ボロディンQのDVD

  • ボロディン四重奏団―演奏会とマスタークラス ボロディンQ、ドミナントQ (RUSCICO RUSD9566DVD [DVD])
DSCH Journalの最新号(第22号)を見ていると、飛びつきたくなるようなDVDが紹介されていた。どうやら発売元のサイトでの直販しか入手できないようなので、ロシアの業者ということに不安を感じつつも早速注文。対応も迅速で、特にトラブルもなく手元にDVDが届いて、一安心。

まずパッケージを見て、その内容の膨大さに驚愕。メインのコンテンツは、DISC-1がVcのベルリンスキイによるドミナントQへのマスタークラス(ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番)、DISC-2がボロディンQの演奏会(ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第2番、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番)だが、ショスタコーヴィチの未亡人イリーナをはじめとする多数の関係者へのインタビュー、ボロディンQ関係の写真集に加えて、特典映像まで!さらに、ボロディンQの演奏記録を収録したブックレットもついている。本編には日本語字幕まであり、まさに至れり尽くせり。

特に見応えがあったのは、ベルリンスキイのマスタークラス。ベートーヴェンにおける、全ての音を意識的に解釈し尽くそうとする姿勢には、鬼気迫るものを感じた。「fpとsfzとrfzをきちんと弾き分けなければならない」といった類の、演奏上非常に参考となるコメントも多数。ただ、最も興味を惹かれるのは、ベルリンスキイの昔話だろう。ドゥビンスキイが全員のボウイングを決めてきた話とか、ベートーヴェンQの仲の悪さの話(V. シリーンスキイがツィガノーフのミスを「今、あなたは音を落としましたね?」と嬉々として指摘したのに対し、ツィガノーフが「あなたは、髪の毛を落としてるじゃないか」と悔し紛れに返したエピソードなどは抱腹絶倒もの)など、一言たりとも聞き逃すことができない。事細かな指導が行われたベートーヴェンに対して、ショスタコーヴィチでは全曲を一気に聴き通してその音楽に深く感動するベルリンスキイの姿が、見る者の涙を誘うほどに印象的。

ボーナス映像は、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番とショスタコーヴィチのピアノ五重奏の、どちらも第3楽章。前者はドゥビンスキイ時代、後者はコペリマン時代(ピアノはリヒテル)の映像。映像と音声が1拍近くずれているのが気になって仕方ないが、これを見逃してはマニアとは言えないだろう。

ボロディンQの演奏会は、楽屋での様子も収録した完全版(?)。しかも、ベートーヴェンの終楽章ではチェロの弦が切れてしまうオマケつき。1st Vnがアハロニヤンになってからの演奏を聴くのはこれが初めてだったが、特に大きな違和感もなかった。ベルリンスキイの存在が、やはり大きいのだろう。それにしても、4人ともうまい。技術的にこのレベルの4人が揃っている団体は、極めて少数だろう。ショスタコーヴィチの説得力、ベートーヴェンの鮮やかさ、いずれをとっても非の打ち所がない(もちろん好き嫌いはあるだろうが)。各メンバーの個性が際立つリハーサル映像も楽しい。

このDVD、是非とも多くの愛好家に視聴してもらいたい。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_BorodinQuartet

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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