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【YouTube】シニートケのチェロ曲

ロストロポーヴィチやグートマン、イヴァーシキンなどの名チェリスト達が周りにいたせいか、シニートケの作品リストの中にはチェロのための作品も少なくない。中でも演奏頻度が高いのは、中期の傑作チェロ・ソナタ第1番だろう。初期作品に顕著な、うねるような音響の暴力的なまでの力強さはやや後退し、鎮魂歌風の深く沈むような緊張感を持った独特の雰囲気が、この時期の作品群に共通する特徴である。

ショスタコーヴィチの後期作品に連なるロシア音楽の香りが強い楽曲だが、シフとP. グルダというウィーンの音楽家達の手にかかると、意味ありげな雰囲気よりもメロディアスな魅力の方が前面に出て、その美しさが際立つ。

第1楽章第2楽章
第3楽章
シニートケ:チェロ・ソナタ第1番
シフ (Vc)、P. グルダ (Pf)


1994年に、自身が主催するチェロ・コンクールの課題曲としてロストロポーヴィチがシニートケに委嘱して作曲されたのが、チェロ即興曲である。シニートケの健康状態もあって、この時期以降の作品は極めて数が少なく、この曲も実質的に最晩年の作品と言って構わないだろう。

技術的に至難であることは一聴してすぐ分かるが、音楽に技巧的な要素は皆無で、即興曲という名の通り自由な形式で書かれた楽曲だけに、ある種の捉えどころのなさを感じてしまう。何度も聴き重ねていく中で、その音楽世界に馴染んでいくことが必要なのかもしれない。若手奏者のI. ルビンシテーインは、見事な技術をもって端正に音楽を作っており、非常に立派で好感の持てる演奏を繰り広げている。

シニートケ:チェロ即興曲 I. ルビンシテーイン (Vc)


シニートケといえば「多様式主義」という言葉がすぐに連想されるが、「古風な形式による組曲」もそうした作品の一つとして、広く知られた楽曲と言ってよいだろう。ヴァイオリンとピアノの二重奏が当初の編成だったが、その後シニートケ自身の手で様々な編成用に編曲されている。僕はヴィオラ・ダモーレと室内アンサンブルのヴァージョンを好んでいる。

チェロとピアノの二重奏用編曲は、シニートケ自身ではなく、シャフラーンによるものである。YouTubeには、そのシャフラーン自身による演奏の映像がアップされていた。2種類の動画があるが、収録曲に重複はない。残念ながら、第1曲「牧歌」はなかった。僕は、シャフラーンの音色や弾き方があまり好きではないが、この曲を楽しむ上でさしたる不満はない。

シニートケ(シャフラーン編):「古風な形式による組曲」より「バレエ」
シャフラーン (Vc)、不明 (Pf)
シニートケ(シャフラーン編):「古風な形式による組曲」より「メヌエット」「フーガ」「パントマイム」
シャフラーン (Vc)、A. ギンスブルグ (Pf) (1982年 モスクワ音楽院大ホール)
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【録画】エルサレムQ&アトリウムQのショスタコーヴィチ

  • エルサレム弦楽四重奏団 リサイタル (1)(ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番、ボロディン:弦楽四重奏曲第2番より第3楽章、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏のための2つの小品より「ポルカ」) エルサレムQ (2008.2.17 録画 [NHK BS-2(2010.3.9)])
  • アトリウム弦楽四重奏団 演奏会(ボロディン:弦楽四重奏曲第2番より第1、2楽章、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第5番、弦楽四重奏のための2つの小品) アトリウムQ (2009.10.5 録画 [NHK BS-hi(2010.3.11)])
3月第2週のNHK BSで、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲が、立て続けにオンエアされた。まずは、エルサレムQの演奏会から。この団体が演奏するショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の音盤は聴いたことがある(2009年7月8日の記事)が、この映像でもその印象と大きく異なることのない、手堅くも楽曲に対する深い共感が感じられる演奏を楽しんだ。ショスタコーヴィチの「ポルカ」は、彼らの表情付けは僕にとっていささか濃い目ではあるものの、愉悦感が溢れる好演であった。

