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昭和30年代のライヴ録音

  • ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ、ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 ノット/ユンゲ・ドイチェPO(Ensemble Modern EMCD-039)
  • ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番、交響曲第5番、ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 シルヴェストリ/NHK SO(NHK CD KKC-2135)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5、9番 クルツ/NHK SO(NHK CD KKC-2148)
  • J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番、ショパン:マズルカ第25、51番、ラフマニノフ:13の前奏曲より第10、5、12曲、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より第10、22、24曲、ハチャトゥリャーン:トッカータ オボーリン (Pf)(NHK CD KKC 2084)
  • ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、ブロークの詩による7つの歌曲 メルニチェンコ (S) マンゴーヴァ (Pf) プリシェペンコ (Vn) クリンゲル (Vc) (Fuga Libera FUG525)
アリアCDから、数回に渡ってオーダーした音盤が届いた。今回の入荷分は、全てショスタコーヴィチ絡み。

東京交響楽団の音楽監督も務めるジョナサン・ノットによる近現代の管弦楽作品集は、精緻でありながらも豊かな表現力を有する、ユース・オーケストラの範疇を超えたアンサンブルに感心した。ショスタコーヴィチでは、端正に紡がれる音楽は隅々まで明晰であるにも関わらず、生気を失ったような独自の世界観は十分に表出され、一方で決して無機質に陥らない音楽的な活力も一貫して感じられる。聴き応えのある秀演である。凛とした佇まいを保ちつつも情熱的なラヴェルも、印象的。


2月23日のエントリーで紹介した、昨年末に放送された『N響 伝説の名演奏~リクエスト特集~』で独特の指揮姿が印象的だったシルヴェストリの、別日のライブ録音。熱に浮かされたようなベートーヴェンは、(現在の水準と比較して)オーケストラの技術的な物足りなさや痩せた音色といった欠点を意識させることのない、ホールの盛り上がりも当然な熱演である。ショスタコーヴィチ の第1番がメインというのも不思議な感じはするが、「運命」の興奮をそのままに若きショスタコーヴィチの清新な情熱を描き出した、充実した聴き応えのある演奏。録音状態はあまり良くないが、一聴の価値はある。


上述のシルヴェストリ盤と同じ「N響ライヴ・シリーズ2018」から、クルツがショスタコーヴィチの2曲を振ったアルバムもオーダー。シルヴェストリ盤の2年前のライヴだが、低音が随分と痩せた録音が残念。第5番の冒頭は低弦がまるでピアノで奏しているかのように聴こえてしまう。第4楽章コーダの金管楽器の乱れ方も許容範囲を超えていて、真摯な意欲に満ちた演奏ではあるものの、率直に言って不満が残る仕上がりである。第9番の方は、録音状態こそ違いはないが、技術的には取り立てて問題視するほどの箇所はほぼない。こうなると、クルツならではの生き生きとしたリズムの妙が聴こえてきて楽しい。


1964年のシルヴェストリ盤と1962年のクルツ盤との間、1963年に同じく東京で収録されたオボーリンの録音(NHKのセッション録音とのこと)は、「NHK名演奏家幻のライヴ・シリーズ」からの一枚。打鍵の力強さ、濃厚なロマンティシズムに満ちた語り口、見通しの良い構成力といった、往年のロシア(ソ連)流儀のピアノの魅力が凝縮されている。バッハなどは完全に“旧き良き時代”のロマンティックな解釈だし、圧倒的な巧さを感じさせつつも、どこか鈍重で地味な演奏スタイルというのも、現代の聴き手には受けが悪いかもしれない。それでもなお、整髪料のきつい匂いが漂うようなおじさんの確信に満ちた音楽は、濃密で幻想的な雰囲気に聴き手を誘ってくれる。ショスタコーヴィチの小品も、作曲家の新奇性よりもロシアン・ピアニズムの文脈で奏でられているのが面白い。


2017年6月12のエントリーでショスタコーヴィチのピアノ独奏曲のアルバムを紹介した若手ピアニスト、マンゴーヴァによる、ショスタコーヴィチのピアノ入り室内楽曲集は、先のソロ・アルバムに劣らず素晴らしい内容である。ヴァイオリンとチェロ、そしてソプラノの演奏家も国際的な知名度が高いとは言い難い若手ばかりだが、音楽的にも技術的にも極めて高い水準のアンサンブルを披露している。狂乱も沈鬱も決して上滑りすることなく、端正な造形と精緻で音楽的な処理の積み重ねの上に、スケールの大きな音楽が構築されている。あらゆる点において模範的な演奏と言ってよい。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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