懐かしのM. ヤンソンス/レニングラードPO来日公演

  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第32番K454、ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ、ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 諏訪内晶子 (Vn) アンゲリッシュ (Pf) (2008.4.10 [NHK-ETV (2008.10.17)])
  • ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品、グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ、クライスラー:ウィーン風小行進曲 ラクリン (Vn) ゴラン (Pf) (2008.3.17 [NHK-ETV (2008.10.17)])
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、チャイコーフスキイ:交響曲第4番 M. ヤンソンス/レニングラードPO (1986.10.19 [NHK (2008.10.18)])
10月17日(金)夜にNHK教育で放映された、芸術劇場の録画を観た。演奏家にも演奏曲目にも大した関心はなかったが、たまたま番組表で目に付いたのでとりあえず録画しておいたもの。

まずは諏訪内晶子の演奏会から。技術的な水準は十分に高いし、端正に整えられた音楽は確かに模範的と言って差し支えないだろう。とはいえ、それだけでしかないところが、何とも歯痒い。何せ、3曲がどれも同じようにしか聴こえないのだから。

どの曲も同じようにしか聴こえないのは、ラクリンも同じ。ただ、彼には有り余るほどの表現意欲があるという点で諏訪内と異なる。もっとも、暑苦しい演奏姿はさておき、ノン・ヴィブラートの使い方、弓を浮かせるような弱音の響かせ方など、表現手段のほとんどが明らかにクレーメルの影響下にあるのだが、それが表現の多彩さではなく、むしろ単調さを招く結果となっているのが残念。あえて汚い音を厭わずに踏み込んだ表現をしていくことに異論はないが、たとえばサン=サーンスなんかは雑な演奏でしかないし、クライスラーに至っては、あまりにも様式を無視しただけの勘違い演奏としか思えない。

翌10月18日(土)には、どういう理由があったのか分からないが、22年も前のM. ヤンソンス/レニングラードPOの来日公演の映像が「思い出の名演奏」としてオンエアされた。高校生当時、まだショスタコーヴィチにそれほど傾倒していたわけでもない頃にたまたま視聴し、とても興奮した記憶があったので、懐かしさと期待、そしてあの頃の記憶が美化され過ぎていて落胆してしまうのではないかという若干の不安を抱えながら、番組を観た。まずは、かつての印象通り、熱気に満ちた若々しくも堂々たる秀演であったことに安堵する。ショスタコーヴィチでは、表現の彫りの深さにやや欠けるようにも思えたが、終始一貫した緊張感と推進力が素晴らしく、若きM. ヤンソンスの面目躍如といったところ。4楽章再現部の例の音形がムラヴィーンスキイ版だったところに、ムラヴィーンスキイの急な代役として来日したことの片鱗が窺えるものの、音楽自体はいかにもM. ヤンソンスらしいスタイリッシュなもの。それにしても、当時のレニングラードPOの威力は凄い。こんな2曲のプログラムで、ほぼノーミスの金管陣にはもちろん感服するし、文字通り一糸乱れぬアンサンブルは、音色に至るまで統一された巨大な有機体を形成しているようにすら思える。
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genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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