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ロイヤル・コンセルトヘボウ・アンソロジー(CD-2~14)

  • ロイヤル・コンセルトヘボウ・アンソロジー1960-1970 (RCO 05001)
BOXセットは、買った時の勢いで聴き通してしまわずに間隔を空けてしまうと、未聴のまま放置してしまう危険に満ちている。この「ロイヤル・コンセルトヘボウ・アンソロジー1960-1970」がまさにそう。コンドラーシンのショスタコーヴィチ以外は曲も演奏者も特別興味を惹かれていないだけに、ついつい他の音盤の後回しになってしまう。ということで、半ば義務感からまとめ聴きをする。

各ディスクの収録曲は、5月17日付の本欄を参照されたい。

CD-2は、4曲とも初めて聴く曲ばかり。いずれも明晰な演奏で響きが美しく、難解さは全く感じない。エッシャーの作品がやや聴きやすいのは指揮がハイティクのせいでもあるのだろうが、官能性ということでいえば、ブーレーズのドビュッシーの方が上か。ストラヴーンスキイも悪くない。ダラピッコラの作品は、あまり印象に残らなかった。

CD-3も、ベルク作品だけはかろうじて聴いたことがあるものの、事実上初めて聴く曲ばかり。ケッティングの交響曲は、どうにも捉えどころがなく、ピンとこない。さすがにベルクはどことなく馴染みのある音楽でほっとする。高血圧なロマンティシズムというよりは、精緻に響きを紡いでいく雰囲気の演奏。ロスバウトらしいと言うべきか。マルタンの「イェーダーマン」は有名な作品らしいが、渋く硬派な響きが何とも魅力的。これは、ヨッフムの指揮であるがゆえかもしれない。バツェヴィチ作品は、これといった新しさがあまり感じられず、印象が薄い。

CD-4~5は、ジュリーニ指揮の「ファルスタッフ」。清澄な響きと流麗な音楽が素敵だが、どこか渋みがあって話の筋とは裏腹に脳天気一辺倒ではない(もちろん良い意味で)。第2幕第2場など爆笑の連続で、さぞかし楽しい舞台だったのだろうと想像されるが、悔しいことに舞台上で何が起こっているのかはさっぱりわからない。CD-5の余白にはフェルメーレン(1888~1967)という作曲家の交響曲。思いっきり後期ロマン派。ハイティンクによく合った選曲だと思うが、後世に残る名曲だとまでは思わないかなぁ。嫌いじゃないですけどね(^^)。

ここまで知らない曲が続いたので、CD-6はちょっとほっとするプログラム。いぶし銀という形容がぴったりなオーケストラの音色も影響しているのだろうが、いずれの曲も非常に立派で格調の高い秀演。洗練されたブラームスもいいし、ロマンティックの極みのようなワーグナーも素晴らしい。モントゥーをしっかりと聴き込んだことはないのだが、随分と損をしていたのかもしれない。セルの「ドン・キホーテ」も整然としていながら、単に整っているだけに留まらない多彩な内容に圧倒される。

CD-7も名演揃い。シェーンベルクの協奏曲の演奏者はソリスト・指揮者ともに知らなかったが、作品の魅力をしっかりと伝えてくれている。ヨッフム指揮のヘッペナーは、剛毅なオーケストラの音色と自然な歌がとても素敵。作品もそれほど難解ではない。圧巻は、セルのシベリウス。何年か前にリリースされたウィーンPOとの「運命」のライヴに通じる、輝かしくも燃焼度の極めて高い大熱演。丁寧なフレージングを施しながらも、決してスケールが小さくまとまってしまわないところがセルの真骨頂。北欧情緒には欠けるが、そもそもシベリウスの2番はこういう曲だと思う。

色彩感豊かで楽しいのがCD-8。マルタン作品には生真面目な雰囲気が漂っているが、これは多分にハイティンクのキャラクターも影響しているのだろう。初めて聴いた作品だが、独特の渋みがたまらなく良い。オーケストラの音色ゆえかどうしても軽味が出てこないラヴェルも、アンヘレスの歌は素晴らしい。モントゥーの音楽作りはラヴェルそのもの。ラインスドルフのバルトークは、とにかく楽しい。オーケストラの名技に支えられたショーマンシップあふれる演奏は、時にバルトークらしからぬ解放的な明るさまで感じさせて面白い。

