【録画】ショスタコーヴィチ:喜歌劇「モスクワよ、チェリョームシキよ」/レーピン・リサイタル他

  • ショスタコーヴィチ:喜歌劇「モスクワよ、チェリョームシキよ」 カラビッツ/フランス国立リヨン歌劇場 (2009.12.26 & 29 録画 [NHK BS-hi(2011.1.29)])
  • ヴァディム・レーピン・バイオリン・リサイタル(ストラヴィーンスキイ:ディヴェルティメント、ショスタコーヴィチ(ツィガーノフ編):24の前奏曲より第17番) レーピン (Vn) ゴラン (Pf) (2010.3.30 録画 [NHK BS-hi(2011.3.7)])
  • クイケン&レ・ヴォア・ユメーヌ(マレー:ヴィオール曲集 第4巻 第1組曲より「プレリュード」「サラバンド」「田舎娘」「ロンドー」、ジェンキンズ:5つの鐘、フォルクレー:3本のヴィオールのための組曲より「アルマンド」) W. クイケン、レ・ヴォア・ユメーヌ (gamb) ミルンズ (Cemb) (2010.10.7 録画 [NHK BS-hi(2011.3.7)])
ショスタコーヴィチ唯一のオペレッタであるが、今に至るまで低い評価しか得られていないために半ば“幻の作品”と化している「モスクワよ、チェリョームシキよ」が、放送された。せっかく録画したのに、視聴しそびれたまま3ヶ月近く経ってしまった。

映画版は既にDVD化されている(2007年6月14日の記事)が、オリジナルの形を知るにはロジデーストヴェンスキイ指揮の全曲CDくらいしか手段がなく、ましてや舞台を観る機会は皆無だっただけに、まさに画期的な映像と言って構わないだろう。既発のどのCDやDVDにもなかった日本語字幕があったことも、非常に嬉しい。もっとも、ネットなどを見ている限り、放送後にそれほど大きな反響があったようには思われず、生誕100年(2006年)の頃の盛り上がりは随分と冷めてしまったことを改めて痛感した次第。

当然のことながら初演時とは演出が異なっており、出版譜に記されているト書きや台詞にも少なからず変更が加えられている。ただし音楽の方は、繰り返しに至るまでスコアにほぼ忠実である。大きな変更は、第3幕の前奏曲がカットされていることくらい。第3幕は全体に駆け足で終わってしまう印象だが、これは台本の致命的な弱さをごまかすための苦肉の策といったところだろう。

オーケストラも歌手も、全体的な水準はそれほど高くない。CDのような形で純粋に音だけを聴くとしたら、聴き苦しい箇所も少なくはない。ただ、そのことよりも、粗野と紙一重の底抜けた陽気さがあまり感じられない、こじんまりとした上品な演奏に止まっていたことの方が気になった。舞台を通して観ると改めて、この作品があらすじレベルで根本的な欠陥を抱えていることが明白である。それだけに“くだらない”音楽の数々を、徹底的にくだらなく賑やかに奏でて欲しかったところ。

ともかく、ショスタコーヴィチのファンとしては十分に楽しめる内容であり、将来DVD化されることがあれば、入手しておいて損はないだろう。

レーピンは、今最も好きなヴァイオリニストの一人だが、そのリサイタルの映像を録画しておいたのは、言うまでもなくショスタコーヴィチの前奏曲第17番をアンコールで取り上げていたから。しかし、ストラヴィーンスキイの鮮やかな演奏を期せずして聴くことができたのは、嬉しい誤算といったところ。技巧上の至難さを一切意識させることなく、古典的な格調の高さが見事に表出されていた。

番組後半のクイケン&レ・ヴォア・ユメーヌの演奏会は、僕にはあまり馴染みのないジャンルの音楽ばかりだったが、その響きの美しさは文句無しに魅力的。心地よ過ぎてα波が出まくり、たかだか30分程度の間に何度も意識を失いかけたのには往生したが。
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【録画】プレミアムシアター:カルロス・クライバー特集


  • ドキュメンタリー「カルロス・クライバー~ロスト・トゥー・ザ・ワールド~」、バイエルン国立管弦楽団日本公演1986(ベートーヴェン:交響曲第4&7番、J. シュトラウス:喜歌劇「こうもり」序曲、ポルカ「雷鳴と雷光」)、バイエルン国立管弦楽団演奏会1996(ベートーヴェン:序曲「コリオラン」、モーツァルト:交響曲第33番、ブラームス:交響曲第4番) (録画 [NHK BSプレミアム(2011.4.2)])
  • ドキュメンタリー「目的地なきシュプール~指揮者カルロス・クライバー~」、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会1991(モーツァルト:交響曲第36番、ブラームス:交響曲第2番)、ウィーン・フィルハーモニー ニューイヤーコンサート1992 (録画 [NHK BSプレミアム(2011.4.9)])
今、手元に1枚のチラシがある。「創立150周年記念 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」という見出しの横には、「指揮:カルロス・クライバー」とクレジットされている。まだ大学の2回生だった1991年の秋、サークルの先輩と必死になって電話をかけまくり、幸運にも先輩がS席(29,000円)のチケットを予約することに成功した。プログラムは2種類で、Aプロがモーツァルトの「リンツ」とブラームスの第4番、Bプロがシューベルトの「未完成」とウィンナ・ワルツ、大阪ではフェスティバルホールで1992年3月5日(Aプロ)と6日(Bプロ)が予定されていて、僕達が入手したのは前者のチケットだった。もちろん貧乏学生だった当時のこと、1日1食に切り詰めて、生活費の大半をチケットにつぎ込んだわけである。

