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シチェドリーンの「封印された天使」など

  • ロマンティックな人々 ウィーン弦楽五重奏団(Camerata 32CM-241)
  • 冬は厳しく~弦楽四重奏の諸相II クロノスQ(Nonesuch WPCS-5540)
  • シューベルト:弦楽五重奏曲 タートライQ スィルヴァーシ (Vc)(Hungaroton HRC 056)
  • ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1、3、8番 ルートヴィヒQ(Calliope CAL1102)
  • シチェドリーン:封印された天使 ミーニン/ソヴィエト国立アカデミーcho、モスクワ室内cho(Melodiya MEL CD 10 02070)
所用で日曜日の昼間に梅田で30分ほど空き時間ができたので、時間潰しにディスクユニオン 大阪クラシック館へ。眺めるだけ、と思って入店したものの、当然ながら黒い袋を持って次の用事へと向かうことになった。

先日もウィーン・ビーダーマイヤー・アンサンブルのウィンナ・ワルツ集を買ったばかり(8月9日のエントリー)だが、今回もなぜか最初に目についたのと、ランナーとシュトラウス1世中心の収録内容に惹かれて、ウィーン弦楽五重奏団のアルバムを確保。やや技巧的な華やかさに偏る傾向が無きにしも非ずだが、各曲のアレンジはごく自然で妥当なもの。選曲も演奏も、十分に愉しい。


クロノスQのこのアルバムは、私が大学に入った頃に「ピアソラ作品を弾いてみない?」と先輩に聴かせてもらったもの。当時はよく分からない現代音楽集としか思えず、ジョン・ゾーンの「狂った果実」で太田裕実の声ばかりを堪能した記憶がある。なぜか買いそびれたまま今日に至っていたが、いい機会なので確保。「一昔前」の最先端を思い出させてくれる選曲と内容だが、それは必ずしも否定的な意味ではなく、このアルバムの持つ歴史的な意義を再認識した次第。ピアソラ作品はもちろんのこと、他の作品も今の私の耳にとってはごく「普通」の楽曲にしか聴こえない。思いもかけず、歳月の流れを感じてしまった。


現在、仲間と「死と乙女」に取り組んでいることもあり、シューベルトの棚をチェックしたが、残念ながら弦楽四重奏曲には目ぼしい品がなかった。悔しいので、一番安価だったタートライQによる弦楽五重奏曲を手に取った。往年の演奏様式による、いささか武骨ながらもロマンティックなシューベルトだが、田舎臭い自然さが何とも心地よく、シューベルトの悠長な音楽時間に寛いで浸ることができた。


フランスのベテランの団体であるルートヴィヒQ(1985年結成)によるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は、燃焼度の高い表現意欲に貫かれつつも手堅い演奏。とりわけ第1番の自然な流れが心地よい。第3番は思ったよりも常識的なテンションだが、第8番では大柄で力強い音楽を聴くことができる。ただ、弱奏部の透徹した雰囲気に欠けるのは惜しい。


12月18日のエントリーでスヴィリードフとラフマニノフの宗教曲を取り上げたばかりだが、今度はシチェドリーンの宗教曲。『封印された天使』というのは本作品の元となったレスコーフの小説の題名。ただし、歌詞はロシア語ではなく教会スラブ語である。したがって厳密な意味での「教会音楽」ではないが、極めて宗教色の強い(作曲も初演もソ連時代)作品である。ロシア正教会の聖歌の様式については未だよくわからないままではあるが、このシチェドリーンの作品も美し過ぎるほどの美しさ。フルートと合唱とが織りなす響きが古風でありつつも現代的でもあり、時空を超越した荘厳さと、それでいて人間的な温もりと優しさを湛えた天上の音楽に、心底魅了された。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Shchedrin,R.K.

スヴィリードフの宗教音楽と、レーガーのピアノ独奏曲

  • スヴィリードフ:バーンズの詩による歌曲、デニーソフ:バーンズの詩による5つの歌曲より、ショスタコーヴィチ:イギリスの詩人の詩による6つの歌曲より、レヴィチン:バーンズの詩による歌曲集、フレーンニコフ:バーンズの詩による5つのロマンスより サヴェンコ (B) ブローク (Pf)(Toccata TOCC 0039)
  • シェバリーン:プーシキンの詩による5つの無伴奏合唱曲、レールモントフの詩による3つの無伴奏合唱曲、ソフロノフの詩による3つの無伴奏合唱曲、タンクの詩による6つの無伴奏合唱曲、イサコーフスキイの詩による4つの無伴奏合唱曲、モルダヴィア詩人の詩による3つの合唱曲、子供のための4つの無伴奏合唱曲「我が孫たちに」、子供のための7つの無伴奏合唱曲「森の端で」、映画「グリーンカ」より国防市民軍兵の合唱「おお、我が夜明けよ」 ホンジンスキイ/ルースカヤ音楽院室内カペラ(Toccata TOCC 0112)
  • スヴィリードフ:聖歌と祈祷 プリシュ/クレド室内合唱団(Toccata TOCC 0123)
  • ラフマニノフ:晩祷 スヴェトラーノフ/ブルガリア合唱団(Russian Disc RDCD 00719)
  • ヴィラ=ロボス:アマゾンの森 ゲラシーモヴァ (S) スヴェトラーノフ/ロシア国立SO(Russian Disc RDCD 00530)
  • レーガー:ピアノ独奏曲全集 ベッカー (Pf)(NCA 234239)
かなり間が空いてしまったが、11月8日のエントリーに続き、アリアCDから届いた音盤を。

Toccataレーベルのセールでは、声楽曲ばかり3枚をオーダー。

ロバート・バーンズの詩によるロシア人作曲家の作品を集めたアルバムは、スヴィリードフとショスタコーヴィチの有名曲と、世界初録音のレヴィチンの作品などのあまり聴かれる機会のない曲とがバランスよく配置された聴き応えのある一枚。サヴェンコの歌唱は現代的な洗練を感じさせるもので、旋律の明晰なフレージングと、伴奏の和声に寄り添って移ろう色合いの変化が美しい。収録曲の全てがそれぞれに魅力的だが、歌謡曲的な旋律線という点で、フレーンニコフの作品が記憶に残った。デニーソフ作品の美しさも忘れ難い。


シェバリーンの無伴奏合唱曲全集というのも、このレーベルならではの企画。シェバリーンにとってこの編成が重要な位置を占めていたことがよく分かる分量だ。モスクワ音楽院の院長であったシェバリーンの後任がスヴェシーニコフだったのも、故なき事ではなかったのかもしれない。収録曲の間にそれほど大きな作風や曲調の違いは見出せず、いずれもロシア民謡風の素朴さが楽しい。もっとも、収録曲は全てジダーノフ批判以降の作品であることを忘れてはならない。


スヴィリードフの晩年は専ら宗教曲に没頭したようだが、「聖歌と祈祷」はその集大成のような曲集。ただ、奉神礼(カトリックでいうミサのようなもの)などを当初から想定して系統立てて作曲された訳ではなく、曲順等はあってないようなもの。このアルバムでは、旧約・新約それぞれの話の流れに沿って配列されている。

これがとてつもなく美しい。とにかく美しい。信者であれば各曲の表題や歌詞からその宗教的な内容も加味して聴くことができるのだろうが、この神々しい美しさはその知識が皆無な私の心をも優しく、それでいて力強く鷲掴みにする。


私にとってロシア正教会の宗教音楽といえば、何はさておきラフマニノフの「晩祷」である。結局のところはスヴェシニコフ盤に回帰してしまうのだが、スヴェトラーノフのラフマニノフとなれば一度は聴いておきたく、この機会に入手。しかし残念ながら、合唱の強烈なブルガリア色が耳につき過ぎて、スヴェトラーノフの解釈云々に辿り着くことができなかった。ロシアの女声もかなり鋭いが、比較にならない。


ヴィラ=ロボス最晩年の大作「アマゾンの森」は、ヘップバーン主演の映画「緑の館」(1959)の映画音楽を再構成した作品。ディスクを通してチャプターが1つしか打たれていないため、スコア無しでは楽曲構成のポイントを把握するのが難しく、結果としてラテン色に満ちた気怠くも官能的な情感を漫然と愉しむだけになってしまった。スヴェトラーノフの演奏はこうしたヴィラ=ロボスの音楽に期待される要素を手堅く的確に表出しており、作品を知るという点において十分に優れた演奏である。ただし、どんな曲でもロシア色に染めてしまう強烈な「スヴェトラーノフ/ロシア国立響」の刻印を求めるファンには物足りなさが残るかもしれない。


今回最大の買い物は、レーガーのピアノ曲全集。Max-Reger-Instituteのサイトで見る限り、作品番号なしの作品については若干の未収録もあるようだが(それらが演奏できる状態で遺されているかどうかは知らない)、「全集」と称するに十分値する労作である。この膨大な量の作品群を、音楽的にも技術的にも非常に高い水準で、しかも一人で弾き切っているだけでも驚嘆する。さすがに数度聴いた程度で各曲を個別に認識することは無理だが、どの曲にも咽せ返るほど濃密な後期ロマン派的情緒が充満し、「ドイツ」の名に期待する響きが十全に繰り広げられている。総じて私の好みど真ん中の楽曲と演奏であり、CD12枚を聴き通すことに何ら苦労はない。私が知るレーガーは、専ら室内楽曲と弦楽器の独奏曲ばかりだが、彼の魅力はピアノ曲の方が理解しやすいのかもしれない。もっと演奏頻度が高くてもよいと思うし、もっと広く聴かれてもおかしくないとも思う。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Sviridov,G.V. 演奏家_Svetlanov,E.F. 作曲家_Shostakovich,D.D.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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