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Blu-ray3題

  • バルトーク:ディヴェルティメント、ハイドン:チェロ協奏曲第1番、ショスタコーヴィチ(バルシャーイ編):室内交響曲 ヴェールヴォーゲン (Vc) アンサンブル・アレグリア(LAWO LWC1082)
  • ラフマニノフ:チェロ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ サンヴィーク (Vc) ビェラン (Pf)(LAWO LWC1131)
  • 「ショルティ 人生の旅」(ショスタコーヴィチ:交響曲第1番、プロコーフィエフ:交響曲第1番、ムーソルグスキイ(リームスキイ=コールサコフ編):歌劇「ホヴァーンシチナ」前奏曲 ショルティ/シカゴSO(C Major 711804 [Blu-ray])
  • アヴシャロモフ:交響詩「北京のフートン」、チャイコーフスキイ:ヴァイオリン協奏曲、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ヴェンゲーロフ (Vn) ユー・ロン/上海SO(Accentus Music ACC10440 [Blu-ray])
  • ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲、R. シュトラウス:楽劇「サロメ」より「7つのヴェールの踊り」、ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ネルソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウO(C Major 710004 [Blu-ray])
アリアCDから大きな箱が届いた。数回分のオーダーがまとめて入荷。それぞれは激安セール品ばかりだが、まとまると結構な出費である……

2007年にノルウェー国立音楽アカデミーの学生たちによって創設されたアンサンブル・アレグリア のアルバムは、20世紀の弦楽合奏の名曲と、団員が独奏を務める古典派の協奏曲という内容。個々の技量の高さに裏付けされた透明で清潔な響きは、いかにも現代のアンサンブル。淀みなく涼やかに流れる音楽は、旧世代の私には「白河の清きに魚もすみかねて、もとの濁りの田沼恋しき」と感じられなくもないが、耳に心地好いのは間違いない。


ノルウェー放送管の首席奏者サンヴィークと、長年のパートナーであるビェランとのロシアのチェロ・ソナタ集は、彼が師事したモルクの骨太な深い響きよりはシャフラーン風の繊細さを感じるものの、洗練された仄かな感傷が颯爽と歌い上げられる音楽は悪くない。


Blu-rayが大量にセールに出ていたので、ショスタコーヴィチ作品が収録されている3枚をオーダー。この他にオーダーしていた大物のBOXセットも同時に届いたのだが、こちらは一通り視聴するだけで何か月かかるかわからないので、何とか年内を目標に、また改めて投稿したい。

ショルティの生誕100年(2012年)を記念してリリースされた映像は、ショルティの人生を概観した1時間弱のドキュメンタリーと、1977年10月19日に行われたシカゴ響との演奏会とから成る。ドキュメンタリーは、写真や映像といった視覚素材がふんだんに使われているものの、ショルティについては既に複数のドキュメンタリーが作られているだけに、それほどの驚きがあるような内容ではない。それでも、ゆかりの音楽家達がショルティを懐かしんで語っている様には、胸が熱くなる。

「ロシア音楽の夕べ」は、このコンビが最も勢いに乗っていた時代の演奏であり、軽量級の作品を、重量級の威力を持ったオーケストラが軽々とこなしているような、20世紀ならではの演奏である。音程や縦の線が揃っているという意味での完璧さは、今聴いても超一流ではあるが、今では少なくない団体がこの水準のアンサンブルを聴かせているのも事実。ただ、このコンビのように「精確だなぁ」と口に出して言いたくなるような、アンサンブルの精度そのものに凄みのある演奏は、そうめったにない。


上海交響楽団がルツェルン音楽祭に初登場した際(2017年)の映像は、“中国のオーケストラ”という語からイメージされる偏見を拭い去るに足る立派な内容。ただ、ヴェンゲーロフが素晴らし過ぎて、オーケストラの印象がほとんど残らないのがかわいそうかも。

まずは、中国で活躍したロシア人作曲家アヴシャロモフによる「北京のフートン」。フートン(胡同)とは北京市内の細い路地のことで、歴史的な街並みが今でも残っているエリア。この曲は中国最初の民族主義的管弦楽曲らしく、「中国」「中華」という文字から誰もが想起する雰囲気や響きそのままで、とても楽しい作品。ここまでローカル色が強いと、中国のオーケストラ以外の演奏で聴く気はなれないし、それで十分と思わせるに足る堂に入った演奏である。

ヴェンゲーロフのチャイコーフスキイは、彼が子供の頃から飽きるほど世界中で弾いてきた曲には違いないだろうが、それにしてもどうしたらここまで完璧に弾くことができるのだろうと、終始度肝を抜かれっ放しの凄演。ただの一音も弾き損じがない(誇張ではない)というのは、いまや小学生でも上手に弾きこなすことが珍しくないとはいえ、奇跡としか言い様のない見事さ。もちろんメカニックだけが上滑りするようなことは全くなく、作曲家に何の思い入れも持てない私にとっては、この演奏があればもう他には何もいらないし、聴く必要もない……とすら言いたくなってしまう。アンコールのバッハも、さりげなくあっさりした音楽の中に、ヴァイオリンという楽器の魅力が凝縮されたような美演である。

