グラズノーフ:バレエ「四季」他

dsc_0026.jpg
  • ショスタコーヴィチ:スペインの歌 スロボドスカヤ (S) ニュートン (Pf) (Decca CEP 5500 [7"45rpm])
  • ショスタコーヴィチ(ツィガーノフ編):24の前奏曲より、フォーレ:ロマンス、サン=サーンス:ワルツ形式のエチュード、シェドリーン:アルベニス風に シフムルザェヴァ (Vn) ムンチャン (Pf) (Melodiya 33 C 10-10993-4 [LP])
  • ソヴィエトの作曲家による序曲集(グリエール:祝典序曲、プロコーフィエフ:ヘブライの主題による序曲、ブダシキン:祝典序曲、ショスタコーヴィチ:祝典序曲、ボイコ:祝典行進曲、シェドリーン:祝典序曲) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya C10 21717 004 [LP])
  • グラズノーフ:バレエ「四季」 ハイキン/モスクワ放送SO (Melodiya C 0787-788 [LP])
  • フレーンニコフ:映画音楽「真実の友人たち」、劇音楽「遠い昔」 オソフスキイ/管弦楽団他 (Melodiya D 5520-5521 [10"mono])
  • チェコの現代ピアノ作品集(フィシェル:ピアノ・ソナタ第4番、ライネル:3つの小品、コホウテク:インヴェンション、イシュトヴァン:The Odyssey of a Child of Lidice、ヴォストルジャーク:3つのエッセイ、ピニョス:3つの小品) クヴァピル (Pf) (panton 11 0302 [LP])
  • 悲劇のロシア ドストエフスキーからショスタコーヴィチへ,NHK 知るを楽しむ この人この世界 (NHK教育テレビ)
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から荷物が届いた。

45回転のレコードなんて久しぶりということもあり、まずはショスタコーヴィチの「スペインの歌」から針を落としてみた。……が、残念なことに、これはハズレの一枚。技術的な次元で聴き苦しい歌唱である。声質そのものは、さして魅力的ではないものの悪くもないといった感じだが、音程の悪さと歌い回しの不安定さが気になって、音楽を味わうに至らない。

シフムルザェヴァという、舌を噛みそうな名前のヴァイオリニストは、初めて聴いた。モスクワ音楽院ではツィガーノフに師事していたようで、師匠が編曲したショスタコーヴィチの前奏曲という選曲も、それに由来するところがあるのかもしれない。ツィガーノフが編曲した19曲全てを収録した録音はあまり多くないのだが、この演奏は「これさえあれば充分」と言って良いほどの非常に高い水準に達している。骨太でありながらも正確な音程で鋭利に響き渡るロシア流派の優等生的なヴァイオリン演奏は、端正で衒いのないフレージングと相まって文字通り模範的なものである。華やかではないが、噛みしめるに足る味わいを持った秀演といえるだろう。

「ソヴィエトの作曲家による序曲集」というアルバムは、それまでに録音されたもののオムニバスではあるのだが、スヴェトラーノフとソヴィエト国立SO以外の何者も模倣すらしようのない極めつけの世界が凝縮された至高の一枚。作品・演奏のどちらにも、重厚で泥臭く、それでいてぎらついた華麗な雰囲気が満ちているのがたまらない。収録されている6曲全てが、文句なしの名演である。

グラズノーフの作品中、わりとポピュラーなものの一つであるバレエ「四季」は、恥ずかしながら今まで聴いたことがなかった。もしかしたら、何かのカップリングで一部は耳にしたことがあるのかもしれないが、少なくとも記憶の片隅にすら残っていない。もっとも、それはこの作品を毛嫌いしていたわけではなく、食指が伸びるような録音がなかったというのがその理由。今回のハイキン盤は純ロシア製の演奏なので、最初に聴いてみるには良いだろうと注文してみた次第。録音の古さは否めないものの、演奏の雰囲気は抜群で、細かいアンサンブルの乱れや技術的な洗練不足なども、一種の懐かしさとして受け入れてしまいたくなるような魅力に満ちている。また作品自体も、品のあるロシア情緒とでも形容できるグラズノーフらしさが存分に発揮されていて、旋律、和声、リズム、オーケストレイションなど、いずれの要素をとっても極めて上質な内容を持っていて素晴らしい。

