京都大学音楽研究会 第100回定期演奏会

  • ルクー:モルト・アダージョ、ピアノ四重奏曲、ラルゲット、アダージョ~“追憶の蒼ざめた花々……”、3つの歌曲 アンサンブル・ミュジック・オブリク (harmonia mundi KKCC-293)
  • ショーソン:ピアノ四重奏曲、ルクー:ピアノ四重奏曲 ガブリエル・ピアノ四重奏団 (Lyrinx KKCC-417)
6月8日は、京都大学音楽研究会の第100回定期演奏会があった。ひょんなことから、OBとして出演しないかとの打診を現役生から受けたのが昨年の11月末。紆余曲折の末、ピアノとチェロは現役生、ヴァイオリンとヴィオラはOBという編成でルクーのピアノ四重奏曲(第1楽章のみ)を演奏しようと決まったのは今年の2月であった。OBといわれても、自分の中ではついこの前までサークルにいたような気分だったから、なんだか現役のスタッフに色々とお気遣いいただくのが面映かったが、よく考えたら1998年に就職してからもう7年になるんですね。当然、出演者やスタッフに知った顔はいないし、現役生にしたって、偉そうな顔したおっさんにどう対応したものか、ずいぶんと気苦労をかけたことでしょうね。この場を借りて御礼申し上げます。

この演奏会、6月5日の朝日新聞京都版にも紹介され(その記事はこちら)、ちょうど会員の前で演奏していたこともあって、カラー写真は載るわ、名前まで紹介されるわ… なんだか妙なプレッシャーの中で本番を迎えることとなった。

演奏については、やはり個々の技術的な制約があったため、胸を張って名演でしたとは、とても言えない。頻繁な転調の魅力は、正確な音程なくしては表出できないが、改めて録音を聴いてみるとがっかりするところも少なからず。また、細かいフレーズのニュアンスやアーティキュレーションも完全に一致できたとは言い難く、もう少し丁寧に練習すればと今さらながら悔やまれたりもする。ただ、この作品が持つ異様な熱っぽさと、収拾のつかない音楽の奔流に演奏者が没頭し、大きな流れを紡ごうとする解釈の意図は、それなりに演奏に反映することができたのではないかと思っている。ミスは随所にあったものの、全体の集中力が途切れなかったのも何より。コーダの入りは少し早すぎたと思うが、これはこれで悪くなかったと評してくださる方もいたし(斉諧生音盤志音盤狂日録6月8日分)まぁ、良しとしましょう。何と言っても、舞台上で楽しく音楽に浸ることができたのは最高でした。個人的にも、不安だった箇所はほとんどミスせずにクリアできたし(その代わり、油断してたところで随分ミスしましたが…)。改めて、このような機会をくださった皆さんに感謝!

演奏後、聴きに来てくださっていた何人かの先輩と後輩と話をすることができたが、皆さん一様に出演者のレベルの高さに驚いていた。たった10年程度の違いなのに、技術的にも音楽的にも僕らがいた頃とは次元の違う洗練のされ方に、「もう10年遅く生まれてたら、恥ずかしくて定演なんて出れなかったなぁ」と言い合ってました。でも、僕が一番嬉しかったのは、「曲が始まった途端、あ~工藤は変わってないなぁ、懐かしくて涙が出たよ(笑)」と言われたこと。真剣勝負の現役生には申し訳ないが、OB出演というのは一種の色物なわけで、100回を迎えた音研定期の歴史の中にこんな時代もあったということを伝えられたというだけで、自己満足的ではありますが、成功だったんじゃないかと思うわけです。

演奏会終了後、何度か録音を聴き直したが、テンポ設定や解釈の基本線は我ながらよくできていると思う。おこがましいようだが、今上記2盤を聴くと、どこか生ぬるいような感じがして物足りない。でも、本当に素晴らしく魅力的な作品で、これを自分の手で弾くことができた喜びは、何物にも代え難い。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Lekeu,G. 演奏活動_京都大学音楽研究会

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター