ブラームスのピアノ曲

  • J. S. バッハ:平均率クラヴィーア曲集第1巻より(6曲)、モーツァルト:ロンド、ブラームス:8つのピアノ曲 作品76より(7曲)、作品118-2、作品119より(2曲) H. ネイガウス (Pf) (Denon COCQ-83664)
  • シューベルト:さすらい人幻想曲、シューマン:交響的練習曲、ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 A. ヴェデルニコフ (Pf) (Denon COCQ-83655)
  • ブラームス:バラード 作品10、8つのピアノ曲 作品76、3つの間奏曲 作品117 アデル (Pf) (Accord 472 334-2)
ここのところ、機会(=財布の余裕)があれば、5月末に発売されたロシア・ピアニズム名盤選を買い集めるようにしている。かつてデンオンから発売された音源ばかりだが、元々ピアノ音楽があまり好きではないので、ショスタコーヴィチの作品が収録された1枚しか買っていなかった。それでも例のテイチクから密かに発売された超貴重盤である晩年のライヴ録音(これも、ショスタコーヴィチのソナタが収録されていたから買い求めたのだが…)で圧倒されていたヴェデルニコフについては、BMG-Melodiyaから出たJ. S. バッハの二組やハイドンとモーツァルトのソナタを収めた一枚などで、その実力の凄さを改めて認識していただけに、今回のリリースを逃す手はないだろう。また、ネイガウスのショスタコーヴィチ作品がCD化されていたことは全くノーマークで、今回の宣伝パンフレットで初めて知った次第。収録曲も結構好きなものが多いので、ネイガウスも在庫状況をにらみながら買い求めている。ソフロニツキイは、うーん…ショパンとかスクリャービンってあんまり好きじゃないんだよなぁ。でも一番売れてるみたい。

で、今日はピアノ曲の中では例外的に大好きなブラームスの小品が収められているものを聴いてみた。ここでのネイガウスは、実に素晴らしい。右手の麻痺とやらで技術的には全盛期に遠く及ばないらしいが、そんな不満は微塵も感じないし、何より多彩で音楽的なタッチにはただただ驚愕。特に好きな作品118-2なんか、思わず繰り返し聴いて、その度に胸を打たれた。バッハやモーツァルトでの気品の高さもいいけど、ブラームスでの何とも人間的で女々しい(すなわち男らしい)歌心は、ちょっと他に対抗できる人がいるとは思えない。

続けてヴェデルニコフの1枚を聴いたが、これはちょっと評価が難しい。シューベルトは、彼には合わないのかも。強靭なタッチと明晰で分析的な音楽の作り方が、どうもこの曲とはミスマッチ。それに比べるとシューマンはまだいいかな。ヴァントの交響曲を聴いた時と同じような説得力を感じる。これがシューマンの魅力なのかと問われると何とも答えようがないんだけど。このディスクで一番納得したのは、ブラームス。知的なギレリスといったような雰囲気で、この長大な作品を飽きることなく一気に聴かせてくれる。でも、ネイガウスの後期小品を聴いた後では、作品そのものからしてハンディがあるか。リヒテルが、「ヴェデルニコフの欠点は音が汚いことだ。音色の大家であるネイガウスの助言を受け入れなかったことがもったいない」みたいなことを言っていたけど、言わんとすることはよくわかった。ネイガウスとは違うけれども、ヴェデルニコフだってタッチの多彩さは群を抜いていると思う。でも、ヴェデルニコフは音楽の構造を表現するためのタッチというか、そういう意味で対位法的な作品や現代作品を得意としていると評されることが多いのも納得できる。

パガニーニ変奏曲だったら、勢いに任せた力づくのレーゼル盤の方が爽快でいいかな、などと思いつつ、やはり後期の小品の魅力に惹かれて、最近買ったアデル盤も聴いてみた。アデルは、ルクーの室内楽曲集で初めて聴いたピアニストだったが、硬質で重さのある音色が印象に残っていて、彼女のブラームスなら悪いことはないだろうと思い、店頭で見つけてすぐに購入したもの。出来は期待通り。実に良い音がしているが、使用楽器がベヒシュタインであることも関係しているのか。時々力任せの硬い音になってしまうのが残念だが、それほど気にはならない。美味しいスコッチが飲みたくなるような音楽。

でも、ネイガウスは凄いや。しばらくハマりそう。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_Vedernikov,A.I. 演奏家_Neuhaus,H.G. 作曲家_Brahms,J.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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