アトリウムQも、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を収録した音盤で聴いたことがあり(2007年9月10日の記事)、やはりそれと同様の印象であった。ヴァイオリンが曲によって交代するのは、僕はあまり感心しないのだが、少なくともアンサンブルや全体の音楽づくりが大きく変化することはなさそうだ。第5番の実演、ましてや映像は珍しいと思うが、単にそうした稀少価値に留まらない、やや軽量ながらも立派に洗練された、充実の秀演と感じた。敢えて言うならば、長大なクライマックスの表現がやや一本調子だったようにも思われたが、少なくとも映像で視聴している限りにおいては、十分に満足できた。アンコールは「2つの小品」だったが、演奏は「ポルカ」→「エレジー」の順。当初からこの予定だったのか、「ポルカ」だけで終わらすつもりが予定外に「エレジー」まで披露したのかは、よく分からない。ただ、この「エレジー」はあっさりし過ぎていて、雰囲気が損なわれていたのが残念。

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スヴィリードフ:「困難な時代に」「夜の雲」

  • スヴィリードフ:劇音楽「皇帝ヒョードル・イヴァノーヴィチ」より3つの合唱曲、合唱のための協奏曲「プーシキンの花輪」、「困難な時代に」、合唱カンタータ「夜の雲」 ラストヴォローヴァ/モスクワ新合唱団 (alto ALC 1029)
  • 「Melhores Momentos de Chico & Caetano(シコとカエターノの最良の機会)」 V.A. (SOM LIVRE 2132-2)
HMV ONLINEでCDを3点購入。ただし、1つは10枚組BOXなので、それ以外の2枚を先に聴く。

スヴィリードフの合唱曲集は、ブロークの詩につけた「困難な時代に」と「夜の雲」の2曲が目当てで購入したもの。どちらも名作「さまようロシア」などと同時期の作品で、歌謡性と独創的な響きとが自然に共存した、スヴィリードフらしい味わい深い音楽である。特に「困難な時代に」の音楽世界は、僕の大好物。必ずしも洗練された演奏とは言えないが、こうした作品の魅力は十分に表出されている。非常に廉価であることも考えると、この手の音楽が嫌いでさえなければ満足度の高いアルバムだと思う。

HMVジャパン


『シコとカエターノの最良の機会』というアルバムは、ブラジルのTV番組「シコとカエターノ」で披露されたゲスト達の演奏の中から、目ぼしいものを集めたもの。この番組でピアソラ・キンテートが演奏した映像については、1月11日の記事http://dsch1975.blog75.fc2.com/blog-entry-392.htmlで紹介したばかり。この時の「アディオス・ノニーノ」が収録されたCDを未入手だったことを思い出し、文字通りコレクションのために購入したもの。上述の映像と同様に、冒頭のピアノのカデンツァは収録されていない。さらに、録音機材のトラブルでもあったのか、途中からヴァイオリンの音がほとんど聴きとれなくなっている。ピアソラ・ファンにとっては、完全にコレクターズ・アイテムであり、わざわざ探してまで手に入れる必要はないだろう。その他の収録曲は、いずれもゴキゲンなものばかりで、アルバムとしてはそう悪いものではない。

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【YouTube】シニートケ:ヴァイオリン協奏曲第4番

合奏協奏曲とは異なり、シニートケの協奏曲作品はほとんど聴いたことがない。CDやLPのカップリングの関係で「ピアノと弦楽のための協奏曲」だけは5種類も棚にあったりするが、それ以外はヴァイオリン協奏曲第3番とチェロ協奏曲第1番しか持っていない。

だから当然、このヴァイオリン協奏曲第4番も初体験。“弾いたふり”をする視覚的カデンツァ(?)の話はどこかで耳にしたような気もするが、それがこの曲だったことすら、この動画を見て初めて気付いたくらい。

こうしたパフォーマンス的な要素をどう咀嚼したらいいのか、ということも含めて、楽曲の内容を理解するには全く至らないが、とりあえず鳴り響く音だけとってみても、実に美しい傑作である。唐突に異空間に連れ去られるような冒頭から、単純に形容できない苦みをもった美しい終末への流れは、まさにブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」の世界。

