荘厳な行進曲(ショスタコーヴィチ)

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  • プレオブラジェンスク近衛連隊行進曲、クバン・コサック歩兵大隊行進曲「Sea King」、トートレーベン、アガプキン:スラヴ娘の別れ、ペチェーラ近衛連隊行進曲、エファノフ:遼陽の戦闘、勝利者の凱歌、イッポリートフ=イヴァーノフ:祝祭行進曲、グリエール:赤軍行進曲、ミャスコーフスキイ:軍隊行進曲、スタロカドムスキイ:勝利の行進曲、プロコーフィエフ:行進曲 変ロ長調、ショスタコーヴィチ:荘厳な行進曲、ハチャトゥリャーン:大祖国戦争の英雄に捧げる行進曲 ナザロフ、セルゲーエフ/ソヴィエト国防省吹奏楽団 (EMI CSD 3782 [LP])
  • ソヴィエトの作曲家による子供のためのピアノ作品集(プロコーフィエフ:子供の音楽、年とった祖母のお話、ショスタコーヴィチ:人形の踊り(第4~6曲)、3つの幻想的な舞曲、5つの前奏曲(第1~3曲)、カバレーフスキイ:ソナティナ第1番、ウクライナ民謡による6つの変奏曲(第1曲)、トッカータ作品40-1) ガーチェフ (Pf) (Balkanton BKA 10294 [LP])
ショスタコーヴィチ作品の内、録音が存在する曲で聴いたことがないものは、全部で4曲(「祖国の詩」、「黒海」、「グリーンカの主題による変奏曲」、「荘厳な行進曲」)あるのだが、その内「荘厳な行進曲」がArs Antiqua / Mikrokosmos Mail Order Co.のカタログに出ていたので、狂喜して注文した。HayesさんのサイトにあるLPジャケットを指をくわえて見ていたのだが、ようやく念願が叶った。当サイトの訪問者雑記帳にも書いたが、現在、ショスタコーヴィチに関する本を執筆しているところで、今年(生誕100年)中に出版を目指している。全作品にコメントすることが大きな目標であるので、脱稿前にどうしても音源を入手したく、奮発して航空便で注文した。

正直なところ、曲自体はさして興味のあるものではなかった。陳腐ですらあるいくつかの動機を、型通りに展開しているだけ。作曲の背景はよくわからないが、やっつけ仕事に近い印象を受ける。ただ、アルバム全体を通して聴いて、この曲(B面の最後から2番目)になった途端、スピーカーから際立って壮麗な響きが出てきたのには驚いた。決して大編成ではないのに、弦楽器もあるかのような広がりのある響きは、ショスタコーヴィチの卓越した管弦楽法を端的に示すものだろう。セルゲーエフの演奏は、技術的に危なっかしい部分も少なくないが、いかにもな響きと端正に整えられた音楽に好感が持てる。ショスタコーヴィチのオーケストレイション技術を堪能するに不足はない。

その他の収録曲も珍しいものばかりだが、音楽的に面白味のある作品はない。ナザロフ指揮のA面第2曲「トートレーベン」というのは、意味がわからなかったので調べてみると、築城の専門家で、クリミア戦争の際にセヴァストーポリ要塞のロシア軍を監督した男の名とのこと。むしろ軍事マニアにたまらないアルバムかもしれない。しかし、この内容に対して「Famous Russian Marches」というタイトルをつけるセンス、ある意味素敵だ。

ガーチェフのアルバムは、この種のものとしてはごく標準的な内容。肩肘張らず、伸びやかに歌う素直な音楽は、とても楽しい。ショスタコーヴィチ作品も、愉悦に満ちたきれいな仕上がりで不満はない。「3つの幻想的な舞曲」だけは、若干表現過多に思われた。
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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