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【YouTube】ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品

ショスタコーヴィチ初期の前衛的な作風を代表する作品11は、近年とみに演奏機会が増えているようだ。YouTubeにも、同曲の動画が複数アップされている。音楽祭のような機会で取り上げるには、演奏時間も盛り上がり方もちょうど良いのだろう。ザグレブ国際室内楽フェスティヴァルでのライヴ映像は、演奏の質だけでなく動画の質も良いので、一聴(一見?)の価値がある。

前奏曲スケルツォ
ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品
Susanna Yoko Henkel, Michael Barenboim, Nicola Birkhan, Stefan Milenkovich (Vn)
Tomoko Akasaka, Guy Ben-Ziony (Va) Giovanni Sollima, Monika Leskovar (Vc)
(2008年 ザグレブ国際室内楽フェスティヴァル)


この作品は、弦楽合奏の形で演奏されることも少なくない。編曲は、演奏団体がそれぞれの事情に合わせて行うことが多いようで、室内交響曲(弦楽四重奏曲第8番)のバルシャイ版のように一種の権威があるスコアが存在しているわけではない。動画だと、パートの割り振りを視覚的に確認できるので、面白い。まずは、小編成(5-4-3-2-1)の演奏から。トゥロフスキイ/イ・ムジチ・ド・モントリオ-ルといえば、Chandosレーベルにおけるいくつかのショスタコーヴィチ録音で馴染みのある名前だが、おそらくはこの曲を演奏する機会も多いのだろう。アンサンブル自体はあまり洗練されていないのだが、音楽の運びには安定感がある。

ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品
トゥロフスキイ/イ・ムジチ・ド・モントリオ-ル(2006年11月)


最後は、より大きな編成(上記のほぼ2倍)での演奏。指揮のコチャノフスキイについては、2009年9月2日の記事でショスタコーヴィチの交響曲第9番の動画を紹介したことがある。前奏曲が少々薄味に過ぎる気もするが、オーケストラの優れた機能性が十分に発揮された快演と言ってよいだろう。

ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品
コチャノフスキイ/サンクト・ペテルブルク・カメラータ(2006年5月7日)

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

ヘンツェ:鉄条網の向こうのオルフェウス、ハチャトゥリャーン:コンチェルト・ラプソディー集 他

  • バルトーク:ヴィオラ協奏曲、オネゲル:ヴィオラ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ D. ビンダー、M. シューマン (Va) チャプスキ (Pf) ケーゲル/ライプツィヒ放送SO (edel 01592CCC)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番、2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品(アトヴミャーン編)、ピアノ五重奏曲 ラクリン、ヤンセン (Vn) バシメート (Va) マイスキー (Vc) ゴラン (Pf) (Onyx ONYX 4026)
  • ヘンツェ:鉄条網の向こうのオルフェウス、ショスタコーヴィチ:革命詩人による10の詩 エリクソン/エリック・エリクソン室内cho (Caprice CAP 21773)
  • ハチャトゥリャーン:ピアノのためのコンチェルト・ラプソディー、ヴァイオリンのためのコンチェルト・ラプソディー、チェロのためのコンチェルト・ラプソディー、アルメニア・ソヴィエト社会主義共和国国歌 N. ペトローフ (Pf) L. コーガン (Vn) ロストロポーヴィチ (Vc) ハチャトゥリャーン/モスクワ放送SO、コンドラーシン/モスクワPO、チェキジヤン/アルメニア放送SO、アルメニア国立アカデミーcho (Venezia CDVE04324)
久し振りに、HMV ONLINEでまとめ買い。一気に聴き通すほどの余裕はないので、適当に取り出しながら、ぼちぼちと聴き進めていく。

まずは、ダブり買いしたものから。HMV ONLINEの商品ページには演奏者の名前などが記されていなかったため、Berlin Classics系列だし、オネゲルとショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタという組み合わせだし……と思いつつも、廉価だし買ってみるか、と注文したら、ブリテンのラクリメがバルトークのヴィオラ協奏曲に入れ替わった(演奏者は異なる)ものだった。バルトークも別の組み合わせで所有済みなので、完全に空振り。もっとも、バルトークは怖いくらいに澄み切った秀演なので、この機会に改めて聴けたことは収穫と言えなくもない。ただし、肝心のショスタコーヴィチは冴えない演奏。