ロジデーストヴェンスキイ親子の演奏は、作品、そして作曲者に対する尊敬と共感が強く感じられる、真摯で格調の高い熱気をはらんだもの。

第1楽章第2楽章~第3楽章(1)
第3楽章(2)第4楽章(1)
第4楽章(2)
シニートケ:ヴァイオリン協奏曲第4番
A. ロジデーストヴェンスキイ (Vn)、G. ロジデーストヴェンスキイ/不明

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【YouTube】シニートケ:合奏協奏曲第2&6番

架蔵しているシニートケ作品の音盤は数えるほどしかないが、交響曲と合奏協奏曲は、タイトルに番号が入っているせいだろうか、妙に欠番が気になったりする。合奏協奏曲の中で一度も聴いたことがなかった2曲が、都合の良いことにYouTubeにアップされていたので、手始めにこれらから聴き始めることにする。

第2番は、学生時代に京大生協(西部講堂の横にあった店舗)のCDコーナーで見かけて買おうかどうしようか散々迷った挙句に購入を見送って以来、どうも縁の薄い作品である。余談だが、僕が入学した当時の京大生協のCDコーナーは、今は亡き新世界レコード社の帯がついたMelodiya盤やOlympia盤が数多く並んでいて、街中のCD屋とは一線を画した充実の品揃えだった。教養時代の吉田キャンパスの生協には、書籍の「品揃え要求カード」という、とりあえず店頭に並べてもらって中身を確認してから購入できる、素敵なシステムもあった。「中國武術大全(民明書房)」なんてふざけた要求を出した学生もいたのも、懐かしい想い出だ(あの頃は、『魁!!男塾』が流行っていた)。

話を戻そう。シニートケの合奏協奏曲には、独奏者の名技を際立たせる協奏曲的な要素よりは、全体が一つの合奏体となっているような室内楽的な要素が強いように感じられる。独奏が活躍する華麗な印象を持つ第2番も、曲の終わりに向けて収斂していく様は密度の高い室内楽そのもの。錯綜した音楽を的確にまとめあげるギーレンの手腕はさすが。テツラフとシフの独奏には仄かな甘さが漂っていて、作品の抒情的な特質が自然に表出されている。

第1楽章第2楽章
第3楽章第4楽章
シニートケ:合奏協奏曲第2番
テツラフ (Vn)、シフ (Vc)、ギーレン/バーデン=バーデン・フライブルクSWR SO
(1993年8月28日 クンストハウス、ルツェルン)


第2番の鮮烈さの前では、第6番はいかにも地味だ。ただ、僕はこういう音楽が好きだったりもする。冒頭からのピアノ・ソロなどは技術的な難易度が高いように見受けられるが、それでいてオーケストラに埋没?同化?してしまっている辺りに、シニートケが合奏協奏曲という形態で実現しようとした響きの真骨頂があるようにも感じられる。クレーメルらの演奏は、もちろん素晴らしい。

(1)(2)
シニートケ:合奏協奏曲第6番
クレーメル (Vn)、アウエルバッハ (Pf)、クレメラータ・バルティカ
(2004年10月 モスクワ)

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【録画】室内楽もろもろ

  • パノハ弦楽四重奏団 演奏会(フィビヒ:弦楽四重奏曲 作品8-2、ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番) パノハQ (2009.12.5 録画 [NHK BS-2(2010.3.8)])
  • カルミナ弦楽四重奏団 室内楽コンサート(バルトーク:弦楽四重奏曲第2番) カルミナQ (2009.6.13 録画 [NHK BS-hi(2010.3.10)])
  • パノハ弦楽四重奏団 室内楽コンサート(ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76-5、グルック:バレエ組曲「ドン・ファン」より「ピチカート」) パノハQ (2009.12.5 録画 [NHK BS-hi(2010.3.10)])
  • ポール・メイエ クラリネット・リサイタル(ブラームス:クラリネット・ソナタ第1番、シューマン:幻想小曲集より) メイエ (Cl) ル・サージュ (Pf) (2009.2.24 録画 [NHK BS-hi(2010.3.9)])
  • 第1回東京国際ヴィオラコンクール ガラ・コンサート(ドルジーニン:2本のビオラのためのデュオ) 店村眞積、今井信子 (Va) (2009.5.25 録画 [NHK BS-hi(2010.3.9)])
3月の第2週は、NHKのクラシック番組で室内楽が集中的に放映された。せっかくなので、まとめて録画視聴してみた。

