ショスタコーヴィチの交響曲4題
- ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、ラヴェル:スペイン狂詩曲 コンドラーシン/イギリス国立ユースO(dbx RTS-3 [LP])
- ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ヘルビヒ/ザールブリュッケン放送SO(Berlin Classics 0016112BC)
- ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 ヘルビヒ/ザールブリュッケン放送SO(Berlin Classics 0017972BC)
- ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ヘルビヒ/ザールブリュッケン放送SO(Berlin Classics 0016152BC)
アルバムの趣旨はdbxノイズリダクションを紹介するオーディオ的な関心にあるようで、ライナーの大半もこのシステムの説明に費やされている。残念ながらdbxのデコーダは所持していないし、それこそオークション等で入手も容易とはいえ、この1枚のためだけに揃える気にもならず、デコーダを通さずに聴取。適正な再生をしているとは言えないが、要するにドルビーのスイッチを間違ってカセットテープを聴くようなもので、演奏を知るという意味においては特段の不都合はない。
短めの2曲ではあるが、この苛烈なテンポと表現の振幅を、ユース・オーケストラ相手に一切の妥協なく要求しているコンドラーシンの指揮に、とにかく驚かされる。オーケストラは相当健闘しているものの、それでもついていけずに乱れている箇所も少なくないが、引き締まった剛毅な音楽が弛むことはない。ライヴ盤ならではの熱気にも溢れており、とりわけコンドラーシンのファンには愉しい録音ではなかろうか。
譲渡頂いた方からは、キリル・コンドラシン 演奏会記録一覧というサイトもご教示頂いた。膨大なデータ量もさることながら、その全てに緻密な検証の跡が見える労作。非常に参考になる優良サイトだ。

さて、このLPを聴いたのは9月のことだったが、諸事に忙殺されている内にアリアCDからまとまった数の音盤が届いたので、とりあえず、ヘルビヒ/ザールブリュッケン放送響のショスタコーヴィチのみ聴いてみた。この組み合わせの録音は他に第5番と第8番もあるが、今回入手できた第7番だけがなぜか廃盤になっているようだ。
第4番は、いかにもドイツ的なロシア音楽に仕上がっている。地味ながらも堅実なアンサンブルで、錯綜したスコアが見通し良くすっきりと整理されており、実に聴きやすい。先鋭的な箇所もまろやかに均されている点で評価は分かれるだろうが、交響曲としてのまとまりが卓越した渋い演奏と言えるだろう。
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第7番も、第4番と同様の手堅い演奏。第1楽章や第2楽章のクライマックスで打楽器に乱れがあるものの、この録音だけが廃盤扱いになっている理由はよくわからない。ショスタコーヴィチの歪んだ響きよりも、素直な旋律美が前面に押し出されているので、極めて聴きやすく耳に優しい音楽となっている。
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第10番も演奏者の確かな実力を感じさせるアンサンブルではあるのだが、そもそも交響曲としての緊密な構成を持っている作品だけに、それをただ音にしているだけのような退屈な印象が否めない。振幅の大きな突出した表現を随所に求めたくなってしまう。
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tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.