フレーンニコフの映画音楽と劇音楽の抜粋(?)を収録した一枚は、歌謡曲的な聴きやすさには不足しないものの、これといった面白さには欠ける。

最後の1枚は、またまた注文したのと違う盤。返品も面倒だし、たまには守備範囲外の音楽を聴いてみるのも良いだろうとは思いつつ、こうしたミスの頻度がちょっと高くなってきているのは気にならなくもない。で、今回の“間違い”盤は、1970年前後のチェコの現代音楽を集めたアルバムである。6人の作曲家全てが初めて聴く人ばかりで、文字通り、とりあえず聴いてみる、しかない状態。ピアノ独奏曲ということもあってか、案外聴きやすい作品が多く、どこか気品のある音楽世界を楽しむことができた。桐朋学園大学音楽学部のサイト内にある「チェコ・スロヴァキア 作曲家紹介」というページで、フィシェル、ライネル、ヴォストルジャークの3人については簡単な情報を得ることができる。

NHKの教養番組「知るを楽しむ」の枠で、亀山郁夫氏が講師を務める「悲劇のロシア」(全8回)というシリーズが始まっている。先日「カラマーゾフの兄弟」を読み終わり、今度は「悪霊」を読みたいと思っていたところなので、最後の1回がショスタコーヴィチであることを抜きにして、毎週興味深く観ている。ソフトな語り口の達者さは相変わらずで、この種のテレビ番組としてはなかなかの出来ではないだろうか。ただ、ドストエーフスキイの現代的意義を、9.11のテロなんかと結びつけるのは強引に過ぎるような気もする。もっとも、番組編集の都合もあるのだろう、講師が提示した問題点が十分に論じられることなく、番組のまとめに入ってしまうことが少なくないのも、こうした印象に拍車をかけているのは否めない。僕自身はこうした解釈や読み方を積極的に支持しないが、面白いのは確かだ。どうせなら、テキストを先に読んでおいた方がよいだろう。

この人この世界 2008年2-3月 (2008) (NHK知るを楽しむ/月)この人この世界 2008年2-3月 (2008) (NHK知るを楽しむ/月)
(2008/01)
亀山 郁夫

商品詳細を見る
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Svetlanov,E.F. 作曲家_Glazunov,A.K. 作曲家_Khrennikov,T.N.

ヴィーハンQ、ヴォールコフ、クレーメルetc.

univer-4724602.jpg
  • S. タネーエフ:弦楽四重奏曲第1番、ラフマニノフ:弦楽四重奏曲第1番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第10番 ヴィーハンQ (Universal 472 460-2)
  • Volkov,S.:Shostakovich and Stalin,Alfred A. Knopf,New York,2004.
  • バック・トゥ・バッハ ~クレーメルの世界~(2008年2月4日放映 [NHK-BS2])
  • ギドン・クレーメルの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ(2008年2月4日放映 [NHK-BS2])
ロシア室内楽ファン倶楽部というWebサイトを閲覧していたら、未架蔵の音盤を発見。わりと凝った選曲でもあるし、早速、同サイトで紹介されていたCDmusic.czというチェコの業者から購入してみた。ヴィーハンQは、チェコのポスト・スメタナQ世代の中でも人気、実力共に抜きん出た存在である。音程の取り方や音色、歌い回しなどは、いかにもチェコの団体といった感じ。独特の素朴さを漂わせながらも滑らかで抒情的な音楽は、ロシア情緒とは異質ながらも、不思議と懐かしい。こうした美質は、ラフマニノフの、特に1曲目で存分に発揮されている。いわゆるショスタコーヴィチらしさとは異なるが、どこかふくよかなショスタコーヴィチも悪くない。中でも第3楽章以降の切々とした音楽は、特筆すべき仕上がりと言ってよいだろう。タネーエフは作品の冗長さが気になって、あまり楽しめなかった。

米Amazonで購入してから1年半近く経って、ようやくヴォールコフの「ショスタコーヴィチとスターリン」を読了。なんだかんだと後回しにしている内に未読のままお蔵入りになってしまうことだけは避けたかったので、意を決して一気に通読してみた。扱おうとしているテーマそのものは興味深いのだが、皇帝ニコライ1世とプーシキンとの関係や同時代の文学者なども取り上げて、より広範な文化論的な体裁を整えただけの内容には、基本的に『証言』の焼き直し以上の価値は認められない。

この本に限らず、“スターリン圧政下の”芸術論を読むと、いつも不思議に思うことがある。たとえば、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に対するプラウダの批判社説が実際にオペラを観たスターリンの感想に基づいて書かれたとすることに何ら異議はないのだが、プラウダ批判にせよジダーノフ批判にせよ、事の発端がスターリンの“思いつき”であったとしても、それを“理論化”して政治的・社会的な意義を持たせるための過程やシステムまでも、スターリン個人に帰結しているのはなぜなのだろう?なんでもスターリンのせい、というのは、“偉大なる父にして教師である万能の人”というスターリン崇拝と本質的に同じことだ。ジダーノフ批判後、ソ連作曲界の潮流がどう変化したのか。それをたとえば“体制翼賛的”な主題を持った作品ばかりが発表されたと総括するのは簡単だが、作曲技法のような、より具体的かつ技術的な側面からの論考を読んでみたいものだ。

Shostakovich and Stalin: The Extraordinary Relationship Between the Great Composer and the Brutal DictatorShostakovich and Stalin: The Extraordinary Relationship Between the Great Composer and the Brutal Dictator
(2004/03)
Solomon VolkovAntonina W. Bouis

商品詳細を見る


リアルタイムで観ることができず、“とりあえず”予約しておいたテレビ番組の録画が結構たまってきた。DVDに保存しがてら、クレーメルのドキュメンタリー&バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータを観る。特にドキュメンタリーは、文句なしに秀逸な内容で、夢中になって一気に観てしまった。標題にあるバッハに関する部分以外にも見所満載で、特定の数箇所だけピックアップするにも、どこを選んで良いのか迷ってしまうほど。無伴奏パルティータの演奏も、もちろん素晴らしい。クレーメルならではの多彩な響きと鋭敏なリズム感が織り成す独自の表現世界を、全編通じて堪能することができる。もっとも、3曲一気に視聴するのは少々ヘヴィーではあるのだが。なお、このドキュメンタリー&パルティータはDVDで商品化されている(HMV)が、残念ながら日本語字幕はない。

YouTubeを見ていたら、極めて貴重な動画がアップされているのを発見。最晩年のショスタコーヴィチが「鼻」「弦楽四重奏曲第15番」「ミケランジェロの詩による組曲」という3つのリハーサルに臨んだ姿が中心の記録映画「作曲家ショスタコーヴィチ」である。一部はChandosのDVD/CD-ROMに収録されてはいたが、全編を見たのはこれが初めて。もっとも、Hulmeのカタログには60分だと記されているのに、ここでアップされている分の合計時間は45分程度。若干のカット等があるのかもしれないが、少なくとも今は確かめようがない。また、英語字幕すらもないので、インタビュー部分などはちんぷんかんぷんではあるのだが、それでもこのショスタコーヴィチの姿はたまらなく感動的で、全てのショスタコーヴィチ・ファンに観てもらいたい動画である。アップしてくれた方に感謝。

Part 1Part 2
Part 3Part 4
Part 5
映画「作曲家ショスタコーヴィチ」(1975年)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
01 | 2008/02 | 03
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター