クレンペラーのワーグナー管弦楽曲集

  • メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、「真夏の夜の夢」の音楽、交響曲第4番 セル/クリーヴランドO (CBS/SONY CSCR 8193)
  • シューベルト:交響曲第3&8番 K. クライバー/ウィーンPO (DG POCG-1188)
  • ワーグナー:管弦楽作品集 クレンペラー/フィルハーモニアO (EMI 7243 5 67896 2 3)
7月9日(土)に伊丹アイフォニックホールにて行われる、かぶとやま交響楽団の第32回定期演奏会に、エキストラ(?)出演することになった。プログラムは以下の通り:
  • メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26
  • シューベルト:交響曲第3番 ニ長調 D200
  • イベール:モーツァルトへのオマージュ
  • ワーグナー:ジークフリート牧歌 WWV103
  • ヘンデル(ハーティ編):水上の音楽 HWV348-350
なんかとりとめのない曲目で、演奏会の力点がどこに置かれるのか、演奏会全体がどんな雰囲気になるのかよくわからない。どれも馴染みのない曲ばかりなので、まずはスコアを見ながらざっと予習。

セルのメンデルスゾーンは、実は僕が買った音盤ではなく、妻が結婚した時に持ってきたもの。こういう“いつでも買えそう”な音盤は、いかにも僕の物であろうはずがない。演奏は透明感溢れる明晰なもので、スコアの仕組みが手に取るようにわかる。3曲中では「真夏の夜の夢」が、どことなく洒落ていて気に入った。「イタリア」は、もうちょっと狂気を感じさせる演奏が僕の好み(たとえばテンシュテット/ベルリンPO盤)。で、肝心の「フィンガル」だが、曲自体が僕にとっては少々退屈か。変化に乏しいというよりは、変化に要する時間がゆったりと流れているような曲を理解するには、もう少ししっかりとスコアを読まなくてはならない。

続いてシューベルトの第3番。所有しているのは、クライバー盤一枚のみ。このアルバム、「未完成」はよく知っている曲のよく知らなかった劇性を余すところなく暴き出す一種の怪演で強く印象に残っていたが、併録の第3番は曲自体からして全く印象がなかった。スコアを見ながら聴いたことで、初めて曲も演奏も把握した次第。曲はまぁ、いかにもシューベルトといったところでさして感じるものはなかったが、演奏の凄さには感服した。全ての音に解釈し尽くされた濃密なニュアンスがつけられている。アンサンブルは意外にアバウトな部分も少なくないが、全曲に渡ってリズムが活き活きとしていることに驚かされる。一体どんなリハーサルを積んだらこんなことが可能になるのだろう。後半の二つの楽章なんかは「シューベルトじゃない!」と言う人もいるかもしれないが、こんなに楽しくてワクワクするような音楽はそうあるものじゃない。でも、このテンポで弾くのは大変だなぁ。

残りの3曲(イベール、ワーグナー、ヘンデル)はCDを持っていなかったので、Tower Records難波店へ。残念ながらイベールは在庫がなかった。「水上の音楽」は興味を惹かれる演奏が複数あったので、4枚選んで聴き比べすることに。この感想はまた後日(^^;。

さて、クレンペラーのワーグナー集。

まいりました。イってしまいました。こんな凄い音楽、久しぶりに体験しました。ワーグナーの作品はどれも長いし、そもそも響き自体に魅力を感じない…こんな感じで、ワーグナーはむしろ嫌いな作曲家の範疇だった。先日もケーゲルが指揮した「パルジファル」のCDを聴いたが、声楽の美しさは楽しんだものの、音楽そのものにはさしたる魅力を感じられぬまま。今回も、店頭に並んでいたCDの中で「ジークフリート牧歌」が収録されていて、指揮者とオーケストラがそこそこ有名で、録音がそんなに悪くなくて、あまり値段が高くないといった、どちらかと言えば消極的な条件をクリアしたのがたまたまこのクレンペラー盤だっただけである。

とまぁこんなめぐり合わせだったわけで、こんな凄い名盤だとは全く予想もしていなかった。収録曲は以下の通り:
【CD1】
歌劇「リエンツィ」序曲
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「タンホイザー」より第3幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
楽劇「マイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
楽劇「マイスタージンガー」より「徒弟たちの踊りと親方たちの入場」
舞台神聖祝典劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲
【CD2】
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
楽劇「ラインの黄金」より「神々のワルハラへの入城」
楽劇「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」
ジークフリート牧歌
楽劇「ジークフリート」より「森のささやき」
楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートのラインへの旅」
楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
1曲目の「リエンツィ」から、これはただごとではないと瞬時にわかる。とにかく、全ての音に漲るエネルギーが尋常ではない。何の心構えもなく聴き始めたが、聴き終えた時には文字通り放心状態。次に他の音楽を聴く気にはなれなかった。

迫力満点で極限的なスケールが終始維持されている上に、透明で深い静謐感を持った弱音も意味深く、ここで繰り広げられている音楽世界に陶然とすることしかできない。あえて一曲だけ取り上げるとするならば「マイスタージンガー」前奏曲か。完璧な演奏内容に加えて本能的に揺さぶられる巨大なクライマックスには、ノックアウト。これで僕もワグネリアン…とはならないだろうが(^^;、音楽を聴き続ける限りこのアルバムを手放すことはあり得ないだろう。

聴いた後で本盤についてざっとネットを検索してみたところ、“皆さんよくご存知の超名盤”といったような評価ばかりだった。すみません。全くご存知じゃありませんでした…

さて、肝心の「ジークフリート牧歌」だが、オリジナル(?)の16人編成による演奏のようで、室内楽と管弦楽との間を彷徨うような響きが美しい。きりっと引き締まった音楽の流れが心地よく、冗長さを感じさせない。このアルバムの中でも一服の清涼剤的な雰囲気を醸し出している。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Wagner,R. 演奏活動_かぶとやま交響楽団

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プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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