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第一線で活躍している若手奏者とベテラン奏者がウィーンで一堂に会した豪華な演奏会の記録は、まさにその出演者全員が僕の好みでないという理由で、長らく聴きそびれていたもの。ここに収録されている曲の内、ピアノ三重奏曲第1番は2009年7月3日の記事で、5つの小品は2009年5月11日の記事で紹介したこともあるように、各人ともに自家薬籠中のレパートリーとしていることは確かだろう。ただ僕個人にとっては、このアルバム全体を貫くぬっとりとした濃い口の歌い回しが、どうしても生理的に受け入れられない。若々しく、時に荒っぽい情熱の迸りが素直に表出されているピアノ三重奏曲第1番は、緩徐部分でのこれ見よがしな歌に品のなさを感じるとはいえ、余裕を持って見事にまとめられているところに貫禄を感じる。一方で、名手ならではの巧さを認めつつも、どうにも気に入らないのが、5つの小品の演奏である。良く言えば情感たっぷりということになるのだろうが、安キャバレーのホステスの化粧みたいに過剰で下品な表情付けは、ショスタコーヴィチの音楽とは縁も所縁もないもの。メインのピアノ五重奏曲では、ヴァイオリンとピアノの若手グループの表現力が足らず、色々やっているわりに訴えかけるものがない。小手先の技にやや走りがちなラクリンを脇から引き締めているバシメートとマイスキーには風格を感じるものの、演奏全体に風格が漂っていないのは残念だ。

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没後30年~生誕100年を機にショスタコーヴィチ作品の録音点数は一気に増えたが、合唱曲は依然として不遇のままだ。その数少ない新録音が、このエリック・エリクソン率いる合唱団(旧スウェーデン放送合唱団)による「10の詩」である。極めて洗練された、美しい演奏と言えるだろう。ここには、時に和声が不明瞭になるほどのロシア風のアクは皆無である。澄み切った響きには温もりがあり、歌詞の陰惨さが削ぎ落とされているようにすら感じる。純粋に合唱を楽しむだけであれば非常に上質の演奏であることに疑う余地はないが、この作品に“革命”“体制”“ジダーノフ批判”のような要素を聴きたい向きには、物足りなさが残るかもしれない。併録のヘンツェ作品は、ギリシャ神話の「オルフェウスとオイリディーケ」を現代の話に翻案したもの。これが大変美しい音楽で、正直なところ、ショスタコーヴィチそっちのけで夢中になってしまった。作品の内容はブックレットに紹介されているものの、作曲や初演にまつわるデータがないので理由は分からないが、ショスタコーヴィチは2005年の録音であるのに対して、ヘンツェは1986年の録音である。

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今回の注文で、唯一ショスタコーヴィチの作品が収録されていないのが、ハチャトゥリャーンのコンチェルト・ラプソディ集。ヴァイオリンとチェロの作品は既に知っていたのだが、ピアノの作品を一度聴いてみたくて注文した次第。期待に違わず、猛烈なテンションで音を輝かしく撒き散らすかのような音楽に満足。晩年の作品を、最晩年の作曲家自身が指揮した演奏なのだが、この溢れんばかりのバイタリティには、ほとほと感服する。ヴァイオリンの作品はL. コーガンの有名な録音で、僕が持っているのはこれで3枚目となる。コーガンの鮮烈さは、この作品が持つ独特な世界の可能性を全て汲み尽しているかのように感じられる。ロストロポーヴィチによるチェロの作品の演奏も同様。ロストロポーヴィチはこの作品をいくつか残しているが、これはハチャトゥリャーン自身の指揮によるもの。2005年2月2日の記事で紹介したDVD(VAI 4298)に収録されている映像と同一の演奏なのかどうかは確認していないのでわからないが、演奏から受ける圧倒的な印象に違いはない。

このアルバムについて、一点だけ注記しておきたいことがある。ディスクのインレイにも、そして様々な通販サイト等における商品紹介にも、収録曲がコンチェルト・ラプソディの3曲だけと記されているのだが、実はアルバムの最後にハチャトゥリャーンが作曲した「アルメニア共和国国歌」が収録されている(ブックレットには、演奏者名も含めて記載されている)。これがなかなか魅力的な作品なので、4分弱の短い曲とはいえ、全くクレジットされていないのは残念に思う。店が商品の全てを細かくチェックできないのは仕方ないとしても、この件に触れたブログ等がすぐには見当たらないことからすると、このアルバム、あまり聴かれていないのだろうか?

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【YouTube】ショスタコーヴィチ:交響曲第14番(レーヘル指揮 他)

しばらくチェックしない間に、YouTubeのショスタコーヴィチ関連動画が随分と増えていた。

交響曲第14番の映像、それも全曲となると、大変貴重である。恥ずかしながら、僕はラトルのドキュメンタリー(?)に収録されているわずかな抜粋しか観たことがない。しかし残念ながら、指揮のレーヘル、ソプラノのチェンゲリ、バスのコヴェシュというハンガリーの音楽家達による演奏は、“映像である”という以上の存在意義があまり感じられないもの。技術面での大きな破綻はないが、オーケストラは安全運転に徹しており、退屈ですらある。この演奏における指揮の役割は、音楽以前の交通整理にその大部分が割かれているようだ。チェンゲリは、完全にミス・キャストだろう。この作品に、彼女の魅力や持ち味が発揮できる要素はないように思う。バスは健闘しているが、ロシア語の発音に難があるのか、声質は悪くないのに響きに若干の違和感がある。

文句ばかり連ねてしまったが、身体全体を使って必死に拍子を数えている奏者の姿などの臨場感は、映像ならではのもの。何だかんだ言いつつも、僕は結構楽しみました。

第1楽章第2楽章
第3楽章第4楽章
第5楽章~第6楽章第7楽章
第8楽章~第9楽章第10楽章~第11楽章
ショスタコーヴィチ:交響曲第14番
チェンゲリ (S)、コヴェシュ (B)、レーヘル/ローザンヌ室内O


この曲には、もう一種類の演奏があった。ただし、ソプラノ歌手のカスラシヴィリの熱烈な(?)ファンが演奏会場でビデオ撮影したものらしく、音質や画質に難がある上に、最初から最後までカスラシヴィリの顔のアップで、しかもカスラシヴィリの出番がある楽章しかない。かなり問題のある動画ではあるのだが、演奏の質は上述のものとは比較にならない。歌手もオーケストラも見事なものだ。この動画は「リクエストによる埋め込み無効」になっているので、以下にリンクを張っておく:
ショスタコーヴィチ:交響曲第14番
カスラシヴィリ (S)、不明 (B)、ソンデーツキス/サンクト・ペテルブルク・カメラータ(1996年12月29日 プーシキン美術館)

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【録画】NHK交響楽団 第1656回定期公演

  • プレヴィン:オウルズ、モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 プレヴィン(指揮) 池場文美 (Pf) (2009.10.23 録画 [NHK BS-2(2009.11.20)])
本シーズンからNHK交響楽団の首席客演指揮者に就任したプレヴィンのお披露目公演の一つ(Cプログラム)で、ショスタコーヴィチの交響曲第5番が演奏された。その録画を、遅ればせながら観た。

最初に演奏されたプレヴィンの自作は、いかにもイギリス音楽といった感じの自然描写が美しく、押しつけがましさのない清々とした音調に、プレヴィンの人柄がにじみ出ているかのよう。ただ、全体として印象は薄かった。

2曲目のモーツァルトは、とても音楽的な演奏で素晴らしかった。独奏者共々、これ見よがしに個性を刻印することはないのだが、終始伸びやかで愉悦に満ちた音楽が奏でられる。オーケストラにも一切の力みは感じられず、細やかなニュアンスを持った表情豊かな演奏が繰り広げられていた。プレヴィンの下で開花するであろうN響の新境地を、垣間見ることができたような気がする。

メインのショスタコーヴィチも、リラックスした居心地の良さを感じさせつつも、スケールの大きな流れが一貫した、なかなかの好演であった。何より、こんなに整った金管の響きは、久しくN響で聴かれなかったものだ。清らかで上品な弦楽器の歌も素敵。プレヴィンの解釈そのものは僕の好みと違うのだが、しっかりと構築された清澄な音楽世界には十分な説得力がある。

“伝説の名演”といった凄みはないのだが、むしろそのさりげなさこそが、この顔合わせの魅力なのかもしれない。プレヴィンとN響の両者にとって、実りある関係が育まれることを祈念したい。

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ワルシャワ五重奏団の素朴な佳演


  • フランク:ヴァイオリン・ソナタ、シチェドリーン(ツィガーノフ編):アルベニス風に、ショスタコーヴィチ(H. グリークマン編):3つの幻想的な舞曲、ハチャトゥリャーン:劇音楽「仮面舞踏会」より「ノクターン」、ストラヴィーンスキイ(ドゥシュキン編):バレエ「ペトルーシカ」より「ロシアの踊り」、ショーソン:詩曲 ラショーニ (Vn) G. ミクローシュ (Pf) (Hungaroton SLPX 11825 [LP])
  • シューマン:ピアノ五重奏曲、ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ワルシャワ五重奏団 (Muza XL 0270 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、今回は2枚が届いた。

まずは、ハンガリーの女流ヴァイオリニスト、ラショーニのアルバム。フランス系の名作の間に、ソ連系の小品(いずれも編曲物)を配置したプログラムで、物珍しさはないものの、落ち着いた色彩感を感じさせる選曲である。演奏は、破綻なく丁寧に仕上げられているが、使用楽器のせいか音に魅力が感じられず、とりたてて印象に残らない。

ポーランドのMuzaレーベルの音盤は価格が高めなことが多く、このワルシャワ五重奏団のアルバムも30ドルしたが、その稀少価値などはよく知らない。率直に言って、それほど巧さを感じる演奏では全くないが、素朴な味わいを持った音色と、5人が一体となって音楽に没入しているような熱気が、無視してしまうには惜しい魅力を持っている。こういう演奏を聴くと、室内楽って良いなぁ……と思う。

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名曲探偵アマデウス:ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」

  • クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス「毒か薬か? 名曲に仕掛けられたワナ ショスタコーヴィチ『交響曲第5番』」 (録画 [NHK-ETV (2009.11.13)])
名曲探偵アマデウスという名の番組があることは、テレビの予約録画検索をしている際に見かけて知っていた。だが、ただ何となくではあるものの、それを見てみようと思い立ったことはなく、今までそれがどんな番組なのか知らないままであった。しかし、その番組が“ショスタコーヴィチ”というキーワードでヒットしたのなら、話は別だ。何はともあれ、録画してみた。

探偵のもとに、ショスタコーヴィチの交響曲第5番を聴くと体調が悪くなるという依頼人がやってくる。その理由を解き明かしていく過程で、この作品の背景や隠された意味を紹介しようという番組である。実質30分程度の番組にしては随分と盛りだくさんの内容で、しかもそれを初心者(?)に伝えるための配慮も十分になされていることに、まずはとても感心した。この作品の文学的な解釈には、大雑把に言って、体制翼賛的な勝利の構図とそれに相反する個人の抑圧との二重構造という一般に広く認知されている説と、愛人との破局とその愛の永遠性を歌い上げたものという近年になって説得力を増している説の2つがある。本番組では前者が紹介されていたが、第3楽章のパニヒダの件で“愛”というキーワードが出てきたりして、(制作者がそこまで意図していたかは疑問だが)多様な解釈の可能性がさりげなく示されていたのも面白かった。

しかし一方で、ある音楽作品の、それこそ全ての楽句に対して、社会的・文学的な意味解釈を行うことには違和感が残る。もちろん、それはこの番組に対する批判ではなく、この番組を契機に自分自身の音楽の聴き方を振り返っての反省である。

番組中で流れていた演奏は、チョン・ミョンフン/東京フィルハーモニー交響楽団のライヴであった。ぶつ切りの断片から演奏の全体像を類推することは適当でないが、交響曲第4番のCDと同様の、流れは良いが、音楽が持つ軋みが削ぎ落とされたような薄味の演奏であるように感じられた。

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御茶ノ水界隈を散策


  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第14番、ナシーゼ:交響曲第3番「室内交響曲」 スークQ ビエロフラーヴェク/ムジチ・デ・プラハ (Panton 11 0603 G [LP])
  • バルトーク:弦楽四重奏曲第4番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番、ストラヴィーンスキイ:弦楽四重奏のための3つの小品、ヴェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテル スロヴァキアQ (Supraphon SUA ST 50629 [LP])
  • モーツァルト:交響曲第38番、マーラー:交響曲第4番 ギューデン (S) ワルター/ウィーンPO (DG 435 334-2)
  • グバイドゥーリナ:オッフェルトリウム、T. S. エリオットへのオマージュ クレーメル (Vn) デュトワ/ボストンSO ウィトルシー (S) ファン・クーレン (Vn) T. ツィマーマン (Va) ゲリンガス (Vc) ポッシュ (Cb) ブルンナー (Cl) ヴラトコヴィチ (Hr) トゥーネマン (Fg) (DG POCG-3137)
  • スクリャービン:24の前奏曲、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 橋本京子 (Pf) (Live Notes WWCC-7526)
御茶ノ水で仕事があったので、久し振りにこの界隈を散策した。ちょうど神保町では古書祭りをやっており、何か掘り出しものでもあれば……といった気分だったが、書籍の方は残念ながら収穫なし。もっとも、2時間足らずでこの付近をしゃぶり尽くすことなど到底不可能なのは初めから分かっていたこと。もっぱら雰囲気を楽しんでいただけなので、十分に楽しい時間を過ごすことができた。

新世界レコード社の名を無意識に探しつつ、古書センタービルのエレベータに乗り、富士レコード社へ。漫然とエサ箱を適当に漁っていたら、スークQによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の録音中、唯一持っていなかった第14番を収録したアルバムを発見。この団体の他の演奏と同様、地味ながらも温もりのある美しさを湛えた佳演である。上品な抒情は、この作品が持つ魅力の全てではないものの、ある一面を見事に表出している。併録のナシーゼ作品は、繊細で透き通った響きの質感が印象的な音楽。

気が抜けていた割には随分良い買い物ができたと満足してエレベータに向かうと、「あ、ちょっとすみません」と店員さんに呼び止められた。「もしよかったら、この団体の名前、教えてもらえませんか?」と、今買ったばかりのLPの商品カードを差し出された。なるほど何という団体か見当もつかなかったのだろう、「Sukovo Quartet」と書いてある。「スーク四重奏団ですよ」と言うと、「あぁ!スークなんですか!」と、ものすごくすっきりした顔で深々とお辞儀をされた。チェコ語なんて全く分からないのに、こんなことでお礼を言われるのは、何か妙な気分。

JRの改札を通る前に、Disk Union お茶の水クラシック館も覗いてみた。普段から通い詰めているのならともかく、数十分程度エサ箱を眺めるだけでは、掘り出し物なんて見つけられるわけがない。結局LPは1枚だけ、それも、既に別ジャケットで持っているものを購入。このスロヴァキアQのアルバムは、本ブログでも簡単に触れたことがあるが、安定した技術に加え、おっとりとした歌心と、地に足のついた高揚感とのバランスがとても良い。バルトークには多少の物足りなさを感じるものの、他の作品については、特に過不足のない立派な演奏だと言ってよいだろう。

LPを集中して漁る気力はもう残っていなかったので、後はCDの棚を漫然と眺めてみた。すると幸運にも、長らく探していた音盤を2枚発見できた。

まず1つ目は、ウィーンPOの150周年記念シリーズから、ワルター指揮の1955年11月6日のライヴ録音である。このシリーズでは、カラヤン指揮のブルックナーの交響曲第9番を所有かつ愛聴しているが、モーツァルトの交響曲中でも突出して「プラハ」が好きなだけに、このアルバムはずっと気にかかっていたのだった。早速聴いてみたが、目当ての「プラハ」は、出だしの調子が非常に悪く、機器の調整が不調だったのか録音状態にも感心できない。楽曲の佇まいに不釣り合いな壮麗さを持った演奏は、いかにもオールド・スタイルではあるが、指揮者との呼吸やオーケストラのアンサンブルが落ち着いた第2楽章以降、特に第3楽章ではウィーンPOの魅力を楽しむことができる。ただ、「プラハ」の演奏としては、僕の大好きなクリップス/アムステルダム・コンセルトヘボウO盤(Philips 422 476-2)に及ばない。一方のマーラーは、とても素晴らしい演奏である。僕にとって第4番は、極言すれば興味のない作品であったのだが、こんなにも魅力的な音楽だったことを、この演奏で初めて知った。もちろん、ライヴゆえの瑕は多々あるし、録音だって褒められたものではない。しかし、全編に満ちている音楽の香りは、それらを補って余りある。

もう1枚は、クレーメルによるグバイドゥーリナ作品集。発売当時は随分と話題になった盤であり、DGということもあっていつでも手に入るだろうと油断していたら、いつの間にか店頭では見かけなくなっていた。盤面の状態は優れなかったが、その分安かったし、とにかく楽曲を一度は聴いてみたかったので、迷わず購入。このアルバムについては、クレーメルが自伝(『クレーメル青春譜』アルファベータ,2007)の中でも語っているが、確かに作品、演奏共に素晴らしい内容である。独自の響きと、時に暴力的なまでの力強さ、そして不思議に透き通った音楽世界が印象的で、クレーメルの自在な演奏はそれらを余すところなく表出し切っている。

最後に、フル・プライスで購入するのに躊躇していたショスタコーヴィチ作品のCDが廉価で並んでいたので、これもこの機会に購入してしまった。ところが、これが案外悪くない内容で、かなりのお買い得感があった。スクリャービンにはやや薄く、ショスタコーヴィチにはやや濃い、といった感じだが、強烈な個性を感じさせないながらも美しく端正な仕上げには好感が持てる。

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N響アワー「名演バティアシュヴィリ」

  • N響アワー「名演バティアシュヴィリ」 (ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、交響曲第10番より第4楽章) バティアシュヴィリ (Vn) ジンマン、アシケナージ/NHK交響楽団 (録画 [NHK-ETV (2009.11.8)])
  • 樫本大進 無伴奏バイオリン・リサイタル(ジェミニアーニ:12の無伴奏ヴァイオリン・ソナタより変ロ長調、バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番よりルール、ガヴォット) 樫本大進 (Vn) (2007.3.9 録画 [NHK BS-hi (2009.11.9)])
5月9日の記事で取り上げたバティアシュヴィリによるショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲が、N響アワーで放送された。改めて素晴らしい演奏だと感嘆。引き締まったフォルムの中に迸る、地に足のついた骨太で力強い音楽の流れが、聴き手の心を鷲掴みにして離さない。こういう演奏こそ、生で聴きたかったと思う。ただ、あぁいうブラヴォーは、いい加減に何とかならないのかと思う。「俺って、こんな曲も知ってるんだぜ」と言いたいだけの、痰が絡んだ汚い叫び声を上げる権利など、入場料の中には含まれていない。そんなに叫びたいのなら、同じN響でも「Music Tomorrow」みたいな現代作品の演奏会で(できるものなら)やればいい。難解な現代曲に対する造詣の深さと、演奏会を盛り上げようとするその姿勢に、きっと会場中から賞嘆してもらえるに違いないだろう。

番組の残りは、アシケナージがN響の音楽監督に就任した直後の演奏会から、交響曲第10番の第4楽章。この演奏、聴いたことがあるような気がしていたが、どうやらまともに聴くのは初めてのようだ。この楽章だけを取り出して演奏内容を云々するつもりはないが、大事なところで吹き損じる金管ほど興醒めなものはない。

10月26日にNHK教育テレビで放送された「テレビでドイツ語」に、樫本大進がゲスト出演しているのを、偶然見かけた。その翌週と合わせて2回の出演で、それぞれJ. S. バッハの無伴奏パルティータ第3番からルールとガヴォットを余興演奏していた。これが、寛いだ雰囲気の中にも大きなスケールを感じさせる、とても素晴らしい演奏だった。タイミングよく、NHK BS-hiで彼の無伴奏リサイタルが放送されたので、録画視聴した。これは、演奏会後間もなく地上波の「芸術劇場」で全曲が放送された記憶があるが、今回放送されたのは、演奏会後半の2曲+アンコールのみ。ちなみに前半は、J. S. バッハの無伴奏パルティータ第3番とイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番であった。ジェミニアーニの曲は、クレーメルのレコードで聴いて気に入り、自分でもぼちぼちと練習している曲なので色々と勉強になったが、もちろんバルトークも立派な演奏で感心した。やはりリサイタルでは力が入るのか、先の余興演奏のような恬淡とした雰囲気には欠けるが、これから歳月を重ねてこの辺りのバランスがとれた時、さらに偉大な演奏家となるのだろう。

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ボイコの狂詩曲集……のはずが……


  • ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲、ピストン:ピアノ五重奏曲 E. ノートン (Pf) ジュリアードQ J. ハリス (Pf) ニュー・ミュージックQ (American Federation of Musicians CB 158-159 [LP])
  • ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ、シャブリエ:絵画的小曲集より第10曲「スケルツォ=ヴァルス」、第6曲「牧歌」、気まぐれなブーレ、シューベルト:感傷的なワルツより、高雅なワルツより、カヴァリ:Danza de las labradoras valencianas、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より第2、14、24番 A. イタービ (Pf) (RCA Victor LM-1975 [LP])
  • グラズノーフ:プーシキン生誕100年記念カンタータ、S. タネーエフ:プーシキン記念館の除幕のためのカンタータ、バラーキレフ:グリーンカ記念碑の除幕式のためのカンタータ、グラズノーフ:2つの前奏曲 ドルハーノヴァ (MS) オルフェノフ (T) レゴスターエヴァ (MS) A. コヴァリョーフ、M. ユロフスキイ/モスクワ放送SO、Cho. (Melodiya 33 CM 03559-60(a) [LP])
  • A. カップ:歌曲集、スヴィリードフ:Русская песня、A. プーシキンの詩による6つの歌曲より第2曲、Любовь、Ворон к ворону летит...、M. レールモントフの詩による8つの歌曲より第4、7、3曲 Mati Palm (B) Peep Lassmann (Pf) (Melodiya C10 28159 009 [LP])
  • ボイコ:グツール狂詩曲、カルパチア狂詩曲、ヴォルガ狂詩曲、ジプシー狂詩曲 A. コールサコフ (Vn) D. サーハロフ (Pf) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SO (Melodiya 33 C10-12931-32 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から5枚が到着。

ジュリアードQによるショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲は、1999年にもブロンフマンとの共演で録音されているが、本盤は1952年に初代メンバー(ロバート・マン、ロバート・コフ、ラファエル・ヒリヤー、アーサー・ウィノグラード)で行われた録音である。一人も奏者が共通していないので、団体名は継承されているにせよ、全くの別団体と考えてよいだろう。速めのテンポにも関わらず、濃い口の歌い回しゆえに、不思議と素っ気なさはあまり感じられない。ただ、ライヴ録音とはいえ、第1楽章の終わりでアンサンブルが派手に乱れるなど、全体に荒っぽい仕上がりなのが気になる。併録のピストン作品(別団体による演奏)は、いかにもな新古典主義風の楽曲で、ミヨーのような響きが心地好い。ライヴ録音ということもあって録音状態はそれほど優れないが、肩肘張らずに楽しめる音楽の雰囲気は十分に味わうことができる。

イタービのアルバムは、舞曲的な性格を持ったピアノ小品を集めたもの。ヴァレンシア生まれの奏者だけに、シャブリエやカヴァリといった作曲家の作品が取り上げられているのも楽しい。いささか古めかしさを感じさせる録音ではあるが、演奏そのものは手堅く、過不足なく楽しむことができる。ただ、ショスタコーヴィチについては、少々表情付けが過多なようにも感じられた。

“Musical Memorials(音楽の記念碑)”と題されたアルバムは、その名の通り、ロシアの有名な文化人の記念や追悼を意図して書かれた作品を集めたもの。このような作品群が、後の“社会主義リアリズム”的な体制賛美の楽曲の雛型になったのであろう。作曲者の個性を窺うことはできるが、外面的な華やかさの割に面白味はそれほど感じられない。中では、本盤中唯一の純器楽曲であるグラズノーフの2つの前奏曲(それぞれスターソフとリームスキイ=コールサコフを追悼したもの)が確かな聴き応えを持つ充実した音楽であり、特に印象に残った。

A. カップは、エストニアの作曲家。歌手もエストニア人で、ジャケットの解説もエストニア語というアルバムは、豊かで伸びやかなバスの声質が素晴らしい。A. カップの歌曲は10曲が収録されているが、歌詞も含めて作品の素性はわからない。ただ、独特の抒情を湛えながらも澄んだロマンを感じさせる雰囲気は、とても魅力的である。一方のスヴィリードフ作品は7曲が収録されている。今回初めて聴いた作品は2曲だけであったが、やはりスヴィリードフの歌曲は良い。

最後は、ボイコが自身の民族性を強く意識して作曲した4曲の狂詩曲集である。グツール(東カルパチア山脈に住むウクライナ人のこと)、カルパチア、ヴォルガ、ジプシーといった、いかにもな名前に期待が膨らみ、わくわくしながら針を落としたのだが…………ジャケットと中身のLPが全くの別物。しかも、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」(K. ザンデルリンク指揮)の1枚目という、中途半端極まりないもの。この1枚のために送り返したりするのも面倒だが、もしかしたら、フィガロのセットを購入した人の対応次第で正しい中身が入手できるかもしれないし、でもやっぱり面倒だし…… せっかく盛り上がった気分が台無し。

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ショスタコーヴィチ:交響的断章(未完)の総譜


  • ショスタコーヴィチ:交響的断章(未完), DSCH, 2008.
  • ショスタコーヴィチ:2台のピアノのための小協奏曲 作品94, DSCH, 2007.
  • ショスタコーヴィチ:ポルカ 作品22-30(バレエ「黄金時代」より), DSCH, 2007.
  • ショスタコーヴィチ(H. グリークマン編):3つの幻想的な舞曲 作品5, DSCH, 2007.
  • Дмитрий Шостакович: Исследования и материалы. Вып. 2, DSCH, 2007.
10月10日の記事で取り上げた、ショスタコーヴィチの交響曲断章(1945年)のスコアが届いた。早速、序文を読んでみたのだが、証拠の多く(たとえば、五線紙の種類とか、インクの種類とか)は素人が検証し得る範疇を超えているものの、様々な状況証拠だけでも、この未完の断片が交響曲第9番の初稿に違いないという論述には十分な説得力がある。「近年になって発見された、交響曲第9番として書き始められたと思われる、未完の断片」というのが、このスコアに対する呼称として(現時点では)適切だろう。スコアそのものについては、やや単純ながらも鮮やかな楽器法と、有無を言わさぬ推進力が印象的で、展開部の開始部分で筆が止まっているのは、いかにも残念。せめてこの楽章だけでも完成させて欲しかった……いやいや、やはり当初の構想通り、合唱入りの終楽章まで実現して欲しかった……などと、夢想ばかりが膨らんでしまう。ちなみに、フィッツ=ジェラルド盤はスコアの最後の部分に数小節の終結部(?)を付加していた。世界初演時のロジデーストヴェンスキイがどのように処理したのかは分からない。

さて、せっかく楽譜を取り寄せるのに、この1冊だけでは送料がもったいない。ついでに、同じDSCH社の楽譜の内、普及版(ペーパーバック)の数冊を適当に追加注文した。少し気になったのが「コンチェルティーノ」。全音出版社などから出版されている旧選集準拠の楽譜と音型が違う箇所がある(1st Pf:111小節、1st Pf:201小節)。丁寧に比較対照したわけでないので他にもあるかもしれないが、少なくともこの2箇所については明らかに音型が異なる。ショスタコーヴィチ父子による自作自演では、旧選集版と同じ音型が演奏されており、原典版(DSCH社の性格からして、そうでなくてはならないだろう)にはどのような根拠があるのか知りたいところだ。残念ながら、普及版には校訂報告はなく、この疑問を解決するには全集第113巻の出版を待つしかないのだろう。ちなみに、単純な記譜違いもある(1st Pf:244小節の2拍目裏のリズム)。

『研究と資料集』とでも訳したらよいのだろうか、DSCH社から刊行されている書籍の第2巻も購入。第1巻の方は、ショスタコーヴィチの備忘録などが掲載されていて非常に興味深い内容なのだが、第2巻は主として研究論文集である。ショスタコーヴィチ初期の映画館でのアルバイト時代の話題や、サッカーへの傾倒ぶりに関する話題、アサーフィエフがショスタコーヴィチについて語った論文や、メイエルとの書簡集など、なかなか興味深い内容となっているが、何せロシア語なので、まだまともに読んではいない。それはともかく、第1巻をどうしたら入手できるのか、未だ手がかりがない。何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうか教えてください。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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