この圧倒的な演奏の後では、いくらショスタコーヴィチ好きの私でも交響曲第5番というは蛇足のように思われたが、控えめに言っても聴き手を失望させることのない、十二分以上に手応えのある演奏であった。上海交響楽団の響きは決して豪奢ではないものの、痩せたヒステリックさを感じることは全くなく、いささか熱狂に傾きがちではあるが、貫禄すら感じさせる出来。密やかさや緊張感といった点で凡庸さが否めないのが惜しい。


同じくルツェルン音楽祭に、若干33歳のネルソンスが登場した際の映像は、現代のオーケストラ演奏の極致ともいえる素晴らしい内容。しなやかで滑らかな音楽の流れは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の極上の響きとも相まって、ワーグナーの冒頭からショスタコーヴィチの最終音まで聴き手を捉えて離さない。しかも、自然で劇的なクライマックスの築き方は、それを持続するエネルギー量の大きさも併せて他の追随を許さず、こういう指揮者が人気が出ないはずがないと誰しもが納得させられてしまうほどのもの。

ショスタコーヴィチでは、終楽章の最後のクライマックス後、バスクラリネットが入る直前の間、コンサートマスターのソロが終わって和声が連続するコーダに入る直前の間、といった細かい仕掛けが、とても効果的かつ美しく成功しているのにも感心した。ただ、全体に響きが明るく、交響曲第8番に求めたい胃をやられそうなギリギリとした緊張感とは異質の音楽に感じられたのだが、それは、終始にこやかに音楽を楽しんでいるようなネルソンスの表情と無関係ではないのかもしれない。彼のそういうキャラクターがオーケストラから多彩な表情を余裕を持って引き出す要因の一つなのだとすれば、それは一長一短なのだろうが、やはりこの曲にはムラヴィーンスキイの無愛想さの方が似合う。

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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

ネーデルラントQ(オランダQ)のモーツァルト

  • モーツァルト:弦楽四重奏曲第20、22番、オーボエ四重奏曲 ストーティン (Ob) ネーデルラントQ(Globe GLO 6037)
  • ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第10、12番 ネーデルラントQ(Globe GLO 6036)
  • シューベルト:弦楽四重奏曲第13番、コルンゴルト:弦楽四重奏曲 ロザムンデQ(Berlin Classics 0012592BC)
  • アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳第2巻より シュトルテ (S) ライプ (Br) コルム (Cemb) (Berlin Classics 0032322BC)
アリアCDのセールで注文したGlobeレーベルとBerlin Classicsレーベルのそれぞれ2枚ずつが届いた。

ネーデルラントQの名は不勉強にして知らなかったが、商品紹介でヤープ・シュレーダーが第2ヴァイオリンを弾いていることを知り、興味本位でオーダー。ネットなどを見ると「オランダQ」という日本語表記も目に付くが、ネーデルラント≠オランダなので、あまり適切ではないように思う。また、手元にあるちょっと古い文献などでは「シュレーダーが主宰」と記されているが、だとすれば第2ヴァイオリンがリーダーという珍しい団体のようだ。

さて、とりあえず一聴……のつもりで聴き始めたのだが、これがとんでもなく素晴らしい。第20番と第22番という選曲のセンスも素晴らしいが、隅々まで徹底して音楽的に清潔かつしなやかさを失うことのない上品な演奏で、特に第20番に関しては同曲の最高の名演と言って構わないだろう。第22番も、第2楽章こそバリリQの甘美な歌により惹かれはするものの、一分の隙もなく徹頭徹尾モーツァルトである点では第20番と甲乙つけ難い。オーボエ四重奏曲も、オーボエの音色が好みでないのは残念だが、しかし愉悦と陰影に満ちた、それでいて節度のある美演。

幸松肇氏の『レコードによる弦楽四重奏曲の歴史』(2016年7月10日のエントリー)を見てみると、「レコードの入手ができなかった」とのこと。もしこれを耳にしていたら、氏はどのように評していただろうか。


ドヴォルザークの2曲も、同じく清麗なアンサンブルが際立つ美演。チェコのローカル的要素を洗練し切った結果の端正な演奏は、至極立派なもの。ただ、さすがにモーツァルトと同じアプローチでは、薄味に過ぎるのは否めない。


ロザムンデQによる「ロザムンデ」は、カップリングのコルンゴルト目当て。初めて聴いた作品だが、節度ある後期ロマン派といった濃密でありながらも折り目正しい抒情に惹かれた。ただ、部分的には魅力的な箇所が少なからずあるものの、全体としては冗長さも否めない。演奏会で取り上げるには労多くして功少なし、演奏頻度が低いのは致し方のないところだろう。

演奏は堅実ではあるが、いささか地味でこれといった特徴に欠ける。


セール品のリストを漫然と眺めていると「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳」という文字が目に留まり、そういえばまとめて聴いたことはなかったと思い、全曲でないことも、モダン・チェンバロによる前時代の古楽演奏だということも了解の上で、オーダー。ひどく金属的で音圧の高いチェンバロは、モスクワ室内Oのバロック音楽で育った私には懐かしい響きではあるが、さすがに違和感は拭えない。とはいえ、幾許の武骨な几帳面さを漂わせた“東ドイツらしい”演奏は、私の根底にあるバッハのイメージによく合致していて、心地好い時間を愉しむことができた。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_NetherlandsQuartet

シフのベートーヴェン

  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1、5番、ピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」 シフ (Pf) カペラ・アンドレア・バルカ (2019.11.8 録画 [NHK ETV(2020.1.5)])
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2、3、4番 シフ (Pf) カペラ・アンドレア・バルカ (2019.11.7 録画 [NHK ETV(2020.1.12)])
いずみホールで昨年11月10日に行われた公演(第1&5番)を聴きに行っていた義父から、「シフのベートーヴェンがとにかく素晴らしかった」と聞いていたので、クラシック音楽館の放送予定を見てすぐに録画予約。

第1番の冒頭から、極上の音楽が溢れ出す。こういう演奏こそ、ライヴで聴きたかった。「ベートーヴェンのピアノ協奏曲」は私の主たる関心の範疇外であるのは確かだが、もう少し多方面にアンテナを張っておかないと、このような“一生もの”の経験を逃してしまうと痛切に反省。

カペラ・アンドレア・バルカは、「アンドラーシュ・シフ」のイタリア語読みがその名称となっていることからも分かる通り、“シフのための”団体である。ツィマーマンがショパンのピアノ協奏曲で聴かせているような細部への拘りを徹底するためのパートナーというよりは、音楽的な阿吽の呼吸を共有するパートナーという感じ。トランペットは旧式の楽器を使っているものの、基本的にはピリオド・アプローチを適切に反映した現代風のモダン楽器によるアンサンブルである。木管楽器の色合いが少し薄いような気はしたが、独奏のシフと一体となった音楽のしなやかさは無類の美しさ。ピアノはベーゼンドルファーで、そのいぶし銀の響きとオーケストラの響きの調和は、聴き慣れた協奏曲とは次元が違う。

聴き手の好みはあろうが、5曲全てが水準の高い名演。室内楽的な緊密さとシンフォニックな壮大さとが両立しつつ、終始シフならではの叙情が溢れ出す音楽は、華やかな滋味とでもいった大人の味わい。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、当分この録画だけで十分。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Beethoven,L.v. 演奏家_Schiff,A.

「モスクワよ、チェリョームシキよ」の全曲盤ならぬ抜粋盤

  • ショスタコーヴィチ:喜歌劇「モスクワよ、チェリョームシキよ」 ストリャーロフ/モスクワ・オペレッタ劇場(Melodiya 33D 034379-82 [LP])
  • スヴィリードフ:「父の国」より第2、8曲、イサハキアンの詩による5つの歌より第2、3、5曲、劇音楽「オセロ」より「デズデモーナの柳の歌」、プーシキンの詩による6つのロマンスより「予感」「冬の道」、レールモントフの詩による8つのロマンスより「シルエット」「空のように、きみの瞳は輝く」、ブロークの詩による9のロマンスより「Brought by the wind from afar」、劇音楽「白くまの子ウームカ」より「シベリアの歌」 アルヒーポヴァ (MS) スヴィリードフ (Pf)(Melodiya C10-11981-2 [LP])
Ars Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.から2枚届いた。結果として、どちらも既に聴いたことのある録音だった。

まずは、ショスタコーヴィチのオペレッタ「モスクワよ、チェリョームシキよ」の“全曲盤”。この録音は過去に一通りざっと聴かせてもらう機会があったものの、手元に現物を揃えておきたいとかねがね思っていたところ、ようやく入手できた。ところが、ジャケットを見ると「オペレッタからのフラグメント」と書いてある。ヒュームのカタログを改めて見ると「第〇、〇、〇曲以外の全曲」みたいな記述になっており、スコアでチェックするとヒュームのカタログの記載事項にも若干の誤りはあるが、“全曲に近い抜粋盤”であることに違いはない。架蔵済みである11曲の抜粋盤(10インチ盤)は、ヒュームのカタログでは別録音の扱いになっている。これについては、また改めて検証が必要だろう。

演奏は、“ソ連の音”をこよなく愛する向きには極上のもの。暴力的なまでに粗野な勢いの良さ、甘美な抒情に耽溺した陳腐なまでの歌い上げなど、“こうあらねばならぬ”という演奏だ。


アルヒーポヴァと作曲家自身によるスヴィリードフの歌曲集は、2010年12月5日のエントリーで紹介したものと全く同一の内容。ディスク番号も「C」の前に「33」があるかどうかの違いだけで、ジャケットこそ違えど、収録内容については疑いの余地はない。

典型的なロシアの女声であるアルヒーポヴァの声よし、教会の鐘を思わせる武骨で硬質なスヴィリードフのピアノよし、仄暗く繊細な情感の起伏が味わい深い選曲よし、と三拍子揃った傑出したアルバムである。

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Sviridov,G.V.

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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