HMVの通販でまとめ買い

  • ムーソルグスキイ(ショスタコーヴィチ編):死の歌と踊り、ラフマニノフ:交響的舞曲 フヴォロストーフスキイ (Br) テミルカーノフ/サンクト・ペテルブルグPO (Warner 2564 62050-2)
  • ムーソルグスキイ(ショスタコーヴィチ編):歌劇「ボリース・ゴドゥノーフ」(抜粋) ケーゲル/ドレスデン・シュターツカペレ他 (Berlin Classics 0032622BC)
  • ムーソルグスキイ:子供部屋、プロコーフィエフ:A. アフマートヴァの詩による5つの歌曲、ショスタコーヴィチ:S. チョールヌイの詩による5つの風刺、ブリテン:詩人のこだま ロジャース (S) ヴィグノレス (Pf) (Hyperion CDA67355)
  • ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ 作品11-4、ブラームス:ホルン三重奏曲、ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 バルサム (Pf) バローズ (Hr) ブタペストQ (Bridge 9175)
  • ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ヴィオラ・ソナタ プラウゼ (Vc) カスマン (Pf) (Calliope CAL 9326)
  • ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ、レーガー:無伴奏ヴィオラのための組曲第1番、ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ 作品25-1 チャフダロフ (Va) ザハリエヴァ (Pf) (BIS CD-81)
  • ショスタコーヴィチ:歌劇「鼻」 ジョルダン/ローザンヌCO他 (Cascavelle RSR 6183)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 コフマン/ボン・ベートーヴェンO (MDG 337 1201-2)
2月23日付の本欄で、「ムーソルグスキイを何か聴きたくなって買い物に出かけたが、収穫がなかった」と書いた。その勢いでネットを検索していたのだが、さらに勢い余ってHMVの通販で注文してしまった。やはり店頭での出会いが楽しいのと、収拾がつかなくなるのが怖いので原則として通販には手を出さないのだが、今回も案の定、買い過ぎました…(^^;

まず、フヴォロストーフスキイの「死の歌と踊り」の新盤。これはライヴ録音なのだが、極めて完成度の高い名演だった。美しくも表情豊かなフヴォロストーフスキイの歌と、小技を利かせながらも流麗かつスケール大きな音楽を奏でるテミルカーノフの指揮とが、洗練されたムーソルグスキイの音楽世界を織り成している。フヴォロストーフスキイにはゲールギエフと演奏した旧盤もあり、そちらも素晴らしい演奏だったが、この新盤はそれを超える。交響的舞曲も同じ傾向の演奏で、これもまた素晴らしい。それにしても魅力的なプログラミングだ。こういうプログラムで日本公演もしてくれたらいいのに。

ケーゲル指揮の「ボリース」は、抜粋かつドイツ語歌唱とはいえ、貴重なショスタコーヴィチ版による録音。「ボリース」と「ホヴァーンシチナ」のショスタコーヴィチ版は、手を出すと他の版も含めた全盤蒐集に乗り出してしまいそうなので意図的に購入を控えていたのだが、ショスタコーヴィチ版に限れば録音点数も少ないと自分に強く言い聞かせてついに手を出してしまった。演奏そのものは、さすがケーゲルと唸らされる凄い出来。抜粋した曲(場面)の選択が一般的なのかどうかは僕にはわからないが、交響曲のような、と形容しても許されるほどの構成感と統一感で一気に聴かされてしまう。声楽の扱いのうまさはケーゲルならではだが、オーケストレイションの効果を実際の音として引き出す手腕にも感服。今まで聴かずに敬遠していたのが悔やまれる。

リリースされていたことに気づいていなかったのが、ロジャースのロシア歌曲集。彼女の歌は二種類の「ブローク歌曲集」で聴いたことがあり、その甘く美しい歌声が気に入っている。彼女の声質とショスタコーヴィチの「風刺」とはミスマッチのようにも思えたが、実際に聴いてみるとこういう可憐な歌唱もなかなかどうして悪くない。他の収録曲も同様の仕上がりだが、ブリテンの作品が一番彼女に合っているように思えた。

ブタペストQのライヴ・アルバムは、2nd Vnがゴロデツキー時代のメンバーによるもの。内声の2人をソリストとする2曲と全員が揃ってのショスタコーヴィチという、なかなか面白い演奏会である。僕はブタペストQの熱心な聴き手ではなく、主にベートーヴェンやブラームスなどの晩年の録音を中心にいくつか聴いただけだったので、音楽的にはともかく、技術的な水準は世評ほど高いとは思えないでいた。しかし、この壮年期の録音を聴いてその認識を改めた次第。なるほど、彼らが圧倒的な人気を獲得していた理由がわかる。ヒンデミットで聴かせるクロイトの名技や、四重奏団のスタイルそのままにロマンティックな歌を奏でるゴロデツキーのブラームス、そして集中度の高いショスタコーヴィチ。いずれも非常に高い水準の演奏である。ショスタコーヴィチでは少々ロマンティックに過ぎる部分もあって好みは分かれるだろうが、緊密なアンサンブルと造形の確かさは立派なもの。ピアノにはあまり主張が感じられないが、悪くはない。

プラウゼとカスマンによるソナタ集は、伸びやかに歌いつつも淡々と進められるヴィオラ・ソナタの雰囲気がなかなか良い。堅実で滑らかな演奏技術にも不満はない。チェロ版の中では優れた演奏と言えるだろう。一方のチェロ・ソナタは軟派な歌い口が、僕の好みではない。

チャフダロフ盤は、15年近くも買いそびれたままでいたもの。最近はあまり店頭で見かけなくなってきたので、この機会に購入してしまった。軋むような男性的なヴィオラの音色がなかなか素敵。小細工せずに淡々と音楽を紡ぐ演奏は悪くないが、ショスタコーヴィチでは少々物足りない。テンポの速さ以上に音楽が駆け足で過ぎ去っていくような印象を受ける。逆にレーガーやヒンデミットでは集中力の高さを感じさせて、一種鬼気迫るような仕上がりとなっている。

「鼻」の新譜は、今回の買い物の目玉でもあった。一部の語りはフランス語だが、ショスタコーヴィチが書いた部分は全てロシア語で歌われている。全体に落ち着いた響きになっているところで好みは分かれるかもしれないが、オーケストラの洗練度は、ロジデーストヴェンスキイの名盤をも凌ぐ。ライヴ録音ならではの熱気も楽しい。

コフマンによるショスタコーヴィチ・シリーズの第1作であった第10番は、なぜか店頭で見かけることがなく、この1枚だけが未架蔵であった。期待に違わぬ素晴らしい内容。淀みの無い音楽の流れと、素直な高揚感が傑出している。皮相な凶暴性に陥らない第2楽章の解釈のおかげで、全楽章の有機的な統一が実現されている。
スポンサーサイト

theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 作曲家_Mussorgsky,M.P. 演奏家_Kegel,H.

comment

Secre

プロフィール

Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
カテゴリ
タグツリー
★ トップ(最新記事)
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
人気記事ランキング
RSSリンクの表示
リンク
音盤検索
HMV検索
検索する

音楽関係のブログ(リンク・更新状況)
PopUp WikipediaⅡ
記事中の気になるキーワードをマウスで選択してください。Wikipediaからの検索結果がポップアップ表示されます。
Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター