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『クラシック迷宮図書館(片山杜秀の本 3)』


  • 片山杜秀:クラシック迷宮図書館(片山杜秀の本 3), アルテスパブリッシング, 2010.
2008年11月25日の記事で紹介した「片山杜秀の本」シリーズの続編が出版された。もっとも、事前にそれを知っていたわけではなく、帰宅途中で立ち寄った書店で偶然に見つけたのだから、出版され“ていた”と言うべきか。いずれにしても、部屋中に山と積まれた書籍に埋もれた著者が微笑みかける表紙写真を見たら、嫌でも手に取らざるを得ないというものだ。

紹介するものが書籍であれ音盤であれ、少し遠いところから搦め手で論述を進めてくる片山節は相変わらず。また、取り上げている書籍の傾向もはっきりしていて、それは僕の関心とは微妙にずれているのだが、片山氏の“余談”(だが、書籍の主題と深くリンクしている)が滅法面白いので、飽きることなく、そして一気に読み通してしまった。

難点は、この書評を読むだけで十分満足してしまうので、肝心の本を読まずに済ましてしまいそうなことだ。

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theme : クラシック
genre : 音楽

スウィトナーを偲ぶ

  • N響アワー「名誉指揮者・スウィトナーをしのぶ」 (ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲、ブラームス:交響曲第3番) スウィトナー/NHK交響楽団 (録画 [NHK-ETV (2010.2.7)])
  • 父の音楽 ~指揮者スウィトナーの人生~ (録画 [NHK-BS1 (2010.2.15)])
年明け早々の1月8日に、スウィトナーの訃報に接した。クラシック音楽を熱心に聴き始めた頃、N響への客演で彼の名前を知り、実に愚かなことだが、それゆえに彼の音楽家としての真価を長らく見誤っていた。サヴァリッシュについてもそうだったが、日本のオーケストラに頻繁に客演するというのは、“その程度”なんだと思い込んでいた。何とも冴えない彼の容姿も、その印象に拍車をかけたのだと思う。後に、愚かな僕も、スウィトナーが真に尊敬に値する音楽家であることを知った。しかし、その頃には既に彼は引退していた。

追悼番組で流れた1988年と翌89年の映像は、懐かしさと同時に、今まで気付くことのなかったスウィトナーの音楽の素晴らしさが極めて印象的なものだった。とりわけ、ブラームスの第3番。この交響曲は僕の大好きな作品で、とりわけ第2楽章の結尾部はブラームスの全作品中でも断トツに好きだったりする。スウィトナーの指揮ぶりは拍子抜けするほど淡々としているが、それでいて雄弁かつ熱い音楽がオーケストラから迸るのには、ただただ圧倒された。これぞ音楽、という手応えと充足感のある、偉大で素晴らしい演奏であった。N響も、特に金管陣が好調で、見事な出来。皆、若かったということか。

その一週間後、今度はスウィトナーの息子が制作したドキュメンタリーが放映された。これは、健康上の理由で引退してから随分と時を経た、スウィトナー最晩年の姿が記録された貴重なもの。いずれも断片ではあるが演奏シーンも数多く、昔かぶとやま交響楽団の第19回定期演奏会で演奏したデッサウの「交響的変態」には、思わず目が釘付けになったりもした。

しかし、このドキュメンタリーの凄さは、そうした名指揮者の足跡を辿る部分にあるのではない。監督であるスウィトナーの“息子”とは、スウィトナーが“愛人”に産ませた子供なのだ。スウィトナーは、生まれてからずっと西側で生活していたにもかかわらず東ドイツでキャリアを築き、プライヴェートでは妻と愛人のどちらも愛し続けた。この奇妙な、いや異常な歪みを理解することは、少なくともドキュメンタリーを見た程度では不可能だ。

結局のところ、このドキュメンタリー、ましてやスウィトナーの人生について、何かをコメントすることなど、僕のような凡人にはできやしないし、またするべきでもないのかもしれない。番組の最後で、スウィトナーは再び指揮台に立ち、モーツァルトの交響曲第39番と、J. シュトラウスのポルカ「とんぼ」を振る。その姿と音楽は、とても、とても感動的である。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Suitner,O.

【YouTube】フレーンニコフ色々

ショスタコーヴィチをはじめとするソ連の作曲家に関心を持つ者ならば、“悪役”として知らぬ者はいない“大物”作曲家が、フレーンニコフである。確かに、彼の政治力がソ連音楽界で抜きん出ていたことを示す記録や証言は、枚挙に暇がない。しかしその一方で、彼がどんな作曲家であったかということは、ほとんど知られていないと言ってよいだろう。少々マニアックな傾向がある(わが国の)クラシック音楽ファンでも、スヴェトラーノフが指揮した交響曲全集や、レーピンやヴェンゲーロフ、キーシンらの独奏による協奏曲、そして赤軍合唱団(アレクサーンドロフ・アンサンブル)の歌ういくつかの大衆歌曲、辺りを知っている程度ではないだろうか。実際、これらのCDですら、店頭にいつでも並んでいる訳ではなく、ましてや実演で聴く機会など皆無に近い。

結局のところ、作曲家を知るにはその作品を知るのが一番なわけで、こういう時にYouTubeというのは、とてもありがたい。国際的にはほとんど知られていなくても、ロシア国内ではそれなりに演奏されているようで、そうしたライヴ映像がいくつかアップされている。演奏頻度の違いには、もちろん楽曲の質や内容の問題もあるだろうが、何よりも楽譜の入手し易さというのが大きく影響しているのかもしれない。

まずは、その名前からフレーンニコフの孫ではないかと想像される演奏者による、ピアノ作品。指の体操的な無窮動風のパッセージは、フレーンニコフの器楽作品に典型的なもの。技術的に征服するという悦びが演奏者にはあるのかもしれないが、聴き手にはさして訴えかけるものがない。

フレーンニコフ:ピアノのための5つの小品
フレーンニコフJr.(2009年1月19日 中央音楽学校コンサート・ホール)


チェロ・ソナタは、1989年、すなわちフレーンコフ76歳の時の作品である。94歳まで生きたフレーンニコフにとっては、晩年というよりは円熟期とでもいった方が相応しい、大柄な歌心に満ちた、なかなか聴き映えのする作品である。

フレーンニコフ:チェロ・ソナタ
A. ピャザンツェフ (Vc)、T. ピャザンツェヴァ (Pf) (2008年6月15日 中央音楽学校コンサート・ホール)


木管楽器のための小品は、おそらくチェロ・ソナタ同時期の作品と思われるが、少し凝り過ぎているようにも感じられ、全体に中途半端などっちつかずの印象が強い。楽しかったり美しかったりする箇所も少なくないだけに、少し惜しいような気もする。

フレーンニコフ:フルート、オーボエ、ピアノのための三重奏曲
ヴェニョフツェフ (Fl)、パイソフ (Ob)、シチェルバコヴァ (Pf) (2008年6月15日 中央音楽学校コンサート・ホール)


第8回チャイコーフスキイ国際コンクール(1986年)のオープニング・ガラ・コンサートは、レーピン、ヴェンゲーロフ、キーシンといった3人の神童の凄演で話題になった。僕はレーピンとキーシンの2人と同い年なので、随分と関心を持ってニュース等を見ていた記憶がある。そこでレーピンが演奏したのが、フレーンニコフのヴァイオリン協奏曲第1番。その演奏は、かつてYouTubeにアップされていたのだが、かなり前に削除されてしまったようだ。このさらに数年前、レーピンが12歳だった頃のドキュメンタリー映像の一部に、同じフレーンニコフの協奏曲の終楽章(一部)の演奏姿が収録されている。トッカータ風の、ただひたすら忙しなく動き回るようなパッセージを、いとも容易く弾き切る様には圧倒される。もっとも、この動画で最も圧倒的なのは、若きブロン先生の鬼教師ぶりだが。この他に収録されている楽曲は、ヘンデルのトリオ・ソナタ ト短調 作品2-6とパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章。

レーピン(12歳)


こうしたシリアスな作品も悪くはないのだが、肩の力が抜けたお気楽な大衆歌謡の方に、フレーンニコフの魅力が発揮されているようにも思える。名バス歌手のギャウロフが十八番にしていた「酔っ払いの歌」は、とにかく愉しい。YouTubeには2種類の動画があるが、どちらもアンコールで歌われたもののようだ。フェドセーエフ率いるオーケストラが充実している2002年の映像は、最晩年のフレーンニコフの姿も見ることができる。一方の1995年の来日公演の映像は、何より歌詞の対訳が嬉しい。どちらも貫禄の歌唱である。

フェドセーエフ/モスクワ放送SO
(2002年10月5日 モスクワ音楽院大ホール)
V. ギャウロフ/東京PO
(1995年11月2日 昭和女子大学人見記念講堂)
フレーンニコフ:酔っ払いの歌(劇音楽「から騒ぎ」より)
N. ギャウロフ (B)


この手の歌謡曲を、6~70年代に人気のあったアゼルバイジャンの歌手、マゴマエフが歌った「フレーンニコフ作品の夕べ」の動画もある。オーケストレイションは恐らくフレーンニコフ自身によるものではないだろうが、さすがは作曲家同盟書記長。広く人民の心に訴えかける大衆性を持った、能天気で魅力的な歌ばかりである。交響曲や協奏曲といった作品群でショスタコーヴィチなどと比較しているだけでは、フレーンニコフという作曲家の姿を見誤ってしまうだろう。

映画音楽「ルスランとリュドミラ」より「レペレティエの歌」(劇音楽「遠い昔」より)
「真実の友人たちの歌」(映画音楽「真実の友人たち」より)「モスクワの窓」
「サワグルミのロマンス」(映画音楽「真実の友人たち」より)「夜は揺れて」(劇音楽「から騒ぎ」より)
「フレーンニコフ作品の夕べ」
マゴマエフ (歌)(1973年)


映画音楽は、やはり映画のシーンの中で聴きたいところ。以下の3つの動画は大祖国戦争前後の愛国的な映画からの抜粋だが、この独特の雰囲気がたまらない。音楽的以外の要因で楽しんでいるという自覚は、もちろん持っていますが。

「立ち上がれ、厳しき戦いに」(映画音楽「戦争の後の午後6時」より)
「友よ、歌おう!」(映画音楽「東方面に行く列車」より)「学生の歌」(映画音楽「東方面に行く列車」より)

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Khrennikov,T.N.

【YouTube】ハチャトゥリャーン:ピアノ協奏曲(オボーリン独奏)

YouTubeに、貴重な動画がアップされていた。ハチャトゥリャーンのピアノ協奏曲の、初演者オボーリンによる演奏である。第1楽章の終了後に拍手を浴びて舞台袖へと歩いていく様子から、ガラ・コンサートのような場での収録なのだろうか。第1楽章しかないのが甚だ残念ではあるが、オボーリンの演奏姿が観られるだけでも十分に価値がある。

華やかな色彩感よりは、地味ながらも滲み出てくるようなロマンティシズムに、この演奏の魅力がある。今となっては古めかしいスタイルの演奏だが、この作品の内容を存分に引き出した、規範たる名演である。

第1楽章(1)第1楽章(2)
ハチャトゥリャーン:ピアノ協奏曲
オボーリン (Pf)、コンドラーシン/モスクワPO

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Khachaturian,A.I.

【YouTube】プグリエーセ&ピアソラ「Finally Together」

1989年6月26日にアムステルダムで行われたプグリエーセ楽団とピアソラ・セステートとの共演は「Finally Together」という名盤に収録されているが、その映像がYouTubeにアップされていた。字幕などから、おそらくは当時、オランダで放送されたものなのだろう。僕が見つけたのは、次の5つ。「リクエストによる埋め込み無効」なので、リンクを張っておく:
最後のアディオス・ノニーノは、あちこちがごっそりとカットされていて残念だが、あまり贅沢を言っては罰が当たる。演奏については、今さら言葉を重ねる必要はないだろう。必ずしも評価が高いとは言えないセステートだが、ここで繰り広げられている演奏は、この編成あるいはこのメンバーの真価が存分に発揮されたもの。

それにしても、このアディオス・ノニーノの最後のクライマックスには、何度聴いても激しく心が揺さぶられる。ガンディーニのカデンツァは正直あまり好きじゃないが、それ以外はピアソラが演奏した同曲のベストと言って良いかもしれない。

theme : ワールド・ミュージック
genre : 音楽

tag : Tango_Piazzolla,A.

フルニエのショスタコーヴィチ・スヴェトラーノフの作品集


  • ドビュッシー:チェロ・ソナタ、マルティヌー:チェロ・ソナタ第1番、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ フルニエ (Vc) フォンダ (Pf) (CBS SBRG 72613 [LP])
  • スヴェトラーノフ:弦楽四重奏曲、ハープと弦楽合奏のためのロシア風変奏曲 モスクワ・フィルハーモニーQ トルスタヤ (Hp) スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立SOソロイスツ・アンサンブル (Melodiya 33 C 10-10711-12 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、今回は2枚が届いた。

フルニエのアルバムは、著名奏者によるメジャー・レーベルへの録音であるにもかかわらず、不思議と今まで入手する機会に恵まれなかったもの。フルニエの全録音中でどのような位置を占めるのかは知らないが、色合いの異なる3曲を見事に弾きこなし、やや濃いめの、それでいて品のある情感に満ちた、独特の温かみが印象的な演奏となっている。少々ロマンティックに過ぎるショスタコーヴィチよりも、熱い共感が感じられるマルティヌーに惹かれた。友人の作品であり、またフルニエ自身に献呈された曲でもあるだけに、当然といったところか。

リストの中でふと目にとまったのが、スヴェトラーノフの作品集。作曲家スヴェトラーノフの作品を聴くのは、ボリショイ劇場のヴァイオリン・アンサンブルによる「アリア」を除くと、これが初めてとなる。弦楽四重奏は、冒頭でショスタコーヴィチの第3番を想起させるものの(同曲が初演されて間もない時期に作曲されている)、曲が進むにつれて、もろにミャスコーフスキイの刻印が強くなっていく。感傷的で歌謡的な旋律にスヴェトラーノフの特質を見出すことはできるが、全体的にはミャスコーフスキイの亜流といった印象。後にショスタコーヴィチQと改名する四重奏団の演奏は、ごく手堅いもの。変奏曲の方は、民族楽器グースリ(ロシアのツィター)の演奏から着想されたらしい。こちらはチャイコーフスキイの弦楽セレナーデのような響きで始まる。弦楽四重奏曲と同様に、響きや楽想に個性的なものはあまり認められず、もっぱら甘さのある旋律線に特徴があると感じられた。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Svetlanov,E.F.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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