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ABQのシューベルト、キタエンコのショスタコーヴィチ

  • シューベルト:弦楽四重奏曲第10番、弦楽五重奏曲 アルバン・ベルクQ シフ (Vc) (2005.5.26 [NHK-ETV (2005.8.7)])
  • ベルリン・フィル&ウィーンフィル 8人のホルン奏者たち (2005.7.1 [NHK-ETV (2005.8.7)])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲全集 キタエンコ/ケルン・ギュルツェニヒ管他 (Capriccio 71 029 [SACD])
7月26日の本欄で、アルバン・ベルクQのカクシュカ追悼の話を書いたところだが、病床に臥していたカクシュカに代わってイザベル・カリシウスという女流ヴィオリストを迎えて行った日本公演(紀尾井ホール)の映像が、NHK教育テレビの「芸術劇場」で放映された。カリシウスは、モーツァルトの弦楽五重奏曲などでアルバン・ベルクQとの共演も何度か経験している、カクシュカの弟子ということ。彼女が正式にカクシュカの後任になるかどうかは分からないが、ABQの今後の展開を占う意味でも興味深く観た。

一曲目の冒頭から、特に違和感なくいつものABQサウンドが奏でられてまずは安堵。ただ、ピヒラーは大分衰えましたね。左手はもう10年前くらいから怪しくなってきていたが、今回は右手のしなやかさが失われつつあることに寂しさを感じた。ただ、カクシュカは音量が小さかっただけに、カリシウスの参加で中低域の厚みが増したことは歓迎すべき変化だろう。ピヒラーが神経質に目配せしていたところを見ると、まだまだアンサンブルがこなれてはいないのだろうが、ABQの三代目ヴィオリストとしての資格は十分にあるんじゃないだろうか。ただ、個人的には弦楽四重奏は男の四人組っていうのが見た目に一番美しいと思うので、ちょっと微妙なところですが。

弦楽五重奏曲は、基本的な音楽作りは20年前の録音と一緒だが、より一層の自在さを獲得した秀演だった。四重奏曲以上の難曲だけに多少耳障りな音もなかったとは言えないが、好き嫌いは別にしてこれほどまでに多彩なニュアンスを持った演奏をできる団体は、そうはないだろう。こうやって映像で見ると、久しぶりにこの曲を弾きたくなってきた。メンバーを探そうかな?

続くホルン・アンサンブルの番組も一緒に録画。王子ホールでのライヴだが、こちらは雰囲気の良い楽しさに満ちた演奏会。かつてかぶとやま交響楽団の第21回定期演奏会で共演させていただいたストランスキーさんが参加されていたので、懐かしさも手伝って楽しく観た。単に楽器の違いだけではなく、音色に対する嗜好が両オーケストラで大きく異なっているのが面白い。ただ、この水準の演奏家が集まると、そうした差異を超えて一つの音楽になるのが立派。それにしても、ドールは巧いですね。

さて、夏のボーナスで購入した最大のセットが、キタエンコ指揮のショスタコーヴィチの交響曲全集。もう既にあちこちで話題になっているので、どこか乗り遅れた気分。何も知らずにTower Records難波店で購入したのだが、どうやら随分とお買い得だった模様。なかなか一気に全曲聴き通すわけにもいかないので、のんびりと聴いていくことにする。

まずは、第1&3番。第1番の冒頭から、磨きぬかれた響きと確信に満ちた音楽の流れに感心する。録音の良さもあるのだろうが、それにしてもオーケストラの音色が美しい。この水準になると、ロシア臭の有無は全く気にならないどころか、むしろこの作品にはこの音が相応しいように感じられる。技術的には完璧とまでは言えないが、奇を衒うことなく着実に展開される音楽は十分に説得力を持っている。少々粘着質なキタエンコの歌いまわしは、あまり僕の好みではないが。第3番は、合唱が入るまでの部分に関しては非の打ち所がない名演。明るめの音色できびきびと進められる演奏は、この作品を本来の内容以上に魅力的なものとして聴かせてくれる。キタエンコ独特の粘っこさは、たとえば合唱が入る前のグリッサンドが続く部分などで効果的に作用していて、楽曲との相性の良さを感じさせる。合唱も決して悪くはないのだが、個人的にはもう少し荒っぽい方が好き。整然とした歌は、楽曲の陳腐さをあからさまにしてしまう。まぁ、そういう曲なんだけど。

続いて、第2&5番。第2番は、非常に優れた演奏。隅々まで丁寧に磨き上げられた音楽は、他の録音と比較しても傑出している。細部まですっきりと捉えた録音も秀逸。合唱も十分力強くて、それほど違和感がない。ただ、サイレンの音色は乾いた汽笛みたいでちょっと拍子抜け。第5番も立派な内容である。さすがに名演揃いのこの曲で他を圧倒するほどの演奏ではないが、真摯な音楽作りは説得力十分。少々きれいごとに終始している感は否めないが、これはオーケストラの力量との兼ね合いなのかもしれない。ただし、妙なくどさがないので聴きやすさは抜群。

第4番は、ライヴ録音ということだが何回かのテイクをつないでいるようで、技術的な不満はほとんどない。妙な味付けがないものの、手応えのあるコクが全編に満ちていて充実した演奏になっている。きびきびとしたテンポで進められる推進力のある音楽が立派。細部へのこだわりよりは、交響曲としての構成感と全体の流れを重視した解釈だが、実に分かりやすく聴きやすい仕上がりに感心する。やみくもなエネルギーには欠けるが、難解さゆえにこの作品を敬遠してきた聴き手には特に薦められる。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 演奏家_AlbanBergQuartet 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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