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エネスク:ヴァイオリン・ソナタ第3番


  • ショーソン:詩曲、コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ「ラ・フォリア」、プニャーニ:ラルゴ(ソナタ第3番)、クライスラー:テンポ・ディ・メヌエット、ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ第4番、エネスク:ヴァイオリン・ソナタ第3番 エネスク (Vn) シュルッセル、シャイエ=リシェ (Pf) (オーパス蔵 OPK 2086)
9月20日の記事でもちょっと触れたが、最近、久し振りに弦楽四重奏をやり始めた。せいぜい数か月に一度のペースではあるが、ここ数年は年に数えるほど(それもエキストラ出演のオーケストラでのみ)しか、楽器をケースから出していなかったことを考えると、相当に健全で幸せな状況である。こうなると、必要に迫られて楽器を触るだけではなく、少しは真面目に楽器の練習をしたくなる。特に用事がなければ1~2時間程度、それこそ30年近く前にレッスンを受けたバッハやらモーツァルトやらを軽くさらうのが、ここ最近の週末の過ごし方になっている。この程度の練習ですっかり衰えたものが復活するとも思えないし、ましてや上達などするはずもなく、自分に失望することしかないのだが、それでも楽器を弾くという行為は無条件に楽しい。

基本的には自分の技量に応じた楽曲を選んでさらっているのだが、どうせ他人に聴かせるわけでなし、さしあたってはレッスンを受けるわけでもなし、ちょっと無謀な作品にもチャレンジしたところで誰に怒られることもない。やる気に火がつくような曲はないかと楽譜棚を漁っていたら、エネスクのヴァイオリン・ソナタ第3番が出てきた。これは以前、京都大学音楽研究会の後輩から「今度いつかやりましょう」と言ってもらったものだ。2005年の第100回定期演奏会以来、なかなか立ち寄る機会もないために、結局今に至るまで楽譜を音にしたことはない。後輩にはイダ・ヘンデル&アシケナージの自由自在な名演を聴かせてもらったが、どうしたらこの楽譜がこんな音楽になるのか感覚的に理解することができず、そもそも音符をなぞることすら全く歯が立たないように思え、譜読みすらしないまま棚の中で埃をかぶっていたのだった。

まずは曲の全体像から勉強しようと、自作自演の音盤を購入すべくTower Records難波店へ。自作自演は2種類(もう一つはリパッティとの共演盤)あるが、店頭にあったのはシャイエ=リシェとの共演盤のみ。聴き比べは後のお楽しみということで、まずはこの1枚を入手。この、心の奥底で青白い炎が燃えているような、熱く、それでいて深く渋い味わいに満ちた音楽は、とてつもなく魅力的で、一聴してすぐにその虜になってしまった。民族的な雰囲気はイダ・ヘンデルの方が強く、エネスクの演奏はむしろ古典的で、楽譜に書き込まれた細かな指示も極端に強調されてはいない。しかし、音楽そのものはエネスクの方が泥臭く、イダ・ヘンデルは見事に洗練されているのが面白い。どちらも素晴らしい演奏であることに違いはないのだが、イダ・ヘンデル盤に打ちのめされた“やる気”は、このエネスク盤によって強烈に火をつけられた。

さっそく譜読みを始めてみたものの、リズムを正しく読み取るのは相当やっかい。ただ、左手の方は思っていたよりも随分と合理的で弾きやすく、しばらくはこの曲とじっくり付き合ってみたい。

ちなみに、今回入手した音盤の他の収録曲も、いずれ劣らぬ名演奏揃い。ここのところ音研時代の思い出話が多いが、とても親しくさせてもらった先輩の一人に、ヴァイオリニストのヒストリカル録音に極端に傾倒していた人がいた。当の本人はピアノしか弾かないのだが、サラサーテやカール・フレッシュにはじまり、1930年代くらいまでの録音を喜んで聴いていた。CD棚は、PearlBiddulphSymposiumといったレーベルばかり。エネスクの録音も、その先輩に聴かせてもらったことがある。普段使っていたCDラジカセではなく、ちょっとマシなオーディオ装置で再生した時、「まともな装置で聴くと、針音のノイズがきれいだなぁ」と真面目な顔で言っていたことを、ふと思い出した。


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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Enescu,G. 演奏家_Enescu,G.

