イヴァーノフのショスタコーヴィチ

  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番、チェロ協奏曲第1番 シャフラン(Vc) イヴァーノフ/モスクワPO (Regis RRC 1181)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 K. ザンデルリンク/クリーヴランドO (Erato WPCS-5539)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 ケーゲル/ライプツィヒ放送SO (Weitblick SSS0040-2)
5月23日付の本欄で“捜索願”を出したこの音盤、その存在を知るきっかけとなったブログ◎銀璧亭◎のオーナーさんのご好意で、思いがけず早々に入手することができた。この場をお借りしてお礼を申し上げます。また、僕のHPにもリンクを張っていただき、重ねて感謝いたします。ネットをしていて一番楽しく刺激的なのは、こうした知っているようでいて実は知らない方々とご縁ができること。今後ともよろしくお願いいたします(私信モード)。

交響曲第15番は特別な作品だ。この曲を聴くのに“なんとなく”ということはあり得ない。聴き手に聴こうという強い意志がなければ、この曲から何も感じ取ることはできないだろう。その代わり、しっかりと作品に対峙することができれば、50分後には必ずや大きな精神的満足を得ることができる。ということで、何だかんだで入手してから一ヶ月以上経ってようやくこの音盤に取り組む時間ができた。

さて、この演奏。名演である。冒頭のグロッケンシュピールから最後の和音まで、緊張感が全く途切れない。弱奏部の緊張感が強奏部をも支配するようなK. ザンデルリンクやムラヴィーンスキイの演奏とは逆に、暴力的なまでの強奏部の勢いが弱奏部も支配しているといった感じ。同じくモスクワのオーケストラを指揮したM. ショスタコーヴィチの演奏に通ずるものがあるが、全編から迸る戦慄はこのイヴァーノフ盤の方が上。切れ味の良いリズム感と、いかにもロシア音楽らしい異様に長いフレージングが、一切の小細工を排除したスコアに忠実な音楽作りを一層引き立たせている。息もつかせぬ第1楽章が特に素晴らしいが、第4楽章の練習番号125以降、低音のオスティナートと共に音楽が悲愴に高揚していく部分の素晴らしさも特筆に価する。この作品が達成している特異な音楽世界を見事に描き出している名演はケーゲル盤など他にもあるが、尋常ならざる精神の強靭さを端的に表出しているという点でこの演奏は傑出している。

カップリングのチェロ協奏曲第1番でも、イヴァーノフの音楽作りは同じ。シャフランの音色は個人的にあまり好みではないのだが、気迫が前面に押し出されたシャフランらしからぬ演奏の故かこの演奏では気にならない。終始ソリストがオーケストラを圧倒しながら牽引するようなロストロポーヴィチの演奏とは異なり、両者が対等かつ緊密に音楽を紡いでいる本盤は、最もショスタコーヴィチの協奏曲らしい音楽に仕上がっているということができるかもしれない。

これだけの名盤がすぐにカタログから消えてしまうとは、何か余程の事情でもあったのだろうか?権利関係かもしれないし、あるいは演奏者のクレジットに誤りなどの問題があったのかもしれない。いずれにしてもこのCD、見かけられた方は直ちに確保されることをお薦めします。(^^)
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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