、傑作と言われている第5番(ショスタコーヴィチQの演奏がCD化されているが、カップリングの関係でLPで入手したいため、遺憾ながらまだ未聴)と時期の近い作品だけに、期待に胸を膨らませて聴き始めた…… のだが、正直ピンと来なかった。初期の第1番や第3番(第2番は未聴)に比べると、全曲の構成は随分とまとまったものになっているが、肝心の楽想が情念うずまくというか、わりと陰鬱なままでとりとめがないために、少なくとも一聴して惹きつけられるタイプの音楽ではない。ショスタコーヴィチQの演奏は、他の曲と同様に表現意欲に溢れた大柄かつ手堅いもの。

タネーエフQによるミャスコーフスキイの弦楽四重奏曲も、今回の2枚が入手できたことで、残すところ第12番だけとなった(小品などがカップリングされているかどうかは分からないのだが)。番号順に聴いてみたが、第5番はいかにも晦渋に過ぎて楽しめなかった。ミャスコーフスキイ独特の抒情もあまり感じられず、思考がある一点を堂々巡りしているようで、あまり出来の良くない部類の一曲かもしれない。気に入ったのは第8番。第2楽章は文句無しに美しい。全体のまとまりも悪くない。一種幻想的な佇まいを持った第11番は、瞑想的な響きが面白い。表面的な劇性は皆無なのでインパクトは薄いが、なかなか味わい深くて、不思議と印象に残る。こうして集中的に聴いてみると、やはり第13番の出来の良さが再認識される。

タネーエフQの非常に整然とした演奏は、決して変化に富んでいるとは言えないスコアから、繊細な色調の違いを丹念に描き出していて秀逸。音楽が混沌と停滞しているような部分においても、見通しの良い流れを失わないのがさすがだ。ただ、手持ちの音盤で唯一比較が可能な第13番は、2007年9月28日付の本欄で紹介したベートーヴェンQ盤の方に抗い難い魅力を感じる。ミャスコーフスキイの音楽には、同時代の息吹に満ちたノスタルジックでローカル色の濃い音が必要なのだろう。その意味で、タネーエフQは現代的に過ぎる。

交響曲第11番のドゥダーロヴァ盤はCD化されている(Olympia)が、現在では入手困難。ミャスコーフスキイ節に満ちているが、意外なほど明朗な音楽で、とても聴きやすい作品である。緩徐楽章が素敵。より魅力的なのが、カップリングの「弦楽のための2つの小品」(交響曲第19番の第3、2楽章をミャスコーフスキイ自身が編曲したもの)。この楽曲にとっては、オリジナルの編成よりも弦楽合奏の響きの方が明らかに相応しい。この作品などは、もっと広く聴かれても良いはずだ。ドゥダーロヴァの演奏は、スケールの大きな歌心と端正なアンサンブルが立派。もちろん、上述した“音”には不足しない。

エイゼンの歌曲集は、カバレーフスキイの「シェイクスピアによる10のソネット」だけは聴いたことのある作品だが、それ以外は曲名すら初めて見たような作品ばかり。やや畏まったA面(グリーンカ、A. ルビンシテーイン、ダルゴムィーシスキイ)も決して悪くはないが、やはり、大衆歌曲的な雰囲気に満ちたB面(フレーンニコフ、スヴィリードフ、カバーレフスキイ)が圧倒的に楽しい。独自の音世界を響かせるスヴィリードフの歌曲がとりわけ印象的だが、フレーンニコフの「ソンブ・オブ・ソング」とカバレーフスキイの「ドン・キホーテのセレナード」の哀愁漂う楽しさも忘れ難い。どこかリラックスしたエイゼンの歌唱も素敵だ。

続いて、HMVから届いた2点を。

Brilliant Classicsレーベルの「ショスタコーヴィチ生誕100周年記念BOX」は、そこにまとめられたBOXセットを全て架蔵済みなのだが、バルシャイのインタビューが収録された特典DVDが欲しくて、価格の割引率が高めなタイミングを見計らってオーダーしたもの。27枚のダブり買いというのも、我ながら豪勢な話ではある。バルシャイの話は、どれもどこかで読んだエピソードばかりではあるが、本人の声や表情が伴うことで独特の迫力や説得力が感じられるのは映像の醍醐味(インタビュアーは、バルシャイ指揮の交響曲全集で解説を執筆しているフォイヒトナー)。ヴァイオリン協奏曲第1番のリハーサル(断片)が挿入されているが、その演奏はさして印象的なものではない。フォイヒトナーへの短いインタビューも収録。会話は全てドイツ語だが、英語およびフランス語の字幕がついている。

Northern Flowersレーベルは、ソ連(=ロシア)音楽を愛好する者が常にチェックしておかなければならないレーベルの一つだが、今回はグラズノーフの歌曲作品を全て収録したアルバムを購入。本当に“完全な”全集かどうかは分からないが、作品番号のない若書きの作品も少なからず収録されているので、資料としても手元においておきたい一枚だ。演奏者は、DELOSレーベルでショスタコーヴィチの歌曲全集を完成させたメンバー。言うまでもなく、演奏の水準は高い。

2007年は、巨匠ロストロポーヴィチの没年となってしまった。一年の終わりに、ロストロポーヴィチ追悼の一冊を読む。当然ながら徹頭徹尾ロストロポーヴィチ讃美に終始する内容だが、体制との軋轢云々の部分よりも、音楽家としての軌跡やエピソードが非常に面白く、彼が20世紀を代表する天才の一人であったことを改めて認識させてくれる。ほんの数行の記述ではあるが、ショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタが当初はチェロ・ソナタとして構想されていたこと、終楽章のコーダにR. シュトラウスの「ドン・キホーテ」からの引用があり、スケッチの当該部分に「スラーヴァによろしく」とショスタコーヴィチ自身が書き込んでいたことが書いてある。これは、2006年末のショスタコーヴィチ・シンポジウムの資料でヤクーボフ氏が明らかにしていたことだが、日本語の出版物に記されたのは、この本が最初だろう。

栄光のチェリスト ロストロポーヴィチ栄光のチェリスト ロストロポーヴィチ
(2007/09/23)
アレクサンドル イヴァシキン

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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