チラシには、「クライバー、ウィーン・フィル、日本――その日がとうとうやってきました。」と書かれているが、周知のように、結局“その日”はやってこなかった。後日伝え聞いたところでは、純粋に健康上の理由だったようだが、いずれにせよ、キャンセルされたということに変わりはない。かくして指揮者はシノーポリに代わり、なんとなくテンションの下がった僕達はチケットをキャンセルし、返金されたお金で豪勢に寿司か何かを食べに行ったのだった。

カラヤンとバーンスタインが立て続けに逝去した当時、わが国でもC. クライバーの人気は相当なものだったと記憶している。僕自身も例外ではなく、「運命」1曲だけのCDを有り難がって愛聴していたものだ。「ばらの騎士」をはじめとするLDも、何度観たことかわからない。

NHKのBSプレミアムで2週に渡って放送されたクライバー特集を、僕にとってはまさに青春時代であった80~90年代の記憶と共に、極めて個人的な感慨も重ね合わせながら愉しんだ。2本のドキュメンタリーは、証言者として登場する音楽家などの顔ぶれがよく似ており、内容にも決定的な違いを感じ取ることはできなかったが、父親に対するコンプレックスや指揮に対するスタンスなど、ほとんどが生前から語られてきたことばかりだったので、まぁこんなものだろうといったところ。凡人の常識の範疇に納まるような人間でなかったことだけは確かなようだが、個人的な友人付き合いをしようというわけでなし、クライバーの人物像にそれほどの興味はない。どちらのドキュメンタリーにも、リハーサルの映像が少なからず散りばめられており、興味を惹かれたのは専らそちらの方。

クライバーの指揮姿や音楽の特徴については、今さら多言を費やす必要はないだろう。ニューイヤーコンサート以外の3つの演奏会では、彼が終生繰り返し演奏し続けた作品が取り上げられていることもあり、今まで誰かがどこかで述べてきた以上の感想を述べられそうにない。バイエルン国立Oの映像はベートーヴェンの第7番以外は初めて視聴するものだったが、他の映像や録音と同様に、文字通り隅々まで解釈し尽くされ磨きあげられたクライバーの音楽を心ゆくまで堪能することができた(オーケストラの技術水準に、かなりの不満を覚えたことは否定できないが)。

ただ、かつてLDを夢中になって繰り返し観たウィーンPOとの2つの演奏会も含め、しなやかで耽美的な熱狂に彩られたクライバーの演奏を、以前のように絶賛する気にならなかったのは、自分でも意外だった。多分に感覚的な快楽が強いクライバーの音楽作りに無条件にのめり込むには、理屈っぽく齢を重ね過ぎたということなのだろうか。

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genre : 音楽

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【YouTube】ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1&2番(トレチャコーフ独奏)/チェロ協奏曲第1番(グートマン独奏)

YouTubeに、ショスタコーヴィチの協奏曲作品3曲がアップされていることは結構前にチェックしていた。1月末に録画して、まだ観ていない映像もあったりする。何にせよ未決の山が高くなっていくことは嬉しくない。まずは、動画3本から消化していきたい。

トレチャコーフは、ソヴィエト第2世代(と僕が勝手に名付けている)の演奏家の中では、とりわけ贔屓にしているヴァイオリニストの一人である。パガニーニの協奏曲第1番の正確無比な録音は同曲のベストだと考えているし、中学生の時(もう30年近く前……)に札幌で聴いたシベリウスの協奏曲の実演(円光寺雅彦/札幌交響楽団)もいまだに印象深い。

だから、彼のショスタコーヴィチとくれば期待するなと言う方が無理というものだ。最晩年のロストロポーヴィチと組んだ第1番は、ロストロポーヴィチ色の強い象の歩みのようなテンポに違和感がなくはないものの、切れ味鋭くも泥臭いトレチャコーフの歌い口を堪能することができる。ショスタコーヴィチを記念する演奏会だったようで、イリーナ未亡人やヴィシネーフスカヤ、スピヴァコーフらが並ぶ客席の華やかさも、この動画の見所の一つであろう。

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
トレチャコーフ (Vn)、ロストロポーヴィチ/ロシア国立SO(2006年)


第2番でもトレチャコーフは安定しているが、バシメートの指揮は実に心許ない。不安を抱えたオーケストラは譜面通りにこなすだけで精一杯で、音楽的な踏み込みを期待できるような状態ではない。案の定、第3楽章で思いっ切り破綻してしまう。演奏頻度の低い作品だけに貴重な映像ではあるものの、内容的には不満が先に立ってしまうのは残念でならない。

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番
トレチャコーフ (Vn)、バシメート/国立ノーヴァヤ・ロシアSO(2009年)


トレチャコーフと同世代のチェロ奏者、グートマンによる協奏曲の映像もアップされていた。年齢のせいか、音量的な非力さが少々気にはなるものの、骨の太い大柄な音楽はさすがの貫禄。

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
グートマン (Vc)、M. シチェルバチョーフ/モスクワ放送SO

theme : クラシック
genre : 音楽

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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