パノハQの演奏会は時間の都合で2回(1回半?)に分割されていたが、曲の面白さでフィビヒ&ドヴォルザークの方が見応えがあった。もっとも、フィビヒの四重奏曲が“珍しい”という意味で“面白い”だけで、隠れた名作!というほどの衝撃があったわけではない。一部では根強い人気を持っているフィビヒだが、有名な「詩曲」は真に魅力的な音楽だと思うものの、他に交響曲を2曲聴いた限りでは、僕にはあまりピンとこなかった。この弦楽四重奏曲も、そう。細かく書き込まれたうねるような音型がいかにも後期ロマン派風のこってりとした味わいを醸し出し、そこに郷愁をそそる抒情が程良く繰り広げられる、いわば国民楽派のお手本のような作品とも言えるが、たぶん、少なくとも僕にとっては、何かが足りないのだろう。プフィッツナーのような感じ。

パノハQといえば、僕の頭の中ではスメタナQの後継者と目された若手の団体、というイメージが強く、何の気なしに映像を見て、その貫録ある風貌に少し意表を突かれた。そんな1980年代の記憶で勝手に驚かれても、困るだろうが。ただ、確立されたアンサンブルには十分な円熟味が感じられながらも、老獪、というような形容が似合わない、きびきびとした若々しさが満ち溢れた演奏には、マルティヌーの弦楽四重奏曲全集に聴かれるような、新進気鋭の頃の面影が漂っていた。

メイエのクラリネットは、ブラームスやシューマンの晦渋さがすっきりと取り除かれた、伸びやかな演奏。僕には、少しあっさりし過ぎているように感じられた。

日本を代表するヴィオラ奏者2人が、ドルジーニンの珍しい作品を演奏した映像は、彼らの卓越した技術を存分に堪能できるものであった。ただ、作品があまりに幻想的に過ぎ、随所に魅力的なパッセージが散りばめられているものの、全体としては無条件に楽しめるとは言い難かったのが残念。

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【YouTube】言葉は音楽に帰る:アリフレート・シニートケ 幻想の世界

漫然とYouTubeを彷徨っていたら、シニートケのドキュメンタリーを見つけた。これは、NHK BS-2でも2003年頃に放映されたようだが、当時は全くのノーチェックだった。残念ながらアップされている動画はフランス語字幕なので、僕にとっては何の役にも立たない。ただ、このドキュメンタリーは、シニートケの人生を編年体で追うような類のものではないので、ふんだんに挿入されている演奏シーンに集中するだけでも十分に満足できる。

晩年のシニートケを捉えたドキュメンタリーであるからなのか、いわゆる「多様式主義」の面白さもさることながら、不健康ながらも澄みきった、不思議な透明感のある響きの美しさが全編を通じて印象的である。

作品数の多さゆえに敬遠がちではあったが、ポスト・ショスタコーヴィチ(ショスタコーヴィチの後継者という意味ではなく、ロシア音楽史におけるショスタコーヴィチの次の世代という意味)の代表的な作曲家の一人としても、かねてからシニートケには関心を持っていた。これを機に、少しシニートケに取り組んでみてもいいかな、と思っている。

Part 1Part 2
Part 3Part 4
Part 5Part 6
Part 7
「言葉は音楽に帰る:アリフレート・シニートケ 幻想の世界」(BBC 1990年)

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【録画】NHK交響楽団 第1667回定期公演

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第1番、ストラヴィーンスキイ:春の祭典 ビシュコフ(指揮) (2010.2.6 録画 [NHK BS-2(2010.3.5)])
それにしても、ショスタコーヴィチ作品の演奏頻度は、交響曲や協奏曲の一部に集中しているとはいえ、10年ほど前とは比較にならない位に高くなったものだ。テレビで観るN響の定期公演に限っても、文字通り毎月のようにショスタコーヴィチ作品が取り上げられている。多くの演奏家にとってショスタコーヴィチ作品のいくつかが主要なレパートリーになっていること、そして何よりもショスタコーヴィチの作品が“客を呼べる”と広く認知されたということなのだろう。