CD-9は、アルバムとしては少々とりとめのない印象。透徹な響きが印象的なブーレーズ指揮のノーノ、巨大なエネルギーを感じさせるセル指揮のディティユーは、共に現代曲のライヴにもかかわらず非常に高い完成度を達成している。マデルナ指揮の「スコッチ」は、異形のメンデルスゾーン。速いテンポで乾いた音楽かと思えば、妙に感傷的な歌が聴こえてきたり、思いもよらぬ声部を強調してみたり、狂気すら感じさせる管楽器の強奏で煽りたてたりと、とにかく普通じゃない。

CD-10では、ピアーズとC. デイヴィスによるブリテンが素晴らしかった。非常に美しくまとめられていて、作品が持つ響きの魅力を堪能することができる。マデルナ指揮のヴァレーズも、精緻でありながらも効果的に多様な音響を引き出している秀演。CD-9の「スコッチ」なんかよりは、やはりこういう曲の方がマデルナには合っているのかもしれない。一方、メニューイン独奏のバルトークは、残念ながらヨレヨレ。第1楽章はそれでも温もりのある抒情を楽しむことができなくもないが、それ以降は技術的なアラが気になって音楽に没頭できない。ブーレーズによる伴奏は見事に磨き上げられているだけに、もったいない。それにしても、ブーレーズはこの共演をどう思っていたのだろうか。

ここまでの曲目からすると、CD-11はごく普通すぎて逆に新鮮だ。収録日から推測するに、オーマンディ指揮の一回の演奏会をそのまま収録したのだろう(アンコールの有無などはわからないが)。演奏も、オーケストラをたっぷりと鳴らしているところにオーマンディらしさが窺えるものの、解釈等はごくごくオーソドックスなもの。シューベルトは僕の好みとは異なるものの立派な出来だし、ヒンデミットはすごく良い。クリモフのモーツァルトは、楽譜のごく一部を改変しているところに時代を感じるが、凝ったカデンツァも含めて端正な表現意欲が好ましい。

さて、いよいよお目当てのショスタコーヴィチが収録されたCD-12。マデルナ指揮のベルクとウェーベルンは、熱くロマンティックな雰囲気が満ちていて非常に気に入った。ルコムシュカというソプラノは初耳だが、声質が結構好み。ヘンツェの協奏曲は、一聴しただけでは構成などもよくわからず捉えどころがないが、透明な響きの美しさは実に印象的。

ということで、コンドラーシンのショスタコーヴィチ。…が、これ、同時期のPhilips盤(438 283-2)と同じ録音ですね。本盤では1968年12月20日、Philips盤では1968年1月21日とクレジットされている収録日は異なるものの、コンドラーシンの足踏みの音やアンサンブルの乱れなどがざっと聴き比べたところでは、一致していると思われる。まぁ確かに、1年以内に客演指揮者が同じ曲をとりあげるとも思えませんがね。しかし、この録音のために大枚はたいたのに… 演奏は、言うまでもなく素晴らしいです。あぁ…それにしても…ため息しかでない…

気を取り直して、残る2枚を。

ハイティンクのマーラー(CD-13)は、複雑な作品の構造がよく咀嚼されたわかりやすい演奏。この曲がわからないという聴き手には、まず薦めたいタイプの演奏である。その分、情念のうねりのようなものは浄化されていて、マーラーならではのアクには乏しい気もする。

そして、いよいよ最後のCD-14。ヘンツェのストラヴィーンスキイは、小曲ながらも色彩感を丹念に表出した好演奏。格調の高さに感心したのがアンチェルのプロコーフィエフ。まさに「古典」。大人の音楽だなぁ。ルトスワフスキーの3曲はそれぞれ異なる指揮者によって演奏されているが、正直なところ、演奏傾向の違いを聴き分けるほどこの手の作品に馴染みがない。同時期の作品だけに共通する響きがあり、いずれの演奏においてもそれらは適切に表出されているように思う。ただ、作品の構成というか様式が把握できていないので、これらが“良い”演奏であるかどうかの判断はできない。最後のボルエのショー(?)は、相当おもしろい。が、僕の英語力では半分以下しか爆笑できなかったのと、やはりこういうのは仕草なども含めて見てみたいところ。

さすがにショスタコーヴィチのダメージは大きかったが、まぁ最後で和めたから良しとしましょうか。馴染みのない曲も色々と聴くことができたし、演奏の水準は全体的に高かったし。ということで、何とかこのBOXセットは完聴。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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