ホロヴィッツ・アンコール


  • ビゼー/ホロヴィッツ:カルメン変奏曲、サン=サーンス/ホロヴィッツ:死の舞踏、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番より第3楽章(トルコ行進曲)、メンデルスゾーン/リスト/ホロヴィッツ:結婚行進曲と変奏曲、メンデルスゾーン:「無言歌集」より「エレジー」「春の歌」「羊飼いの訴え」、ドビュッシー:「子供の領分」より「人形へのセレナード」、モシュコフスキ:15の練習曲より第11&6番、火花、ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」、シューマン:「子供の情景」より「トロイメライ」、メンデルスゾーン:「スケルツォ・ア・カプリッチョ」よりプレスト、リスト/ホロヴィッツ:ラコッツィ行進曲、リスト:忘れられたワルツ第1番、ラフマニノフ:10の前奏曲より第5番ト短調、スーザ/ホロヴィッツ:星条旗よ永遠なれ ホロヴィッツ (Pf) (RCA BVCC-5106)
9月25日の記事で述べた大井さんの番組の中で、リスト編曲のベートーヴェンの交響曲を聴いている内に、京都大学音楽研究会のある先輩のことを思い出した。何というか、要するに“難曲マニア”とでも言ったらよいだろうか。とにかく難しい曲が好きで、それこそ、曲の良し悪しまで音符の多さで判断するほど。個性的で面白い先輩だったが、そういう曲を他人に聴かすことのできるレベルで弾けてしまうことには、ただただ脱帽するしかない。

そんな先輩が、ある日「ついに楽譜を手に入れた!」と嬉々として練習を始めたのが、ホロヴィッツの「星条旗よ永遠なれ」。The Horowitz Scores Onlineというサイトを見つけて楽譜を眺めていたら、無性にホロヴィッツの演奏が聴きたくなった。

ということで、Amazonでベートーヴェン=リストの楽譜を買ったついでにホロヴィッツのCDも購入。

まぁ凄い、としか言いようがない。楽曲解釈はいかにも19世紀的で、いずれの作品においても自身の魅力が最大限に発揮され、またそれに適した作品が見事に選ばれている。だから、四の五の言わずにホロヴィッツを聴く、というのがこのアルバムの正しい楽しみ方なのだろう。目も眩むほどの鮮やかな技巧、悪魔的ですらある轟音と蠱惑的な美音との共存、変幻自在の歌…… けれん味たっぷりの演奏―いや芸というべきか―は、前時代の遺物として現代の聴き手に敬遠されて当然なのに、有無を言わさぬどころか、一度聴いてしまったらその呪縛から逃れることは容易でない。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Horowitz,V.

ピリオド楽器のベートーヴェン

  • 大井浩明 時代楽器で弾くベートーベン(ベートーヴェン(リスト編):交響曲第3番より第1楽章、ベートーヴェン:選帝侯ソナタ第1番より第1楽章、ピアノ・ソナタ第20番より第2楽章、ピアノ・ソナタ第17番より第1楽章、ピアノ・ソナタ第23番より第1楽章、ベートーヴェン(ウィンクラー編):大フーガ) 大井浩明 (Pf) (2009.6.22 録画 [NHK BS-2 (2009.9.15)])
  • [NHK大阪放送局]
京都大学音楽研究会にいた頃の縁で、今でも大井さんから演奏会などの案内をいただいている。この番組も、大井さんご自身に教えてもらったもの。最初の放送は出張やら帰省やらで自宅にいなかったために録画できず、遅ればせながら2回目の放送を観た。

いわゆる“古楽”的なものに、僕自身は全くといってよいほど興味がない。それは音楽作品の嗜好がロマン派以降に偏っているのが大きな理由で、ピリオド楽器を嫌悪しているとか、バッハは眠たくなるとか、そういうことではない。ただ、モダン楽器を使用しながら、過度にピリオド楽器の奏法を意識した演奏は嫌い。なぜなら、モダン楽器でピリオド奏法を模倣すると、大抵の場合、楽器の操作において多くを抑制しなければならないから。もちろん抑制が必要な音楽もあるが、逆に(当時の)楽器を壊さんばかりの力が迸る音楽もある。モダン楽器を二流以下のピリオド奏法で弾くと、その力が完全に失われてしまう。