ということで今回のプログラムは、いわば20世紀ロシア音楽の古典、といった趣きである。そしてビシュコフの音楽づくりは、“古典”と称するに相応しく端正に整えられた、耳によく馴染むものであった。オーケストラも余裕を持って音楽を奏でており、まるで「運命」&「未完成」あるいは「悲愴」&「新世界」というプログラムのような、ある種の寛いだ雰囲気がテレビの画面を通して伝わってくるような感じさえした。

これは、近年のビシュコフの芸風でもあるのだろう。YouTube等で観た彼のショスタコーヴィチ演奏と共通する印象である。ただし第1番は、やはりショスタコーヴィチ最初期の作品であるだけに、この路線では地味に過ぎるというか、端的に言えば退屈な音楽になってしまう。もう少しのケレン味やあざとさがある方が良いように思う。その点、「春の祭典」は作品自体にそうした要素が強いだけに、むしろすっきりとした響きが好印象であった。

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ソ連のオペレッタ


  • ヴァーインベルグ:交響曲第5番 コンドラーシン/モスクワPO (Melodiya D 012081-82 [LP])
  • カバレーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第3番、作品64、交響詩「春」 ピカイゼン (Vn) フェーリツマン (Pf) マンスーロフ、カバレーフスキイ/モスクワPO (Melodiya 33 CM 03597-98 [LP])
  • R. ガジーエフ:「キューバ、わが愛」より「ラウルとデリアの二重唱」、ショスタコーヴィチ:「モスクワよ、チェリョームシキよ」より「モスクワを疾走」、ミリューティン:「チャニータのキス」より「アンジェラとカヴァルカドスの二重唱」、リストフ:「セヴァストーポリのワルツ」より「アヴェリンのアリア」、ドゥナエーフスキイ:「黄金の谷」より「オリガとパーヴェルの二重唱」、ツァバージェ:「偉大な3人」より「リズミカルな踊り」、ストレルニコフ:「女奴隷」より二重唱「鐘」、ドゥナエーフスキイ:「自由の風」より「ステラとヤンコの二重唱」、ミリューティン:「チャニータのキス」より「カヴァルカドスと警官のクプレ」、「タンゴ」、R. ガジーエフ:「隣のロミオ」より「クリストファー・コロンブスのクプレ」、ドゥナエーフスキイ:「黄金の谷」より「ニーナとニコラーイの二重唱」「パーヴェルとオリガの二重唱」 チェルカーソフ/モスクワ・オペレッタ劇場O他 (Melodiya 33D 021219-20 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から、今回は5枚のLPが届いた。今日は、その内の3枚を紹介したい。

全部で20曲にのぼるヴァーインベルグの交響曲を全て制覇するのは気が遠くなるような話だ。今回入手した第5番で、ようやく5曲目である。この作品も、内面の情念が抑えきれずに噴出したかのような、異様にテンションの高いヴァーインベルグ節が存分に発揮されている。同じくユダヤ系のコンドラーシンによる共感に満ちた演奏が、時についていけなくなるほどの苛烈さをもって聴き手に迫る。この作品におけるショスタコーヴィチの影は、単なる影響などというような控え目なものではない。あからさまにショスタコーヴィチの第8番や第4番が鳴り響くので、聴き手の方が赤面してしまうほど。作曲年からすると、ショスタコーヴィチの交響曲第4番が初演された頃の作品なのだろう。この終わり方は、いかにも“そのまんま”だ。もっとも、民族舞踊風のパッセージなど、ヴァーインベルグならではの味わいにも不足していないことも言い添えておくべきだろう。

カバレーフスキイ作品のアルバムは、聴いたことのなかった2曲の管弦楽曲が目当て。和声進行とリズムパターンに個性のようなものを出して、やや陳腐ながらも耳触りの良い旋律を華やかな音響にのせて展開する、いわゆる“社会主義リアリズム”的な音楽である。それなりに楽しく聴けるものの、音楽的な変化には乏しいので、どうしても退屈してしまう。その点、協奏曲は独奏楽器の技巧的なパッセージが、そうした退屈さを補ってくれる。特にヴァイオリン協奏曲におけるピカイゼンの線が細いながらも凛とした演奏は、好感度が高かった。

