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裏青CD-R、四題(遅ればせながら謹賀新年)

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  • ソ連国歌、日本国歌、ショスタコーヴィチ:交響曲第15番、グリーンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 ロジデーストヴェンスキイ/モスクワ放送SO (World Music Express WME-S-1024)
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ベリルンド/ベルリンPO (Tresure of the Earth TOE-2027)
  • ベルリオーズ:歌曲集「夏の夜」、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 フィンク (A) ガーディナー/チェコPO (Tresure of the Earth TOE-2062)
  • クラウディオ・アバド、ベルリン・フィル音楽監督退任特別コンサート(ブラームス:運命の歌、マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌、ショスタコーヴィチ:映画音楽&劇音楽「リア王」) マイアー (MS) ツィドコヴァ (MS) コチェルガ (B) アバド/ベルリンPO、スウェーデン放送Cho、エリック・エリクソン室内Cho (Live Supreme LSU-1061-2)
  • Seroff,V. I.:Dmitri Shostakovich: The Life and Background of a Soviet Composer,Alfred A. Knopf,New York,1943.
  • マース,F.・森田 稔・梅津紀雄・中田朱美訳:ロシア音楽史 《カマーリンスカヤ》から《バービイ・ヤール》まで,春秋社,2006.
いわゆる“裏青盤”を何枚かまとめて、CDショップ・カデンツァで購入。リリース量が少なくないこともあって、この方面まで手を出すと収拾がつかなくなる…と自粛してはいるのだが、やはりカタログに並んでいるのを見ると、次から次へと欲しいものが出てくる。とりあえず新譜のチェックはしているので、そのリストから適当に選択して注文した。

今回、注文するに至った最大の動機は、交響曲第15番の日本初演(表記されているデータを信用するならば…ではあるが)の録音が2006年夏にリリースされたことであった。1972年6月1日の東京公演の録音については、よしじゅんさんが貴重な音源を所有されているようだが、こちらは同年5月10日の大阪公演の録音である。NHKが収録・放送したようなので、FMのエアチェック音源がマスターではないかと推測される。プログラムに先立って演奏されたソ連と日本の国歌も収録されているのが、非常に嬉しい。ソ連国歌は、アレクサーンドロフ・アンサンブルの録音が刷り込まれているので調性に違和感があったが、「君が代」の濃厚で壮麗な響きは悶絶もの。メインのショスタコーヴィチは、国外初演(東独初演との関係がはっきりはしていないが)の名に恥じない名演である。全曲を通じてテンションが猛烈に高く、おもちゃ箱をひっくり返したかのように、多彩な楽想がとめどなく溢れ出てくるような演奏。終楽章のクライマックスは、まさに忘我の境地。K. ザンデルリンクの深遠な音楽とは対極にあるが、ロジデーストヴェンスキイもまたこの曲の本質に迫っていることは疑う余地がないだろう。「ルスラン」での奔流のような音楽も、ロジデーストヴェンスキイならでは。モスクワ放送SO独特のメタリックな響きも快感。

ベリルンドの交響曲第8番は、2001年8月のリリース。マゼールの代役として登場した2001年5月17日の演奏である。何より、ベルリンPOの威力に圧倒させられる。豪奢なふくよかさがいささかショスタコーヴィチらしからぬようにも感じられるが、そうした趣味の範疇をはるかに越えた凄みが、この演奏にはある。ベリルンドの解釈は極めて真摯なもの。とりたてて個性を感じさせはしないが、それだけにショスタコーヴィチの音楽とベルリンPOの魅力がストレートに表現されている。ただし、膝上録音なのか、椅子の軋みが耳障りなのは残念。

ガーディナーとチェコPOという珍しい顔合わせによる録音は、2001年5月18日に行われた「プラハの春」での演奏。2001年11月のリリースである。よく磨かれ、よく整えられた正統派の佳演である。ガーディナーの端正な音楽が、適度に気合の入ったオーケストラによって魅力的に響いている。カップリングの「夏の夜」は、さらに素敵な演奏。不勉強にして存在すら初めて知った曲だが、実に良い。倉田わたる氏の新・ベルリオーズ入門講座では、「ベルリオーズの歌曲中最高位に位置する傑作」と記されていたが、他の歌曲を知らないとはいえ、さもありなんと思う。

2002年4月25日に行われた、アバドのベルリンPO音楽監督退任特別コンサートの録音は、2003年6月のリリース。ディスク1に収録されたブラームスとマーラーは、このコンビならではの貫禄の演奏。とにかく美しい。彼らの到達した至高の境地と言って、何ら差し支えないだろう。興味深いのは、ディスク2の「リア王」。アバドが自分自身をリア王になぞらえたわけではないだろうが(だとしたら、誰がゴネリルとリーガン?アバド体制を支持した聴衆がコーデリア?こんな解釈は、いくらなんでもベタ過ぎますね(^^;、最後のプログラムとしては、異例なほど意欲的な内容だ。というのも、コージンツェフの映画の抜粋を上映しつつ、それに合わせてオーケストラがショスタコーヴィチの音楽を演奏するという企画。さらにその音楽というのが、「リア王」という曲名でショスタコーヴィチが中期に書いた劇音楽と、晩年に書いた同名の映画音楽とを組み合わせて70分強の作品に仕立てたもの。ベルリンPOの分厚く豪華な響きもあって、不思議と違和感なくまとまっている。演奏も、流麗さと壮大さが素晴らしく共存した立派なもの。ショスタコーヴィチが喜ぶかどうかはわからないが。

セローフの古典的文献を、ようやく入手して全部読んだ。主だったトピックは、日本語で読める複数の文献に引用されているので、原著にあたるのをサボっていただけなのだが、読んでみて大いに反省した。交響曲第7番までの記述だが、ショスタコーヴィチが結婚する以前の家庭環境について、非常に詳しくまとめられている。母ソフィヤ、姉マリーヤがどのような人物であったのか、そして妹ゾーヤがどのような青春時代を送ったのかが、実に活き活きと描写されていて、どのページも読み飛ばすことができない。単にショスタコーヴィチについての“最初の”伝記であるという以上の価値を持っている。音楽的な内容については、今となっては目新しい記述はないものの、伝記的な価値は今なお第一級の資料である。

もう一冊、マースの大著も一気に読了。書名の通り、グリーンカからショスタコーヴィチに至るロシア=ソ連音楽の歴史について、網羅的に記述されている。いずれの項にも最近の研究成果が反映されていて、専門書でありながらロシア=ソ連音楽の入門書としても格好の一冊ということができるだろう。特に社会主義リアリズム等のイデオロギーが音楽にどのように反映されたのかに関する考察に紙数が割かれているので、大変参考になる。巻末の年譜(梅津氏作成)も資料的価値が高く、見ているだけでも楽しい。価格が非常に高いのが難点か。

Dmitri ShostakovichDmitri Shostakovich
(1943/06)
Victor I. Seroff

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ロシア音楽史―『カマーリンスカヤ』から『バービイ・ヤール』までロシア音楽史―『カマーリンスカヤ』から『バービイ・ヤール』まで
(2006/03/01)
フランシス マース

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ともあれ、これで旧年中に入手した音盤を一通り聴くことができた(書籍はまだ数冊残っているが…)。ということで、皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします(^^)。
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genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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