だから、ピリオド楽器によるベートーヴェン演奏は、嫌いではないが、モダン楽器の力強さの方により惹かれるので、どうしても関心が薄くなってしまう。だが、この大井さんの番組は、楽曲の様式や性格に応じて楽器を取り替えていくことによって、楽器自体の面白さだけではなく、作品の面白さをも喚起していたという点でとても興味深かった。大井さんの語り口は、相変わらず学生時代そのままだったけど。

エロイカのリスト編曲とか、大フーガの編曲なんかを嬉々として弾いている姿に昔を思い出しつつ、今後のさらなる活躍を祈念したい。

僕自身はピアノを弾かないが、一緒に番組を見ていた奥さんが「8番の編曲を弾いてみたい」と言ったので、早速Amazonで6~9番の方を購入。弾けないながらも9番の3楽章なんかは和声を鳴らすだけで感動してしまう。



追伸:『ショスタコーヴィチの証言』の訳者でもあった水野忠夫氏が亡くなったそうだ。ショスタコーヴィチも今日で103歳。確実に、時は流れている。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Beethoven,L.v. 演奏家_大井浩明

クラシック倶楽部(NHK BS)で弦楽四重奏

  • ヘンシェル弦楽四重奏団 演奏会(ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番、ブラームス:弦楽五重奏曲第2番) ヘンシェルQ 澤 和樹 (Va) (2007.11.21 録画 [NHK BS-2 (2009.9.7)])
  • パシフィカ・クァルテット 演奏会(メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番より第1、2、4楽章、リゲティ:弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」 ) パシフィカQ (2008.6.13 録画 [NHK BS-hi (2009.9.8)])
  • ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番、弦楽四重奏曲第2番より第1楽章、ハース:弦楽四重奏曲第3番 パヴェル・ハースQ (2009.7.2 録画 [NHK BS-hi (2009.9.10)])
  • 上海クァルテット 演奏会(ブラームス:弦楽四重奏曲第2番より第2~4楽章、弦楽五重奏曲第2番) 上海Q 今井信子 (Va) (2008.10.17 録画 [NHK BS-hi (2009.9.11)])
  • ベルリン・フィルハーモニー木管五重奏団 演奏会(モーツァルト(ハーゼル編):ディヴェルティメント第14番、ダンツィ:木管五重奏曲、フランセ:木管五重奏曲第1番) ベルリン・フィルハーモニー木管五重奏団 (2006.10.9 録画 [NHK BS-2 (2009.9.9)])
NHK BSのクラシック倶楽部で、弦楽四重奏の放送が続いた。ちょうど最近、固定メンバーで四重奏を始めたところなので、まさに絶好のタイミング。また、どの四重奏団も名前は知っているものの、その演奏は恥ずかしながら初めて聴く団体ばかりなのも嬉しい。以下、録画順に。

ヘンシェルQの映像は2007年の収録なので、既に何度も放送されていたのかもしれないが、僕が観たのは今回が初めて。個人の技術水準はあまり高くないし、アンサンブルにもややルーズなところがある。音色もとりたてて魅力的ではなく、音もあまり通らない。ブラームスの五重奏曲では、澤のヴィオラが思いの外素敵な音色で感心したものの、全体として特に感じるものはなかった。

パシフィカQは、幾分あっけらかんとし過ぎではあるが、よく鳴る響きが魅力的であった。各メンバーの技量も高く、バルトークなどと同じようなノリでリゲティを弾き切る辺り、いかにも若い団体といった感じ。

パヴェル・ハースQの映像は、NHKスタジオで聴衆のいない状態で収録されたもの。いかにもチェコの団体らしく、各人がソリスティックな華やかさや切れ味を持っているわけではないのだが、しっかりとしたアンサンブルで聴き応えのある音楽を紡いでいる。メインのハースの四重奏曲には、面白い、という以上の感想を(現段階で)持つことはできなかったが、ヤナーチェクの第2番(残念ながら第1楽章のみであったが)には演奏意欲を異様に掻き立てられてしまった。買ってから一度も弾かれることなく死蔵されたままのパート譜に、陽の目を当てるチャンスかもしれない。是非とも近い内に、音にしたいものだ。