3枚の中で最も楽しんだのは、ソヴィエト時代のオペレッタからの抜粋を集めたアルバム。恐らくは、どの作品もこのモスクワ・オペレッタ劇場が初演したのだろう。ショスタコーヴィチ作品には、初演者ストリャローフによる全曲録音が存在するが、それとは別の演奏のようだ(きちんと比較して判断した訳ではない)。ここに収録された演奏が、チェルカーソフ指揮の全曲かハイライトの録音からの抜粋なのか(そういう録音の存在は、少なくともヒュームのカタログには記載されていない)、このアルバムのために新たに録音されたものなのかはよく分からない。演奏は、少々荒っぽいながらも湧き立つような楽しさを湛えた、雰囲気豊かなもの。R. ガジーエフやミリューティンという名前は初めて知ったが、一度聴いたら思わず口ずさんでしまうような、魅力的な歌謡性を有した歌の数々には、小難しいことを抜きにして心躍るような気持ちにさせられた。

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tag : 作曲家_Weinberg,M. 作曲家_Kabalevsky,D.B. 作曲家_Shostakovich,D.D.

【YouTube】ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番(シモン・ボリバルQ/アカデミックQ)

南米の若い団体によるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番を2種、YouTubeで見つけた。

一つ目は、シモン・ボリバルQ。きちんと調べた訳ではないが、おそらくはシモン・ボリバル・ユースOのメンバーで構成されていると思われる。何もラテンの血がどうとかいうような先入観を持って聴いたつもりはないが、背筋が凍るような冷やかさはあまり感じられない一方で、作品の中に鬱積している様々な感情やエネルギーが凄まじい勢いで噴出しているような演奏で、思わず身を乗り出して聴いてしまう。技術的にも高水準な出来で、率直に言って、感心した。

第1楽章第2楽章
第3楽章第4楽章
第5楽章
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番
シモン・ボリバルQ


二つ目は、ブラジルの四重奏団。この団体についても詳しいことは知らないが、彼らの演奏もまた、ストレートな熱気が聴き手の心を鷲掴みするような力強さを持っている。終演後の客席の熱狂的な反応も、素直に納得できる。ただし技術的には、先のシモン・ボリバルQよりは劣る。

第1~2楽章第3楽章
第4~5楽章
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番
アカデミックQ(2009年12月15日 サンパウロ)

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【録画】NHK交響楽団 第919/1666回定期公演

  • モーツァルト:交響曲第39、40、41番 スウィトナー(指揮) (1984.1.11 録画 [NHK BS-2(2010.2.26)])
  • N響アワー「最近の演奏会から~広上淳一のプロコフィエフ」 (プロコーフィエフ:交響曲第7番、武満 徹:3つの映画音楽) 広上淳一/NHK交響楽団 (2010.1.20 録画 [NHK-ETV (2010.2.21)])
スウィトナーの追悼番組として、1984年の定期公演の映像が放送された。当時のN響のアンサンブルは洗練されているとまでは言い難いが、当然ながら、モーツァルトを演奏するのに技術的な問題があるわけではない。それでも、この3曲でプログラムを構成するとなると、ちょっとした破綻が全てを台無しにしてしまうような、技術的な難易度以上の重圧が、演奏者達にはかかったことだろう。

淡々としたスウィトナーの棒から導かれる音楽は、しかし、伸びやかで愉悦に満ちた音の奔流といった風情の、大変に素晴らしいものである。硬直した危なっかしさは皆無で、推進力のあるテンポに乗って表情豊かな音楽が紡がれていく。若々しい熱気を孕んだ歌心は、今となってはオールド・ファッションな“正しくない”演奏様式が持っていた抗い難い魅力を再認識させてくれる。

それから25年以上後の定期公演(第1666回)における、全身で音楽と格闘しているかのような広上淳一の不格好ですらある指揮姿は、古き佳き時代を彷彿とさせるスウィトナーの気品ある指揮姿とは対極にあるものだろう。広上の繊細な音づくりとスウィトナーの剛毅な音楽運びも、本来は比較するようなものでないことは重々承知してはいるが、好対照で面白かった。撮り溜めた録画をまとめて視聴すると、こんな妙な取り合わせになるのも、また一興か。

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【YouTube】ショスタコーヴィチ:交響曲第4番(デュトワ指揮)

1月15日の記事で紹介した第9番と1月30日の記事で紹介した第10番に続き、デュトワが指揮するショスタコーヴィチの交響曲の、今度は第4番がYouTubeにアップされていた。当時はVHSデッキを持っていない貧乏学生だったので、うっかり見逃して以来、一度は観てみたいと切望していただけに、動画の提供主に感謝。

デュトワが常任指揮者に就任する2年前の定期公演で、団員の多くはまだ1980年代後半の顔ぶれである。今から思えば、色々と時代を感じさせる映像ともいえるだろう。オーケストラの技術的な水準も、主要メンバーが高齢化した現在よりは随分とマシで、当時はそれほど演奏頻度が高くなかった楽曲の実演という以上の質を持った演奏である。

デュトワの解釈は全体に滑らかで、響きや構成の軋みや支離滅裂さが綺麗に解決されて整えられている。こうした聴きやすさは、特にこの作品の場合、その魅力を損なうことと表裏一体だが、難曲であることが幸いしてか、単なる表面上の美感に留まりそうな音楽づくりを舞台上の熱気が補っている。なかなかの好演である。

第1楽章(1)第1楽章(2)
第1楽章(3)第1楽章(4)
第2楽章第3楽章(1)
第3楽章(2)第3楽章(3)
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
デュトワ/NHK SO(1994年6月15日 NHKホール)

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【YouTube】スメタナ:弦楽四重奏曲第1番(スメタナQ)

僕がクラシック音楽に没頭し始めた頃は、弦楽四重奏といえばスメタナQだった。いわゆる名曲名盤の類で、彼らの名前が出てこないことはなかった。アルバン・ベルクQが新時代の旗手としてもてはやされつつも、“若い”というだけでスメタナQとの間に越えられない壁があったようにすら思えたものだ。

スメタナQの実演は札幌で2回聴いた記憶があるが、よく分からなかったというのが正直なところ。1回目は中学生か、あるいは小学生の頃に足を運んだ地方局のラジオの公開録音だったと思うのだが、何を演奏したのか全く覚えていない。2回目は1986年10月の来日公演で、メインはドヴォルザークの「アメリカ」だったものの、前半はモーツァルトの第16番とスメタナの第2番という、何とも素敵な、でもまだ高校生だった当時の僕にとっては渋過ぎたプログラム。

スメタナQの魅力を認識したのは、大学に入って色々と弦楽四重奏を聴き漁り始めてからのこと。彼らは、既に引退していた。1970年代前半頃までの録音に聴かれる、しっとりとした、それでいて艶のある音の美しさや、さりげなく寄り添うようなアンサンブルの空気感は、確かに一流と呼ばれるに相応しいものだろう。サークルの友人達と一晩中酒を飲みながら、ベートーヴェンの第15番を片っ端から聴き比べた時、スメタナQ(旧盤)の伸びやかな歌心に思わず聴き入ってしまったことなども、懐かしい思い出だ。

もっとも、暗譜で演奏することなどが過大に評価され、神格化され過ぎていたことは否めないだろう。1980年代以降の演奏では、技術的な衰えが目立つ上に、いかにも老人の演奏といった風情が気になったりもする。

彼らの映像は、スメタナの2曲を収めたチェコでの録画(1番:1988年、2番:1986年)とプラハの春でのラスト・コンサート(1989年)の2種類をLDで持っているが、日本でのさよならコンサートのLDは入手し損なったまま(ちなみに、この映像を含むEMIのLDシリーズは、シャフラーンやL. コーガンの映像など、今となっては貴重なものが多かった)。その日本公演でのスメタナの第1番が、YouTubeにアップされている。これは、当時のNHKで放送された映像だろう。

率直に言って、痛々しいほどの老いを感じる瞬間も少なくない。しかしそれが、楽曲と悲痛なまでに共鳴して、譬えようのない味わいを醸し出している。無条件に称賛するつもりは決してないが、聴きながら無意識の内に居住まいを正してしまうような、そんな音楽を、一種の敬意を払って聴くのも、たまには悪くない。

第1楽章第2楽章
第3楽章第4楽章
スメタナ:弦楽四重奏曲第1番
スメタナQ(1988年11月1日 サントリーホール)

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tag : 演奏家_SmetanaQuartet

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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