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新ショスタコーヴィチ(改訂版)

  • MacDonald,I. (Revised and Updated by Clarke,R.),The New Shostakovich,New ed.,Pimlico,London,2006.
昨秋、米Amazonにて購入したものの、そのまま放置していた本を、ようやく読了(限りなく斜め読みに近い読み方ではあるが)。

I. マクドナルド氏による本書の初版(1990年)は、当時既に“偽書”と確定されつつあった『証言』を下敷きにして、「ユローディヴィ」としてソ連の国家体制と闘い続けたというショスタコーヴィチ像を提示した、話題の一冊であった。大学に入学して間もない貧乏学生だった僕には、洋書を買う余裕などなく、いざ購入しようかと思った時には、もう入手できなくなっていた。

ピアニストのR. クラーク氏が改訂を行なった箇所は、未だに初版を入手していないがゆえに、具体的にどの部分なのか、さらにはどの程度の改訂が行なわれているのか、確認できていない。ただ、初版以降に発表された書籍(フェイの評伝や、ウィルソンの回想録など)に対する言及は、おそらくクラーク氏によるものだろう。

ということで、初版との相違は無視して、この改訂版のみに対する印象を記す。まず、読み物としては、十分に刺激的で面白い。ショスタコーヴィチが生きた時代についても、やや一面的である感は否めないものの、きちんとした記述がなされている。ただ、いかにショスタコーヴィチの人格が形成される過程においてスターリン時代が重大かつ決定的な時期であったとはいえ、フルシチョフ以降の時期に対する論述の分量が明らかにバランスを欠いて少ない(あるいは、スターリン時代が多い)。また、取り上げられている作品も交響曲と弦楽四重奏曲が中心で、特に歌曲の扱いが過小なのも気になる。個人的に、ここで提示されているショスタコーヴィチ像には多少の違和感はあるものの、それが受け入れ難いわけではないのだが、たとえばオーウェルの『1984年』まで引き出して大げさに論を展開するほどのものではないと思う。主張の是非はともかくとして、フェイの実証的な論述に対して、ある事象に対する解釈を導く過程が主観的な飛躍を含んでいるところにも問題を感じる。90年当時ならともかく、ソ連が崩壊してから15年以上が経った現在において、この本を研究書あるいは評伝として評価するわけにはいかないだろう。

実は、この本と一緒に購入した書籍がまだ2冊、埃をかぶったままになっている。早く読まなきゃ…

The New ShostakovichThe New Shostakovich
(2006/07/06)
Ian MacDonald

商品詳細を見る
New ShostakovichNew Shostakovich
(1990/04/26)
Ian MacDonald

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閑話休題。先週末、京都大学音楽研究会の大先輩に誘われて、かぶとやま交響楽団にエキストラ出演した時に知己を得た方と弦楽四重奏をして遊んだ。ヴァイオリンもしばらく弾いていなかったのに、ヴィオラを頼まれて必死に初見をしてきたが、やっぱりカルテットは楽しいですね。特に今回は、僕なんかよりはるかに上手な3人とやらせてもらったのでなおさら。その時、先輩が「指が回る内に、エルンストの『夏の名残りのバラ』をやりたいなぁ」なんて発言を。対抗なんてしようのない僕は、おとなしくL. コーガンでも観て、弾いた気分にだけなっておきましょう。(^^; それにしてもこの映像、えげつないくらい巧い。

パガニーニ:「ネル・コル・ピウ」による序奏と変奏曲ワックスマン:カルメン幻想曲
L. コーガン(Vn)
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theme : クラシック
genre : 音楽

tag : 作曲家_Shostakovich,D.D. 演奏家_Kogan,L.B.

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Yosuke Kudo

Author:Yosuke Kudo
B. モンサンジョン著『リヒテル』(筑摩書房, 2000)に、「音楽をめぐる手帳」という章がある。演奏会や録音などを聴いて思ったことを日記風に綴ったもので、実に面白い。

毎日のように音楽を聴いているにもかかわらず、その印象が希薄になる一方であることへの反省から、リヒテルに倣ってここに私も覚え書きを記しておくことにする。無論、リヒテルの深みに対抗しようなどという不遜な気持はない。あくまでも自分自身のために、誰に意見するわけでもなく、思いついたことをただ書きなぐるだけのことである。

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