上海Qも、なんとなく聴きそびれていた団体である。ブラームスの2曲はどちらも大好きな作品だけに、弦楽四重奏曲第2番の第1楽章がカットされていたのは(仕方のないこととはいえ)とても残念。ただこの団体、音色に全く魅力がなく、手堅いアンサンブルでかっちりとまとめているとはいえ、その音楽に惹かれるものはなかった、というのが率直な感想。五重奏曲で第2Vaを弾いた今井は、その役割を律義なまでに果たしつつも、歌心に満ちた美音を随所で披露し、さすがの貫録を見せつけていた。

最後は、僕にとっては箸休めのような気分で何となく録画してみたもの。ベルリンPOの首席ではない奏者らによる木管五重奏であるが、結成(1988年)以来、不動のメンバーが奏でる音楽は、技術的にも音楽的にも非常な高みに到達している。弦楽四重奏とは様々な点で大きく異なるとはいえ、彼らの演奏もまた、室内楽の愉しみや素晴らしさを存分に堪能させてくれる。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Brahms,J. 作曲家_Janaček,L.

東京QとカルミナQ(NHK芸術劇場)

  • 東京クヮルテット 結成40年 円熟の響き(ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番、バーバー:弦楽四重奏曲より第2楽章、ラヴェル:弦楽四重奏曲) 東京Q (2009.7.28 録画 [NHK総合 (2009.9.4)])
  • カルミナ四重奏団 室内楽コンサート(バルトーク:弦楽四重奏曲第2番、シュナイダー:弦楽四重奏曲第3番「日は昇り 日は沈む」、ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第3楽章、ジミ・ヘンドリクス(リフキン編):パープル・ヘイズ) カルミナQ (2009.6.13 録画 [NHK総合 (2009.9.4)])
  • カルミナ四重奏団 室内楽コンサート(ヴェレシュ:弦楽四重奏曲第1番、ラヴェル:弦楽四重奏曲、ジミ・ヘンドリクス(リフキン編):パープル・ヘイズ) カルミナQ (2009.6.13 録画 [NHK BS-hi (2009.9.7)])
NHKの芸術劇場、9月4日放送分は弦楽四重奏特集だった。

東京Qの映像は、北海道苫小牧市にあるレナード・バーンスタイン・ペレカムイ教会にて、聴衆がいない状態で収録されたもの。1st Vnがコーペリマンに交代して以降の東京Qを聴くのは、恥ずかしながら初めて。バーバーなどでは首を傾げたくなるようなピッチの不揃いもあったが、基本的には高い水準で仕上げられたアンサンブルに感心させられた。ラヴェルの第2楽章で、第2Vnの攻撃的なpizz.に70年代の東京Qを想起したりもしたが、概してオーソドックスな音楽づくりがなされており、聴き手によってはそれほどの満足感は得られなかったかもしれない。僕は、これだけのキャリアを重ねた団体に対して、若々しく尖った音楽を求めてはいないので、十分に楽しみましたが。

後半は、今年の6月に東京の第一生命ホールで行われたカルミナQのライヴ映像。4夜連続で行われた彼らの演奏会は、各回にタイトルがつけられていて、放送されたのは「The Challengers―挑戦する者」と題された第4夜目のもの。この番組で放送されたのは演奏会の半分で、残りはBS-hiのクラシック倶楽部で別途放送された。当夜の演奏順は、以下の通り:
  1. バルトーク:弦楽四重奏曲第2番
  2. ヴェレシュ:弦楽四重奏曲第1番
  3. シュナイダー:弦楽四重奏曲第3番「日は昇り 日は沈む」
  4. ラヴェル:弦楽四重奏曲
  5. 【アンコール】ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第3楽章
  6. 【アンコール】ジミ・ヘンドリクス(リフキン編):パープル・ヘイズ
20世紀の作品から構成されたプログラムで、ヴェレシュとシュナイダーは、カルミナQの本拠地であるスイスの作曲家である。

まぁ、とにかく完成度が高い。それでいて嫌味を感じさせない洗練された雰囲気が、カルミナQの美質であろう。バルトークもラヴェルも、そしてヴェレシュもシュナイダーも、さらにはジミヘンですら、楽曲と演奏者との一定の距離感が堅持されている。時に徹底した人工臭すら感じさせる(特に弱奏部)一方で、それが彼らの意図するものであることが常に明確な音楽づくりに、極めて卓越したアンサンブル技術以上に感心させられる。僕自身は、たとえ多少の隙があったとしても、より劇的な音楽に対する嗜好が強いので、正直なところ、こういう音楽を無条件に心から楽しんだわけではないのだが、カルミナQが楽曲に対して持つのと同様の距離感を持ってカルミナQの演奏を聴く限りにおいては、やはり当代随一の四重奏団だと絶賛しないわけにはいかない。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_東京Quartet 演奏家_CarminaQuartet

ガヴリーリン:ロシアの手帳・シャポーリン:ロシア国土防衛戦の物語 他


  • ガヴリーリン:ロシアの手帳、シチェドリーン:ソルフェージュ ドルハーノヴァ (MS) スヴェトラーノヴァ (Pf) (Melodiya D 021821-021822 [LP])
  • ダルゴムィーシスキイ:「美しいおとめに私はほれこんだ」「虫けら」「私は嘆く」「老いた下士官」、チャイコーフスキイ:「ただ一言でよかったのに」「ドン=ジュアンのセレナード」「騒がしい舞踏会のなかで」「夜鳴うぐいす」、ラフマニノフ:「夢」「美しい人よ、私のために歌わないで」「ここはすばらしい場所」「私はすべてを奪われた」、スヴィリードフ:「流刑者」「As rosy as an apple」「ロシアの歌」「For the young」 ネステレーンコ (B) シェーンデロヴィチ (Pf) (Melodiya 33CM 03243-4 [LP])
  • フォス:フォリオン、デニーソフ:クレシェンドとディミヌエンド、シュラー:トリプラム バーンスタイン/ニューヨークPO (Columbia MS 7052 [LP])
  • シャポーリン:ロシア国土防衛戦の物語 アヴデーエヴァ (MS) イヴァノーフスキイ (T) I. ペトローフ (B) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO、国立アカデミー・ロシアcho (Melodiya C 01421-24 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.からの8月到着分。ここのところ目ぼしい商品がリストに挙がらなかったり、せっかくオーダーしても先に押さえられていたりで、しばらくご無沙汰だったのだが、今回はうまいこと欲しい音盤を手に入れることができた。

まずは、ガヴリーリンの「ロシアの手帳」の全曲。ゴロホフスカヤのLPで2曲だけは聴いたことがあり、是非とも全曲を通して聴きたいと思っていたもの。『ロシア音楽事典』によると、ロシア北部の農民少女の悲恋を歌った作品のようだが、とにかく、とても美しい。現代風の響きや表現も時折聴かれるが、どちらかと言えば民俗的な音調が前面に出ているという点でスヴィリードフに通ずるものを感じる。1972年にショスタコーヴィチがティーシチェンコらと並んでガヴリーリンを評した文章の中で、この作品に言及しているのも当然だと思える、個性的で魅力的な作品である。併録のシチェドリーン作品も面白い。作曲の動機など詳しいことは分からないが、洒落の効いた佇まいの中に、はっとするような美しい響きがちりばめられているのが、いかにもシチェドリーンらしい。ドルハーノヴァの歌唱は安定した立派なもの。

ネステレーンコのアルバムは、ライナーの経歴紹介が1971年のチャイコーフスキイ・コンクール優勝時までになっていることから、録音年等は明記されていないものの、その頃の録音だと推察される。ロシアの作曲家の歌曲から、抒情的な旋律が美しい作品を中心に、時折皮肉っぽい雰囲気の作品を織り交ぜた、ネステレーンコの魅力を詰め込んだようなアルバムとなっている。ショスタコーヴィチ作品の初演をはじめ、既に十二分なキャリアを積んでいたであろうネステレーンコの歌唱には、わずかの不安や瑕もない。艶と張りを兼ね備えた声も美しく、まさに珠玉の一枚といえるだろう。

「Bernstein conducts music of our time Vol. 2」というアルバムは、同時代的な共感に満ちた熱い音の奔流が面白い。フォスの“Phorion”とは、ギリシア語で“借用”という意味らしいが、その名の通り、J. S. バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番からの引用(?)で展開される作品である。電子楽器も当たり前のように駆使したその響きには、フリー・ジャズ風の混沌とした雰囲気が漂う。デニーソフ作品は、12人の弦楽器とチェンバロという、当時のソ連の若手作曲家達が好みそうな楽器編成で、クレッシェンド~ディミニュエンドという表題通りの対称形を持つ楽曲構造となっている。いかにもな“現代音楽”なのだが、やはりそこにはフォスの作品に共通する響きのテイストがある。シュラーの作品は、正直なところあまりピンとこなかった。“Triplum”とは、中世や初期ルネッサンスの音楽の用語で、三声の楽曲を意味するとのことらしく、楽曲構成などにも“3”という数が意識されているようだ。

シャポーリンの名は、ジダーノフ批判の中で、あるいはスヴェトラーノフの作曲の師としてよく聞くのだが、その作品となると、いくつかの歌曲しか聴いたことがない。大祖国戦争中に作曲された愛国的な大作がリストに挙がっていたのでオーダーしてみたところ、運よく確保することができた。歌詞の詳細はわからないが、各曲の表題を見れば大体のストーリーは予想できるし、おそらくその予想は裏切られていないはずだ:
【第1部】
  1. ある春の日
  2. 襲来
  3. 女性達の嘆き
  4. 老人の訴え
  5. 赤軍兵士の歌
  6. 友への手紙
  7. パルチザンのバラード
【第2部】
  1. ヴォルガの岸で
    1. 人民の合唱
    2. 母親のアリオーソ
    1. ドンのステップにて
    2. 夜明け
    1. 老人の訴え
    2. 斃れた英雄達の永遠の栄光と記憶
  2. 誓い
  3. 春の回帰
思わず口ずさんでしまいそうなわかりやすいメロディー、これ見よがしに感動的な合唱の盛り上がり、とにかくよく鳴るオーケストレイション……スターリン時代の典型的な愛国作品である。その題材ゆえに今後もあまり陽の目を浴びないのだろうが、隠れた名曲とまでは言えないものの、よく出来た作品だけに、誰にも知られないまま埋もれてしまうのも少しもったいない気がする。こういう曲をやらせたら、スヴェトラーノフの右に出る者はない。わざわざこういう作品を探し出して聴く悦びを、存分に堪能することができる。大満足。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Gavrilin,V.A. 作曲家_Shchedrin,R.K. 作曲家_Shaporin,Y.A.

【YouTube】ショスタコーヴィチ:交響曲第9番(コチャノフスキイ指揮)

またまたYouTubeから、今度は交響曲第9番を。コチャノフスキイという1981年生まれの若手指揮者が、サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニーの交響楽団(有名でない方)を振った演奏会の映像である。“От авангарда до наших дней(アヴァンギャルドから現在へ)”という国際フェスティヴァルのオープニング・コンサートとのこと。この演奏会の時点(2005年)で第14回ということだが、このフェスティヴァルのことは寡聞にして全く知らなかった。

演奏は、奇を衒うことのない、ごくごく普通のもの。指揮者の個性や才能について論ずるにはさすがに若過ぎると思うが、大きな破綻なくアンサンブルをまとめ、オーケストラの機能を十分に引き出している様子は窺える。

それにしてもこの動画、マイクの位置の問題だろうか、弦楽器、特に第一ヴァイオリンの音程が異様に悪く聴こえる。確かに随所で技量の低さは気になるのだが、ここまでアラをクローズアップされると、思わず奏者に同情してしまいそうになる。

第1楽章第2~3楽章
第4~5楽章
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番
コチャノフスキイ/サンクト・ペテルブルグSO(2005年3月14日)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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